シリアの情勢に関しては多くの細切れの情報はあっても、全般的な軍事情勢に関する報道または分析記事は殆ど見られません。
一般的には、政府軍は圧倒的な装備(特に重火器)の優勢と人員的にも反政府軍よりは遥かに優勢で、軍事的には圧倒的に優位に立っているが、シリア全土を完全に制圧するには人員不足で、モグラたたきを繰り返しているのが現状で、この状況が変わるのは自由シリア軍に対するより本格的な武器供与であろうと、見られていると思います。私もそう見てきました。
このいわばオーソドックスな見方に対して、20日付のjerusalem post net の「シリア反政府軍が地歩を固めつつある」と題した分析記事(JONATHAN SPYE名)は反政府軍が地歩を固めつつあり、政府は益々苦しい立場に追いこまれつつあるとの趣旨の分析を展開をしています。
勿論、現地から遠く離れた京都の田舎から、この分析の正否を判断する材料は有しませが、少なくともこのような全般的な冷静な分析はこれまで見たことが無く、またシリアの隣国で情報機関では定評あるイスラエルの有力紙の分析、ということで非常に興味があるので、記事の要点のみ書いておきます。
おそらくいつものことで、この種の記事に対しては種々意見が出てくることと思いますが、記事は英語ですから、関心のある方は直接下記をご覧ください。

シリアの波乱軍がアサド政権に対して有利な地位を占めつつあるとの兆候がいくつも見られる。
最近反乱軍が注目すべき成功を幾つか収めた半面、政府軍及びアサド支持の群衆の士気が衰えつつあるtの兆候が見られる。
反乱軍は昨10月から国の方々で「解放区」を作り出した。これに対して、政府軍は4月10日の停戦までに、これらの地域を取り戻すべく猛烈な作戦を展開し、ほぼその目的を達した。
ところが、停戦が無視された現在、反乱軍は再び勢いを盛り返している。
今回も焦点はホムスで、政府は週末猛烈な砲激を続け、市の奪還を図っているが、その周辺地域の多くが政府軍の制圧下にない。自由シリア軍と行動しているジャーナリストの報告では、政府軍はホムスの北の
Rastan と Talbisehから追放された。反乱軍は南のQusayrをも攻撃しているが、その部隊は自由シリア軍で最優秀の部隊である。
自由シリア軍に捕まった大尉は、自由シリア軍の数とその兵員の多さと訓練に驚いたと語ったとのことである。
最近政府軍が攻撃ヘリを多用しているのも地上戦を避けるためで、政府軍の中堅幹部には失望と絶望が広がりつつある。
アサドの安全な地盤と考えられていた地域も、もはやそうではない。
首都のダマスkスが良い例である。反政府軍は15日ダマスカスの周辺でよく調整された一連の攻撃を仕掛けた・特にKfar Sousaでは激しい戦闘があったが、首都のMazzah, Qudsiyeh とal-Qadam でも大きな爆発音が聞こえた。
このダマスカス周辺の戦闘がアサド政権安泰との認識に打撃を与え、首都の上流、中流階級は外国に逃れ始めた。ダマスカスの旧市街も障害物だらけで外出禁止令を思わせる。
これらの兆候は総て反政府軍の活動と能力の向上の反映である。一つにはトルコを通じたカタールとサウディの援助の増加がある。未確認だが、米国情報機関と特殊部隊がこの援助を調整しているという説もある。
戦闘は未だこれからだが、現在イニシアチブをとっているのは反政府軍である。
この中で政府は2面作戦をとっている。
一面では、首都を固めるとともに失った地方都市奪還の作戦を進めている。
他面では北西部のアラウィー派の拠点からそれ以外の者を追放し、アラウィ派だけで固めた安全地帯を確保し、今後戦争が長引いた場合の根拠地としようとしている。この作戦が成功するかどうかは解らないが、このような作戦をとること自体、反政府軍の拡大する攻勢に対応して、戦線を縮小し、立て直そうとしていることを物語っている。
シリア情勢は新しい局面に入りつつある。
http://www.jpost.com/MiddleEast/Article.aspx?id=274512