クルド労働者党PKK(長年トルコでクルド自治の武力闘争を行って来た勢力)の系列である民主統合党PYDが、シリアのトルコ国境沿いの町Ras al-Ain等を占領したことがトルコにとっては大きな頭痛の種になっていると言う話は昨日ご紹介しましたが、today's zaman net およびhurriyet net は、トルコ外相が19日シリア領内における民族に基づく既成事実は、シリア問題を複雑化し、トルコとしては受け入れられないと表明したと報じています。
同外相は記者会見で、シリアの将来のあり方は議会(アサド政権下の議会ではなくその退陣後新しく選ばれる議会という意味と思われる)、で決めるべきで、既成事実や事実上の決定は戦闘を激しくするだけで受け入れられないとして、アサド政権は戦術としてアラブ人、クルド人、トルコメン等の民族宗派グループを争わせているが、誰もこの様な戦術に騙されてはいけないと述べた由。
又最近の情勢に関連して、トルコとしては如何なる脅威に対しても即時に反応するであろうと警告した由。
PYDの攻勢の背景として、today's zaman net  は先週、アサド大統領がPYD代表団と会談し、彼ら日してその地域での自治を認めると表明した由にて、アサドは金曜日(先週か今週かは不明)クルド自治地域の宣言をした由。
その会合でアサドはHaseki, Ras al-Ain, Afrin, Darbasiyya, Ain al-Arab、 Kamishliを含む7地域の自治を認めたとのことで、合意に従い今後自治地域ではシリア国旗を並んでPYDの旗が掲げられる由。
なお、クルド勢力はこの問題について9月6日に国民投票(住民投票)を行う計画の由だが、当面挑発と取られることを避けるために、PYDは国境の管理をアラブ、クルド、キリスト教徒からなる人民委員会に委ねているいるとおことです。
この地域に関してトルコの治安問題専門家は、トルコの国境沿いに2000名のテロリストの存在する地域ができることは、トルコにとって明白な安全保障上の脅威であり、またPKKに対してもトルコ政府との和平が躓いた場合の活動の脚がかりを与えることになり、和平の動きにも悪影響を与えるとみている由。
http://www.todayszaman.com/news-321293-turkey-warns-syrian-pyd-against-seeking-autonomy.html
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-wont-accept-fait-accompli-attempts-in-syria-fm-davutoglu-says.aspx?pageID=238&nID=51040&NewsCatID=338
記事の要点は以上で、クルド勢力とアサドの会談については、他に報道はなかったようで、真偽のほどは不明ですが、仮にその通りであれば、アサドは地上での力のバランスが有利に傾いているところを狙って、トルコに対するクルドPKKカードを切ったように思われます。
アサドは以前からPKKカードを対トルコに利用して来ていますが(確かPKKオジャラン党首もトルコが軍事行動の可能性をつらつかせて警告するまではシリア内で活動していたと思う)、トルコにとっては盟友のムルシ−が失脚し、喧伝された英米仏の反政府派軍事援助が実現せず、力のバランスがアサドに有利に傾いている時に、大きな難問を抱えることになったもののようです。
なお、時あたかもエルドアン政府はイスタンブールのタクシム広場事件を抱えて、内政的にも難しい局面にありますが、hurriyet net は最近の世論調査によると、2012年時の支持率53・2%から6%下がり44・1%になった(数字が合わないが記事のまま)とのことで、トルコ政府は急に内外ともに難問を抱えた感じです。