先ほど、昔からの友人が中東地域の専門家の講演の趣旨を教えてくれたので、それに対して取り敢えずのコメントをしておいたので、あまり変わり映えはしない、いつもの繰り返しですが、こちらのコメントだけ(先方のㇵ著作権問題もあるかも)下に紹介しておきます。
いつものような趣旨で、あまり新味はないので、暇な方はお読みください。
現地の専門家の話に反論は勿論、付け加えることもありませんが、何かコメントしないとまたまた叱られそうなので、取りあえず簡単なコメントをしておきます。
まず、シリアの停戦ですが、基本的にはロシアの意向如何でしょう。死に体になっていたアサドを救い、反政府軍を追いつめているのはロシアですから、ロシアの意向如何で基本的な流れは決まるのではないでしょうか?勿論、反政府軍は分裂しており、ISとヌスラ戦線という停戦の対象外もあり、さらに政府側だってヒズボッラーとか、革命防衛隊(イラン)と、多士済々なので、何が起こるかわからないというのは事実ですが、少なくとも政府軍に関しては、ロシアの空爆支援なくしてこれまでのような順調な戦ができるはずはない。ヒズボッラーもイランの意向次第ではあるが、革命防衛隊とともに多くの死傷者を出しており、アサドが危なくならない限り、彼らの方から派手な作戦はしないと思う。
反政府派の方はロシアの空爆で、手痛い目にあっており、今のところ大きな失地奪還の作戦を起こせる力はないだろう。
米国もロシアの停戦提案に喜んで乗ったくらいで、ISに対する作戦を続けられるとして、停戦は大歓迎のはず。
そうなると、シリアはIS占領地とそれ以外に分かれ、当面の問題は「それ以外の地域」の問題だが、ロシアが巷間噂されるように、「アサド抜きのアサド政権維持」という基本政策であれば、米露が結託して、一つの解決策は出てくる感じがする。排除されるのはアサドと強硬なイスラム主義勢力ということになろうか?その後まだISが頑張っていればイラクと合わせて、ISの大掃討作戦がある可能性もあるかと思う。
アラブの春全般については、基本的に中東が富の偏在する社会であったことは昔から何も変わっていないが、政権が長くなったところばかりなので、政権周辺の腐敗が目立ち、それが富の偏在の印象を強くしたことはあると思う。
いずれにしても、アラブの春で倒れた政権は、いずれも「アラブ民族主義」の流れをくむところで、建前は社会主義的平等を掲げながら、実際は軍、情報機関、警察による寡占体制で、これまでも時々体制は動揺してきたが、90年代は割かし好調な世界経済にも支えられ、為政者との間で「少々の腐敗と弾圧は甘受するが、その代わりに経済成長を」という黙契ができていたのに、リーマンショック後の国際経済赤kの影響で、経済面からの飴がなくなったことが、基本的な要因と思う。
いずれにしても、いずれの政権も数十年の長きにわたり君臨してきたもので、水はよどみによどみ、崩壊は物事の必然であったような気がする。アラブの春のあとの混乱を見て、革命前の方がよかったのではないか、などと気楽に外部の人間が言うのは、その辺の実情に対する認識不足だと思う。仏革命にしろロシア革命にしろ、中国にしろ、大きな体制の変革のあと、かなりの期間大きな混乱と多くの犠牲者が出なかったケースはない。
問題は、今後どのようにして現在の混乱状況から逃れるかという問題で、アラブの春直後には、ムスリム同胞団、ナハダ、AKP等のいわゆる穏健イスラム主義が、その解決策と言われたことがあったが、現実政治の前で彼らの影も薄くなったと思う。その後にサラフィー主義というが、エジプトで一時はサラフィー主義が同胞団よりも注目された時期もあったが、今はほとんど鳴かず飛ばずだ。
従って、現在のところ将来の中東がどういう形になっていくのか、影も形も見えないというのが実情ではないでしょうか?
但し、どこの国でも宗教回帰というかイスラムの影響力は強くなっているので、これと何らかの形の政体の組み合わせ…最低がイスラム主義と軍政、最高がイスラム主義とある程度の自由民主主義との組み合わせか?…ということになると思うが、その過程で形骸化している国家の解体もあり得るかと思う。
それはシリアのみならず、当然イラクも入るが、仮にクルドが自分の国を持ったりすれば、その影響たるやトルコのみならず、イラク、イラン、シリアにも及ぶと思う。
その他では国家という枠組みの大きな変更はなさそうです。なんといってもww2以降、もしくは英国植民地主義からの開放以来、国家という形での枠組みが存在し、子供たちが毎日国歌を歌ってきた影響は決して小さくないと思う。
サウディの最近の積極姿勢だが、一つにはやはりイランの核合意、シリアへの介入強化、更にはイエメンへの介入(支援が口先ばかりということだが、どの辺までが口先ばかりということになるのかは不明だが、若干の武器供与、資金援助、一部の革命防衛隊員の訓練支援等は実際に行っている)があり、サウディとしてはイラン革命以来の対イラン警戒心が大きくなったと思うが、それに加えて、最も大きいのが対米不信ではないかと思う。従来サウディは、自分が安全保障面で表に出ることを極端に嫌い、基本的には米国に頼ってきたが上述のようなイランの介入に対する米国(オバマ)の対応が、あまりに臆病すぎるので、このままではイランに席巻されてしまうという危機感にかられたと思うが、その点ではイスラエルの感覚とどこか共通のものがある。
イランについては、現在の選挙が今後の動向を占ううえで、大きなカギとなると思われる。
ISについて、ISはあくまでもイラクを本拠地として、アラブの統一を天下に呼号するということだが、ISというのは、その狂信的、病的なイデオロギーに比して、現実行動は極めて合理主義的なところがあり、要するに現実に合わせていかようにも変化するので、今後イラクやシリアで、、モースル奪還やラッカ奪還の動きが出てくれば、アラブ世界の弱いところに出ていく動きがさらに強まることは目に見えていて、その意味ではリビアはまさしく一つの標的であろうと思われる。
何しろリビアを抑えれば(抑えなくともそこにISの十分な拠点ができれば)エジプト、チュニジア、アルジェリア、モロッコ等の北アフリカ諸国のみならず、いわゆるサヘル諸国も射程に入ってくるので、リビアの混乱と混沌を利用しないとは考えられない。おまけにあそこには武器が潤沢に出回っていて、イラクの旧バース党のようなカッダーフィを懐かしむ連中(例えばシルトの連中)も少なくないのでその意味でリビアに目をつけないと考えないほうがおかしい。
と、まあ、ざっとこんなところですが、我ながらいつもの繰り返しで、新味がないなと思っているので、この辺で 野口拝
