エジプトとサウディ間で、アカバ湾の出口にある2の島がサウディ領であることが確認されたことは、昨日だったか報告しましたが、そのさいイスラエルとの関係に言及することを忘れていました。
要するに、アカバ湾の奥にはイスラエルのエイラート南があり、イスラエルは’56年と’67年戦争の2回に渡り2の島を占領したわけですから、当然イスラエルとしては、同国を認めてもいないサウディがこれらの島を領有することには、戦略上反対するのではないかと思ったからです。

しかし、どうやら中東の世界もこれらの戦争時の、パレスチナ問題が「アラブの大義」であった時代とは大きく変わり、サウディのこれらの島の領有もイスラエルにとっては、重大な問題ではなくなっている模様です。
al qods al arabi net とy net news はエジプト紙al ahram を引用して
「最近イスラエルとエジプトの政府関係者が、これらの島の領有権問題で会談し、エジプト側は交渉の経緯等を詳しく説明するとともに、合意に実施に当たっては、イスラエルとの平和条約にも関係してきて、条約の一部訂正が必要になるかもしれないと伝えた。
これに対してイスラエル側は、国防相と外務省が協議したところ、そもそもこれらの島が基からのサウディ領であったということであれば、条約の訂正は必要ないのではないか、として、この問題について特段の留保等は表明しなかった由。
エジプト側は、サウディとの合意では、イスラエルとの平和条約の関係部分はすべてそのまま尊重されるが、その中には多国籍軍の駐留、これらの島をアカバ湾の閉鎖や攻撃基地として使わないこと等が含まれている由」
と報じています。
他方、島の領有権問題についてはal arabiya net は、エジプトの法律専門家によれば、そもそもこれらの島はサウディ領であった者を、1950年にサウディの初代国王が当時のエジプト国王ファルークにその防衛を要請し、それ以来エジプトが島の防衛の責任を有していた、と報じています。
記事はまたエジプトはこれらの島を攻撃基地に使ったことはないが、イスラエルのシナイ半島からの撤退を決めた平和条約では、これらの島は非武装地帯で海軍の管轄下に置かれることになっているとも報じています。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2016/04/10/خبراء-مصريون-تيران-وصنافير-سعوديتان-وهما-الأجمل-سياحيا.html
http://www.alquds.co.uk/?p=514089
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4789970,00.html
ということで、今後これらの島をめぐって、平和条約の一部訂正ということで、イスラエルとエジプトが議会の承認を得る手続きに行くかどうか、今の時点では不明ですが、記事から見る限り、イスラエル側としては、どんな意見がとびだすか保障できない議会の審議は避けたい意向であるように見えます(エジプトはどうせ御用議会だから、政治的な困難はなかろう)
それにしても、かなり昔のことになりますが、サウディに対するF15やAWACSの売却に大反対をして、米議会等を巻き込んで大騒ぎをしたイスラエルが、戦略的に重要な島の領有権で、少なくとも公的にいかなる反応も示しておらず、記事からすればこの問題に極めて理解的ですらあることは、興味のあるところです。
それだけ、中東は変わったということなのでしょうね