トランプ大統領はとにかくやることが早く、すでにオバマケアの見直しに関する大統領令に署名した様子ですが、彼が選挙運動中に公約?していた米大使館のエルサレム移転についても、さっそく動き出している模様です。
アラビア語メディア等は、トランプがネタニアフと電話して大使館の移転問題についても話し合ったと報じていますが、al qods al arabi net は、新駐イスラエル大使(議会ではまだ未承認)が、外国大使や外交官が居住するテルアビブ近郊のヘルツェリアではなく、エルサレムに居住する意向だと報じています。
彼はエルサレムに小さなアパートを有しているとかで、そこに住む意向とのことです
(彼がエルサレムに住むのは、イスラエル政府としては大歓迎でしょうが、普通のアパートであれば、警備当局にとっては頭痛のタネになるでしょうね!!新大使は、エルサレム住んでそこで仕事をする、と張り切っている模様)
また記事やイスラエルのy net news は、米大統領府報道官が、米大使館の移転問題は、まだ検討の第1段階に入ったところである、と語ったと報じています。

他方、y net news の別の記事は、ヨルダンの国王とパレスチナ暫定政府のアッバス議長が22日アンマン(ヨルダンの首都)で会談し、米大使館のエルサレム移転を阻止するために、今後協力していくことを話し合ったと報じています。
会談後、アッバス議長は、米大の移転問題は、パレスチナに重大な影響があるだけではなく、中東地域全体に深刻な影響のある問題で、今後米新政権と密接に協議して、そのその深刻さを理解してもらう必要があると語ったよし。
http://www.alquds.co.uk/?p=663489
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4911159,00.html
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/1/23/إسرائيل-تلغي-قيودا-على-الاستيطان-بالقدس
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2017/01/23/ترمب-حديثي-الهاتفي-مع-نتنياهو-كان-رائعا-.html

トランプの性格(いったん言い出したことに反対があると、むきになって反発する)からしても、新大使の人選からも、米大使館の移転は、具体的にいつになるかという問題は別にして、まず決まったことと考えていいかと思います。
問題は、今後それに対するパレスチナ人、アラブ、ムスリムの反応ですが、彼らはこれまでもそのような事態は重大な反発を招くだろうと警告しており、我々もそれをお伝えしてきていますが、本当に移転した場合に、具体的にどれくらいの反発が、どんな形で起きるのかは未知数です。
イスラム過激派が、これを理由にテロを行うことは十分考えられますが、アラブ政府やイスラム国政府がどう動くのか?口先だけの抗議でお茶を濁す可能性も十分あると思います。
いずれにしても、具体的に彼らに何ができるのか?今更石油を武器として使う(1973年の第4次中東戦争では、まさにサウディの国王が音頭を取って、石油を武器として使い、世界にオイル・ショックが伝わったことは、当時生きていた者は記憶しているが・・・最近は非OPECの産油量も増えており、米国のシェールオイルの産出も増大しており、そのような客観的情勢にないと思う)という時代でもなさそうで、精々アラブ諸国、特に湾岸等の米国名離れとロシアへの接近が加速することくらいでしょうか?
安保理での非難決議といっても米国が拒否権を有しているので、不可能で、せいぜい総会での非難決議くらいで、それはまさしくトランプが「国連なんて、皆が勝手な議論をして楽しんでいるクラブみたいなものだ」といったことを裏付けるだけのことになりそうです。
ただし、トランプのもう一つの重要な政策の、IS等イスラム過激派テロの根絶という政策にとっては、あまりいい材料ではないだろうと思います。
むしろ我々は今後IS等のテロが増加、激化することを覚悟しておいたほうが良いのかもしれません。