米国のシリア空軍基地ミサイル攻撃については、ずいぶんコメントもいただいておりますが、米国のやったことですから、詳しくは米欧のメディアをご覧になることが肝心でしょう。
しかし、大きな関心の的のようですので、どこまで正確かはわかりませんが、アラビア語メディアから若干の追加情報を次の通り

・シリア軍による化学兵器攻撃の報を受けて、トランプは米軍に対して、取りうる選択肢の提示を求めた。
これに応じて、国防長官等よりは
  ・ホムス近辺の空軍基地の攻撃
  ・複数の軍事基地に対する攻撃
  ・ダマスの大統領官邸に対する攻撃(毒蛇の斬首作戦というらしい)
の3つの選択肢が提出された
・中国の習主席との会談の直前での安全保障関係者との会談の時には、毒ガス攻撃はシリア軍によるものであることが、確認され、米国としての対応を検討したが、シリア大統領官邸に対する攻撃はまず落とされ、残りの2のうちからホムスの空軍基地の攻撃が選択された
・習主席との晩さん会が始まるときには、攻撃が始まっていて、国防長官とか安全保障補佐官は分担して、世界の各国に対して米国の攻撃についてブリーフし始めた。
・中国については、ディナーの席上トランプ自らが、主席の隣に座り、彼に耳打ちして、攻撃の事実を知らせた。
・攻撃というか、中国主席との会食の1日前に、これまで最も影響力のあった主席補佐官のバノンがNSCから罷免されていたが、これも中国に対するゼスチャーであった。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2017/04/08/كيف-أخبر-ترمب-رئيس-الصين-عن-الضربة-خلال-العشاء؟.html
http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2017/4/8/تفاصيل-الساعات-الحاسمة-قبل-ضرب-قاعدة-الشعيرات

上に書いた通り、アラビア語メディアの報じるところが正確か否かは知りませんが、仮にトランプが習主席との会談(または会食)の時を狙って、攻撃したとすれば(アラビア語メディアでは、そこまで明確に書いてはいないがその辺がにじんでいるように思われる)トランプという男はタダモノではなく、大した役者だと思わせます。
習主席も席を立って帰るどころか、その後も和やかにディナーを続け、翌日の首脳会議でも2国間貿易問題、北朝鮮問題について話し合った模様です。
なお、記事は、この米国の攻撃は北朝鮮問題について、中国への明確なシグナルになったのではないか、としているが、両者間で北朝鮮問題やシリア問題について、本当にどのようなやり取りがあったのかは不明です。

これでトランプとしては、これまで安保理等でロシアと共同して米案に拒否権を使ってきた中国をまずは、懐柔したように思われます。
さらにロシアについても、安保理や報道官談話等では、強硬な発言を繰り返していますが、具体的な対抗策としてはシリア上空での衝突回避合意の停止くらいのもの(そのほかにもう1隻の艦艇の地中海派遣があるか)で、両国関係は、冷戦時代の米ソ関係と同じように、口では激しく非難しても、具体的には衝突を避けるというルールに立ち戻った感じがします。
その意味ではとりあえずはトランプの戦術勝ちということかもしれませんが、おそらくは米からロシアに対しては、内々アサドが変な対応をしない限り、米からさらに攻撃を続ける意図はないということが伝えられているのではないでしょうか?
しかし、このような単発的なやり方では何とか対処できても、トランプ政権としては、やはり今後のシリアをどうするのかその辺の総合的政策を立てないことには、シリア問題での立場を挽回することはできないのではないでしょうか?