昨日は、どうやらクルド問題をめぐる情勢は、取りあえずは落ち着く方向にむかいつつあるように見えるという報告をしましたがその後バルザニがアバーディ(イバーディと表記していましたが、アバーディが普通のようで、そう替えます)首相の対話イニシアティブを歓迎したとのことで、更に正常化に向かいつつある感じがします…・もちろん予断は禁物ですが。

アラビア語メディアによると、アバーディ首相は17日、住民投票は過去のもので、終わったことだとして、クルド自治政府に対して、憲法に従っての、対話を呼びかけたとのことです(この話は勿論報じられていましたが、申し訳ないが、アラブ特有のレトリックだろうと思って、報告もしていないと思う)。
首相は、記者会見で、クルドに対して、憲法の枠内で、国民的協力という基礎での対話を呼びかけたとのことです。
これに対して、クルド自治政府は19日、同日の会議で、憲法の下で協力と合意の原則で対話をするとのアバーディ首相の提案を歓迎することとしたとの声明を発出した由
(これまでアバーディ首相は、住民投票の結果を無効としない限り、対話はしないと主張していたが、「住民投票は過去のもので、終わった」ことだととして、これを棚上げして対話・・交渉を始めることを提唱したもので、流石海千山千のアラブ政治家だけのことはあると感心しています)
またal jazeera net はイラクのメディアは、クルド勢力の中には、住民投票の結果を凍結するとの動きが出ていると報じていますが、上記の通りアバーディ首相の提案を受け入れたということは、既に事実上凍結したということかもしれません、
因みに、住民投票に続いて行われるはずであった大統領と議会の選挙の方は既に凍結が決まっています。

ということで、どうやらクルド問題は交渉(対話)の方に動き出した感じがしますが、イラク最高裁が、クルド自治区の副議長が、キルクークのイラク軍を占領軍と表現したことに対して、逮捕状を出したことに対して、バルザニ議長が強く反発しており、両方にはまだ強硬派もいるだろうし、今後の状況を注目する必要はあると思います。
http://www.alquds.co.uk/?p=811298
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/19/كردستان-العراق-يرحب-بدعوة-العبادي-للحوار
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/19/أنباء-عن-توجه-حكومة-كردستان-لتجميد-نتائج-الاستفتاء.html
取りあえずは以上ですが、問題は、イラク政府は勿論、トルコ、イランが激しく反発し、下手すると武力衝突につながる可能性の強い、クルドの独立問題を、バルザニ等が、何故、強引に持ち出して、住民投票まで行ったかだと思います。
強硬姿勢を示して、中央政府から多くの妥協を引き出すことを狙っていたのなら、思惑通りに進みそうですが、真剣に独立を狙っていたのなら、早々と「憲法の枠内」での交渉に応じるということは、ある意味で白旗を挙げたことで、そうなると今後彼の地位にも影響する可能性があるような気がしますが。
矢張り今回も、双方に強く自重を求めた、米国務長官、国防長官等の努力が功を奏したものでしょうか?