ガザ・イスラエル境界でのパレスチナ民衆とIDFの衝突では、14日に58名(または55名)死亡したことまではお伝えしましたが、本来のナクバ・ディである15日には、状況は大分平静化❓した模様で、イスラエルメディアは、それまでの死者を61名または60名、負傷者は2700名としています。
この数字が正しければ、15日の死者は2〜3名ということになりますが、アラブメディア出はal qods al arabi net が死者62名、負傷者3188名としてるが、al arabiya net は死者60名としています。

ガザ以外の状況としては、エルサレムの旧市街や西岸で、ゼネストが行われている他、抗議デモがあった模様ですが、IDFとの大規模衝突は報じられていません。
その他中東では、イスタンブールでの抗議デモの他チュニス、サナア等で抗議デモがあったと報じられています。
その他では南アフリカ、欧州の複数の都市等でも抗議があったとのことですが、どの程度の規模かは不明です。

その他国際的な反響としては、安保理が審議をして、クウェイトがIDFの過剰反応を批判する決議案を準備していると報じられているほか(おそらく米国の拒否権行使でしょう)、米代表がイスラエルの行動は正当な自衛権の公使だとして、全面的にイスラエルを擁護したほかは、各国がイスラエルを批判したとのことです。
アラブ連盟が16日外相レベルで緊急会合を開催する予定です
(アラブ諸国間の意見の相違やトランプ政権との関係もあり、どの程度強い決議を採択できるかが注目されます・・・そもそも最近アラブ連盟が実質的な決定をすることはほぼできなくなっている…が、その前に、エジプト、サウディや湾岸諸国が果たして外相レベルで出席するかさえ不明)
https://www.haaretz.com/
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5261536,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=935563
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/5/15/شوارع-عربية-وإسلامية-تواصل-غضبها-بذكرى-النكبة

現地メディアからの状況は以上ですが、取りあえずのコメントとしては
・15日、境界線に集まった群衆はイスラエルメディアは数百名としていて、14日の数万人規模から大幅に低下し、これに伴ってパレスチナ人の犠牲者の数も少なかった。
これが、IDFの断固とした(または過剰な)措置で、民衆が恐れをなしたからと見るか、ハマス指導部の指導によると見るかの意見はあると思うが、IDFの立場からすれば国際的批判(およびhaaretz のような国内的批判)を覚悟のうえで、実弾射撃も含めて、強硬な立場で臨んだことが、取りあえずは功を奏したというところか。
・パレスチナから見て、最大の問題は他のアラブの国における民衆の支持の少なさではないかと思われる。
これまでアラブ報道で見る限り、抗議デモ等のあったのは、レバノン、イエメン等イランに近い国で、それ以外ではチュニジア、また遠い存在のモリタニアくらいしかない。
その背景には、アラブ諸国の熱意が低いことや、デモが抑制されている等の事情もあろうが、アラブ諸国で民衆が本当に怒れば、当局の抑止にもかかわらず、自発的にデモが生じ、警官隊等と衝突するのだが、今回この問題で警官との衝突があったと報じられたところは見当たらない。
・国際的な動きとしては、安保理では米国の孤立は浮き彫りとなったが(トランプ政権は気にかけてないと思う)、何らかの批判的決議案が拒否権で葬りさられることはほぼ確実。
アラブ連盟も具体的な措置を打ち出せそうにもない
・ということは、これまではアラブ、イスラム諸国にとっては、常に重要問題であったパレスチナ問題の潮目が変わったことが明確になり
  アラブ政府内には、パレスチナ問題よりもイランの問題を重要視する勢力が増大し
  アラブ民衆も先の見えないパレスチナ問題への関心を失ってきつつあり
  和平問題については、ネタニアフ政権もトランプも本音ベースでは全く関心を示しておらず
  PLOが米国との接触を断ったことも、イスラエルとの力の差が大きすぎるパレスチナとしては、米国の対イスラエル圧力に頼るしかなかったことから見れば、自分の穴を掘っていることにしかならず、
今後当面和平が進展するとは思われない
・これまで国際的にもイスラエル、米政府も公式には支持して来た、2国方式による和平実現は、トランプがいる限り、先ずは実現可能性はなくなったように思われる
彼は「世紀の取引」と言うが、どうもパレスチナ問題を根本的に解決するような、明暗を持ち合わせているように補も割れない
・となれば、解決の方式としては、一国方式(パレスチナ全域をイスラエルが併合し、ユダヤ人とパレスチナ人の共存を図る)しかないことになるが、この方式は国際法上の問題があるのみならず、果たしてパレスチナ人に平等な権利を認める方向に進むのかという問題がある。
さもなければ、かっての南アフリカのようなアパルトハイトにならざるを得ない
・ということは、現実的には、当面イスラエルが西岸を占領し、西岸とガザでパレスチナ人が押し込められ、不満とフラストと、特にガザでは失業を含む経済困難が継続するという現状が続くことになる
今後ともパレスチナ問題は大爆発はともかく常に衝突の可能性のある地域として継続していくことになる
・一つの可能性としては、今後この問題も含めて、現状に不満を有するイスラム主義者、パレスチナ人等は、テロに訴える方向に進む可能性が強いかとも見られるが、何しろ過去10年間の国際社会の問題はテロとの戦いで、テロでは問題は解決しないこと、テロの犠牲者は圧倒的に中東の民衆に多いことなどからも、テロは大きな問題解決の手段としては、無益な手段であることへの理解は強まっているように思われる
・要するに今後パレスチナ人等の閉塞感は強まると思われるが、現状の国際的状況では、これを打開する方途は見出しがたい
・このままではアッバス議長とうのPLO指導者、ハニエ等のハマス指導者に対する、パレsチナ民衆の信頼感は下がらざるを得ないが、これに代わる若い層が台頭してきて、問題解決の新しいアイデアを出しうるかが課題となる可能性があるが、それよりも、イスラエルが今後どちらに向いていくのかがより大きな問題であろう
ネタニアフの後に、より柔軟な指導者が現れることが期待されるが、どうであろうか