イエメン領でインド洋に浮かぶ島(多くの固有動植物の故に世界遺産に指定されている)スコトラ島に、アラブ首長国(UAE)軍が部隊と戦車等を送り込んで、空港や港を占拠したが、その後サウディ政府が、調停団と部隊を送り込んで、UAE部隊は撤退したことは先に報告したところです。

一応イエメン正統政府を支援するためという名目で、軍事介入したアラブ連合軍が、政府支援そっちのけで、覇権争いをしているかに見えるのは、まさに奇妙な図式ですが、この問題につてal qods al arabi net は英independent紙の現地レポートを引いて、UAEとサウディの覇権争いで、前者の占領が後者の占領に代わっただけだと報じています。
興味のある記事なので、その要点次の通り。

UAEが部隊を送り込んだことで、正統政府とUAEの対立が先鋭化したスコトラ島に関し、サウディの介入でUAEは部隊を撤退させたが、英independent紙の現地レポートは、これは単に一つの占領が、別の占領にとってかわられたに過ぎないと書いている。

同記事は、UAEの部隊派遣は「占領」であって同島の世界遺産を脅かしたが、これは同島を巡るサウディとUAEの対立を示していて、UAEは湾岸地帯におけるサウディの覇権に対抗して、軍事的植民地主義を推し進めようとしたとしていて、スコトラ島がその対立の中点になったとしている。
記事は更に、イエメン首相はサウディの調停で、スコトラ問題は収束したと語ったが、同紙の記者が島民と話したところで、現実はかなり違っているとしている。

記事は更にUAEが空港、港を占拠したやり方は、ロシアがウクライナとの間でクリミヤ半島を併合したやり方と似ているとしている。
英紙とは別に、UAEのメディアは、イエメン内相が先日、アデンはUAEの占領下にあるも同然で、政府関係者もUAE軍の同意なしには行動できないと語った(このことは既に報告済み)ことを攻撃し、現実無視の虚言であるとして、イエメン軍の参謀本部は麻痺しているとして、その改組を要求した報じている。

http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit

これまでの南イエメンにおけるUAE軍の行動に鑑みれば、上記記事の説明は、誠にその通りという気がしますが、問題はサウディとUAEとの間にそのような対立関係が現実にあるのか(両国と鋭く対立しているカタール系のal jazeera net でもその様な報道は見かけていない)ということですが、更により基本的な問題として、本当にUAEが帝国主義的野望を有しているのか?ということです。

どうも昔の既成観念があるせいか、UAEの人口など全部合わせてもたかが知れていると思っていましたが、どうやら900万人を越えた模様で、その意味では最早人口小国ではないかもしれず、帝国主義的野望を抱いてもおかしくはないかもしれません。

しかし、どうやら900万人のうち、元からの土着民の系統は13%程度で、残りはアラブ、インド、パキスタンその他の国からの出稼ぎ人(要するに外国人)の模様です。
確かUAEでは、彼らがクーデターなどを引き起こす分子になることを警戒して、これら外国人に対してUAE国籍を与えることには、極端に慎重である、と聞いています。

まあ100万強の人間と金と近代兵器があれば、周辺の貧乏国を支配下におさめることは難しくはないでしょうが、下手をするとトンビに油揚げをさらわれることにもなりかねません。
どうも昔の既成観念もあり、UAEなどは、石油とイランとの貿易等からの、通商国家として、栄えていくことがふさわしいという気がして仕方がないのですが、どうも現地での情勢はUAEは帝国主義の方に進んでいるみたいです。
事実関係はともかく取りあえず。