先ほどIS最後の拠点al baghuz の戦いはほぼ終了したと報告しましたが、al arabiya net は、トランプは当初シリアから完全撤退すると公言したが、その後200名の米兵はシリアに残すと訂正した(200でしたっけ?400という数字もありましたね。トランプの発言を細かく取り上げる意味はないと思いますが…)が、その背景には、シリアを巡る戦略的状況について、トランプと米行政府や外国政府との交渉があった結果だと報じています。


一国の大統領が自分の行政府と交渉するというのも変なものですが(まあトランプのことですから何でもありでしょう)、その背景説明はなかなか興味のある見方なので、記事の要点のみ次の通り。

  • 米安全保障チームは、クルド勢力地域が崩壊すれば、IS戦闘員を含む多数の難民がトルコに向かい、トルコから欧州、更には米国にも向かう可能性に対する危機感があった。その背景はトルコに対する不信感で、トルコは欧米の要望にも拘わらず、2年間国境を閉鎖せずその空港が外国からの過激派のシリア、イラクへの入り口となることを認めてきた。もう一つの問題は、トルコが長いことその海岸からIS戦闘員を含む多数の難民の欧州向け流出を放置してきたことである。
  • また米は同盟国トルコと戦友クルド人の間で股裂きにあってきた。トルコは重要な同盟国であるが、他方クルド勢力は米が見捨てるならば、シリア政府と寄りを戻す意向を示している。と言うことは、シリアの広大で重要な地域が、イランの影響下にあるシリア政府の手に落ち、イランは大きな障害なしで、イラクからシリアを通じてヒズボッラーに自由に武器を供給できることになる。
  • さらにクルド勢力の支配している地域はシリアの重要な産油地帯で、これがシリア政府=イランの手に入ることは、折角米国の対イラン制裁が実効性を示してきたときに、大きな穴をあけることになる。
  • トランプが考えを変えた重要な要素は「イラン」で、彼のスタッフはオバマが2011年、イラクからの米軍撤退を決めたことがISの台頭と、イランのイラクに対する影響力拡大をもたらしたが、今回のシリアからの撤退もイランの影響力を拡大するだけであるとして説得した。いくら少数とはいえ、米軍の存在は、特に武器弾薬の輸送を阻止し、イランが自由にシリアを使って、中東地域に影響力を拡大するのを阻害できるという訳である。また米軍の存在は、トルコ軍、ロシア軍さらには政府軍が自由にクルド勢力等を空爆し攻撃することを阻む効果がある。
  • トランプが再考した理由には、同盟国の意向もあり、英仏等は米国が駐留する、特に空軍力を維持するのであればシリアに残留しても良いが、さもなければ、自分たちだけで、残留することには消極的である。特に英仏は未だイランとの核合意を維持しており、米国としても、彼らが米国なしで、どの程度イランとの関係で断固とした立場をとるか楽観はできない事情にある。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2019/03/21/كواليس-قرار-ترمب-بالتراجع-عن-سحب-قواته-من-سوريا.html