中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

スーダン

スーダン軍のイエメンからの撤退

先日、スーダンの一部議員が、アラブ連合軍の一員としてイエメンに派遣されているスーダン軍の撤退を要求した、というニュースをお伝えしたかと思います。
議員グループは全体の中の(確か)10%にも満たない小グループで、これだけでは、スーダン政府を動かすことはないだろうが、どうやらこれはスーダンで起きている、イエメンの戦争関与に反対する感情の表れで、スーダン軍が撤退することもあり得るのではないか?とコメントして置いたような気がします。

この問題について、al qods al arabi net と al jazeera net は、スーダンでは政府内、議員、一般世論等で、イエメン内戦への関与に嫌気がさし、撤退の動きが強まっていると報じています。
この点で、al jazeera net は反サウディのカタール系ですから、ともかく、al qods al arabi net(パレスチナ系)も、このような状況を反映し、スーダン紙の中にはスーダン軍がアラブ連合司令部に撤退の意向を伝えたとか、信頼できる筋の話として、スーダン軍が撤退を真剣に検討中とかの報道があるとしています。
他方双方ともに、スーダンが撤退する方向に傾いている理由として;
・派遣が長引き、解決のめどが見えず、損失、特に兵士の損失が増えていること
(先週は42名の遺体が帰国した由)
・経済困難に苦しむスーダンの立場に対する無視   特に燃料不足に対する協力不足
・兵士に対する給料の未支払い
・hothyグループがますますミサイル等を多用してサウディ等に対する攻撃を強めていること
・アラブ連合軍の人道法違反に対する国際的非難の強まり
・(UAE等の)参加国が自国の利益を求めて行動していること
・アラブ連合軍が、タエズその他の地元抵抗組織を無視していること
等の理由を挙げています。
http://www.alquds.co.uk/?p=926292
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/4/30/لهذه-الأسباب-قد-يسحب-السودان-قواته-من-اليمن
これを見ると、サウディやUAE等の巨大産油国の呼びかけに応じて参戦した国が、燃料の不足に苦しんだり、兵士の給与が未払いになる等どうにも理解できないところですが、おそらくはアラブ連合と言っても統一的な政治、軍事的司令部がなく、このような問題についてまたtく対応していなかったのではないでしょうか?
またUAE等がかってな自国の利益の追求に走っているという非難は、多分その通りで、要するに上の問題と合わせて、統一的な指導力の欠如、あえて言えばサウディの力不足か、ネグリジェンスで、このような状況での「いつまで続くぬかるみぞ!」に対して、スーダンが嫌気がさしたということのように思われます。
それにしても仮にスーダンが抜けたら、「一抜けた・・・」ということで他の国にも影響が出そうです。
そうなれば、サウディ国内でも独断専行してきた皇太子に対する批判が強まりそうな気がしますが、現在のところ少なくとも不穏な動きはあまり感じられませんね・・・・
何しろ皇太子はかなりの長期間、1月近くも?米国等を外遊できるのですから




























混迷するイエメン情勢(スーダン軍の撤退要求)

イエメンでは、hothyグループが連日サウディ南部に向けて弾道ミサイルを発射していることは、何度も報告していますが、al qods al arabi netとal jazeera net はスーダンの議員のグループが、スーダン軍の撤退を要求したと報じています。

それによると、スーダン議会の「改革勢力グループが、バシール大統領に対して、スーダン軍のイエメン派遣は議会の同意もない憲法、法令違反で、国民から支持されていないとして、その撤退を要求したとのことです。
特に、al jazeera netは、撤退要求は最近のイエメンでのスーダン兵の損耗を反映したものであるとしています(確かかれこれ2週間になるかと思うが、西部のmidi港近辺の戦闘でスーダン兵数十名が待ち伏せ攻撃の犠牲になったことは報告の通り)
http://www.alquds.co.uk/?p=925593
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/4/30/خسائر-القوات-السودانية-باليمن-تثير-مطالب-بسحبها
尤もこのグループの議員は、スーダン議会定員470名中の37名にすぎないとのことですから、大きな影響があるとは思われませんが、何しろ長引くイエメンへの介入で、これまで政府軍もアラブ連合軍もこれと言った成果を上げておらず、他方兵士の犠牲が増えるということでは、派兵国の中に不満が高まることは無理がないと思います。
それにそもそも、サウディが最も期待していたエジプトは陸軍は派遣せず、2〜3隻程度の艦艇の紅海派遣でお茶を濁しており、同じく期待されたパキスタンも大量の派遣とまでは行かず、介入に最も熱心なのはサウディの他はUAE程度かと見られています。
そのUAEにしてからが、イエメンでは正統政府の復活のために戦うよりは、南部等でむしろ正統政府と敵対する分離主義勢力を支援するという、自国のエゴ丸出しの行動をとっています。
サウディにしても、これまでは飛来した弾道ミサイルはすべて捕捉、撃墜したとしているものの、hothyグループは無尽蔵のミサイルを有しているかの如く、連日発射して、ミサイルまたはその部品等のの密輸の阻止には全く成功していない模様です。
おまけにサウディ空軍等の空爆が、不必要な民間人の犠牲を増加させているとして、国際的NGOのみならず、独等の欧州諸国で批判が高まり、独議会では対サウディ武器禁輸決議が審議されている始末です。
(この点、アラビア語メディアでもサウディ宣伝広報作戦の失敗とのコメントも出てきている)
まあ、幸いというか何しろ米国はトランプ大統領で、彼のサウディ、と言うか皇太子支持は揺るがない模様ですが、このままでいけば、むしろサウディの足元が揺るぐ可能性さえ出てきそうです。
まあ、そこまで言うのは時期尚早かもしれないが・・・・









イエメン北部情勢

アラブ連合軍が、数百名のサウディ兵及びスーダン兵を、hothyグループの本拠であるサアダに送り込んだことは、一昨日だったかお伝えしましたが、al qods al arabi net は、この増援後、空軍の援護を得たアラブ連合及び政府軍の攻撃がサアダ等で激しくなり、各地で制圧地帯を広げていると報じています。
おそらくその作戦お一環だと思いますが、サアダ県のすぐ南のハッジャ県のmidi(小さな港があるらしく、これまでも何度も政府軍が攻撃し、攻略したとか報じられていたが、どうやらhothy 軍の手中にある模様)攻略作戦が、スーダン兵を中心に行われたものの、hothy兵の待ち伏せ攻撃に会い、数十名のスーダン兵士が死亡したとのことです。
これはal qods al arabi net が報じるところですが、それによるとhothy兵は、待ち伏せに恰好な場所で待ち構え、スーダン兵が前進したところを襲撃し、狙撃、道路脇爆弾で多数を殺したとのことです。
(数十名の死者というのが、具体的にどのくらいかは分かりませんが、一般的に言えば戦闘では死者よりもさらに多い負傷者が出るのが普通ですから、この報道が事実であれば、スーダン軍はイエメンでこれまでで最大の、損害を被ったことになるのではないでしょうか?)
記事はさらに、このサアダ等での作戦は、マアレブ、ホデイダ等他戦線での戦闘が停滞しているときに行われたとコメントしていますが、ホデイダについては先日、このブログでも同じようなコメントをしています。
他方、マアレブはアラブ連合軍介入の初めのころから、アラブ連合、政府軍が奪還して、サウディ軍等のイエメンでの根拠地となってきたところで、ここでもまだ戦闘が続き、停滞しているとすれば、政府軍等のイエメン支配はかなり危なっかしい状況かと思われます。
とりあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=912343








ナイル川のダム問題(3国協議の失敗)

エチオピアが青ナイル川(ナイル川はエチオピアに始まる青ナイルと、ビクトリア湖だったかに始まる白ナイル川が、スーダンのハルツーム近くで合流して、ナイル川となりエジプトのデルタを通り、地中海にそそいでいます。昔からエジプトはナイルの賜物と呼ばれ、その水はエジプトにとって死活的に重要なものとされている)に巨大なダム(al nahadha ダム)を建設中ですが、このダムの建設を巡っては、その水の取り分が少なくなり、水源をエチオピアに、抑えられることを懸念するエジプトがこれに反対してきました。
この問題では中間にあるスーダンは、ダムからの電力等で潤うこともあるとして、当初エチオピア寄りだったところ、最近ではより中間的になってきた模様です。

ダム建設は始まったものの、特にエジプトの反対は続いてきて、これまでの交渉は合意形成に成功せず、最近では昨年11月に3国会議があったが合意に成功しませんでした。
然るところ、この3月にバシールスーダン大統領がカイロを訪問したことから、大臣レベルでの3国会議が開かれることとなり、5日から6日にかけて、ハルツーム(スーダンの首都)で、それぞれの外務大臣、水利大臣、情報局長(水問題に情報関係者が出席するということが、この問題の政治的性格を示していると思われます)が出席して、3国協議が開かれました。
しかし、会議は16時間もの間続いたものの、合意に至らなかった模様で、6日スーダンの外務大臣が記者会見で、合意は形成できなかったが、問題は技術的な問題であるため、今後は水利大臣レベルで協議されると語った由。
しかし、協議がいつ始まるか等については触れなかった由。
http://www.alquds.co.uk/?p=911771
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2018/04/06/السودان-يعلن-فشل-اجتماع-سد-النهضة-نحتاج-وقتا-أطول-.html
上にも書いた通り、「エジプトはナイルの賜物」であり、エジプトにとっては勿論のこと、エチオピアやスーダンにとってもナイルの水問題は、極めて重要な問題で、上記の通り、3国間の協議は断続的に行われ、その都度アラビア語メディアでも報道されていますが、何しろなかなか難しい問題で、良くフォローしていないと、なかなか理解しきれないところが多いために、取りあえず上の報告も、3国間でナイル川の水資源を巡る争いがあるところ、今回も合意ができなかったということの報告程度に考えておいてください。
多分詳しいことはwikipedia 等を見れば、かなり要領よく説明してあると思います。
21世紀は石油に代わって、水が国際紛争の種になり得る重要な資源になったとの言葉もよく聞かれます(その関係では「水戦争」という言葉さえ使われている)が、その意味では、中東は水資源に恵まれない地域である上に、特定の大河に多くの国が頼ってるので、水を巡る争いが起きやすいところです。
実はまだサッダムフセインの健在だったころでしょうか?トルコがチグリス・ユーフラティス川の上流に、大規模ダム(アタチュルクダムという名前だったか?)を建設しrて、下流のシリアとイラクともめていたという記憶がありますが、最近ではこの問題は聞きませんね?
問題は無事解決したのでしょうか






エジプト・スーダン関係

エジプトとスーダンの関係は、これまでも両国間の領土問題(halaibとかいう小さな地域で、現在エジプトが支配しているかと思う)から始まり、エチオピアの作っているナイル川のダム問題、さらに対リビア政策、対トルコ政策(確かスーダンは紅海の島をトルコに使わせることとし、エジプトが反対していたかと思う)等、対立と緊張を深めてきましたが、このところさらに緊張が深まっている模様です。

al jazeera net 等によると、この両国の対立に近隣のエリトリアとエチオピアが巻き込まれ(介入して?)、エチオピアはスーダン側、エリトリアはエジプト側で、それぞれ軍隊も国境近くに派遣している模様です。
さらに、アラブ問題ではエジプトと密接に同盟し、リビアではエジプトとともに空爆も行ったUAEも介入し、スーダン当局は、UAEはアフリカの角における勢力拡大を狙い、エリトリアとソマリアに武器援助をしていると非難した由。

このような状況でal jazeera net は、スーダンが東部国境凹面への即応部隊等の増派を続けているが、スーダン国防省は、これは同地帯の安全確保のためであるとして、国境方面でエリトリアのみならずエジプト軍の動きも探知されて・いるとしたとのことです。

他方、エジプトのシーシ大統領は15日、エジプトはいかなる国、特に兄弟国(という表現はアラブ諸国が他のアラブ諸国に対して使う表現)と戦争する意図は毛頭なく、スーダンと戦う意図はないとして、エジプトメディアやSNS等に対して、スーダンに対して煽情的な報道をしないように要請した由
(ということはエジプトのメディアの反スーダン報道がかなり過熱していたことを物語ると思われます)
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/egypt/2018/01/15/السيسي-لإعلام-مصر-والمغردين-لا-تسيئوا-للسودان-.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/1/15/السودان-يعزز-حدوده-ومصر-وإريتريا-تنفيان-التوجه-ضده
これrまでも両国の対立については、散発的な報道がありましたが、まあそう大ごとにもならないだろうと思い、あまり熱心にフォローしませんでした。
経済問題や国内治安問題を抱えたエジプトが、新たな戦争をするつもりはないことはシーシ大統領の言う通りかと思いますが、大統領がわざわざこのような発言をせざるを得なかったということで、詳しい背景等よく承知しないままですが、取りあえず報告しておきます








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