中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

サウジアラビア

サウディ関連米上院の2つの決議

米上院では、このところイエメン内戦への米国のサウディ支援停止決議案とkhasshoggi 殺害にサウディ皇太子が責任があるとする決議案採択の動きがあると、サウディに批判的なアラビア語メディアが報じていましたが、米上院では与党の共和党が多数のはずなので、採択されることはなかろうと高をくくり?、また日本で放送しているBBCやCNNもそのような動きはほとんど報じていなかったので、特に取り上げませんでした。

ところが本日のal qods al arabi net とal jazeera net は、双方の決議案が採択されたと報じ、またサウディ系のal arabiya net も、イエメン内戦関連決議が採択されたと報じています。
もう一つのal sharq al awsat net は今のところは、いずれについても未だ?報じていない。
念のためにBBC net もチェックしてみたら、間違いなく両方の決議案が採択されたと出ていました。
CNN net の方は、米国に関しては、もっぱらトランプに対する疑惑問題が主で、気が付いた限りでは、本件に関する記事はありません。
イエメン内戦決議の方は、賛成56、反対41での採択、khasshoggi暗殺に関する決議の方は、何と全会一致だとのことです。
khasshoggi 暗殺に関しては、米CIA長官の上下両院の幹部議員に対する説明が大きな影響を与えた可能性が強く、トランプは激怒しているでしょう。

尤も下院の方では、決議案の採決は12日阻止されたとのことで、少なくとも与野党勢力が逆転する来年になるまでは、米議会として決議することはなく、(民主党では来年になれば下院でも成立させるとの意見があるようですが)仮に成立しても、確か大統領には拒否権があり、大統領が拒否すれば、米議会は再度3分の2の多数で可決しなければならないことになっていたか?と思いますので、正式の法律となることはなさそうです。
またイエメン戦争法の方は、米軍がテロ戦争以外の面で、サウディ等を支援すること禁止するとの内容のようですので、米国は既に空中給油を中止しており、残りは情報の提供くらいでしょうか?
そうなるとトランプの重大視する兵器輸出問題が最大の焦点になるのでしょう。

ということで、年末から年始の忙しい時に(私は暇だが)米国で対サウディ関係で、何らかの劇的な動きはなさそうですが、特にkhasshoggi事件で、トランプのみならず国務長官や国防長官まで、必死で?守ろうとしてきた皇太子の責任問題について、米上院が全会一致で決議を採択したことは、今後の対サウディ関係に大きな影響を及ぼさないでは済まないだろうと思います。
また下手をすれば?米兵器の供給問題(少なくとも精密爆弾とか民間人殺傷の可能性の強い兵器)に関して議会が、問題とする可能性も否定できず、来年以降の米国の対サウディ政策が注目されます。
もちろんこれに対するサウディ政府の反発も考えられ、またサウディ国内への波及(特に王族の間に対する影響、特に今後の王位継承問題への影響)も十分考えられ、来年は湾岸、サウディ関連お動きから目が離せない年になりそうです。
勿論石油に対する影響も出てくる可能性もあるでしょうね
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-46561520
http://www.aljazeera.net/news/politics/2018/12/13/مشروع-قرار-جمهوري-بالكونغرس-مسؤولية-جريمة-خاشقجي-بن-سلمان
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2018/12/14/مجلس-الشيوخ-الأميركي-يطالب-بانهاء-دعم-السعودية-في-اليمن.html
https://www.alquds.co.uk/%d9%81%d9%8a-%d8%aa%d8%ad%d8%af-%d9%84%d8%aa%d8%b1%d8%a7%d9%85%d8%a8-%d8%a7%d9%84%d8%b4%d9%8a%d9%88%d8%ae-%d8%a7%d9%84%d8%a3%d9%85%d8%b1%d9%8a%d9%83%d9%8a-%d9%8a%d8%a4%d9%8a%d8%af-%d9%82%d8%a7%d9%86/

ということで、取りあえず気付きの点は以上の通りですが、上からも明らかなように、特にアラビア語メディアはその系列で大きく報道姿勢が異なってきます。
そのため、記事を囲繞する際には必ずネット名を明記し、なるべくそのメディアの系列なども書くようにしていますが、読者の方もその辺を若干意識していただけると有難いです。
勿論明らかに偏向していると思われる記事は、無視するか、警告付きで報告はしていますが、これだけ毎日多くのニュースがあると、そこまで手が回らず、トランプ様のいうfake news を流す手助けをしている可能性も無ではないと思いますので

紅海グループの設立

al arabiya net とal sharq al awsat net (いずれもサウディ系)は、紅海及びアラブ湾に面した、アラブ、アフリカ7国が、リヤドで、7国の域内グループを設立することに合意したと報じています。
その7国とはサウディ、エジプト、イエメン、スーダン、ジブティ、ソマリア及びヨルダンで、設立に合意した会議は各国の外相レベルであったとのことです。
会議後、サウディ外相は、このグループ(現在のところまだ正式名称はなさそうで、取りあえずグループとしておきます)は、サルマン国王の提唱に基づくもの(もしかしたら皇太子の壮大なサウディ覇権の計画の一部か?)で、しばらく前から温められていたものと説明した由。
またその目的は、この国際的に重要な水路(紅海)地域の安全保障と、地域の諸国の協力の促進にある由
サウディ外相は近く、これら諸国のハイレベル責任者が集まり、組織の最終合意書に署名する予定であるが、協定は安全保障、軍事協力に加え、経済、環境、投資、経済の分野も含む由
https://www.alarabiya.net/ar/aswaq/economy/2018/12/12/السعودية-اتفاق-لتأسيس-كيان-لدول-البحر-الأحمر-وخليج-عدن.html
https://aawsat.com/home/article/1502336/%D8%A7%D9%84%D8%B3%D8%B9%D9%88%D8%AF%D9%8A%D8%A9-%D8%AA%D8%B4%D9%87%D8%AF-%D8%A5%D8%B7%D9%84%D8%A7%D9%82-%D8%AA%D9%83%D8%AA%D9%84-%D9%84%D8%AF%D9%88%D9%84-%D8%A7%D9%84%D8%A8%D8%AD%D8%B1-%D8%A7%D9%84%D8%A3%D8%AD%D9%85%D8%B1
記事にもある通り、このプロジェクトはサウディ主導のものであることは明らかですが、紅海という対象から考えても、海軍力が大きなものをいうことになり、確か仏製の2隻のヘリ空母をロシアから購入したエジプトの出番になるのでしょうか(そういえば、エジプトは最近アラブ諸国の他英仏などとも盛んに合同軍事演習を繰り返しているようです)?
然しそのエジプトはアラブ連合軍に参加しながら、紅海方面等で大きな活動をしたようにjは見えません

世界最大の武器輸入国サウディ(アラビア語メディアの記事)

確か、トランプ大統領は、記者団からkhasshoggi 事件への対応を問われたときに、サウディは数百億ドルの武器輸入者で、米国が供給を止めても、ほかの国がその分漁夫の利を占めるだけだと答え、余りの率直さ?に唖然としたことがありましたが、al jazeera net の記事は、サウディが世界最大の武器輸入国であるとして、トランプの発言を裏付けています。

これはストックホルム国際平和研究所の報告書によるとのことですが、それによるとサウディは2017年インドを越えて、世界最大の武器輸入国になった由。
同国に対する供給先は、(当然ながら)米国、次いで英、仏で中国の名前も出ています。
記事によるとサウディの軍事費は、2015年のイエメンへの介入以来急増し、昨年は694億ドルに達し、同年の武器輸入も40億ドルに達した由。
この間2015年から2017年にかけて、最大輸出国が米国で、次いで英、仏、スペイン、イタリア、スイス、カナダとなる由(何のことはない、欧米の主要国はなべて「死の商人」ということでしょうか?疑問は独の名前が出てこないことで、イスラエルとの関係もあって独はサウディへの輸出を制限・自粛していたのかもしれません。またそれがkhasshoggi 事件後、メルケルが独の武器輸出中止を表明できた背景かもしれません)
またこの期間に、安保理常任理事国5国のうち4国(米英仏中国)がサウディの武器輸入の90%を占めていた由
(ロシアではなく中国が主要供給国とは若干驚きました)

記事は更に、これら主要国のサウディへの武器輸出は、イエメン内戦介入で非常に多くの民間人を殺傷したこと、及びサウディ内では(khasshoggiに限らず)、多くの人権侵害、政府による弾圧があり、これに対して国際人権団体からサウディへの武器輸出に対する批判の声が上げられていたにもかかわらず、ほとんど影響されなかったとしています。
http://www.aljazeera.net/news/politics/2018/12/11/السعودية-اليمن-الأسلحة
報道では、かなり前に、マチス国防相と国務長官が、イエメンの戦闘停止と和平交渉に向けてサウディに圧力を加えたとあったかと思いますが、他方政権の有力者が、米国のアラブ連合軍事行動支援停止には強く反対すると語ったとかいうニュースもあったように思います。
確かにこれだけのお得意様なら、そう言いたくもなるのでしょうか?







GCC首脳会談

先にお伝えした湾岸協力理事会GCC首脳会議は8日リヤドで開催されましたが、そもそもをサウディが主導して、UAE,バハレン(さらにGCC外からはエジプト)がカタールを封鎖しているような状況での、首脳会議にどれほどの意義があったのか、甚だ疑問ですので、同日発表された最終コミュニケも敢えて苦労して読むこともないかと思っています(もし関心の向きがあれば、アラビア語ではありますが下記のalarabiya net が全文掲載しています)

若干関心があったところでは
・出席者のレベルですが、カタール、オマン、UAEからの首脳の出席はなかった
(カタールは政治的な理由ですが、オマーンとUAEは首脳が高齢のためで、政治的な理由ではないと思う。但し、オマーンのスルタンは先日ネタニアフの訪問を迎えていて、旅行できないほど健康に大きな障害があるとも思われないので、若干の政治的メッセージも含まれているか?
カタールの団長は外務担当国務大臣)
・カタールはこの機会にのGCCからの脱退はしなかった
・カタール問題について
   クウェイト首長が双方に対して、敵対宣伝を止めるように呼びかけた
   カタール代表は、首脳会議はこの問題を議論しなかったと非難した
   サウディ外相は、記者会見でカタールとの和解は、4国の表明した条件をカタールが飲むことであると語った等があるくらいです
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2018/12/09/النص-الكامل-لاعلان-قمة-الرياض.html
https://www.alquds.co.uk/%d9%82%d8%b7%d8%b1-%d8%aa%d9%86%d8%aa%d9%82%d8%af-%d8%b9%d8%af%d9%85-%d9%85%d9%86%d8%a7%d9%82%d8%b4%d8%a9-%d8%ad%d8%b5%d8%a7%d8%b1%d9%87%d8%a7-%d9%81%d9%8a-%d8%a7%d9%84%d9%82%d9%85%d8%a9-%d8%a7%d9%84/

イエメン和平会議

イエメンに関する和平協議について、al arabiya net は会議は当初の予定の11日で終わらず、13または14まで続き、第2回交渉が来年1月中旬にクウェイトで行われると報じています。
確かまだ、双方代表団の全体会合も行われてないはずで、国連筋の楽観的な見方はあるも、果たして今回の会合に何らかの成果があったと言えるのか、不明ですが取りあえず。

記事から若干の個別問題について・・・・
・最も進展があったのが捕虜の交換問題とのことで、hadi大統領もhothy指導者も、この問題に優先を置いており、既にそのWGが開かれ、一部の捕虜については交渉期間中の釈放が期待されている由
・中央銀行問題についても双方の専門家が出席している由
・タエズについては停戦と、包囲との関連で安全回廊の問題が議論されている由
・サナア空港再開問題では、政府に特別の意見があり(事前検査のことか?)その点を検討している由
・ホデイダ港の問題とそこでの戦闘は、最重要の問題で今後数日間で議論される由
なお、ホデイダでは戦闘が依然続いているが、サウディとUAEとは軍事攻撃を中止することに同意した由

とりあえず
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/12/09/اليمن-توقعات-بجولة-ثانية-من-المشاورات-في-الكويت.html








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