中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ヨルダン

イラク・ヨルダン検問所の再開

イラクとヨルダンは30日共同声明で、両国間の唯一の検問所であるtareebeelが同日から再開されると発表しました。
同国境検問所は2014年に、ISがイラクの西部アンバール県の多くの町を占拠したために、閉鎖されていたが、イラク内でこれらの町が解放され、ヨルダンへつながる550kmの高速道路の安全が確保されたために、再開されることとなった由。
これを伝えるal arabiya net は、この検問所の再開は両国にとって大きな意味を有するが、特に経済的観点からは、アカバ湾からくる欧州からの物資のイラクへの主要な輸送路であるとしています
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/08/30/الأردن-يفتح-معبره-الرئيسي-مع-العراق-لأول-مرة-منذ-سنتين.html

このような実際上の措置は戦闘がどこで生じ、何人が死亡したなどと言うニュース以上に、イラク内でのIS掃討作戦がうまく行きつつあることを示すものと思います。
ヨルダンも国内に過激派を抱えており、イラクとの検問所の再開合意は、ヨルダン当局としても、イラクの治安維持に安心した結果かと思われます。
尤も、治安専門家は基本的な治安維持はされているものの、今後ともISとの間の「鬼ごっこ」のような衝突は起きる可能性があるとしている由






アクサ・モスク監視ゲートの撤去

イスラエルがアクサモスクへの通路に金属探知ゲートを設置したことから広まった騒擾は、どうやら金属ゲートの撤去という方向で、取りあえずの収束に向かう模様です。

この事件に関連して、アンマンのイスラエル大使館コンパウンド内で保安要員を襲った作業員と家主の2人が、保安要員い射殺され(家主の方は近くに居たので、巻き添えの模様)、昨夜遅くなり酒も入っていて、それだけで報告するほどのこともないと思い報告しませんでしたが、アラビア語メディアは、ヨルダンが保安要員(ドライバーで刺されて負傷した)の取り調べを要求して、イスラエルへの引き上げを拒否していると報じていました。
然るに、本日のy net news もアラビア語メディアも、イスラエル要員が引き上げたことを報じています。
これについて、y net news はネタニアフとヨルダン国王との電話会談及び対内情報機関シンベト長官のアンマン訪問で、保安要員のイスラエルへの移送が合意されたと報じています。
ヨルダン政府は調査が終了した(事件はイスラエル大使館内のことで、ヨルダン官憲は取り調べもしていないと思うが・・・)としている由

この問題と金属探知ゲートとの関係については、al qods al arabi net は消息筋によれば、両国間の取引quid pri quoで、保安要員が移送される見返りに、ゲートが撤去され、代わりに最新の監視カメラ等の機材が設置されることになったと報じています
(ほかの記事には、その様な記述はなさそうですが、ヨルダン人2名が射殺されている事件で、ヨルダン国王として何らの見返りもなしに、保安要員の帰国を認めるとは考えられず、まず間違いなく、暗黙か公然たる合意かは別にして、取引として撤去に合意されたことは間違いないと思います
http://www.alquds.co.uk/?p=759352
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/7/24/إسرائيل-تعلن-عودة-طاقم-سفارتها-والأردن-ينهي-التحقيقات
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/07/24/اعتداءات-إسرائيل-متواصلة-والأقصى-بلا-صلاة-لليوم-الـ-10.html
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993906,00.html

ヨルダンとイスラエルの間では、ハマスの政治局長ミシャイルがアンマンの路上で、モサドの要員2名に耳に猛毒を噴射され、声明が危なくなった事件がありました。彼らはドジなことに通行人等につかまり、ヨルダン国王が(当時はまだフセイン国王だったか?)電話でネタニアフに対して、大至急解毒剤をもってきてミシャイルの命を救わない限り、2人を公開裁判にかけると警告して、ヘリで解毒剤が運ばれ、命を取り留め(確か彼は未だ存命中)た事件がありました。
あの事件とは勿論性格は基本的に異なりますが、冷厳な中東の国際政治の中では、人の命の問題もquid pro quoの対象となるという一つの例として・・・・

因みに、これまたアクサモスク事件の余波の一つと思われる、ガザとイスラエル戦車部隊等との砲撃戦はその後とりあえず収まっている模様です








イスラエル大使館での襲撃事件(ヨルダン)

アクサ・モスク事件に抗議して、ヨルダンの首都や多くの町では抗議デモが起きていましたが、アンマンのイスラエル大使館でヨルダン人2名が殺害され、イスラエル保安要員が負傷する事件が起きました。

この事件はアラビア語メディアでもynet news でも取り上げていますが、アラビア語メディアの方では一体何が起きたのか,よくわからないような報道振りなので、y net news から事件の概要をまとめてみると次の通りです。
「イスラエル外務省によると、大使館コンパウンドで23日夕、工事に入ったヨルダン人の作業員がドライバーで、大使館保安要員を襲い、これに対して保安要員が発表して、工事人と一緒にいた建物の持ち主のヨルダン人医師がしゃさつされたよし(どうやらこの建物はヨルダンンの個人の所有物で、それをイスラエルが大使化の一部として借り上げているもののようです)
イスラエル外務省では、事件はアクサモスク事件に触発された青年が起こしたものと思われ、、医師は流れ弾に当たった 死亡した模様としている由。
事件後現場はヨルダン治安当局が完全に封鎖して、調査を行っている由
他方、イスラエルは保安要員は、外交関係に関するウイーン条約で、完全な裁判管轄権の除外の対象で、いかなる(ヨルダンの)捜査の対象にもならないとの立場をとっている由
また、殺された作業員の父親は、イスラエル外交官が家具を買い、息子はその組み立てのために呼ばれたものであるとして、息子は殉教者であるとしている由
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4993529,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=758439
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/7/23/قتيل-وإصابتان-بإطلاق-نار-بسفارة-إسرائيل-بعمان
取りあえずのところ以上ですが、どうやら事件はアクサモスク事件に刺激された突発的なもののようで、ヨルダンではすでに抗議の集会等が各地で始まっていたことから、今後事件をきっかけにさらなる騒擾が生じる可能性もあると思われるので、ヨルダン訪問を考えておられる方は、渡航情報にはくれぐれもご注意ください。


ヨルダン国境方面へのシリア軍の展開

先日はヨルダンにおける米英サウディ軍等を含む大規模な演習についてお伝えしました、それと関連があるのか否か、わかりませんが、al arabiya net はシリア軍とその同盟の民兵がヨルダン国境方面に大規模に展開していると報じています
それによると、数百名の政府軍兵士と同盟の民兵が、戦車、重火器類とともに、シリア西南部、特にダマスからバグダッドに通じる主要道路周辺に展開しているとのことです。
これは、同地域からISが撤退した後、イランからイラク経由シリアへの主要武器等の補給路になっているバグダッド道路が、自由シリア軍に抑えられるのを防ぐ目的を持つものの由。
専門家は、この動きは最近ヨルダン側で部隊の集結の動きがあり、ヨルダン軍等に指導された反政府軍がシリアに浸透することを警戒しての措置でもあるとしているよし。
現に両国間で、相互非難が始まっており、シリア政府は同政府と調整なしに介入するいかなる国の軍隊も敵対勢力とみなすとしている。
これに対して、ヨルダン政府はアサドの同盟者のロシアに対する書簡で、ヨルダンは自国の国境を守ることはでき、シリアに侵攻する必要はないが、他方国境地帯でのISの存在は許さないとしており、さらにイラン系の民兵やヒズボッラーが国境の背後にいることも許さない、と通告した由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/05/15/قوات-النظام-السوري-تنتشر-قرب-العراق-والأردن.html
現在までのところ、具体的な衝突等は生じていない模様ですが、他方イラクとシリアでのISとの戦いの一つの舞台が、ラッカからさらに南のデリゾルに移って来ている模様で、最近デリゾル県の南のal boukmarが、イラク空軍、有志連合、さらにはシリア空軍、ロシア空軍などから繰り返し、空爆を受けて、住民に多数の死傷者が出ています(最近では死者30名、負傷者50名を出し、まだがれきの下に遺体が多数残っている由。誰の空爆下は不明の由)
その観点からヨルダン方面も今後要注目かと思うので、とりあえず

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/5/15/عشرات-القتلى-بغارة-على-البوكمال-شرق-سوريا








米等同盟国のヨルダンでの演習

最近ヨルダン・シリア間国境地帯が緊張していて、先日はヨルダン空軍が、ドローン(シリア軍機か?)を撃墜したとのニュースもお伝えしましたが、どうやら、その元は、近くヨルダンで行われる米軍等の大規模演習のようです。
y net newsは、米、サウディ等を含む20か国からの兵士7000名がヨルダンに集結していて、eager lionという名(名前は何やら物騒ですが!)の、演習を行うと報じています。
この演習には上記2国のほかにヨルダン、イタリア、ベルギー、レバノン、パキスタン等が参加し、陸、海、空軍が参加する予定の由。
空軍としては、米の2機の戦略爆撃機B1が無着陸で、4回の給油を受けて参加する由。 
記事は、この演習を受けて、中東では米軍等のISに対する攻撃のためのシリア介入が迫っているとして、緊張が高まっているが、ヨルダンはシリアに介入する意図はないとしているとしています。
記事はさらに、ヨルダンは米国の同盟国ではあるものの、シリア問題については低姿勢を貫いてきたとしつつも、ヨルダンも国内に100間に状のシリア難民を抱え、シリアとの国境がほぼ閉鎖されているために、経済的にも苦しい状況にあるとコメントしています。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4961012,00.html

以上からは、米軍等の演習がシリア介入を前提としたものと決めつけるのも、いかがなものかと思いますが、トランぷ大統領になって以来、オバマ時代よりは軍事的にも積極的になっている米軍が、トルコの反対を押し切って、ラッカを攻撃しようとしているシリア民主軍にたいし、重火器等の供与を決めたこともあり、もしかすると米軍と英軍やらサウディ軍等が、シリアに入りラッカニ向かう可能性も皆無とは言えないかと思い、念のため






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