中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

国際機関

イエメン情勢(安保理決議案)

al arabiya net は、安保理に、英国がhothyグループの弾道ミサイル発射非難の決議案を提出したと報じていたので、流石サウディの金の力で、英国もここまで迎合する国になったか、と思いましたが、記事の内容をよく読むと、どうやらスウェーデンでの和平会議(確か29日からのはず)開催を見据えて、イエメンでの早期和平に対する安保理の支持を表明する決議のようです。
中東のメディアを読む時には、表題だけで判断しないで、よく中身を読むべきだという手本のような記事です。

決議案の中身は
・安保理はイエメンの独立、主権、統一の維持の必要性を確認し、国連特使に対する支持を確認する
・民間人を保護するためにすべての措置をとることを呼びかける
・ホデイダ等イエメンの港湾が開かれていることの重要性を確認し、紛争関係者に対して2週間以内に、同港への食料品等の搬入を助けることを求める
・ストックホルムでの和平会議開催を支持する
・hothyグループのミサイル、ロケットのサウディへの発射を非難し、これは地域の安定を阻害するものだとした
というもので、確かにミサイル発射非難の項目はありますが、そのための決議ではなく、それが主目的ではなさそうです。
取りあえず
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/11/16/اليمن-مسودة-قرار-بريطاني-تدين-صواريخ-الحوثي.html

ホデイダ攻防戦 2

ホデイダ攻防戦が激しい市街戦に移ったことは既に報告済みですが、国連事務総長は12日AFPとのインタービューで、ホデイダ港が破壊された場合には、イエメンで真の道危機が起こるだろうと警告し、同港の破壊を止めるための即時停戦を要請したよし。
(現在のところ、戦闘は市の中心部を含めた各地で行われているも、港湾地域に戦闘が広がっているとの報道はない。しかし、現在の状況から見れば、港湾地帯にも戦闘が広がるのは時間の問題かと思われる。
その場合、一つの問題はサウディ等の航空機、攻撃ヘリが、港の損傷を避けるために、どの程度攻撃を差し控えるかだが、これまでのサウディ等の戦術から見れば、その辺は余りあてにはできないと思われる)

他方ホデイダ市での戦闘は熾烈で、現地軍事筋によれば、過去24時間で、hothy戦闘員110名、政府軍32名、民間人7名の訳150名が死亡した模様。
(これで見ると、戦闘員に比し、民間人の死者が非常に少ないが、これはホデイダ住民の多数が既に避難したためかとも思われるが、さらに民間人に関しては詳しい情報が入っていない可能性があろう)
https://www.alquds.co.uk/%d9%86%d8%ad%d9%88-150-%d9%82%d8%aa%d9%8a%d9%84%d8%a7-%d8%a8%d9%8a%d9%86%d9%87%d9%85-%d9%85%d8%af%d9%86%d9%8a%d9%88%d9%86-%d9%81%d9%8a-%d8%a7%d9%84%d8%ad%d8%af%d9%8a%d8%af%d8%a9-%d9%81%d9%8a-%d8%a7/
htts://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%a3%d9%85%d9%8a%d9%86-%d8%a7%d9%84%d8%b9%d8%a7%d9%85-%d9%84%d9%84%d8%a3%d9%85%d9%85-%d8%a7%d9%84%d9%85%d8%aa%d8%ad%d8%af%d8%a9-%d8%aa%d8%af%d9%85%d9%8a%d8%b1-%d9%85%d9%8a%d9%86%d8%a7/

シリアの人道危機

シリアでは、ISの脅威が未だ払しょくされた訳ではないことは、累次報告の通りですが、住民の直面する人道危機も、未だに深刻なようです。

al sharq al awsat net は、29日、国連安保理で、人道問題、危機対処事務総長補が、シリアの人道危機に関し、国際社会に訴えたと報じています。

どうしてかは不明ですが、al arabiya net は、その中で特にal rakban (ヨルダンとシリアの間にある安全地帯で、約5万人の避難民が包囲されている由)では毎日子供が死亡しているという部分だけを詳しく報じています。
個々の人道危機が最悪ということでしょうか?

al sharq al awsat net の記事から、

国連の事務総長補は、安保理の会議で、シリアのユーフラティス東岸には、未だにISの抵抗スポットが残り、激し戦闘があって、住民は深刻な人道危機に直面していると指摘した。

彼はデリゾル南部のユーフラティス川東岸全部にわたり、激し戦闘が続き、住民は数十名が死亡し、多数の住民が負傷したとし、先週だけで7000名の住民が避難したが、未だに15,000名がIS支配地域で、包囲されていると報告した。

また住民が避難していたキャンプがISに攻撃され、死傷者が出たうえに、100名の住民が拉致され、そのうちの何名かは殺害したとした由。

その観点で、al rakbanの避難民キャンプに対する国連と赤十字の救援車列が、阻害されずに到着できることが絶対に必要とした由。

更に先にISから奪還されたラッカの状況も懸念を呼び、住民に対する支援が必要になっているとした由。

さらに彼は、現在何よりも重要なことはロシアとトルコが合意した停戦が守られ、イドリブ地域及びその周辺で戦闘が再開しないことであるとして、もし戦闘が起これば、重大な人道危機を招くことになると警告した。

そしてその住民300万人に対する人道支援が、阻害されずに境界線を越えられることが重要とした由。

リビア首都で続発する暗殺事件

al arabiya net は、最近リビアの首都トリポリで、治安関係者とか民兵幹部とかの暗殺が相次ぎ、民衆の間ではリビア情勢が再び、武装勢力間の無秩序な殺し合いに逆戻り得るのではないかとの恐れが高まっていると報じています。

記事によると最近の暗殺事件は、

・24日の麻薬対策対策部隊の司令官。
・18日の特別対応部隊幹部2名の誘拐と殺害。
・その1週間前、内務省の安全局(諜報部か)の司令官の暗殺。
・16日民兵の「トリポリ革命隊」幹部一人の暗殺。
・その数日前のリビア軍士官の暗殺。

等があるが、これらはいずれも銃によるもので、同じような手口だが、誰の仕業か、犯行声明もなく、また政府からも説明はない由。

さらに問題は、このような連続暗殺が、国連の調停で、統一政府と各種民兵との間で、民兵は重要政府庁舎や施設から撤退し、内務省とかの政府軍のみがその警備にあたることで合意ができた直後から発生していることの由。

khasshoggi事件(UNHCHRの発言)

本件も遂にここまで国際化した模様です

サウディのジャーナリストがイスタンブールンサウディ総領事館で殺された疑いが濃厚になっていて、トルコの捜査チームが9時間も総領事館を捜査しましたが、al qods al arabi net は、国連の人権高等弁務官UNHCHR(確か前チリ大統領でこの9月に承認されたばかりのはず)が、この事件に関与した可能性のあるサウディ政府関係者はその免責特権を放棄させられるべきであると発言したと報じています。

記事によると、UNHCHRはその声明で、khasshoggi 失踪事件の重大さに鑑み、サウディの責任者や現地の職員で領事関係に関するウィーン条約でカバーされているものの免責特権は即時放棄されるべきであるとした由。

UNHCHRはさらに、強制的誘拐や裁判によらない死刑は、国際法上の犯罪行為であり、免責特権がその調査を妨げてはならないとした由。

記事は、コメントとして、国連には免責特権を取り上げる権限はなく、それができるのは受入国すなわちトルコだけで、またトルコは派遣本国(サウディ)に対して特権を放棄するように求めることができるとしています。
(確か、ここのところは不正確で、トルコがサウデ総領事等の特権をはく奪することはできないが、領事関係に相応しくない人物…ペルソナノングラータを宣言し、退去までの相当期間経過後は領事としての特権を認めないことができることになっています。
(因みに領事特権を放棄できるのは本人ではなく、本国政府です)

尤も、どうやら米国も加わって、サウディとトルコの間で、政治的解決が図られている模様ですので、高等弁務官(UNHCHR)の法的には正当な声明はあっても、政治的にそのような状況が生まれるとは考えにくいと思います。

しかし、高等弁務官がここまで言い切っている以上、今後とも国連人権理事会等の場で、議論が続けられることは避けがたいのではないでしょうか?
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