中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

国際機関

シリア停戦の失敗(安保理)

スウェーデンとクウェイトが要請した、シリア問題に関する安保理の非公式協議は、8日行われましたが、al arabiya net は協議は失敗した模様で、メンバー各国の代表は固い顔で安保理から出てきて、質問に対しては「no comment 」と答えていたと報じています。
またアラビア語メディアは、いずれもダマス近郊の東ゴータにおける人道状況は、政府軍の砲爆撃でますます深刻になりつつあるとしています
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/08/أميركا-تدعو-إلى-هدنة-في-سوريا-وروسيا-ترفض.html
ある意味では、この安保理会合は極めて悪いタイミングで開催されたものというべく、前日に政府軍の同盟者(政府軍やロシア兵も含まれるのかは不明)が、米国の支援するシリア民主軍を攻撃し、米航空機が自衛のためとして、これを空爆し、100名以上の死者を出したばかりですから、おそらく協議ではロシアと米の相互非難に終始したのではないでしょうか?





国連代表の即時停戦の呼びかけ(シリア)

アラビア語メディアは、いずれも国連がシリアで人道支援を配布するために即時かつ少なくとも1月の停戦を呼び掛けた(メディアによっては「要求した「」と表現)と報じています。
これは、国連のシリアに常駐する国連活動調整・人道支援調整・国連諸機関調整官が6日、シリアの現状に、深刻な懸念を表明した声明の中で呼びかけたものとのことです。
http://www.alquds.co.uk/?p=874741
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/06/الأمم-المتحدة-تطالب-بوقف-فوري-للأعمال-العدائية-بسوريا.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/6/دعوة-أممية-لوقف-فوري-للقتال-في-سوريا
本来この種の停戦呼びかけは、安保理の仕事ですが、長い内戦で安保理は、ロシアの拒否権等もあり、まともに機能していないので、、国連の現地の事務レベルの責任者が呼びかけたということだろうと思います。
その意味では、当然のことながら、この呼びかけには国連憲章に基づく強制力はありません。
国連の倫理的な権威を背景に、人道的な必至の試みをしたということかと思いますが、シリア情勢の現状に鑑みれば、いったい誰がこのような「崇高な」呼びかけに応じるのでしょうか?
まあ、口では尊重するなどというところが出るかもしれませんが、それを実行するかというと、話は別でしょう。
声明が出たばかりのところで、悲観的なコメントで誠に申し訳なく、そうでないことを祈りますが・・・・

国連イエメン特使の辞任

これまた驚きました。
実は数日前だったかに、国連のイエメン特使が、再び現地を訪れ、政治的解決への調停活動を再開すると表明したとのニュースがあったばかりでした(国連お調停活動も、このところ成果を上げておらず、hothyグループにはボイコットされたような状況だったので、特にこのブログでは取りあfげなかった)。
しかるにアラビア語メディアは、いずれも特使ismail wald sheikh が彼の任期前であるにもかかわらず、再任を求めず、2月いっぱいで辞任する意向を表明したと報じています。
彼の後任は、これまでもアフリカとかバルカン地方で人道支援調整官等を歴任した英外交官の由
特使の辞任の理由とか背景については今のところ特段お説明はなさそうです
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/1/23/إسماعيل-ولد-الشيخ-يترك-منصبه-الشهر-المقبل
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/01/22/المبعوث-الأممي-باليمن-يطلب-الغعفاء-من-منصبه.html
http://www.alquds.co.uk/?p=865903
国連特使はサウディ訪問後、22日だったかに辞任を表明したということですから、推測すればサウディ等からも不信任を突き付けられたのか、またはサウディ等がこの際政治的解決よりも、軍事的解決に重点を置こうとしていることで嫌気がさしたのか、とにかく彼の辞任の裏には何かありそうです。



イラン情勢

イランでは革命防衛隊司令官が3日、反政府の抗議デモは終焉したと発表しましたが、どうも政府側の組織している政府支持のデモは続き、また各地で反政府抗議も断続的に続いている模様で、平常に戻ったとは言い難い感じがします。

その中で注目されたのが、革命防衛隊司令官の政府TVでの発言で(彼は発言の中で、今回の騒擾は米国とイスラエルの扇動によるものだとも発言しましたが、今回の事態が外部からの扇動によるとは、既にハメネイが発言していて、特に目新しいことではない。それにイランでは何か都合の悪いことが起きると、米国とイスラエルの策謀の所為にすることはごく普通のやり方)、彼はその中で、25日に始まった抗議デモは、経済的不満によるものであったが、27日から政府に対する抗議に変わったと発言したことです。
彼は27日以降は反政府分子が、抗議に加わり、国民の対立を煽ったと非難しました。
そして、彼は今回の抗議運動は3日をもって終了したと宣言した由。

もし彼の情勢分析が正しければ、当初の経済的不満に対する抗議が、次の日からは反政府的なデモに変わったということで、イラン国民の間に不満が鬱積していたことを物語っていると思います。
しかし、別の報道によれば、未だ各地で散発的に抗議は続いているとのことで、今後本当に抗議が終焉したと言えるのか否かは、まだ時期尚早かと思いますが、確かに今回22名とも23名ともされる死者は出ましたが、2009年の時のように、バシージが大量に動員されて、激しい弾圧をしたことはなさそうで、その意味では比較的平穏に終了したということになるのでしょうか。
おそらくその背景としては、今回は2009年の時のように、改革派等が組織的にデモを行ったわけではなく、民衆の日頃の不満が鬱積して、爆発した自発的民衆デモなので、持続力は少なかったというところがあったかも知れません。
しかし、この見方が正しければ、それほど民衆の経済的不満が高まっていて、それがきっかけで反政府デモに転換されうることを示したもので、体制にとってはより深刻な問題ではないでしょうか?
さらに、イランのシリア、イラク、イエメン、レバノンに対する干渉に公然と反対し、その金を国民福祉に回すことを要求するスローガンが出回ったことは、イランとしてもこれまでの対外膨張政策をいつまでも続けることができるのか、そこでも深刻な問題を突き付けられたものとともいます。

その他イラン関係のニュースとしては、

・イランのマハル通信によれば、イラン西部のbir anshaharで、革命防衛隊は、デモ隊との衝突で、情報部隊の隊員3名が死亡したと発表したと報じている。
彼らは反革命分子との衝突で死亡した由。

・国連人権高等弁務官は、イラン政府に対して自制を求めるとともに、22人の死者及び数百名の逮捕者に関し、公平で透明性のある調査が必要であると表明した。

http://www.aljazeera.net/news/international/2018/1/3/الأمم-المتحدة-تحذر-من-العنف-بإيران-وواشنطن-تعد-وتتوعد
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/1/3/قائد-الحرس-الثوري-يتهم-دولا-بتحريك-احتجاجات-إيران
http://www.alquds.co.uk/?p=854695
http://www.alquds.co.uk/?p=854745

エルサレム問題(国連緊急総会の開催要請)

先ほどは安保理での米の拒否権行使に対して、トルコが総会での審議を求めているが、アラブ諸国は動きを見せていないなどと書きましたが、矢張り時事物は、慌てるといけませんね。

先ほど見たal jazeera net は、アラブ諸国が総会議長に対して、緊急総会の開催を求める書簡を18日送ったと報じています。
更にイスラム諸国会議および非同盟諸国も、同様に緊急総会の開催を求めている由。
これに対して、総会議長は可及的速やかに総会を開催するとしているが、パレスチナ代表によれば、20日または21日に開催されることとなろう由。
また同代表は、緊急総会は「平和のための結集決議」に基づいての招集で、その決議は強制力を伴うとしている由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/19/الجمعية-العامة-تتسلم-طلبا-عربيا-بشأن-القدس
この「平和のための結集決議」は冷戦時代に、ソ連の拒否権行使で安保理が何度もマヒした経験に基づき、米等が「拒否権で安保理が麻痺した場合には、総会が替わって行動することができる」という趣旨の決議をしたもの。
皮肉なことに、この結集決議が実際に実行されたのは、1956年のスエズ戦争の際、英仏の拒否権で安保理が麻痺した際に、開かれ、その決議から第1回の本格的国連PKOとも言うべき、UNEFが結成された経緯があります。
しかし、英仏は長らく、PKOのような実際の行動をとる決議は安保理の専権事項で、総会でこれを決めるのは憲章違反だ、として長いこと分担金の支払いを拒否し、国連財政の悪化を招いたことがありました。
今回も米国に対しての緊急総会ですから、その意味では皮肉なことに変わりはありません。
但し、緊急総会であろうと何であろうと、国連憲章上強制力を有する決議のできるのは安保理だけですから、上記パレスチナの説明は必ずしも正確ではありません。
結局は、国際社会の一致した意見を示す、という以上の役割はないと思いますが、問題はそのために、何国以上の賛成を獲得でき、反対者がどのくらい出るかでしょう。
そのためにエジプト、サウディ等の主要アラブ諸国が、どの位真面目に多数派工作を行うかが注目されます









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