中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アルカエダ

日本人ジャーナリストの釈放 2

日本人ジャーナリストの釈放については、ざっと見たところトルコのhurryiet net とal arabiya net (トルコ・カタールと仲の悪いサウディ系の衛星放送)が報じているところ、興味のある部分次の通り。

断片的情報ですが、なかなかややこしいですね。
そもそもこのトルコに近いという非シリア人の部隊というのも、私にとっては初耳の名前ですが、なんぞ原理主義的な名前で、おまけに非シリア人とはどこの連中でしょうか?

【hurryiet net】
  • 安田氏は、トルコの情報機関と治安部隊の合同作戦で見つかったが、戦闘はなかった。
【al arabiya net】
  • 安田氏は2015年からイドリブ西部で拘束されたいたところ、ヌスラ戦線から、khorba al jauzでトルコ政府に近い非シリア人部隊「宗教の衛兵」に引き渡され、そこからトルコの手に渡った。
  • シリア人権網は、信頼すべき筋によると、この人質引き渡しはカタールが身代金を支払ったからだとしている。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2018/10/24/بأول-فيديو-بعد-إطلاق-سراحه-الصحفي-الياباني-أنا-بخير-.html
http://www.hurriyetdailynews.com/japanese-journalist-kidnapped-in-syria-said-to-be-brought-to-turkeys-hatay-138213

日本人ジャーナリストの釈放(シリア)

日本のマスコミで大きく取り上げられているのが、安田さんとかいうフリージャーナリストの釈放です。

NHKニュースなどによると、シリアで3年間だったか過激派(アルカイダ系の旧ヌスラ戦線の模様)に拘束されていた、フリーのジャーナリスト安田氏が釈放され、トルコに移送され、日本大使館の館員が面会の上、本人であることを確認し、元気であることも確認したとのことです。

さらに、この釈放にはトルコとカタールが尽力したとのことで、安倍総理からもエルドアンとカタールの首長に対して謝意が表明されたとのことです。

一時は、連日マスコミを騒がしていた安田氏が無事釈放され、とにかく帰国できそうだというのは、何はともあれ良いニュースではありますが、イスラム過激派と中東の国ということで、興味があるのは釈放に尽力した国としてトルコとカタールが上がっていることです。

実はこの2国は、現在khasshoggi 事件でトルコで問題を起こしたサウディなどは、イスラム過激派、特に旧ヌスラ戦線と関係が深い、テロ容認、または支援国家だなどと非難していたことが記憶されます。

その点からすると、今回の釈放の陰に両国があったことは、両国の旧ヌスラ戦線との関係を物語るものとして話題になる可能性があるかと思います。

しかし、そのうちトルコとの関係についていえば、現在旧ヌスラ戦線等がかろうじて生存しているイドリブ地域は、トルコとロシアとの停戦合意で、かろうじてシリア政府軍の大攻勢が押さえられているので、トルコが後ろ向きになれば、何時でも政府軍に制圧されそうな立場にあります。

何しろ、3年間だったかの長期間拘束されていて、ようやく今になって釈放されたということは、想像をたくましくすれば、トルコと旧ヌスラ戦線の力関係が圧倒的にトルコに傾き、ヌスラ戦線としてはトルコの要望を無視できなくなったからではないか、とも考えられます。

それは必ずしもトルコが旧ヌスラ戦線を支援してきたということではなく、トルコの支援している反政府派は、自由シリア軍とかムスリム同胞団の系統をひくグループだが、両者とも反アサドということでは、一定の共通点もあり、要するにつかず離れずの関係にあったということではないでしょうか?。

他方カタールの関係は良く分かりませんが、安倍総理が身代金は一切払っていませんと言っているところから見れば、もしかすると、一大産油ガス産出国のカタールがその辺で、何らかの役割を果たした可能性も想像できます。

いずれにしてもムスリム同胞系統の反政府派の支援等ではトルコとカタールは脚を並べてきました。その点ではサウディ等と対立してきたところです。

なお、余談になりますが、kahshoggi事件では、トルコの情報部が活躍しているようですが、トルコの情報部はイラクのモースルのトルコ総領事館館員がISの人質になったときに、その釈放のために、ISと交渉したところだったと記憶しています。

今回もトルコでは、主として情報部が交渉したのではないでしょうか?

テロ組織相手の交渉では、矢張り蛇の道は蛇で、場合によっては裏取引や口には出せない工作のできる情報機関の存在が不可欠ではないかと思いますが(米のCIAやロシアや中国は勿論、英独仏等でこの種の情報機関を所有していないところはない)、そんなものは持ち合わせていない日本は、場合によっては指をくわえているしかないで方ね。

勿論、国家の在り方として、それも一つの行き方かもしれませんが・・・・・・、

いずれにしても、この事件に関し、何の情報もなしに勝手なことを書くのは慎むべきでしょうが、日本では大きな話題になる事件で、さりとて現在の中東情勢にはほぼ影響のない事件ですので、よほど興味ある事実でも出てこない限り、今後熱心にフォローしようとも思わないので、取りあえず一言だけは書いておこうかというところです。

まあ何はともあれ、明るいニュースで良かったですね

イドリブ等の情勢(シリア)

シリアのイドリブ等西部平原の状況については、昨日極限定的な話を紹介しましたが、本日のal qods al arabi net 、al arabiya  net,al jazeera netはもう少しまとまった状況を報じていますので、取りまとめ次の通り。
それらの報じるところが事実であれば
  イドリブ等で政府軍と反政府軍の衝突が近く起きるのは必至
  反政府軍地域では、暗殺、暴力、誘拐等が続いている
  英米仏は政府軍が化学兵器を使用しない限り、その攻撃を黙認するであろう
と言うことのようです。

・この1週間ほどイドリブ等の地域(イドリブ、アレッポ、ラタキア、ハマ等)では、ロシアとトルコの主導する停戦が守られ、比較的静かな状況が続いている
・しかし、政府軍、反政府軍共に、来るべき戦闘に備えていて、ラタキアからシリア平原にかけて、戦闘が近日生じるのは避けられそうもない
・先ず政府軍だが、シリア人権網によれば、このところハマ軍事空港に、大量の資材(主として弾薬)と人員を送り込んでいる。
これらの政府軍の目的は、まずは反政府軍をイドリフ県の奥深くへ追い込もうとしている
・反政府軍の中には、政府軍との妥協には絶対反対とする強硬派と、国際的な孤立から脱しようとするものが居るが、イドリブ県の大部分は、アルカイダ系の旧ヌスラ戦線が支配している。
旧ヌスラ戦線自身、いくつかの派閥に分裂して、政府軍の攻撃を容易にしている
その中でも強硬派のal jolaniは、他の派閥に対して、政府軍とは交渉しないように警告した。
彼はまた忠実な部下を引き連れて、方々の戦線を視察して回っている。
・またイドリブでは爆発、暗殺、誘拐等が連日発生し、誰が行っているのかも良く解らないような状況の由
・他方米英仏は、アサドに対してイドリブ攻撃で化学兵器を使わないように警告した。
これは政府軍が化学兵器さえ使用しなければ、米英仏が介入する意図はないことを示したものである

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/08/22/النظام-يحشد-في-إدلب-والجولاني-يتجول-على-الجبهات.html
http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2018/8/21/أنباء-عن-عمليات-اغتيال-وخطف-ماذا-يحدث-في-إدلب
http://www.alquds.co.uk/?p=1000197


  

サウディとUAEのアルカイダとの秘密協定(イエメン)

al jazeera net とal qods al arabi net は、国際的通信社APの調査によると、サウディとUAEはイエメンでアルカイダと秘密の合意をし、彼らの都市等からの撤退を「購入し」また一部の兵員をUAEの作った民兵に雇い上げていると報じています。
サウディは伝統的に、イエメン等の敵対勢力は武力行使するよりも、「金で解決する」政策をとってきたことで知られているので、それ自体は、ものすごく驚く話ではありませんが、記事によるとこの秘密協定は米国の了解も得ているとのことです。
米国はこれまで、イエメンのアルカイダは最も危険なアルカイダ・グループだとして、内戦後もドローン等を使って激しく掃討作戦をしてきただけに、この話が事実であれば、矢張り驚くべき話と言えるのでしょう。
記事の要点は次の通りですが、当然のことながらその信憑性について確認はできません

APがイエメン政府関係者や部族関係者等からの聞き取り等で集めた情報によると、サウディとUAE等のアラブ連合はアルカイダとの間の秘密合意で、資金提供と引き換えに彼らの一部地域からの撤退等を実現した。
また合意の一部として、アルカイダ要員250名を、UAEがアブヤンで作った民兵に雇い上げた由。
調査によるとこの合意は米国の了解も得て、アルカイダは資金と引き換えに、マカッラやアブヤンの7地域およびシャブワのal said市から、彼らの武器等と共に撤退した。
これらの撤退は戦闘もなしに、資金と引き換えのものであったよし
例えば2016年2月には、秘密合意でアルカイダの要員がシャブワのal said から撤退したよし。
アルカイダが迎え入れられたのは、その戦闘能力と経験で、最近もアルカイダの指導部は、hadi 大統領から1200万ドルを貰って、要員を提供している。
またシャブワでは部族関係者がアルカイダとUAEの仲介者として働いた。
又元タエズ知事はこのことを知っていて、イエメン軍関係者に、中止するように求めたところ、「hothy軍と戦うためには、悪魔とでも同盟する」と答えられた由。
調査は、これら事実に関して、イエメンの内戦は多くの矛盾に満ちていることを示していて、米国は一方でサウディ、UAEとともに「アラビア半島のアルカイダ」と激しくたたかいながら、他方hothyグループと闘うために、彼らの協力を「購入している」としている
http://www.alquds.co.uk/?p=989002
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/8/6/أسوشيتد-برس-صفقات-سرية-للسعودية-والإمارات-مع-القاعدة-باليمن





アルカイダ指導者の聖戦の呼びかけ

このところイスラム過激派と言うとISの話が主で、アルカイダの首領ザワヒリのことなどすっかり忘れていましたが(そもそも彼は現在どこにいるのでしょうか?)、al qods al arabi net は、米大使館のエルサレム移転を前にして、聖戦を呼びかける、アイマン・ザワヒリのビデオが、13日流されたと報じています。

その中でザワヒリは、テルアビブもイスラムの土地であるが、パレスチナ指導部はこれをイスラエルに売り渡してしまい、彼の率いるムスリムが武器をとって、米国とイスラエルと戦ってきたと述べた由。
さらに彼は、トランプが現代十字軍の真の姿を見せつけたとして、これと妥協したり融和を図っても益はなく、聖戦とイスラムの宣布でこれと戦うべきであるとした由。

またイスラム国家(複数)も、イスラエルを含む国連に加盟し、シャリーアではなく、イスラエルを正当化する安保理決議を認める等の行動で、期待された役割に失敗してきたと非難した由。

http://www.alquds.co.uk/?p=934400

取り敢えず以上で、現在ではアイマン・ザワヒリにどの程度の影響力が残っているのかも不明で、上記声明もパレスチナ指導部やイスラム国家の非難が主であるような印象を受けるが(それであれば、最近のサウディ皇太子や湾岸諸国の指導者に対し、もっと激しく非難すべきか?とも思われるが、もしかするとその辺は何らかの形で資金でも出ている可能性があるのか?勿論そんなことを言う根拠はないが、若干不思議ではあります)、未だ彼に忠誠を誓う分子がいれば、アルカエダのテロもISのそれと並んで警戒すべきかと思うので、取りあえず。
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