中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ロシア

シリアへのS300地対空防空システムの供与

ロシアがシリアへの防空ミサイルシステムS300の供与を発表してから、極めて短期間のうちに供与が完成したとの報道があり、余りの手際の良さに驚いていたら、y net news は、くだんのシステムはロシア空軍防空大隊が使用していたものを補修したもので(同大隊は新型のS400ミサイル部隊に改編された由)、その供与は無償だと報じていて2度びっくりです。

いくらお古の兵器でも非常に高価なもののはずで、「ほんまかいな?」と思いましたが、もともとのソースはロシアのタス通信の8日の記事とのことですから、間違いはなさそうです。

それによると、供与されたのは8基の発射台とそれぞれ100発のミサイルを備えた、3基のS300システムで、総て無償で引き渡された由。

これらシステムは修繕され、十分運用が可能とのことですが、過去2週間の間にロシア軍の輸送機が、レーダーシステムを含めた関連機材をラタキア近くのロシア軍基地・・・おそらくhameemeem 基地・・・へ運び込んだ由。

ロシア国防相によると、ロシア軍はこれから3ヵ月の間にシリア将兵の訓練を行う由。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5366412,00.html

ロシアが使い古した旧型のシステムを供与したことで、かくも短期間で大掛かりな防空システムの供与を管制できた背景は分かりましたが、少なくとも3ヵ月はロシア兵士等が訓練にあたっているし、その後もかなりの期間ロシア兵がそばに居そうで、ある意味ではシリア政府軍が勝手にイスラエル機に対して使用できなくなる(おまけに無償と言うことであれば、その所有権はどちらにあるのでしょうか?)し、他方イスラエル国防軍(IDF)機もロシア兵への危害を恐れて、自由に攻撃できないこととなり、ある意味では、イスラエルとシリア軍の間でロシア軍がかなり主導権を握ったことになるのでしょうか?

S300の供与完了(ロシア、シリア)

もう一つシリアに関するニュースを・・・

ロシアのアサド政権に対する地対空ミサイル・システムS300の供与問題が、国際的な注目を集めていましたが、al arabiya net はロシアTV24によると、ロシア国防相はプーチンに対して2日、ロシアのシリア政府軍に対するS300の供与が完了したと報告したと報じています。

取り敢えず以上で、供与の規模(何基のシステムが供与されたのか)、配置場所、運用は当面誰がするのか(将来はシリア兵がするのでしょうが、当面は訓練の他に、少なくとも限定された範囲ではロシア将兵が運用にも関係せざるを得ないと思われるが)等は不明ですが、取りあえず。

シリアにおけるロシア軍の損失及びその戦果?

アラビア語メディアは3年間のロシア軍のシリアにおける死者の数及びロシア具の空爆によるシリア人の死者の数を報じているところ、記事の要点次の通りです。
突然こんな数字が出たのは、ロシアのシリア介入3周年にあたるからのようで、記事はロシア軍の最初のシリアでの空爆は2015年9月30日であったと指摘しています。
もう3年になるのですね!!

ロシア軍の損失の数字は、ロシア議会国防安全委員長発表になるもので、ロシア軍の空爆による死者数は、シリア人権網によるものです。
ロシア軍の損失は、ロシア軍人とされているので、退役軍人等のいわゆる民間人は含まれていないと思います。
なお、ロシアの委員長は、この数字とソ連軍のアフガニスタン侵攻の時の最初の3年間のすうじをくらべて、アフガニスタンではソ連兵の死者は4800名で、戦車が60両、装甲車が400両、航空機が15機、ヘリが97機喪失したとしてシリアでの今回のロシアの損失が軽微であることを強調しています。
(確か一般的にアフガニスタンでのソ連兵の死者は約15000名、負傷者75000名とされていたかと思います)


・al qods alarabi net はロシア議会の担当委員長の声明として、ロシアはシリアへの参戦で、この3年間で112名の軍人を喪失し、航空機8機、ヘリ7機を喪失したと報じている。
ない死者のうち約半数は輸送機の墜落と先般のラタキア沖での偵察機の撃墜によるものの由。

・他方、al arabiya net は、同じくこの3年間のロシア軍の空爆等によるシリア人の死者数を報じているところ、そのソースはシリア人権監視網。
それによると、この3年間でのロシア軍の空爆による死者は18096名(一桁代までの数字が出ていて、若干信憑性の疑問はあるが、そもそも人権網では身元等の確認できたものだけの数字を発表しているとしてるので、取りあえず報道のまま)で、そのうち7988名が民間人、5233名がIS戦闘員、残りが他の過激派(旧ヌスラ戦線等か?)の由。
人権網や西側政府は、ロシア軍の空爆は無差別で、重要なインフラ等を破壊していると非難しているが、3年間で学校19校、市場12か所、医療施設20、救急援助施設21を破壊したとしている
http://www.alquds.co.uk/?p=1025002
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/09/30/سوريا-18-ألف-قتيل-بغارات-روسية-خلال-3-سنوات-.html
アフガニスタンと比べてロシア兵の損失が極めて少ないのは、そもそもシリアでは地上戦は政府軍の他革命防衛隊、ヒズボッラー等イラン系の戦闘グループに任せて、ロシア軍は空爆に専念?下からで、ロシアの戦車の損失がゼロと言うのが、その辺の実情を物語っていると思われます。
勿論上に書いた通り、この数字は「いわゆる民間人」を含んでいないので、同数またはそれ以上の退役軍人等の損失がある可能性はあります

ロシア民間人のシリア訪問激増(いわゆる傭兵か?)

一時イラク等における米警備会社が雇う多数の元軍人等がいわゆる傭兵だとして注目を浴びましたが、実はシリアでも多数のロシア人退役軍人が、ロシア軍の軍属または警備会社に雇われているようで(極端な例としては、昨年だったか東南部の確かブクマ―ルに政府軍が米軍の警告にもかかわらず、接近し、米の空爆で多数が死亡した中のロシア人は、ほぼ全員がこの種の傭兵だった例がある)、al qods al arabi net とal jazeera net は、最近ロシア民間人のシリア訪問が激増しているが、彼らはこの種の傭兵ではないか?との記事を載せています。

双方ともロシアの治安部局の、ロシア人の海外渡航に関する公式数字を基にした記事ですが、そもそもそんな資料を2つのアラビア語メディアが独立に偶々同時期に調べたとも思われず、誰が流した情報か、注目されます。
それはともかく、記事の要点のみ

  • 今般ロシアの治安当局が発表した公式数字によると、今年前半のロシア民間人のシリア訪問数は記録的増加を示した。
  • 今年の前半のロシア民間人のシリア訪問数は、17,000名を超えたが、これはロシアがシリアで軍事活動を始めた2015年以来、半年の数字としては最高である。
  • 1年間の数字としては、2016年が22,000名、2017年が25,000名であった。
  • これに対して2013年、2014年のロシア人と後者はそれぞれ約1800で、2015年の前半もほぼ同じであった。
  • これらのロシア人の中には、ロシア軍との契約者(いわゆる軍属)や、退役軍人で、ロシア軍または警備会社のために戦闘に従事するものも居ると思われ、ロシア民間人のシリアでの活動に光を当てている。
ロイターは数千人の退役軍人が、ロシア軍と協力しているも、民間人であるとされていると指摘している。
ロシア軍は、退役軍人との関係は否定し、彼らが個人意思で戦いに従事するのも自由であるとしている由。

ソチ合意に関するロシア・トルコの意見の隔たり

イドリブに関するトルコ―ロシア合意については、その背景や詳細等必ずしも良く分からないところがありますが、al sharq al awsat net は、同合意に関するロシアとトルコの意見対立という記事を載せています。
記事の要点は、次の通りですが、ロシアは日程に関する合意が守られない場合には、即時軍事行動を再開し、空爆を開始することをトルコ、イランシリア政府に通告したとのことです。
また、トルコとロシアは、同じく10月に予定されているトルコ、ロシア、ドイツ、仏の4国首脳会議が、イドリブに関する両者の懸隔を埋めることを期待している由

この種の話と言うのは、その真偽のほどはなかなかわからないものですが、それにしてもトランプの豪語にもかかわらず、シリアの今後を決める国際的な動きの中から、米国が除外されている感がますます強くなります(尤も、シリア民主軍を擁して、シリアの東部地域・・・ラッカからデリゾルにかけて…を押えている米の意向を無視してはシリア問題の解決を図ることができないことも明らかで、今後トランプが一国主義を捨ててどの程度欧州諸国やトルコ等と強調するかにかかっているのかもしれませんが)
それにしても米国以上に影が薄くなっているのが英国ですが、英国もいくら口では強がりを言っても、目下のところbrexit がどうなるかのめどさえ立たず、その他の問題に口出しする余裕はないのかもしれません。


・トルコ―ロシアのイドリブ合意では、非武装地帯の設置、重火器の10月10日までの撤去、過激派の同15日までの退去等が決められているが、ハイレベルの筋は、主要な4点でトルコとロシアの意見に差があると語っている。
特に、ロシはこの日程が守られなければ即時軍事行動を再開することをトルコ、イラン、アサドに通告した。
・最初の相違点は非武装地帯の幅(合意では15〜20劼箸気譴討い襦砲如▲蹈轡△魯ぅ疋螢屬箸修亮舁彭垰圓この地域に入るとしているが、トルコはこれに反対している
・第2の点は高速道路の管理問題で、ロシアはアレッポ―ラタキア、アレッポ―ハま道路の管理は今年末までにアサド政権に移譲したいとしているが、トルコはロシアとトルコが管理することに固執している
・第3点は過激派の扱いで、トルコは彼らはクルド地域に移すべきであるとしているのに対して、ロシアは彼らの中の外国人は抹殺さるべきであるとしている(もしかするとイドリブで最強の過激派旧ヌスラ戦線の中の外国人戦闘員の多くがチェチェンや旧ソ連出身者なのでしょうか?)
・第4点は、合意の性格で、ロシアは合意は暫定的なものとしているのに対してトルコは合意は恒久的なものとしている
https://aawsat.com/home/article/1410166/%D8%AE%D9%84%D8%A7%D9%81-%D8%B1%D9%88%D8%B3%D9%8A-%D9%80-%D8%AA%D8%B1%D9%83%D9%8A-%D8%AD%D9%88%D9%84-%D8%AA%D9%81%D8%B3%D9%8A%D8%B1-%D8%A7%D8%AA%D9%81%D8%A7%D9%82-%D8%A5%D8%AF%D9%84%D8%A8















livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
Archives
  • ライブドアブログ