中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

湾岸

サウディ等湾岸諸国とレバノンの関係の緊張

レバノンのハリリ首相の突然の辞任表明(おまけにサウディでの表明)とサウディの「レバノン政府は戦争を表明した政府」との声明(おそらくはヒズボッラーが入っていることを指すと思われるが)は、サウディのみならず、湾岸諸国とレバノンとの緊張をもたらしています。

サウディ外務省は、総てのサウディ人でレバノン居住者及び旅行者は、即刻帰国するように求め、またサウディ人がレバノンに赴かないことを求めたとのことです。
またクウェイト外務省もクウェイト人に即刻帰国することを求めた由。
UAEも同国民がレバノンへ赴かないことを強く求めた由。
更にバハレンも自国民にレバノンからの出国を求めている由
(これでカタールと対立しているアラブ諸国では、エジプト以外はすべて自国民にレバノンへの渡航を取りやめ、記憶するように呼びかけたことになりますが、エジプトはどうするつもりでしょうか?
現在のところ、これらの国が自国に滞在するレバノン人をどうするつもりか、特段の報道はありませんが、湾岸で居住している…多くのレバノン人が働いているはず…レバノン人の間で動揺が広がっている可能性も強いと思います)

他方、辞意を表明したハリリ首相については、このところサウディが彼を軟禁しているという説が広がっていて、ハリリに近い筋でもそのような説をなすものがいる模様で、また彼の率いる政治グループは、彼の将来の政治的影響力、レバノンのためにも、彼は帰国すべきであると表明している由。
これに対して、ハリリ事務所はこれらの噂を否定し、ハリリは仏大使の他、米、仏、EU外交官とも会談している突拍子ている由。
また、マクロン仏首相がUAEへの公式訪問の後、突然サウディを訪問することになりましたが、果たして彼がハリリと会談することがあるのか注目されます。
(彼は到着直後、9日午後にサウディ皇太子と会談した由)
またロシアは、この問題を安保理に持ち出す可能性があるとも伝えられています
(そうなると前代未聞という感じもしますが、実は1974年だったかにキプロスで、時のギリシャ軍事政権の意を受けたキプロス軍のクーデターがあり、マカリオス大統領が死亡したと伝えられたが、彼はその後ニューヨークに現れ、国連に姿を見せたという事件があったように記憶します。
何しろ錯綜した情報が乱れ飛んでいるので、何とも言えませんが、確か彼は辞任表明直前にも、サウディを訪問しており、その彼がわざわざ軟禁されるためにもう一度サウディへ行くというのは不自然過ぎて、おそらくはこれはハリリとサウディの組んで行った反ヒズボッラー行動ではないかと見ていますが。、勿論確証はありません。
いずれにしても、現在のレバノンの大統領…キリスト教徒…は長年のシリアの宿敵であったのが、ヒズボッラーの支持で大統領になった、という奇々怪々なところですから、何があっても驚いてはいけないのかもしれません)

http://www.alquds.co.uk/?p=823684
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/11/10/لقاء-أميركي-بالحريري-ولا-تعليق-على-مصيره
http://www.alquds.co.uk/?p=823547












サウディの「腐敗との戦い」の湾岸証券取引所に対する影響

当然そういう事態が起きるとは思っていましたが、先日のサウディの「腐敗との戦い」は湾岸の証券市場に深刻な影響を及ぼしている模様です。
al qods al arabi net は、この3取引日での湾岸証券取引所での、損失は170億ドルを超えた(172・5億ドル)を越えたと報じています。
もっとも大きな損失を記録したのがクウェイトとのことですが、湾岸7か国の中でオマーン(マスカット)だけが悪影響を免れ、1億1200万ドルの上昇とのことです(オマーンがイランと特別に親しい関係にあることと何らかの関係があるのでしょうか?面白い現象です)
なお、サウディ系のal arabia net は、クウェイト取引所は8日下落を止めるのに成功し、対前日比0・60%の上昇を記録したと報じています。
またal qods al arabi net の別の記事は、サウディが湾岸投資家の信認を取り戻すために、腐敗防止策は、逮捕された者たちの会社を含め、会社の営業に何らの影響も与えないと、協調していると報じています(親分が逮捕された会社の運営は当然大きな影響を受けると思うのですが!!)

al qods al arabi net によると、6国の証券取引所の損失は
    クウェイト       71・7億ドル
    カタール        37・2億ドル
    ドバイ          29億ドル
    サウディ        16億ドル
    アブダビ        14・3億ドル
    バハレン        4億1000マンドル 
となっています。
http://www.alquds.co.uk/?p=822760
http://www.alarabiya.net/ar/aswaq/financial-markets/2017/11/08/بورصة-الكويت-توقف-النزيف-الحاد-والمؤشر-يفلت-من-الخسائر.html
http://www.alquds.co.uk/?p=822828

これ以上証券市場の損失が広がると、湾岸諸国のサウディの政策に対する支持にも揺らぎが出てくると思われるので、サウディは信頼回復に大わらわになると思われますが、どんな手段がありますか?
なお、日本のNHKなどでも最近お湾岸情勢の影響で、ガソリン価格が高騰しているなどと報じています。













サーレハ逮捕の噂(イエメン)

サナアでは何が起きているのでしょうか?
先日から、hothyグループとサーレハ陣営の対立、緊張の増大、ヒズボッラーの仲介での和解と種々のニュースが流れていて、取り敢えずは落ち着いたものと思っていましたが、どうやらまだまだ情勢は流動的なようです。
al qods al arabi net は、hothyグループがサーレハ前大統領を逮捕し、サアダ(イエメンの北端で、hothyグループの本拠地)に連行したとの報道があり、また現地筋によればサナアでは緊張が高まっているとの記事と、hothyグループの幹部がサーレハ逮捕のニュースを否定したとの2の記事を載せています。

他方、上に引用されたal arabiya (サウディ系の英英放送)のnetは、イエメン筋によればhothyグループはサーレハを逮捕し、サアダに連行することを決定し、サーレハグループとの同盟を解消することを決めたと報じています。
またhothyグループの幹部はそのフェースブックで、サーレハが先日のサナアでの与党の大集会の後にクーデターを企図していたと非難したとも報じています。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/09/04/تصدع-حلف-الانقلابيين-ميليشيا-الحوثي-تقرر-اعتقال-صالح.html
http://www.alquds.co.uk/?p=783804
http://www.alquds.co.uk/?p=784056
イエメンの内部、とくにhothy ーサーレハ同盟の内部で、何が動いているのか、信頼できる情報は少なく、また情宣ではないかと思われる情報も少なくない(上記の情報のうち、例えばal arabiya net はイエメン内戦に介入しているサウディ系のメディア)と思われ、上記の報道もどこまでが事実を報じているのかの問題はあるも、どうやら依然として両者間に対立・緊張があることは事実かと思われるので、今後とも要注意でしょうね



サナアの情勢(イエメン)

hothyf連合支配下のサナアで、hothy グループとサーレハグループの対立緊張が高まっていて、双方が支持者に動員をかけて、力比べをした26日には、夕刻双方で衝突が起こったことは報告した通りです。
その後、27日にはサナアは緊張しつつも平静を取り戻したとのことで、双方は土曜日の衝突は、孤立的事件であったとしている模様です。
しかし、イエメンの消息筋(これが誰か解らない!)は、サナアの状況は依然緊張しているとして、hothyグループが設置した検問所等はそのまま残っており、双方とも戦闘員の動員を解いていないとのことです。
サーレハ前大統領の方では、共和国警備隊等のエリート部隊が大統領官邸、ハッダ(前大統領長男の自宅のある所)等に展開していて、これに対しhothyグループの方では市の南部等に集結している由。
またhothyグループは、サーレハグループの議員等のサナアからの退去を阻止している由。

他方hadi政権は、hothyグループがタエズで住民がhothyグループの砲撃で多くの死傷者を出していることに関し、国際社会がhothyグループに圧力をかけるように要請した由。
(これなど、これまで2年間もタエズを包囲して、圧倒テク空軍力をバックに、攻撃しながらいまだにタエズを解放できずにいることを第3者に転嫁する言い分で、甚だ無責任との印象を受ける)
http://www.alquds.co.uk/?p=780025
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/08/28/أوضاع-متوترة-في-صنعاء-وانتشار-عسكري-من-الطرفين.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/8/28/هدوء-حذر-بصنعاء-وسلطات-الحوثي-وصالح-تؤكد-احتواء-الخلاف
サナアの状況は取り敢えず上記のとおりながら、サウディ支持派も反対派のメディアも、挙ってサナアの緊張と対立は解けていないと報じている通りであれば、遅かれ早かれ、さらに大きな亀裂と衝突が起きる可能性が強いと思われるので、ご参考まで








hothy連合の内部危機

昨日だったか、イエメンのhothy連合内での、hothyグループとサーレハ陣営の対立が、以上に高まっているとの報道をご紹介しましたが、どうやら状況はさらに緊張の度を高めつつあり、24日の与党の設立記念日に、どちらがより多くの支援者を集められるかの力の誇示に焦点が移っている模様です。
関連記事の要点次の通りです。

・サナアでは、有力部族長の両者間の調停工作が成功しなかった。
hothy連合に近い筋はアナトール通信に対して、有力族長たるnaji al shaif(どこの部族かは不明。イエメンの北部の最大の部族連合は、正統政府を支持し、今ではその影響力は局限されていると思われる)の調停は奏功せず、両者間の緊張を鎮めるに至らなかったと語った。
それによると彼と有力な族長が、サーレハとhothyグループと個別に会談し、宣伝合戦をやめhothy側が24日の与党の集会を認めること等を提案したが、結果は出なかった由。
・他方サーレハは演説で、与党の集会は平和的なものであるとして、事態を鎮静化しようとした模様。
・いちぶのhothy グループは、サーレハ陣営には、hadi政権と通じているものがいると非難した由。

・htohyグループの政治評議会議長は、与党集会の後ろにいるのはUAEであると非難し、hothy自身もUAEに対してイエメンの国内問題から手を引けと語った由。
これに対して、UAE外相は、同国はイエメンに対し如何なる野心も有さず、サウディ等とともに、イエメン問題の解決に尽力していると語った由
(このUAEに関する部分が若干唐突な感じはするが、かなり前からhadi政権とUAEがアデンの治安維持その他を巡りかなり対立していて、何故アラブ連合の一員であるUAEが突出して行動しているのか、どうにも不思議であったが、上記の記事が事実であれば、UAEはアブダビに滞在を認めていたサーレハの息子で共和国警備隊の旧司令官であったものを通じて、サーレハ陣営と接触し、hothy連合の切り崩しを狙っていたが、そのやり方がhadi等と会わなかったということかもしれない)

・hothyグループに近い筋は、サーレハの与党が、24日の設立記念日の集会に向けて、前例のない多数の支持者を集めようとして積極的に動いていることに、重大な懸念を表明した。
・同筋は、この集会が2014年にhothyグループがサナアに多数の支持者を集めてクーデターにつなげたことと同じ形で、政権を乗っ取る可能性があるとみている。
特にサーレハ陣営が旧共和国警備隊の支持を受けていることに鑑み、彼らの集会が実質的に政権乗っ取りを目指すのではないかと危惧している由
・hothy グループも、これに対抗して大衆動員を図っていて、サナアでは緊張が高まっている
・hothyグループには、サーレハは、特にUAEを通じて、アラブ連合と密約して、一人だけ抜け出すことを狙っていると見るものが少なくない。
・このためhothyグループは最近、サナアに情報部隊を設置し、サーレハ側の部隊の動きを監視しているが、その指揮者にはhothyグループで戦闘員として名の知れた男が任命されている
http://www.alquds.co.uk/?p=776146
http://www.alquds.co.uk/?p=776404

なにしろhothyグループとサーレハ陣営の結婚はある意味では、イデオロギーの大きく異なる者同士のいわば野合で、陰謀術策の得意なイエメンのことですから、ありえない話ではなく、非常にもっともらしい話ではありますが、逆にサウディやUAEの流している宣伝と言う可能性も強く、とにかく24日を待ってみる必要があると思います。



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