中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

クルド

クルド地域の政府軍支配地域への統合?(シリア)

シリア東部のラッカ等を支配するシリア民主軍(クルド勢力YPG主体のクルド・アラブ連立)の政治団体シリア民主評議会の共同議長等がダマスを訪問して、政府側と和平につき協議していることは昨日だったかに報告しました・

この問題に関して、al jazeera net は、同評議会の共同議長が同放送に対して、両者の協議ではシリア民主軍の支配地域を政府軍の支配地域に統合する方向で作業することとなったと語ったと報じています。
更に同議長は、この協議に先立ち、クルド勢力と政府側はラッカの近郊で、ユーフラティス・ダムの政府側への引き渡しについても協議したと語った由
また同評議会は声明で、政府と評議会は今後のシリアの在り方についての(複数)の委員会を設置して協議することとなり、将来のシリア政体は中央統制ではなく、民主的なものとなるとした由。

他方別のクルド筋は同放送に対して、この協議は交渉を目的としてはおらず、いかなる合意もなかったと語った由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/28/سوريا-الديمقراطية-ستعيد-مناطق-سيطرتها-للنظام

米国がシリアからの撤退意向を表明している以上、クルド勢力としてはアサド政権との交渉以外に道はない(もう一つはトルコとの協力だが、両者の敵対関係からすれば非常にありにくい)ことは昨日の記事にも書いた通りですが、クルド勢力の中にも対アサドで、温度差があることは十分考えられます。





シリア民主軍代表のダマス訪問

シリアではアサド政府軍が国土の大部分を掌握し、残るは米軍に支援されたシリア民主軍(主体はYPGクルド勢力だが、それとアラブ人の連合体)と狭い地域のトルコ支援の自由シリア軍地域位ですが、そのシリア民主軍の代表が27日ダマスを訪問した由です。
尤もその施設団は、この民主軍を表向き代表する、シリア民主評議会の代表で、その中には評議会議長も含まれている由
この施設団の訪問は、アサドの小生によるもので、代表団は条件なしにて、シリア政府と協議する用意があるとしている由
これを報じるal qods al arabi net は、若干前にアサドがシリア民主軍について、政府軍の領土奪還の後、残る地域はシリア民主軍の支配地域であるが、政府としては2の選択肢を提示している、すなわち前提条件なしの和平協議か、さもなければ軍事力による統合であるとしたとコメントしています
http://www.alquds.co.uk/?p=982519

シリア民主軍の主力をなすYPGとしては、支援者の米軍が撤退することを表明している以上、トルコの敵意に鑑みても、アサド政府との和平に応じる以外に道はないのだろうと思います。
また、シリア内戦前のクルド勢力とバース党のアサド政権の関係を見ても、不倶戴天の敵ということではなく、お互いについたり離れたり利用したり利用されたり(特に対トルコ関係で)していたので、和解はそれほど難しい問題ではないかもしれません。
おそらくはクルド自治区(民主府政自治区)を認めることで合意するのでしょうが、問題はその自治政府の権限問題ではないでしょうか?





イランのイラク内クルド勢力攻撃?

もしかしたら報告していないかもしれませんが、確か1週間くらい前に、イラン西部のイラク国境に近い所で、バシージ(革命防衛隊の補助民兵)や革命防衛隊と、イランのクルド勢力(確かトルコのPKKとも近いイラン・クルド民主党とかいったか?)が衝突し、バシージに11名だったかの死者が出た事件がありました(クルド側の損失は不明)。

この事件に関連して、イラン当局の複数のものが、これらクルドが拠点として使用しているイラクのクルド自治区について、イラク政府及び自治政府が適切な措置をとらない限り、イラン自らイラクに入り、テロリストを掃討せざるを得ないとの警告を発したとのことです。

これはal arabiya net が報じるところですが、イラン内務省の治安担当補佐官は、イラクに根拠地を置くクルド勢力にてついて、前から厳しい警告を行ってきた由。

記事は更に、このイランの警告は、トルコがイラク内のクルド拠点(PKKの拠点)であるsinjar に地上進攻すると警告している(空爆は前から行っている)のと時を同じくしているとコメントしています。
他方、これら反イラン・クルドに関しては、その本拠のあるアルビルで、何度も幹部を対象とした爆発事件、暗殺(未遂)事件が生じているともコメントしています…(イラン情報局やコドス部隊の仕業か?)。

https://www.alarabiya.net/ar/iran/2018/07/24/إيران-تهدد-بتنفيذ-عمليات-عسكرية-في-كردستان-العراق.html

記事中にもある通り、イランとトルコはPKK系のクルド勢力という共通の敵を有しているので、イラク内に置いての行動について、トルコとイランが何らかの調整、連絡をしている可能性は非常に強いと思います。

シリア情勢(事実上のカントン化の進展?)

シリア情勢につきal qods al arabi net の報じるところ次の通り。
この記事の通りであれば(昨日までの他の記事と合わせても、疑うような理由は見当たらないが)、シリアは事実上のカントン化(要するにダマスも含めシリア西部地域の大部分は政府軍の支配地域とし、イドリブ等の北西部が反政府軍の手残り、デリゾル、ラッカ等の東部が米軍の支援するシリア民主軍の支配下に残るという構図)の方向に向かっているように思われますが、どうでしょうか?

・ロシアと反政府軍の合意で、南西部シリアでの停戦と政府軍のダラアへの進駐が進んできたところ、その近くのゴラン高原でも、ロシア軍との合意に基づき、反政府軍で現地にとどまることを望まない者や家族の北部への移送の動きが進んでいる
ロシア軍と反政府軍はゴラン高地の停戦に関し、19日合意に達し、イスラエル国境地帯における複雑な軍事行動は終焉することとなった
シリア人権網は上記の合意を確認しており、また政府系のメディアも、ゴラン高地の状況は2011年内戦の勃発以前の状況に帰り、政府軍が進駐することになったと報じている。
合意によると反政府軍は重火器、中火器を引き渡し、現地に残りたくない者は退去することになるが、既に10台のバスが彼らを運ぶために到着した由。

・他方北部のイドリブ地域では、スンニ派等に包囲されるところにあった2つのシーア派の村の住民及び民兵6900名を121台のバスが移送し、移送は19日1完了した由。
彼等と交換に政府軍や民兵が拘禁していた1500名と反政府軍36名が釈放された由

・ハイレベル(どこのハイレベルだかは不明だが!)によると、政府とPYD・PKKは、デリゾルのPYDの支配地域にある石油・ガス田の操業再開につき合意した。
シリア石油省はガス田からのパイプラインの6月補修契約につきカナダの会社と合意した由
http://www.alquds.co.uk/?p=977711






トルコのシリア政策の(部分的?)成功

トルコの北部シリア政策(クルド政策)についてhurryiet net は2の記事を載せているところ、それらの要点次の通り

・トルコ外相は21ひ、manbij に関する米との調整は円滑に進んでいて、YPGは7月4日に同地から撤退する予定であると語った。

・他方選挙遊説中のエルドアン大統領は、20日与党の大会で、al bab (トルコ軍等がISから奪還した都市)に、トルコの大学と協力して、応用科学の大学を設立する計画で、大学の授業は本年9月から始まると語った
(この大学の設立というのは事実であれば、今後ともトルコとしては北部シリアに影響力を確保していくという意思の表れでしょうか)
・エルドアンは同時に、北シリアの状況が落ち着いてきたこともあり、トルコ内に居たシリア難民のうち、20万人が既にシリアに帰還したと語った

http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-to-set-up-university-in-syrias-al-bab-as-200-000-refugees-returned-133585
http://www.hurriyetdailynews.com/ypg-to-withdraw-from-manbij-on-july-4-turkish-fm-133592









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