中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

リビア情勢(パリ会議の失敗?)

先にもお伝えした通り、マクロン大統領が国連とともにリビア問題の政治的解決のために開いた、パリ国際会議は29日開かれ、12月10日に総選挙を開く等8項目(選挙の日時以外の合意事項は明記されていないが、選挙実施のための憲法設定等も含まれる模様)からなる合意を発表して閉幕しましたが、これを報じるal qods al arabi net は、代表団が出発するか否かの時点で早くも会議の失敗は明らかとなったとコメントしています。

それによると、haftar将軍の部隊は、前例のない程の激しい砲爆撃を東部の町ダルナに加え続け、同地では食料、水、医薬品、電気も不足して、人道的危機に陥っている模様
またその他の地域でもシバハ等で戦闘が続いている模様
このhafatar将軍側では、「他の連中と同席したことは、何らかの合意を意味している訳ではなく、合意書などに署名もしていない」としている由
これに対して、国家最高評議会議長は、「haftar将軍がリビア軍司令官とは認めておらず、軍司令官はseraj で、haftarはリビアのために過激派と戦っている訳ではなく、ベンガジ等で、自己の政治目的のためにすべての政敵を弾圧している」と語った由
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2018/05/31/ليبيا-الجيش-يصدّ-هجوما-على-قاعدة-عسكرية-في-سبها.html
http://www.alquds.co.uk/?p=945746











リビア問題に関するパリ会議

マクロン大統領がリビア問題の政治的解決のために、紛争当事者4者の他に、19ヵ国代表、4国際機関代表を集める野心的な国際会議を開催する由にて、29日には早速エリゼ―宮で次の4名と会談した由。

  • 統一政府首相:faiz alseraj
  • 軍司令官:kahalifa haftar
  • トブルク議会議長:akila saleha aisa
  • トリポリの国民評議会議長:khalid al mashali
 (これらの並べられた順番は、いずれの報道も同じで、おそらくは彼らの重要度の意識を反映しているのか?)

アラビア語のメディアの中では、al sjarq al awsat が、faiz首相顧問が4者は29日、リビアの占拠をこの12月10日に行うことで合意したと語ったと報じています。

これに対して、al arabia net はそのような報道があると紹介しつつ、今回パリでの会議も現地では楽観的には受け止められてはおらず、結局は現地における今後の状況の進展が、リビアの行くへを決めるであろうとコメントしています。
またこのal arabiya はサウディ系のメディアで、haftar及びトブルク議会支持のサウディの意向を反映してか、リビア問題の難しさはリビアの西部の民兵組織がfaizと同盟して、政治的解決を阻害してきたと、悲観的なコメントをしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=944000
https://aawsat.com/home/article/1283656/%D8%A7%D9%84%D9%81%D8%B5%D8%A7%D8%A6%D9%84-%D8%A7%D9%84%D9%84%D9%8A%D8%A8%D9%8A%D8%A9-%D8%AA%D8%AA%D9%81%D9%82-%D8%B9%D9%84%D9%89-%D8%A5%D8%AC%D8%B1%D8%A7%D8%A1-%D8%A7%D9%86%D8%AA%D8%AE%D8%A7%D8%A8%D8%A7%D8%AA-%D9%81%D9%8A-10-%D8%AF%D9%8A%D8%B3%D9%85%D8%A8%D8%B1
http://www.alquds.co.uk/?p=944000

未だこの国際会議は始まってもいないので、どうなるかは今後の問題かとも思いますが、上記の通り12月10日に選挙を行うことで合意、との報道が流れる可能性もあるので、念のために報告しておきます。
それにしても、マクロンの仏はシリアと言い、サヘル諸国と言い、リビアと言い、最近とみに積極外交をしていることが注目されます。

ハサカにおける仏軍特殊部隊の展開(シリア)

確か数日前に、仏軍約10名以上がデリゾルにミサイル等とともに到着したというニュースをお伝えしたかと思います。

そのニュースとどういう関係になるのかは分かりませんが(同じ部隊のことを言っているのか、別の部隊のことか等)、al arabia net はトルコ通信が現地筋の話として、26日夕シリアのハサカ県の米軍ramilan 基地に仏軍特殊部隊が到着したと報じていると伝えています。
仏軍は、イラクとシリアの国境を行ったり来たりしていて、彼らがハサカ県に駐留するつもりか否かは不明の由。
また仏兵は米軍とともに、クルド兵に伴われて、装甲車等で、ラッカ、マンビジュ、デリゾルの複数地域のパトロールをしてる由。
またクルド(YPG)幹部は、これまでマンピジュで仏兵と2回の会合を持った由。
なお、仏は北部シリアのkobane等5か所に70名の兵力を維持している由。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/04/28/وصول-وحدات-فرنسية-خاصة-إلى-قاعدة-أميركية-بالحسكة.html
どうも断片的なニュースで、その重要性も良く判断できないところですが、このところシリアに対する仏の積極姿勢に関する報道が増えていることもあり、取りあえず








仏軍のシリア展開

仏大統領はシリア内戦に関し、積極的な発言がかなり目立っていましたし、また先日のアサドの化学兵器拠点攻撃には、米英とともに参加しました。
その仏ですが、al qods al arabi net は、シリア政府、反政府双方のソースによると、22日デリゾルに部隊を展開したとのことです。

その数は100名以上で、デリゾルのシリア民主軍支配地域に、ミサイル(防空用か?)、レーダー、装甲車、重火器とともに展開し、今後さらに追加される可能性があるとのことです。
(もっとも、これが仏軍のシリアにおける最初の展開ではなく、これまでもmanbij やtel abyadh 等には配置されていた…トルコ通信によるとクルド勢力の支配地域の5か所の由…とのことです)
記事は、これは仏大統領が米fox news (確か彼は現在公式訪米中のはず)とのインタビューで、米軍等が時期尚早で撤退すれば、アサドの最大の後ろ盾のイランの勢力がさらに伸びるとして、米仏や同盟国はシリア内戦後もそのプレゼンスを維持すべきだとしたことを受けたもので、観測筋はこの配置は、今後米英仏の3国同盟がシリアの東部と北部に勢力圏を維持していくことを示したものと受け止めているとしています。
また仏部隊の展開地域はシリア有数の油田地帯であるとも指摘しています。
http://www.alquds.co.uk/?p=922000
100名程度の仏軍の展開が、どの程度の軍事的意味合いがあるのかは不明ですが、このマクロンの動きがトランプがシリアから撤兵すると警告したことを受けてのものであるとすれば、トランプの恫喝外交もなかなか良く機能している面もあるのかもしれません。





haftar将軍の動静(リビア)

リビアのhaftar将軍については、脳梗塞でパリに移送され入院したとの報道をお伝えしましたが、リビアの実力者であるだけに、種々の噂が乱れ飛んでいた模様です。
haftarについて、al qods al arabi net は仏のハイレベル筋が、将軍はパリの病院に入院し、治療を受けていると語り、リビアメディアの報道を確認したと報じています。
記事は更に、アナドゥル通信(トルコ系)が、同将軍は死亡したと伝えたが、リビア軍報道官がこれを否定したと報じています。
またサウディ(同将軍支持派)系のal arabiya net もリビア軍が、死亡説を否定したと報じています。
他方、これと反対の傾向のカタール系のal jazeera net は、将軍には種々矛盾した報道が流れているとしています
http://www.alquds.co.uk/?p=915986
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2018/04/13/اتصال-هاتفي-بين-المبعوث-الأممي-إلى-ليبيا-وخليفة-حفتر-.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/4/13/أنباء-عن-وفاة-خليفة-حفتر
ということで、現在のところ真相はやぶの中ですが、どうやら将軍が(わざわざヨルダンからパリに移送されたということから見ても)kなり重体であることは間違いなさそうで、仮に死亡説が事実とすれば、リビアの情勢に対する影響は大きいでしょうね。
何しろ第1の実力者が退場するわけですから、どなたかが指摘していたカッダーフィジュニアの株がますます上がる可能性もあろうかと思いますが、当面の情勢は、むしろ混沌の拡大でしょうか?
暫くはリビア情勢も要注目ですね



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