中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

NATO

トルコのNATO批判

トルコはNATOの南翼を担う重要な加盟国であるところ(確かNATO第2の兵力で、ボスポラス海峡から東地中海を扼する地政学的重要性を有している)、このところNATOとトルコの軋みが目立っていたが(確かノルウェイのNATO演習で、銃撃の標的にトルコ建国の父の肖像が使われ、NATOとノルウェイが平謝りに誤ったことがあったかと思う)、エルドアン大統領は与党AKPの集まりで、NATOを厳しく批判したとのことです。

エルドアンは、その中でトルコのafrin侵攻作戦に対して、NATOから何ラン支援もないことに触れ(もっとも、トルコは同作戦は自衛権発動としているも、NATO条約に基づいての集団自衛権の発動は要請していないと思う)、NATOは何をしているのだ!と批判し、その2重基準をを非難した由。
エルドアンは更に、トルコはこれまでNATOから要請があれば必ずその兵士を派遣してきたと強調して、NATOは今次作戦(トルコは自衛戦争と強調)を支援すべきだと強調した由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/03/10/أردوغان-يدعو-الناتو-للتدخل-عسكريا-في-سوريا.html
この発言自体は与党の集まりでのもので、国内的な意味合いのものかと思われるが、トルコの欧米との関係が疎遠化する一方で、ロシア等々の関係が緊密化する状況で(確か4月にはトルコーロシアーイラン3国首脳会議があるはず)、このようなNATO批判が公然と大統領からされるということは、今後のNATOの結束(現在のロシアの強硬なウクライナ政策、シリア政策等に鑑みれば、NATOとしては結束をさらに固める必要があるはず)や欧米諸国との関係に影響を及ぼす可能性もあるかと思い、取りあえず参考まで

ISの2017年の活動(NATO筋のトルコ紙に対するブリーフ)

hurryiet  net は、同紙に対してNATO筋が話したところとして、ISの2017年の活動状況を掲載しているところ、特に目新しいところはないも、取りあえずその要点のみ次の通り

・NATOは、最近その中に対テロ対策センターを設置したが、NATO筋が本紙に話したところでは、2017年の世界中でのISのテロ活動の件数は4600以上を数えた
・それによるとISはシリア、イラクでの支配地域を失ったが、これに対して極めて柔軟に対応しており、意思決定をそれぞれの地方の下部組織に任せたり、リクルート方法も新しい環境に合わせてきている
・NATOとしては、今後ともISの脅威は続くと見ている
・これまで非常に多くの戦闘員が欧州等に帰還するという現象は見られていないが、帰還兵は仮に小数であっても、深刻な治安上の脅威をもたらすので、警戒を怠ってはいけない。
・一つの問題点は、ISや過激派が市販のドローンを購入し、それをテロ活動に用いる等、最新の技術開発を利用している点であると見ている
・しかし、数年前に懸念されたISが、化学兵器を手に入れ、これを使用するという事態は起きなかったし、今後とも警戒さえ続けていれば、ISが化学兵器や核兵器を手に入れることは阻止できると考えている
・もう一つの問題は、世界各国のISに対する警戒と対応が進んだため、生まれた空白を利用して、アルカイダがその勢力と活動を拡大していることである
http://www.hurriyetdailynews.com/isil-conducted-over-4600-attacks-worldwide-in-2017-despite-major-territorial-loses-nato-128112









トルコ部隊のNATO演習からの引き上げ

最近トルコの人権問題やクーデター未遂事件関係者の亡命等の問題で、特にドイツとトルコとの関係がぎくしゃくしているようですが、この事件もそのような一般的なトルコとヨーロッパの関係の悪化が背景にあるのでしょうか?

CNNやトルコのhurryiet net 及びal jazeera は、ノルウェイで行われているNATOの合同演習でトルコに対する侮辱的行動があったとして、トルコがその参加部隊を引き上げ、NATO事務局長や司令官やノルウェイ政府等が、トルコに対して謝罪したと報じています。

一つは、トルコ共和国建国の父アタチュルクの写真が、銃撃訓練の標的として使われた事件で、NATO事務局長は関係者はノルウェイの民間企業の技術者で軍のコントラクターであったが、彼は標的としてアタチュルクの写真を見つけて、それを使用したもので、現在は解雇されてノルウェイ政府が調査中と説明した由。
もう一つは、クルド系のノルウェイ軍将校が偽名を使って、ネットにエルドアンを中傷する記事を載せたとのことで、こちらも職務から外され、ノルウェイ軍が調査中の由。

http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-withdraws-40-troops-from-nato-drill-in-norway-after-enemy-table-scandal-122571
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/11/17/الناتو-يعتذر-بعد-سحب-تركيا-قواتها-بسبب-إساءة

取りあえずの状況は以上で、この問題が今後どのくらい尾を引くかは不明です。
但し、クルド系の将校の犯行?の方は、最近のエルドアンの独裁的やり方やクルドに対する攻撃に鑑みれば、ある意味では起きるべくして起きた事件ともいえるかもしれませんが、建国の父の写真を標的にした方は、意図的か否かは不明ですが(もし意図的とすればかなり根深い対トルコ反感の表れと思う)、トルコにおけるアタチュルクに対する尊崇の念にも鑑み、どうも尾を引きそうな気がします。
取りあえずは、NATO関係者の謝罪で収まるのか、トルコが例えばインチェリック空港の使用問題等まで持ち出すのか等、トルコの対応が注目されます。

リビア情勢(NATOへの協力要請)

リビア情勢については、先日カイロに、統一政府のセラージュ、トブルク議会議長、haftar 将軍の3者が集まる機会(エジプト軍参謀長のあっせん)があったものの、結局3者会談は開かれず(セラージュはhaftarが会談を拒否したとしている)、今後はセラージュが、政治的解決のための工程表を示すことになっている模様です。
他方、NATO事務局長は16日、その協力を求める書簡を15日セラージュ時から受け取ったと発表しました。

その内容は国民的治安機関を創設するためのアドバイスと専門知識の提供とのことです(確か武器については、リビアに対する国連安保理決議で、禁輸されているはず)
NATO事務局長は、NATOは昨年6月にリビアから正式の要請があれば、その治安維持能力の強化に協力することを決定しており、書簡が到着したので、これから正式に検討することになると発言した由。
なお、リビアでは統一政府をシルトをISから奪還した武装組織(主としてミスラタの民兵か?)が支持し、hafatr はリビア国軍と称する軍事組織を支配していて、これらが対抗しているところ、今後NATOは統一政府の軍事組織の強化に向かうのでしょうか?
何しろ、政治的にはセラージュの地位はかなり弱体化しており、タイミングがあっまりに悪すぎるのでは?
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/2/16/الناتو-ليبيا-طلبت-تدريب-وتطوير-قواتها
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2017/02/16/ليبيا-تطلب-من-الناتو-المساعدة-على-بناء-مؤسسات-الدفاع.html















トルコ兵の政治亡命要請(ドイツ)

どうも前代未聞のことが起きているみたいです。

昨年のトルコのクーデター未遂事件で、ギリシャに逃れた兵士が、政治的亡命を要請している事件は日本ででも報じられていると思いますが(確か8名の兵士が政治亡命を要請し、ギリシャ最高裁判所は26日、彼らの引き渡しを禁じる判決を下し、その後もトルコは、その判決は政治的だとして反発している)、今度はNATOの関係でドイツにいた40名のトルコ兵士が政治亡命を求めたとのことです。
al qods al arabi net は、独誌シュピーゲルとうが、NATO基地にいた40名のトルコ兵士が政治的亡命を求めていると報じていると伝えています。
同誌は、独連邦難民局や連邦内務省は、この要請に対して通常の難民要請と同じように対応するとしていると報じている由。
独憲法第16条は、だれでも政治的迫害の恐れのある者は亡命の権利を有しているとしていて、ババリア州与党の専門家は、独が彼らを引き渡すことは絶対にないだろうとして、そうすれば彼らは牢獄に入れられるのが落ちであると語った由。
また独議会の外交委員長も、問題は純粋に法律的な問題で、政治r的な考慮の余地はないと語った由。
ただし、事件の起きたタイミングは、独首相メルケルがマルタでの欧州首脳会議の前に、28からトルコを訪問するときに起きた事件であることから、きわめて困惑するタイミングで起きたとコメントしています
http://www.alquds.co.uk/?p=666659

冒頭前代未聞と書いたのは、これまでもトルコからの政治亡命者の問題はあったと思うが、NATOの同盟国で、その基地にいる同じ同盟の兵士が、政治亡命を求めるなどというニュースは聞いたこともないからです。
上に書いたギリシャへの亡命は、確かトルコからヘリで逃げ出したもので、数も8名と少ないのですが、こんどはNATO基地にいる80名もの兵士の亡命という話ですから、確かにembarassing な話だろうと思います。
しかし、それ以上に、これまでもトルコ政府は、クーデター未遂事件を理由に、2度にわたりトルコ軍部を粛正しているところ、好き嫌いとにかかわらず、ケマルアタチュルクの作ったトルコを、これまで政治的にも守ってきたのは、軍部で、70年代だったかと思うが、国内で左右の対立、衝突が激しくなたっときなどは、軍事クーデターで介入し、内政の安定を回復させたかと記憶しています。
前のクーデター騒ぎの時は、逮捕されたりしたのは一部の高級将校だったと思いますが、今回は非常に広範ににわたる逮捕、追放が行われています。
時あたかも、昨日報告した通り、国際的な格付け会社はトルコ国債の格を引き下げ、安心して投資するに不適当な国と格付けました。
こんな状況で、エルドアンの独裁的色彩が強まる(憲法改正の国民投票も3月か4月の予定)反面で、軍、警察、司法関係者に対する逮捕、追放が続き、それらの期間がさらに弱体化すれば、トルコの安定もさらに不安視されることになるだろうと思われます。
シリアではうまくプーチンと折り合って、表面的にはエルドアンの政権は安定しているようにも見えますが、テロも続発しており、トルコの状況も要注意かもしれません。































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