中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

クーデター

クーデター未遂の後遺症?(トルコ)

クーデター未遂直後と違って、流石にトルコ情勢についてのまとまったニュースはありませんが、断片的ながら、その後もエルドアン政権がギューレングループ等に対する締め付けを続け(強化し)ているニュースが、トルコの他アラビア語メディアでも流れています

・(日本でも報じられたが)ジャーナリスト42名に逮捕状が出た
・外相は大使級の外交官多数が更迭されると語った
・トルコ航空は職員211名を罷免した
・トルコ航空の他でも、他のトルコ会社も数百名の社員を罷免した
・トルコ内相は、警察の情報関係部部局からは事前のクーデター情報は皆無で、クーデター派が内務省内に頭脳細胞を築いていたと語った
・トルコ検察は、クーデターというのは嘘で、政府の自作自演であったという流言を流すものを調査している
・トルコ司法評議会は、トルコの最高裁等に342名の判事等を任命した
・トルコ政府はプーチンが無条件で、クーデターを非難したことを評価し、ロシアとの関係強化を急ぐこととしたが、米政府がギューレンの引き渡しに応じない場合には、米国との関係に影響があると警告した
・軍の国防大学の教授42名が新たに拘留された
http://www.hurriyetdailynews.com/hundreds-fired-by-turkish-companies-after-attempted-coup.aspx?pageID=238&nID=102048&NewsCatID=345
http://www.hurriyetdailynews.com/turkeys-interior-minister-says-plotters-brain-team-among-police-intelligence.aspx?pageID=238&nID=102034&NewsCatID=338
http://www.hurriyetdailynews.com/turkeys-interior-minister-says-plotters-brain-team-among-police-intelligence.aspx?pageID=238&nID=102034&NewsCatID=338
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2016/7/25/أنقرة-علاقتنا-بواشنطن-ستتأثر-إذا-لم-تسلمنا-غولن
http://www.alquds.co.uk/?p=571563
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2016/07/25/تركيا-سنطرد-سفراء-على-خلفية-الانقلاب-الفاشل.html
取り敢えず目に付いたところを取り出してみたのが上記の通りですが、これを見ていると、軍人、司法関係者、教育界にとどまらず、報道関係はもとより、企業にまで粛清の嵐が吹き荒れている模様です。
それにしても、最高裁等の関係者の一挙大量交代に見られるように、トルコ政府はこの際個人の能力や経験には無関係に、イデオロギーに基づく粛清を行っているやに見えます。
また航空会社の職員の大量解雇など航空の安全にさえ影響しかねない問題です。
確か依然、大量のパージでトルコ軍の能力が著しく低下するであろうとのイスラエル紙の記事を紹介した記憶がありますが、この情勢では、軍のみならず、教育、司法、行政その他の能力が(少なくとも短期的には)著しく低下することは避けられないと思います。
このような状況を見ていると、ナチス政権がイデオロギー上の理由からユダヤ系を排除、殺害し、その他でも政権と異なる意見を有するドイツ人を粛清したために、核開発のみならず、多くの分野でドイツの力がかなり低下した歴史を思い出します。
まあ、トルコとナチスドイツは違いますが、イデオロギーに基づく粛清というのは、なにも良いことはないと思うのですが…今後のトルコはまだまだ要注意ですね。

クーデターの失敗(アラビア語紙の取りまとめ)

al qods al arabi net は、失敗したクーデターと今後のトルコについて(もっとも後の方はあまり大した記事ではないが)、これまでの動きをとりまとめているところ、一つの資料としてご参考まで

・エルドアン大統領は23日非常事態に署名したが、その結果クーデター参加の容疑者の拘留期間は最大30日となった。エルドアンは、トルコの非常事態は、国民に外出を禁止するものではなく、国民は街頭に出てデモをしてほしいとして、23日も各地でデモが続いている
・その結果多数のギューレン関係施設が閉鎖された。
それらは15の私立大学、35の保健センター、19の組合、1299の協会、1034の教育施設と寄宿舎を含んでおり、その所有権は公的な機関に移された。
・公的機関の職員で、取りあえず職務停止となったのは、45000名以上で、首相府、家族・福祉省、経済省、科学技術省等に及んでいるが、教育関係では21738名がブラックリストに載り、そのうち21029名が教師である。
またすべてのギューレン関連者を公的機関から排除するために、テロ組織と関係あるものは職務を停止されるとしている。
・エルドアンの攻撃の最大の目標となったのは軍で、エルドアンによれば11160名が逮捕され、その他4704名が拘留された。
大統領警備隊からも300名が22日拘留された(確かBBC等は、エルドアンがこの警備隊・・2500名の連隊規模の由…を解散させると報じていた)
更に逮捕者には167名の警察関係、878名の軍人、1552名の判事および検事、93名の民間人が含まれる由
・今後の軍の改編で、最も変わるのは憲兵隊で、憲兵はその全体が軍の管轄から、内務省の管轄に移されるよし。
その他軍でも陸軍、空軍等では今後司令官クラスその他の幹部の総入れ替えが行われることになっており、それだけ大規模な粛清で、軍の能力が大幅に低下することが危惧されている。
・今後米国との関係の悪化が懸念されているが、22日アンカラの刑事裁判所はギューレン・グループに対する告発状を受理したが、その告発状には彼らは個人的にも組織としても米政府及びCIAの指揮下に活動してきて、同グループはトルコ及び世界中で、1億5000万ドルの不動産、銀行その他の資産を有していると非難している由。
オバマ大統領は、ギューレン師の引き渡しについて、証拠が提供されれば、米政府としても協力すると発言したが、トルコ首相はクーデター勢力が国民を殺した以上の良い証拠があろうか、などと発言している。
またトルコ外相も、米国との対テロ協力とこのクーデター後の処理での協力を結び付けると発言している
・欧州諸国からの批判の声に対しても、エルドアン大統領は、彼らの立場は矛盾に満ちていると反論し、特に死刑の復活については、国民がそれを望むのなら、それにこたえるのが民主主義であると反論した。
またEU加盟交渉での取り扱いについても大きな不満を表明した。
http://www.alquds.co.uk/?p=570532

クーデター未遂(風刺画)

23qpt777[1]トルコのクーデター失敗に関する風刺画です。
題は「レッド・カード」です。
説明も不要なほど単純な風刺画ですが、やはりトルコ政治における軍の大きな役割の終焉を指しているのでしょうね。
http://www.alquds.co.uk/?p=570427

トルコクーデター未遂(風刺画)

18qpt777[1]日本でも本日から「ポケモン ゴー」が配信され始めたとのことですが、これはポケモンゴーとトルコのクーデターをもじった風刺画でしょう。
題は「エルドアンがクーデター関係者を捕まえようとしている」というものです。
風刺が効いているとはいいがたいが、それにしても中東でもポケモンゴーは流行っているのでしょうか?
http://www.alquds.co.uk/?p=567770

クーデター未遂(イスラエル紙の分析)

トルコのクーデター未遂については、何度か疑問を書いてきたし、先日はynet newsの解説を紹介しました、19日付のy net nwews は「失敗したクーデターはトルコのイラクかをもたらす可能性があるとの分析を載せています」
確かに、一度にこれだけ大量の軍人、警官、司法関係者を逮捕、追放した後の、国家がどうなるのか、誰でも気になるところですが、イスラエルとしては、再起にようやくトルコとの関係修復にこぎつけたところで、大いに気になるところだろうと思います。
記事の要点のみ

「トルコ外相は、トルコ政府が事前に逮捕者リストを用意したことはない、、と盛んに否定している。もし、それが事実なら、事前の用意より酷い話になる。
要するに、トルコ政府は怒りのために、手当たり次第に数千人以上の、政府関係者を逮捕、追放したことになる。
この逮捕劇はトルコのイラク化の前触れの可能性が強い。米国はイラク占領後に、全てのバース党員を追放し、イラクの混乱と不安定をもたらした。
トルコメディアによれば、10000名以上の公務委員が逮捕されたり追放されたりした。如何なる組織でも、一時にそれだけのメンバーを排除することは、組織の危機を意味する。
エルドアンは2013年まではgullen 運動と幸せに協力していたが、その後けんか別れをして、軍、警察、司法、言論界等トルコ体制からの彼らの追放を図ってきた。
エルドアンは政権を握ってから、体制の要所から(世俗派の)反対者を排除し、その支持者で後を埋めてきたが、その中には政権の認めるgullen主義者も含まれていた。
このため政府は瞬間的にgullen主義者のリストを用意できたと考えられるが、そうでなければ、手当たり次第の粛清でgullen 主義者もそうでないものも含まれていることになる。
問題は、、誰が彼らの穴埋めをし、彼らはどこからきて、その素質はどうかということである。
トルコはイラクとシリアと隣接しており、ISはトルコに対する攻撃を強めており、PKKとの戦闘も激しくなりつつある。このようなときにトルコは、最善の人員を必要とし、十分周囲に注意を払っていなければならない。
トルコ政府はこのような挑戦に対して、gullen 主義者の排除を徐々に行う必要があったが、過去14年間の間の公務員の交代はトルコ国家を既に弱体化させており、今回の大量粛清はさらにトルコを弱体化させる危険を有している。
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4830611,00.html
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