中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

化学兵器

米英仏のシリア攻撃?(ロシア国防省の警告)

イドリブを巡る情勢が緊迫化しつつあるところ、先日、米英仏はアサド政権に対して、イドリブ攻撃では化学兵器を使用しないように警告したことは報告した通りです。

この問題について、al qods al arabi net はロシア国防省報道官が25日、米英仏の3国はアサドが化学兵器を使用したとの口実の下で、シリア攻撃の準備を進めていると警告したと報じています。
これはロシアのスプートニク通信が報じたところのようですが、報道官はその中で、イドリブの反政府軍が化学兵器を使用し、それをアサド軍の所為にしようとしている、と警告した由。
更に、彼は英国の私的な機関(傭兵機関?)が訓練した兵員がイドリブに潜入し、化学兵器を使用しようとしているとも警告した由。
現在までのところ、この3国からの反応はない模様。

http://www.alquds.co.uk/?p=1002181

このロシア国防省の警告がいかなる情報に基づくものかは不明だが、一つの可能性としては、シリア政府軍が化学兵器を使用する計画であることを承知していて、あらかじめそれに対して、米英仏が対応して攻撃しないように釘を刺したというもの。
反政府軍の化学兵器使用と言う話もその一環の可能性が強い。
皮肉な見方をすれば、あれだけトランプの発言や行動で、摩擦を起こし、不協和音の目立つ米国と英仏が現時点でそのような共同行動がとれるとすれば、腐っても鯛で、大西洋同盟は未だしっかりしているのかもしれない。

東ゴータ情勢(毒ガスの使用?)

東ゴータについては、ほぼ90%以上を政府軍が制圧し、残る大きな地点はdumaだけとなり、ここを支配するイスラム軍の撤退について、交渉が続けられていました。
交渉については、ロシアとの間で撤退と停戦が合意されたというニュースと、これをイスラム軍が否定したという矛盾したニュース流れていました。

このうち、合意はないというニュースが正しかったのか、それとも政府軍やヒズボッラー等が長引く交渉で、我慢しきれなくなったのか2日前頃から地上及び航空機による攻撃を再開しいた模様です。

この攻撃で、自主民間防衛組織(いわゆる白いヘルメット)によると、多数の住民、主として婦女子が呼吸困難な症状を訴え、症状から見て塩素ガスとサリンが使用された可能性が強いとしている由。
白いヘルメットによると、死者は150名に上り、更に増える可能性がある由
他方政府系のメディアは、政府軍の化学兵器使用を否定し、これはイスラム軍お宣伝委すぎないと主張した由。

この事件に関し、米国務省は化学兵器が使用されたというニュースを重大な懸念をもって受け止めており、これまでの政府軍の化学兵器使用の歴史に鑑みても、その使用には疑いがないとみているとして、この問題については最終的にロシアに責任があるとした由
(おそらく、これまでロシアが度々安保理の拒否権で化学兵器を使用したアサドを擁護してきたから、という意味かと思われる)

他方反政府軍も、ダマスに対して砲撃を加え、メッゼ、オマイヤドモスク近辺、ベルザ等で住民15名が死亡し、30名が負傷した由。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/04/07/قذائف-على-أحياء-سكنية-في-دمشق-تقتل-15-مدنيا.html
http://www.alquds.co.uk/?p=912487
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/4/8/النظام-يمطر-سكان-دوما-بالغازات-السامة
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/04/08/واشنطن-نتابع-تقارير-مقلقة-عن-هجوم-كيمياوي-بسوريا.html

確かトランプ政権は、先に政府軍の化学兵器使用に対して、巡航ミサイル等で懲罰攻撃をしたことがあり、その後もトランプは確かアサドがさらに化学兵器を使えば、軍事力の行使も辞さないと発言していたかと思うが、今回はこれまでのところ黙っているようですね。
トランプはどうするつもりでしょうか


シリアの化学兵器問題

アサド政権の化学兵器使用問題は、何やら深刻な様相を帯びてきました
(勿論、化学兵器=毒ガスの使用問題そのものが深刻な問題ではありますが、どうやら問題は更に拡散する可能性を示してきた模様です)

アラビア語メディアからとるまとめたところ
・イスラえる放送は、イスラエルはアサドが国境近くで化学兵器を使えば、断固たる措置をとると警告したと報じたが、これはイスラエルの近くでの化学兵器の使用は、ガスがイスラエルに流れ込む危険があるからである。
この警告はイスラエル外務省が、外国駐在の複数のイスラエル大使にあてたものに含まれ、大使たちはこの警告をそこの国の政府に伝えるように訓令された由にて、その中でイスラエルはゴラン高地におけるガスの使用は、イスラエルに波及する可能性があると懸念しているとしている由。
訓令は更にイスラエルは、国際社会はイランに対して圧力をかけ、その兵力をシリアから撤退させ、イランが中東を不安定化するのを阻止するべきであるとしている由。

・(上記イスラエルの警告に先立ち)マクロン仏大統領は、13日記者団に対して、シリア内戦で化学兵器が市民に対して使われたならば、仏は軍事的攻撃を加えるであろうと語った由。
また大統領は9日プーチン大統領との電話で、最近シリアで塩素ガスが使用されていることに対して懸念を表明した由。

・他方、al arabiya net は、シリア政府筋が、シリアでの化学兵器開発の責任者であったシリア軍少将が14日殺害されたとしていると報じています。
この話は極秘の話とのことで、どこでどのようにして殺害されたかは不明だが、政府系紙のネットは、その葬儀の写真を報じている由
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/15/مقتل-ضابط-كبير-يعمل-بإدارة-الحرب-الكيمياوية-في-سوريا.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/02/14/ماكرون-فرنسا-ستضرب-إذا-استخدم-كيمياوي-في-سوريا.html
http://www.alquds.co.uk/?p=880665
仏大統領の警告は、アラビア語メディアが広く報じていましたが、仏の場合「口先だけ」という場合が少なくなく、また仏としてはシリア政府の化学兵器使用に関する具体的証拠も有していないような書き方もあったので、特に報告しませんでした。
しかし、イスラエルの警告の方は、それがもし事実であれば、より深刻で、イスラエルが報復攻撃を仕掛けることは十分あり得る上に、イスラエルを大好きで、シリアの化学兵器使用に対しては、既に報復の攻撃をしている実績のあるトランプ政権も、黙っていないことはほぼ確実と思われるので、合わせて報告して置きます。
なお、シリアの化学兵器開発責任者の少将の死亡については、仮に事実であれば、スパイミステリー並みの話で、モサドとかが疑われることになるのでしょうが、今のところ事実関係も不明確です。







シリアの化学兵器使用問題(安保理審議)

シリアのアサド政権が、塩素ガス等の化学兵器を繰り返し使用している疑惑に関し、安保理は5日審議をしましたが、アラビア語メディアは、米ロの対立で、合意に失敗したと報じています。

米国はアサド政権が繰り返し塩素ガス等を使用し、婦女子を含む民間人多数が被害を受けたことを強調し、責任者は処罰されるべきであるとして、英米仏共同の決議案を提出した由。
この決議案は、安保理と化学兵器禁止条約機構の、シリアの化学兵器に関する調査委員会が、2017年(確かロシアの)拒否権でその任期延長ができなかったことを受けて、これに代わる調査機関を設置しようとするもの由。
これに対して、ロシア代表はロシアとしても客観的、透明性のある調査は必要と考えるが、現在いつ、どこでアサド政権が毒ガスを使ったのか、具体的な証拠がないとして反対した由。

さらにこの決議案との関連は不明ですが、米国は最近のシリアにおける化学兵器使用を非難する(議長)声明の発出にもロシアが、遅延作戦をとっていると非難した由
ロシア代表は本国との協議に時間が欲しいとした由
http://www.alquds.co.uk/?p=874275
http://www.alquds.co.uk/?p=874348
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/5/فشل-إدانة-كيميائي-سوريا-وتلاسن-أميركي-روسي
ということで安保理は、これまでと同様に、ロシアの反対で、実質的な行動を起こすことができない状況にありますが、米国のトランプ政権は、シリアの化学兵器問題に対し、口先だけで強硬なことを言ったが腰砕けになったオバマ政権とは異なり、昨年実際にシリアの空軍基地をミサイル攻撃しています。
今回も米国からは軍事行動の可能性を示唆する発言も出ており、ロシアと米国はどう動くのでしょうか?



シリア情勢

afrin地域以外のシリア情勢について次の通り
トランプ政権の化学兵器使用に対する警告にもかかわらず、、アサド政権は相変わらず塩素ガス等を使用している模様ですが、和平の動きが本格化する前に、主要なところを制圧しておきたいが、反政府軍の抵抗が強くて、なりふり構わず…ということなのでしょうか?

・政府軍機及びロシア機は、イドリブ近郊の複数の町に対する激しい空爆を続けている。
これは政府軍及びその同盟(ヒズボッラーと革命防衛隊か?)が地上で攻勢をかけているのと同時期に行われた
空爆された町はkafar nabal,muasran,maarat al naaman等であるがsarakob(いずれもアラビア文字からの訳)では塩素ガスの攻撃が行われた。
特にmaarat al naamanでは、病院が激しく攻撃され、死傷者も出て、病院は機能を停止した
これらの攻撃での死者は11名である
・他方、sarakobでは、攻撃ヘリから塩素ガスを含む爆弾(複数)が投下され、9名が窒息症状を呈した。
地元関係者は、攻撃後のにおいから直ちに塩素ガスが使用されたと認識した由。

・ダマス近郊の東ゴータでは、duma,arabin,harasta,sheikhuniyaの住宅地に対する政府軍の砲爆撃で、住民6名が死亡した。
これらの町に対する政府軍攻撃は反政府軍が撃退し、政府軍に大きな損失が出た。
これらの地域では、特に政府軍がharastaの町を包囲しようとして攻撃を続けているので、今も戦闘が続いている。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/4/قتلى-بإدلب-واتهام-للنظام-بقصف-سراقب-بالكلور













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