中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

中東紛争

第4次中東戦争の回想

以下の話は昔の回想の類で、現在のニュースではないので、暇のある方がお読みください。但し、話としては面白いと思います。

イスラエルでは、最大の祭日の一つの、ヨムキップール(贖罪の日)が始まりますが、最近の西岸とかの緊張状態に鑑み、イスラエル軍、警察等が最大限の警戒態勢を敷き、パレスチナ労働者の入境が禁止され、多くの道路に検問所が設けられ通行が止められるとのことです。

ヨムキップールというと、1973年にこの日を選んでエジプトとシリア軍がシナイ半島とゴラン高地の奪還を目指す、第4次中東戦争を開始したことで有名です(エジプトではラマダン戦争と呼ぶ)。
この戦争では、サダト大統領の巧みな陽動作戦等もあり、イスラエルは奇襲攻撃を受けて、エジプト軍のスエズ運河渡河を許し、これに反撃しようとしたイスラエルのエリート部隊の機甲部隊の戦車と航空機が、エジプト軍のサッガー対戦車ミサイルとSAM6地対空ミサイルの餌食となり、多数が撃破され、ゴラン高原でもシリア機甲部隊の進出を許し、イスラエルは深刻な安全保障の危機に直面しました(確か、誰かの本で、当時のイスラエル首相のゴルダ・メイヤーがニクソン大統領に、至急大量の戦車、航空機の供給を要請し、米国がこれに応じなければやむを得ず核兵器を使うことになると脅迫したという話を読みましたが、真偽のほどは勿論不明です。
これに応じたニクソンの指示で、米軍はその備品である戦車や航空機までひっぺ返して、イスラエルに供給したが、米軍の大型輸送機が直接シナイ半島に輸送したはずです)。
こんな昔の話をなぜ書くかというと、al qods al arabi net が、当時のモサドの長官の回想として、1973年10月12日、イスラエルの戦争内閣が開かれていて、国防大臣のダヤン(独眼竜ダヤンとして有名だった)が、非常に悲観的な報告をしているときに、モサド長官あてに電話がかかってきて、エジプトの有力者(イスラエルのスパイ)を担当している部下から、エジプト軍の次の作戦について詳細な計画や参加部隊の報告があったとの報告があり、これを聞いた閣議の雰囲気ががらりと変わったと回想しています。
エジプト軍は、更にシナイ半島深く進攻し、ヘリからの大規模降下作戦を計画しているというものだった由
(報告の話はここまでですが、要するにエジプト軍がスエズ運河の線からあまり深く入らない場合には、SAM6の援護下にあるが、半島深く進攻すれば、SAM6の保護下から離れ、イスラエル空軍お餌食になるというもので、実際にもそうなりました)
また、当時のモサド長官はこのスパイはナセル大統領の娘婿のマルワンではないとしています(氏名等は不明。未だ生存している人物でしょうか?)
実は、ナセルの娘婿マルワン・・確か金持ちの実業家だったと思う…がイスラエルのスパイであったという話は昔から有名で…元モサド長官もその回想の中で、マルワンがスパイだったことを認めている…彼は、かれこれ20年くらい前だったかにロンドンの自宅のフラットのバルコニーから転落して死亡したが、ナセルの娘は、それはマルワンに対するエジプト情報当局の仕返しであるとして、英当局に厳重な調査を要求していました。その後どうなったのでしょうかね?

なぜ、こんな昔の話を書いたかというと、どういう偶然か知りませんが、本日午後のBBCが英国情報部MI6の職員で…将来のMI6長官を嘱望されていたと言われている…ソ連KGBのスパイであったキム・フィルビィの展示会がモスクワで開かれ、ロシア対外情報局長がフィルビィは英雄だったとして、その未亡人を慰めていたというニュースを流していたこともあります。
当時の東西のスパイ合戦は多くの人の関心を引いていたものでした。面白い小説もスパイものが多かったような気がします。
ttps://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5022728,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=799511

トランプの義理の息子のパレスチナ訪問

中東を訪問中のトランプの義理の息子で上級顧問のクシュナーは、イスラエル首相と会談した後、24日夕刻ラマッラーでパレスチナのアッバス議長と会談しました。
その会談で、クシュナー氏は、トランプ大統領はパレスチナ問題の平和的解決にコミットしていて、楽観的であり、問題の最終的ディールを目指していると伝達したとのことです。
これを伝えるy net news は、クシュナーの楽観的言葉とは裏腹に、パレスチナ問題について何らかの重要な進展がある兆候はないとして、それはパレスチナ側の2国家方式への固執とイスラエル側のパレスチナ人の帰還の権利に関する懸念からであるとして、米側は2国間方式についてはあいまいな立場をとったとしています。
他方、al qods al arabi net は、米側はパレスチナが強く希望し、そのために積極的に働きかけてきた2国間方式による解決を無視し、域内諸国間の関係改善(要するにアラブ諸国とイスラエルの関係改善)と経済的な解決に傾きつつあるとの疑念を抱いたとしています。
同紙はさらに、この見方はjerusalem post 紙が、イスラエル外務省とトランプ政権は2国間方式には縛られてはおらず、米国に対しこの問題で立場を明確にするようにとの圧力に抗していると報じたことと、軌を一にしているとしています。
http://www.alquds.co.uk/?p=778196
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5007479,00.html
どうもトランプ大統領の政策の進め方について、よく理解できていませんが、長年歴代の米大統領をも巻き込んできた、長い歴史を持つこの複雑な問題を、これまで外交経験も全くない不動産屋の若い息子に任せるという点からして、「最終的ディール」を目指すという彼の言葉とは裏腹に、中東和平の解決にどの程度真剣なのか、はなはだ疑念を持たせるところです。
いずれにせよ、問題山積で、中東に限っても、イラン問題、シリア、イラク、イエメン問題等々多くの難問を抱えるトランプ政権にパレスチナ問題に真剣に取り組めと言う方が無理ではないかと思います。
取り敢えずの感じとしては、中東和平の解決に米国も取り組んでいるという姿勢を示すことが大事、と言う程度の動きではないかと見ています。





アクサモスクとアラブ連盟(風刺画)

23qpt777[1]先日、アラブ連盟事務局長が、アクサモスクはred lineだなどと犬の遠吠えをしたことをお伝えしましたその風刺画です。

アラブ連盟のネクタイをした男が地面に赤い線を引て、アクサ問題はred line だなどと大見えを切っていますが、その横をイスラエル兵が彼など無視して、どんどん進んでいます。
http://www.alquds.co.uk/?p=758566

アラブ連盟のイスラエルに対する警告

アクサモスクを巡る騒動は、どうやらイスラエルが電子検問所の代わりに監視カメラとか、従来の監視体制を併用する方向で、収まりつつあるように見えますが(何しろ、非常に感情に働きかける問題ですから、アラブ、イスラエルとも何かのきっかけで、また火が付く可能性もあるので楽観できないが)、al qods al arabi net はアラブ連盟の事務局長が、アラブ諸国にとって、エルサレムはred lineで、イスラエルは火遊びをしているとネタニアフに、警告したと報じています。
http://www.alquds.co.uk/?p=758256
このニュースを報告したのは、アラブ連盟が警告したのが重要だから、ではなく、結局アラブ連盟は今や無用の長物に成り下がり、アラブ諸国であれば、誰も文句を言わないアクサ問題くらいにしか発言できず(シリア内戦、イエメン内戦、カタール問題、リビア内戦でも、アラブ連盟は実質的に無に等しい)、しかもred line などと大げさな発言をしながら、イスラエルがそれを超えた場合に何ができるかなど、アラブ諸国と協議した様子もない、ということを言いたかっただけです。
考えてみれば、アラブ連盟はww2前にエジプトを実質支配してた英国が、その後の中東を支配する目的から、当時最強の軍事政治勢力であったエジプトを中心としたアラブの協力機構を作らせたものでした。
所が英国の意に反して、ナセル大統領がアラブの英雄となってからは、エジプトの中東政策を推進する機関としてのそれなりの役割を果たしてきました。
ところが、アラブ内におけるエジプトの比重の低下に伴い、アラブ連盟の重要性も低下し、最後に何か積極的なことをやろうとしたのは、シリア内戦に対する停戦監視団の派遣でした。
ところが、これがアサドの非協力のために機能せず、それ以来アラブ連盟が、アラブ政治で何らかの積極的役割を果たしたという話は絶えて聞きません。
ここでも、随分前からポスト冷戦が進んでいるのに、アラブ間国際関係がそれに追いついていないという一つの例かも知れません。


アルアクサ・モスクと金曜礼拝

エルサレムのアクサ・モスク(イスラエルではtemple mount と呼ぶが)はアラブ、イスラエル双方にとって、エルサレムでも最も重要な土地で、これまでもそこを巡ってなんども衝突や対立が起きています(最も有名なのはシャロンが護衛を連れて訪問を強行し、確か第3次インテファーダのきっかけになった事件だったかかと思います)が、明日の「金曜礼拝」を前に、緊張が高まっていて、イスラエルもヨルダン(67年戦闘前の東エルサレムの支配者で、戦争後も、特にヨルダンとの平和条約で、ヨルダンのワクフが、、丘の上の聖地の管理権を有している)に特使を派遣して、妥協策を模索しているとのことです。
交渉にはヨルダン国王も関与していて、またパレスチナのアッバス議長も外遊を切り上げて帰国した模様です。

事件はどうやら、先週アクサの丘の上からパレスチナ人3名?が、下の警備のイスラエル治安部隊に発砲したことから始まり、当初イスラエル側はパレスチナ人に対して、丘への立ち入りを全面的に禁止したが、その後徐々に緩和し、現在では主要通路に金属感知器を設け、この感知器を通ることを義務付けている由。
これに対して、パレスチナ人側が反発し、宗教指導者は感知器を通るよりは、丘の外側の道路の上で礼拝をすることを呼びかけている由。
また、ヨルダンのワクフ(旧市街のモスクも管理している模様)は、アクサ・モスク以外のエルサレムの全てのモスクを閉鎖し、信者に対してはアクサモスクの外側の道路で礼拝をするように呼びかけている由

このところ、アクサモスクを巡る緊張のため、数万の信者が道路で礼拝をしている由なるも、更に多数の信者が詰めかけた場合、礼拝終了後に怒りが爆発して、不測の事態が生じることが懸念される由

このため、ネタニアフの側近、シンベト(イスラエルの対内情報機関)長官を含むイスラエル代表団が、ヨルダンでヨルダン側と妥協案について協議しているが、検討されているものの中には、感知器の管理や監視に国際的人員が当たる、感知器を取り去り、監視カメラ等で代替する等の案も出ているが、イスラエル警察は、感知器の撤廃に強く反対している由。

現在現地では木曜日の朝で、金曜日までは24時間に迫っていると思われるところ、妥協が成立し、大きな流血が避けられるのか、注目されています
取りあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=756339
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4991752,00.html








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