中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

中東紛争

「世紀の取引」(風刺画)

14qpt777[1]「米の世紀の取引」と題する風刺画です。
右上には「米の世紀の取引」と書いてあり、墓石にはパレスチナ問題と書いてあります。
真ん中で差配をしているのが米、生き埋めにしているのがイスラエル、左でなるべく見ないようにしているのがサウディやエジプトでしょうか?
http://www.alquds.co.uk/?p=861100




エルサレムに関するエジプトの本音(録音テープの漏えい)

al jazeera netとal qods al arabi net とy net newsは、NYtimes が、エジプトの本音はパレスチナの首都はエルサレムではなく、ラマッラ(現在の暫定政府のある西岸の都市)と考えているとの証拠の録音を入手したと大きく報じています。
その録音は、ジャーナリスト等に対して言論指導をする役割の情報局の担当者の発言の録音で、彼はエジプト政府は公式には他のアラブ政府とともに、エルサレムはパレスチナの首都と言わざるを得ないが、エルサレムとラマッラで何が違うのか?と自問し、エジプト政府等が最も恐れているのは、インティファーダが激化し、ハマスが復活することであるとした由。
これらの中で、y net newsは、更にアラブ諸国の公式的な立場は不変で、6日開かれたヨルダンでのアラブ外相会議は、トランプのエルサレム宣言を拒否し、エルサレムを首都とするパレスチナ国家の設立を支持することを確認したと報じています。
この点に関して、al arabiya net (サウディ系)はエジプトでの情報漏えいには触れず、サウディ外相がヨルダンでの会議後、エルサレムが不変のパレスチナ首都であるとの確固たる立場には変化はないと語ったと報じています

エジプトでの漏えいに関する記事の要点は下記の通りで、当然のことながら、京都で公開情報しか見ることのないものとして、その事実関係の判断はできませんが、極めて一般的に言えば、アラブにとって建前の強硬論と、現実の政策が大きく異なることさして珍しいことでもなく、特にエルサレム問題などという機微な問題に関してであれば、十分あり得ることと思います。
また、トランプ宣言に対するエジプトの物言いが、どこか奥歯にものが挟まった感じであること、また安保理にトランプ宣言反対の決議案を出しておきながら、米国から援助削減の脅迫もなく、またエジプト政府もこれを危惧しているようにも見えないことも、このニュースと符合する話かと思われます。
更に言えば、良く引用するアラブメディアの中で、al arabiya net だけが、この漏えいの話を一切報じていないことも、符合する感じを与えます。
イスラエルのネットがエジプト情報局員が、「エルサレムにそれほど固執するなら、バスを提供するからエルサレムに行って戦えばいい、我々は戦うつもりは一切ない」と語ったというのも、極めて迫真性の在る発言のように見えます。
おそらくは、米政権とサウディ、エジプト等の間で、基本的に何らかの了解ができていたと見ることが、これまでの経緯からすれば、事実に即しているのかと思いますが、エジプトのマスコミではすでに上記のラインでの、報道が行われている模様です。
当面エジプトの世論等はこのような手法で、誘導できるのでしょうが、一般的なアラブ世論、更にはエジプト内のムスリム同胞団系等々のイスラム主義者から厳しい反応が出る可能性もあり、今後エジプト等も難しいかじ取りを強いられる可能性もありそうです。

「NY times は、マスコミの報道指導担当のエジプト情報局員が、ジャーナリスト等に対して、エジプト政府は公式の建前上はトランプ宣言に反対であるが、本音ではこれを受け入れていて、パレスチナ指導部に対しては、パレスチナの首都はラマッラとするように働きかけている、と語った録音テープを入手したと報じている。
彼はashraf al kholiという名前の情報機関員で、パレスチナ問題についてマスコミ及び議員たちに対して世論指導する職務のもので、彼は、アラブの国の政府として、エジプト政府もトランプ宣言には反対せざるを得ないが、エジプトにとってはイスラエルとの衝突を避けることが国益であるとして、聴取者に対してこの宣言の受入を説得する必要があるとした由。
そして彼はエルサレムとラマッラの間に何の差があるのかと自問し、何もないではないかとした由。
また彼はパレスチナ人はこの動きに抵抗できないが、エジプトも種々の問題を抱えており、彼らのために戦争をするつもりはないと語った由。
彼はまた、問題はインティファーダの激化で、インティファーダはエジプトの利益にはならず、ハマスを復活させるだけであるとした由。
ny times はこのテープを信頼できる筋で、反シーシのものから入手したとしているが、ソースはあかせないとしている由。
またテープによれば、情報局員は4名のジャーナリストに説明したが、そのうちの1名のみがその事実を認めている由。また現実に、エジプトのマスコミはこの方向でニュースを流している由
記事は更に、エジプトの情報局は、このような形で世論操作をしているが、その一つとして、情報局員はカタール首長を(攻撃の)対象としていると語った由。



http://www.alquds.co.uk/?p=856441
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2018/01/06/6-دول-تجتمع-في-عمّان-لبحث-قرار-ترمب-حول-القدس.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/1/6/تسريبات-تكشف-قبول-السيسي-قرار-ترمب-بشأن-القدس
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5067140,00.html



米国のUNRWA向け拠出金凍結

先に、米国がパキスタンへの安全保障関連援助を凍結したというニュースが流れていましたが、今度は国連のパレスチナ難民向け援助への拠出金の凍結です。

al qods al arabi net は、ロイターが複数の外交官等の証言から、米国がUNRWA(パレスチナ難民に対して食料、教育、就職教育等をする機関。国連の援助機関でも最も古いものの一つで、米国が最大の拠出国だが、一時は日本も第2位の拠出国であった。現在はどうなっているでしょうか?)に対して、1億2500万ドルの拠出を凍結したと報じています。
(イスラエル放送も年末に同じことを報じた由)

米国は現在毎年3億ドルをUNRWAに拠出していて、上記1億2500万ドルはその3分の1近くに相当し、支払期限がこの1月の由。
米国のパレスチナ向け援助削減のお脅しに対して、アッバス議長は、エルサレムはパレスチナにとって神聖な場所で、金貨や銀貨のために売買するものではないと語っている。

http://www.alquds.co.uk/?p=855985

トランプの露骨なドル外交ですが、百歩譲って、トランプとしてはパレスチナ政府のやり方が我慢ができずに、何らかの報復をするとしても、UNRWAというのは、パレスチナ政府の下部組織ではなく、れっきとした国連機関で、独自の職員をもって、学校を維持し、食糧援助をしているもので、これに対する拠出金を凍結することは、パレスチナ政府ではなく、パレスチナの子供たちを罰することを意味し、国際社会に大きな不信感を残し、将来の米国の外交にとっては大きな負担となる可能性があるかと思います。
もっとも彼はそんなことには無頓着でしょうが・・・・・

ヨルダン国王異母兄弟の軍よりの退役

ヨルダン国王が実弾射撃演習に参加し、そのことが広く広報されたことは昨日だったか、報告しましたが、この件が現在のヨルダンの抱える危機と関係があるか否か、またあったとしても、その意味は不明ですが、al jazeera net はヨルダン国王が彼の異母兄弟等を軍から退役させたと報じています。

それによると、退役したのはファイサル・ビン・フセインとアリ・ビン・フセインで、その他タラ―ル・ビン・ムハンマド王子も含まれる由。
国王は、この退役は他の高級将校と同じ扱いで、軍の組織改革の一環であるとして、前者を名誉中将、後者を名誉少将に任命した由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/27/ملك-الأردن-يحيل-ثلاثة-أمراء-للتقاعد-من-الجيش

これだけの記事で、何らかの意味がある政治的な動きなのか、単なる軍内の通常の異動であるのかは不明ですが、何しろ時期が時期で、おまけに王族3名の同時退役というところが気になり、もしかすると軍内部で、別の王子を担ぎ出そうとする動きを抑えようとしたなどの可能性も考えられない訳ではないので、取りあえず、ご参考まで



2国間平和方式の終わり?(イスラエル紙の分析)

河野外務大臣はイスラエルとパレスチナを訪問し、日本としては2国間方式によるパレスチナ和平のために尽力する用意があると表明した模様ですが、y net news は、トランプ宣言と既成事実の積み重ねで、2国間方式は実施不可能となり、2民族からなる解決方式が台頭してきているとの分析を載せています。
この分析は、ヘブライ大学の平和研究所のronnni shakedの手になるものですが、その内容は、極めて現実主義的で、かつパレスチナ側のこれまでのやり方にも好意的なところがあり、非常に興味深いので記事の要点のみ、次の通り。
なお、ネットそのものは英文ですので、関心の向きは下記を直接ご参照ください

「もしパレスチナ人が、ネタニアフ時代に和平交渉が再開されるとの一縷の希望を抱いていたとしたら、それはトランプ宣言で水泡に帰した。
2009年にネタニアフ政府ができて以来、パレスチナ人との本当の交渉などなかったし、現在の政府が続く限り、無いであろう。
そもそもイスラエルの政治辞書に、現在、交渉とか和平とかいう言葉はない。
この間アッバス議長は、ゲームのルールに従って行動してきて、トランプ政権成立後も、米国の新しい和平イニシアティブがあることを期待していた。
然しこの希望はトランプ宣言で踏みにじられてしまった。
アッバス議長は、現在無意味な外交的な手段を有するだけである。
再度国連総会に訴えたところで、具体的なものは何も得られず、パレスチナ国家の実現が早まるわけではない。
彼は更に米国の調停役割は終わったと宣言し、欧州とか別の調停者に期待していると語っている。しかし、欧州諸国は自分たちの問題で忙しく、こんな問題で大きな対価を払う能力も力もない。
アラブに何ができるというのか?
パレスチナ人は上記宣言にもかかわらず、米国の調停以外に、和平交渉はないと理解している。
そのため、第1次インティファーダがイスラエルを交渉に引き出したように、イスラエルに対する暴力の抵抗をしようとし、現在の政権が替わるまでは続けようとしている。
ハマスの方も矛盾を抱えている。ハマスの指導者はこうせんてき言葉を吐きながら、他方ではイスラエルに対するロケット発射等の過激派を抑えようとしている。彼らは戦闘がそのガザ支配を終わらせる可能性があることを知っている。
さらに問題は、トランプ宣言後、アッバス議長がハマスとの和解に興味を示さなくなったことである。
犠牲者はガザの民衆である。
基本的に西岸とエルサレムの状況は大きく変わり・・・45万個の入植者住宅、社会、経済インフラ等…これがトランプの後押しで、恒久的になろうとしている。
これまでネタニアフは、条件なしの交渉と主張しながら、エルサレムは交渉の対象外とし、ユダヤ人のイスラエルの承認を要求してきたが、これにイスラエルの首都としてのエルサレムの承認の要求が加わった。
パレスチナ人の方でも、より若くより宗教的な人々が増えてきたが、外交的な問題解決の前途が見えない中で、フラストを増し、結局は現在の抵抗路線にしがみつくしかない状況にある。
外交的解決の停滞、入植地の増加、多くの土地の実質的な併合は既に、2国間方式の基礎を破壊してしまった。
こうなると、シオニズムの原則に反する2民族解決方式が、無理やり頭をもたげてくるが、この方式は両者にとって、将来破壊的な影響をもたらす可能性がある。
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5061720,00.html








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