中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

中東紛争

ラビン暗殺23周年記念式典

YE0184295_wa[1]あれからもう23年もたつのですね!!

y net news は、ラビンがイスラエル過激派の手で暗殺されてから23年を記念し、多くの記念式典が開かれていると報じています(彼の暗殺は11月4日だったとのことで何故今週かは不明)。

ラビンは参謀総長をやった軍人ですが、その後労働党を率いて首相になるや、PLOとのオスロ合意に署名し、その後ヨルダンとの平和条約にも署名した人です。
(写真。真ん中はクリント米大統領、右が故フセイン国王)

その彼がパレスチナとの和平に反対するイスラエルの過激派に暗殺され、その後の選挙で当然圧勝すると思われていた労働党が、直前のパレスチナ勢力のテロで政権を失い、以来労働党は見る影もなくなり、ネタニアフの下でイスラエルはひたすら占領地併合の既成事実化を進めてきました。

あの当時、今後さしも長かったパレスチナ問題にも両者の歩み寄りで、平和的な解決が訪れるだろうという、明るい希望がパレスチナ(イスラエルとパレスチナ)にあふれていたのは、何処かへ行ってしまったようです。

23年という時間の間に占領地の状況は大きく変わってしまったし、なによりも常に和平の仲介者であった米国に、トランプなどと言う一方的なイスラエル支持者が大統領として出てきて、当面パレスチナ問題の平和的解決など夢の又夢になりそうです。

トランプの国連演説(風刺画)

26qpt777[1]朝方報告したトランプの国連演説が早速風刺画になりました。

題は、「和平に関するトランプの国連演説」で、かなりどぎつい表現ですが、トランプが嬉しそうに話す端から、パレスチナ人でしょうか、トイレに流しているという構図です。
敵意と軽蔑がまじりあった風刺画でしょうか?

トランプの2国方式解決支持発言

現在国連総会の一般演説が行われていて、トランプを始め各国首脳がNYに集まり、総会で演説をするほかに、各国間の会談や協議を行う、いわゆる国連外交が盛んにおこなわれています(我が安倍首相もトランプと会談したほか韓国の大統領等と、極めて活発な外交を行っていることは慶賀の至りですが・・・)、その中でアラビア語やイスラエル・メディアの特別な関心を引いたのは、(中東のメディアですから当然の話ですが)、トランプがネタニアフとの会談後の記者会見で、パレスチナ問題について2国間方式を支持すると発言したことです。

国連総会での演説やバイ(二国間)の交渉や会談等については、どうせ日本のマスコミも詳しく報じているので、ここでは若干の落穂ひろいをしておきます。

なお、当方NYで現地取材をしている訳でもなく、国連総会だけを専門に追っている訳でも無く、主としてアラビア語メディアの報道から、物事を見ているだけなので、包括的でも正確でもなく、かなりまとまりの無い報告になっていると思いますが、その辺は勘弁していただき、詳しくは日本の所謂大マスコミの記事などをご参照ください

それにしても驚きました。
haaretz net などが、トランプが2国間方式支持を言明するのは初めてのことだと評していますが、確かにトラン政権、特に彼の発言を見てくると彼が2国間方式は歴代米大統領が支持してきた、実現性のない非現実的でパレスチナを甘やかす方式だと非難し、ユダヤ人の国家を追及するネタニアフ政権を全面的に支持してきたことは明らかです。

米報道などでしょっちゅう出てくる所謂「世紀の取引」という言葉も中身は不明なるも、一国方式による解決方式ではないかと理解されてきたかと思います。

それがここにきて、一転して、明確に各国の記者の前で、2国間方式を支持する(もっとも、記事によれば、彼は2国間方式でも2国方式でも、当事者が合意すれば、それでいいが、どうやら2国間方式の方が実現性がありそうで、これを支持すると言った模様)と明言した背景には何があったのでしょうか?

基本的にはこのようなトランプの政策にパレスチナ人自身が激しく反対し、米代表との会談さえ拒否しているために、交渉なるものが全く進んでいないことがあるでしょう。

しかし、報道等からは、トランプとしては、このようなパレスチナを切り捨てることとし、米大のエルサレム移転、UNRWAやその他のパレスチナ人支援を削減または中止することとし、PLOの事務所を追放する等、パレスチナ人抜きで、サウディやUAEなどと組んで、強引に一方的に物事を進める方向で動いていたように思われます。

然るに、このような動きに対しては、中東和平では常に大きな影響力を有しているヨルダンが米国に反対の姿勢を示し、その様な解決はハシミート王国の崩壊を招くと反発しました。

また地理的にも隣接し、パレスチナ問題に深く関係してきたエジプトも、トランプ方式に対しては低姿勢を貫いてきたうえに、エジプトは2国間方式を支持しているとの立場をとっていたように思います。

更に、アラビア語の報道などでは出ていませんが、おそらくはサウディやUAEでさえ、王族や一部の為政者を除いては、パレスチナ人切り捨てのトランプ方式に対する支持は、極めて少なく、両国政府なども次第にこの解決方式に対する熱意が冷めて、と言うかその結末が自分たちの権力に対する脅威となり得ることを薄す薄す感じて、熱意が冷めていったように思われます。

特にサウディでは皇太子の内政・外交に対する独断専行に対する根強い反発があり、皇太子としてもこの問題で強力な指導力を発揮できる立場にはなくなってきたのではないでしょうか?

このためか「世紀の取引」の内容は固まらないままに今日まで来ましたが、トランプは記者会見で、「世紀の取引」は2〜3ヵ月の間に発表されるとして、パレスチナ人は100%交渉に帰ってくると語ったとのことです。

そして、トランプはパレスチナ問題は、彼の第1期目の大統領職の間に解決したいと述べた由!

しかし、物事がこれだけこじれてくると、何時ものトランプ流で、上手くいかない物事はそ知らぬふりをして、別の問題を提起して、逃げ切りを図ることになる可能性が強くなってきた感じがします。

他方、トランプとの間でどのようなやり取りがあったかはもちろん不明ですが、ネタニアフは記者会見では(haaretz net などによると外交的な顔を見せて)、彼も2国間方式を支持するとした由。

但し、彼はそのためにはイスラエルがパレスチナ全土(表現を使えばヨルダンの西から地中海まで)に完全な安全保障の権限と責任を有することが条件であるとした由。

(ということは、要するにパレスチナ国家ができても、その権限はいわば地方自治的なものに限られる…要するにパレスチナ自治区にすぎない・・・・ということで、問題の解決にならないことは自明の理かと思います)

またネタニアフ政権の連立政党の反応としては、彼らが政権にある限りは、2国間方式など実現させないという意見表明がある由。

オスロ合意の蜃気楼(風刺画)

14qpt777[1]オスロ合意が米のホワイトハウスの庭で、イスラエルとパレスチナ(PLO)代表の間で署名されて(1993年9月13日)から25年も経つのですね!

トランプ大統領の登場もあり、オスロ合意は事実上反故となりつつこともあり、すっかり忘れていましたが、アラビア語メディアの中には、ちゃんと覚えていて、風刺画を載せているところもあります。

この風刺画の題は「オスロの蜃気楼」というもので、パレスチナ人がオリーブの葉を持って砂漠の中の水の蜃気楼(オスロ合意)に向かってきたが、どうもおかしいと気が付いたのでしょうか?

確かに今から振り返ってみると、当時世界中の人が、これでようやくイスラエルとパレスチナにも、希望の持てる時代が訪れたとの明るい希望を感じていた時代でしたね。

それが今ではオスロ合意とは蜃気楼だったなどと風刺されている始末です。
夢と希望は現実の世界に常に裏切られるものでしょうか?

パレスチナ青年の失業率の増加

パレスチナの青年、特にガザでは、その失業率が増大していることが指摘されていましたが、al qods al arabi net はパレスチナ中央統計局の数字として、2007年と比し、2017年の数字は大幅ない悪化しているとの記事を載せています。
記事の要点は次の通りですが、青年の失業率の増大と、トランプに全面的に支持されたイスラエル政府の一方的(抑圧的)政策は時限爆弾的な危険性を有しているという気がします。

中央統計局が「青年の日」に発表した、数字によれば、2017年の青年(15〜29歳)の失業率は2007年の30・5%から41%に増大した。
ヨルダン川西岸では25・6%から27・2%への増加であったが、ガザでは39・8%から61・2%へと大幅に悪化した。
またパレスチナ人口の3分の1は青年であるが、その人口構成に占める割合は、28・2%から29・2%に増加したが、数字に直すと137万人となる。
その他の統計では;
パレスチナ人の文盲は1・1%から0・6%に減少した
青年で雇用されているもののうち、意思決定階層にいるものは1%に過ぎない
ガザの青年の3分の1は移民を考えている
http://www.alquds.co.uk/?p=993675





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