中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イスラエル

シリア・イスラエルの緊張

どうもイスラエルの北部戦線がきな臭くなりつつあるのでしょうか?

一つはhaaretz net によれば、IDFはアラスカでの米空軍との共同演習に参加する予定であったF15機(複数)の参加を、情勢が緊張しているためとして取りやめたとのことです

他方、ホムスのシリア軍基地が攻撃されたの、いやされてないのと、シリア軍とかヒズボッラーが騒いでいた(最終的には攻撃はなかったことが確認された模様)事件について、同じくhaaretz net の別の記事は、シリア軍筋が、米・イスラエル合同の電子攻撃を受けて、現実の空襲と認識されたとしていると報じています。
おそらくこちらの方は、イスラエルの攻撃説を強く唱えていた、ヒズボッラー等が、米英仏の攻撃もあり、パニクって、空襲と勘違いした辺りが、事実ではないかと思われますが、その位彼らが緊張していることを示すものでしょうか?
https://www.haaretz.com/israel-news/air-force-withdraws-warplanes-from-exercise-amid-tensions-in-north-1.6011336
 https://www.haaretz.com/middle-east-news/syria/syrian-state-tv-says-missile-attack-on-air-base-thwarted-1.6009200
本日はこれから入院しますので、取りあえず、一つだけ書いておきますが、あまりいい話ではないですね(まあ中東では通常こんなものか?)

「シリア攻撃はアサドの勝利」と題するイスラエル紙のネット記事

イスラエルという国は面白い国だとつくづく思います。中東の国で、こんな記事をかける国があるなどと、なかなか想像できません。

haaretz net は今回の米英仏のシリア攻撃は、アサドが非道な独裁者であるか否かにかかわらず、シリア人、アラブ人の反発を受け、アサドはその反射で勝利を得たとの記事を載せています。
記事は、米国等がサウディ等の湾岸諸国のイエメン攻撃に目をつぶり、パレスチナ人の権利を無視する一方で、民主主義や人道主義を振りかざすという二重基準の行動をしている限り、アラブ人の共感は得られないとしています。

このような見方は、現在のイスラエルでは少数派の見方かと思いますが(この新聞は確か中道左派とされていると思いますが、個人的にはイスラエルの良識を代表するマスコミと思っています)、今回の事件に関する分析には鋭いものがあると思うので、その要点のみ、ご参考まで。


「今回の事件はアサドの勝利である。
今回の事件に関して、ダマスでもどこのアラブの国の首都でも、米英仏の攻撃を歓迎する民衆デモなどは起きなかった。
米等連合は、西側諸国のアラブの首都に対する攻撃は、仮に非道な独裁者に対してであれ、アラブ民衆からは支持されない、という教訓を学んでいない。
その点で、湾岸等の一部の国の指導者の見方と、アラブ人、ムスリム一般の受け止め方は大きく違っていることを認識すべきである。
アサドの宣伝部隊が頑張らなくとも、既にこの攻撃は「3カ国侵略」とあだ名されたが、この名前は56年の英仏イスラエルのエジプト進攻のあだ名であり、この事件でナセルはアラブ世界で、帝国主義と戦う英雄に祭り上げられた。
勿論アサドは親父からバース党の政権を引き継ぎ、非道な独裁政治をしてきたことで、基本的にナセルとは違っている。
しかし、彼は如何なる代価を払っても政権にしがみつこうとしていることが明白な反面、米英仏は何を求めているのか明確にできていない。

口では民主主義と基本的人権を守るとしながら、イエメンでの殺戮を止めようとはしていないし、サウディ等の独裁政権を擁護し、イスラエルがパレスチナ人を弾圧するのを見て見ぬふりをしている。
要するに西側諸国は二重規範で動いていることをさらけ出してしまったのである。
先ずはパレスチナ人に彼らの祖国を与えるための支援をすべきであろう。
今回の事件は単純な力の誇示にすぎなかった。
彼らが真にシリア人の為を思うなら、国民的民主的な反政府派を支持すべきであろう。」

https://www.haaretz.com/middle-east-news/syria/.premium-syria-attack-is-a-win-for-assad-and-reveals-west-s-true-intentions-1.5996116

ガザ情勢(3回目の帰還行進)

13日(金)にはガザで、3回目のland dayの帰還行進(イスラエル独立の際に土地を奪われたパレスチナ人が、自分の土地へ帰還するという運動)があり、多数の群衆がイスラエルとの境界に押し寄せました。
彼等はタイヤを燃したり、火炎瓶を投げたり、投石をしたが、これに対し前と同じようにIDFは狙撃兵を配備し、銃撃及び催涙ガスで応じたとのことです。
このため、パレスチナ人1名が死亡し、968名が負傷した(al qods al arabi の記事による)とのことです。
http://www.alquds.co.uk/?p=916079
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5229186,00.html

死者は1名出ましたが、これまで2回の行進に比せば、かなり落ち着いてきているようですが、他方群衆はネタニアフとトランプの肖像の他に、サウディの皇太子の肖像も燃やしたとのことです。
これは彼の政策でサウディとイスラエルの協力が進んでいる(と伝えられる)ことに対する群衆の怒りの表れで、今後このような一般民衆の感情が、サウディ等他の国の民衆の間にも伝わって行かないか懸念されるところです。
他方、この行進については上記の通りパレスチナ系とイスラエルのメディアはかなり大きく報じていますが、サウディ系とカタール系のメディアは、今のところ報じていません。
湾岸諸国の関心が下がっているのでしょうか?










IDF?のシリア空軍基地攻撃

ホムスの近くのtifor(アラビア語メディアではこうなっているが,イスラルメディではT−4またはtiyasと書かれている)空軍基地が攻撃された事件では、イスラエル軍は今のところまた肯定も否定もしていないために、イスラエルのメディアは、「IDFの攻撃とされる」との表現を使っているところ、y net news は、イランは同基地に対する攻撃でイラン人4名が死亡したと報じているところ、イランの私的tasnim 通信によれば、死亡したのは7名で、そのうちの1名は同基地のドローン部隊のメンバーだとしています。

他方haaretz net は、この攻撃がIDFのものだとして、それはdumaに対する化学兵器使用に対する懲罰(報復)ではないとして、その理由として第1に、仮に道義的な理由による懲罰であるならば、そう明言しなければ効果がないこととして
第2にイスラエルはシリアでより重要な関心事項があるとして、イスラエルはシリアからヒズボッラ―へのミサイル等の移送はred line を越すものとして、何度も攻撃してきたが、さらにシリアでのイランのプレゼンスの強化も同様として、先にもこの基地を攻撃したとしています。
そして結論としては空爆はイランおシリアにおける空軍力の翼をもぐために行われたとしています。
またその背景として、トルコでの3首脳会議と最近のトランプとプーチンの敵対的な関係があるだろうとして、イスラエルはどうやらシリア問題でより表に出始めたようだが、非常に微妙な線上を歩いているとコメントしています。

https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5226104,00.html
https://www.haaretz.com/middle-east-news/syria/.premium-syria-strike-attributed-to-israel-was-attempt-to-curtail-iran-air-powe-1.5988643


アラビア語メディアを読んでいる限り、トランプは24〜48時間内に軍事力行使も含む重大な決断をするだろうということが大きく取り上げられていますが(もちろんこれは彼の言葉だが)、他方トランプは米国内政というか、司法問題で大きな問題に直面し、もしかするとそのことで頭がいっぱいかもしれません。
要するに彼の個人弁護士の事務所と居所にFBIの捜査が入り、多数の資料が押収された問題で、トランプは「これは米国に対する攻撃だ」などと言う血迷った発言をしているようですが、このような極めて微妙なときに、こんな男が米国の最高指揮官であることは怖いことですね。
この事件が彼の決断にどう影響するか・・・

シリア空軍基地への攻撃

9日の早朝、シリアのホムス(中部)とパルミラの中間にあるtifor空軍基地が攻撃され、シリア人権監視網によるとイラン兵を含む14名の戦闘員が死亡した由。
シリア国営放送は、攻撃は米国によるもの(別の報道では直接米軍の攻撃とはせずに米国製のミサイルとしているのもある模様)であるとして、シリア防空軍がミサイルのうち8発を撃墜したと報じています。
米国防総省は、米軍はそのような攻撃を行っていないと全面否定しています。
他方アラビア語メディアも、攻撃を行ったのはイスラエル機の可能性があると報じていて、特にal arabiya net はイスラエルの攻撃であると断定しています
記事はさらにロシアのinterfax通信も、攻撃を行ったのはイスラエル機2機で、それらはレバノン領空を通過して、攻撃したが対空網が8発のミサイルのうち5発を破壊した伝えていると報じています。
y net news によるとイスラエル軍は、肯定も否定もしていない由(IDFは報道規制が解除されるまでは、自己の攻撃に関してno comment の立場をとることが通常)
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/4/9/قصف-مطار-قرب-حمص-وواشنطن-تنفي-مسؤوليتها
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/04/09/إعلام-الأسد-صواريخ-تستهدف-مطار-التيفور-العسكري-بحمص.html
http://www.alquds.co.uk/?p=913080
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5224945,00.html

時あたかもトランプがアサドの化学兵器攻撃を非難し、「獣アサド」は高い代価を払うであろうと、、厳しく非難したこともあり、米国攻撃という話が流れているのだろうか?と思いますが、あの基地にはロシア軍機も駐留していて、ロシア兵もかなりいるとのことですから、そこを米国があえて攻撃したとは、如何に突発的なトランプと言え、なかなかありにくいシナリオかと思います。
仮に米国の攻撃であったとすれば、おそらく事前にホットラインを通じて、、ロシア時にゃロシア機に害が出ないように手配した上でのことでしょうか
他方イスラエルの攻撃とすれば、直接の理由は何でしょうか?シリア軍及びイラン、ヒズボッラーがイスラエル国境に近づきつつあることに、イスラエルが神経質になっているのは事実でしょうが、わざわざシリア中部まで攻撃するからには、それ相応の理由がありそうです。
そういえば、このtifor 基地というのは、かなり前になりますがゴラン高原上空でイスラエル軍に撃墜されたイランおドローンだったかが飛び立った基地という報道があったような気がします
どうせ、もう少しすれば、より詳しい情報も入ってくるでしょうが、取りあえず

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