中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アメリカの外交政策

シリア情勢(イドリブ等)

シリアのイドリブ周辺では、政府軍と同盟者対反政府軍の間での砲撃等の応酬が増加していて、反政府派同士の殺し合いも盛んになっているが、他方シリア東部では米等の有志連合空軍の空爆で、ISの家族に多数の死傷者が出ている等、シリア情勢は依然として極めて不安定な模様です。
アラビア語メディアから取りまとめ

イドリブとその周辺
・シリア人権網によると、このところイドリブ周辺で、政府軍と同盟者(ヒズボッラーか?)対反政府軍の間の砲撃等の応酬が増加している。
特にイドリブとハマの間では、17日政府軍の発射した砲弾が、トルコとロシアの合意で設置されたトルコ軍の監視所の近くに落下したよし。
・政府軍等はハマの北をめがけて砲撃し、反政府軍はイドリブの南東、ハマの北東を狙って射撃している由。
・この点に関し、反政府軍は、政府軍がイドリブの南とハマの北で、トルコ―ロシアの合意を廃棄すべく、攻撃を激化させていると非難している。
それによると、政府軍はス百発のロケット、臼砲弾を反政府軍支配地域に撃ち込んでいる由。
(どうやらこの地域では政府軍が優勢で、反政府勢力に圧力を加えている模様)
・他方、イドリブの周辺では、反政府勢力と過激派の旧ヌスラ戦線の相互の対立、テロ(暗殺、道路爆弾、誘拐、暗殺未遂等)が続き、治安は極めて悪化している由。
シリア人権網によると、この4月以来イドリブ、アレッポ、ハマの反政府派支配地域で、暗殺されたものは少なくとも388名に上る由。
またこれらのテロでは戦闘員の家族や民間人も犠牲になっている由
それによるとシリア国籍で、旧ヌスラ戦線、シャム大隊、シャム解放イスラム運動、アッザ軍その他の派閥に属するもの253名、ソマリア、ウズベキスタン等中央アジア、コーカシア出身、湾岸出身、ヨルダン人、トルコ人等42名が暗殺され、また数十名が重傷を負った由。

デリゾル方面
・デリゾル地域にあるISのシリアでの最後の拠点に対し、米等の有志連合はこの数週間集中して空爆を加えてきた。
これはYPGの主導するシリア民主軍の攻撃を支援するためである・
この空爆では、ISの家族等民間人(非戦闘員)にも多くの犠牲が出ている
・特に17日の空爆では、シリア人権網によれば、ISの家族等に234名の死者が出た。
・しかし、有志連合は、民間人を攻撃したことを否定している。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/11/17/43-قتيلا-بينهم-أطفال-ونساء-بغارات-للتحالف-في-سوريا
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/11/17/غارات-للتحالف-على-شرق-سوريا-تحصد-36-من-عائلات-داعش.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/11/18/المعارضة-السورية-تتهم-نظام-الأسد-بالتصعيد-في-ادلب.html
https://aawsat.com/home/article/1467166/%D8%A7%D9%84%D9%86%D8%B8%D8%A7%D9%85-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D9%88%D8%B1%D9%8A-%D9%8A%D9%82%D8%B5%D9%81-%D8%A3%D9%87%D8%AF%D8%A7%D9%81%D8%A7%D9%8B-%D9%82%D8%B1%D8%A8-%D9%86%D9%82%D8%B7%D8%A9-%D9%84%D9%84%D8%AC%D9%8A%D8%B4-%D8%A7%D9%84%D8%AA%D8%B1%D9%83%D9%8A
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/11/17/انفلات-أمني-متجدد-في-ادلب-اغتيالات-وتصفيات.html













ゴラン高原問題(国連総会)    領土問題の一事例

今年もまた国連総会の季節で、アラビア語メディアの報じるところでは、総会は16日、イスラエルのゴラン高原占領継続を非難し、そのとる如何なる措置も無効であるとの決議を採択しました。
決議は賛成151票で採択されたが、反対は米とイスラエルの2国のみ、棄権が14国だったとのことです(ということは国連加盟国が193だったはずですから、26国もが欠席したということです)

この決議は例年のものと基本的に同じで、また大多数による採択も例年のことで、この決議の採択が政治的にはほぼ何の意味もないことに鑑みれば、ここで話題にする意味もないことになりますが、イスラエルのhaaretz net が報じている通り、米国がゴラン高原問題で反対票を投じたのは最初の例だということが注目されます。
というのは、ゴラン高原はそもそもがシリア領で、イスラエル領になったことは一度もなく(要するにその帰属問題が争われたことは一度もない)、これまでも平和条約ができれば、当然シリアに返されるものと理解され(これはイスラエルでも同じことで‥‥勿論一部の入植者等の過激分子は別・・・・パレスチナ問題の和平解決が足踏みすると、何時もとりあえずの選択として、シリアオプションが出てきて、確かバラク首相の時には、合意まじか迄行ったかと思う…・当時たかだか数メートルの意見の差で合意できなかった、などと揶揄されたもの。
このような国際法上の立場も踏まえ、歴代米政府は最もイスラエルに同情的な政府も含め、決議案に反対せず、棄権にとどめていたものです。
その決議案に、米政府として初めて反対したということは、米大使館のエルサレム移転と合わせて、如何にトランプ政権が伝統的な米政策から逸脱していて、親イスラエルの立場をとったかを示す、良い証拠だろうと思います。

ということはトランプ政権が続く限りは、当面パレスチナ問題の包括的解決も、シリアとイスラエルの平和条約も期待できない、ということになりそうです。
但し、既成事実の積み重ねということは、それなりの重みもあるもので、おそらく多くの日本人や欧米人も、ゴラン高原は昔からイスラエルのものと認識していて、そもそもその帰属に関してはシリアのものだという認識が、米も含めて広く国際社会あったことなど知らないだろうと思います。
それに最近のシリア、イラク情勢に鑑みれば、テロとの戦いやイランの勢力伸長を踏まえ、ゴラン高原の返還などとんでもない、というイスラエルの主張にも一理あるような印象さえ出てきます。
棄権のみならず、欠席が非常に多かったということは、国際社会の本件に対する関心が非常に薄れていることの表れかと思われます。日本でも報道されますかどうか??

本題とは別ですが、安倍総理が北方領土問題で、先ずは2島の選考引き渡しに合意した日ソ共同宣言を踏まえて、解決を図ることにしたというのは、ある意味で英断ではないかと思います。このまま時間がたてば、日本側がごまめの歯ぎしりをしている間に、4島に対するロシアの支配が益々固定化していくことは、ゴラン高原と同じでしょう
https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%ac%d9%85%d8%b9%d9%8a%d8%a9-%d8%a7%d9%84%d8%b9%d8%a7%d9%85%d8%a9-%d9%84%d9%84%d8%a3%d9%85%d9%85-%d8%a7%d9%84%d9%85%d8%aa%d8%ad%d8%af%d8%a9-%d8%aa%d8%b5%d9%88%d8%aa-%d8%a8%d8%ba%d8%a7/
https://www.haaretz.com/us-news/in-first-u-s-votes-against-un-resolution-condemning-israeli-control-of-golan-heights-1.6657881


















サウディ問題

本日のCNN放送は朝からサウディ問題を、速報ベースということで、大きく取り上げています。

サウディ問題と書きましたが、要するにサウディに関連した2つの問題で、国際社会、特に米国にとっては頭の痛い問題のことで、サウディという国家や体制がどうなったという話ではありませんが、現在の皇太子の独裁からきた問題かと思われますので、合わせて報告しておきます。
そのうちkhasshoggji事件については、al jazeera net が報じていますが、もう一つの方は未だアラビア語メディアは報じていない模様です。
矢張りこういう問題になると、米英、特に米国のメディアが光るようで、読者の方もこのブログを読むよりも、CNN刀の衛星放送を聞いた方が、速くて正確かもしれません。
それはともかく取りあえずのところをまとめると

・khasshoggi事件に関しては、米のwashington post紙が、CIAが犯行は皇太子の指示によるものと判断したと報じているとのことで、また国務省が関係者17名に対して制裁を科すと発表したとのことです。
(この事件については、サウディ当局もサウディから送られたチームが「権限を逸脱して」総領事館内で、殺人を犯したことを認め、事実関係については遺体をどうしたか(サウディ検察庁は未だに、遺体は分断されて、協力者に渡されたとしている)に関する見解の違いがあるくらいで、最大の問題は誰の指示によるものか?要するに皇太子が関与したかどうに絞られてきていて、トルコ等は皇太子の関与を強く示唆しているのに対し、サウディ当局は、皇太子の関与無しということで幕引きを図るべく、外交努力を強化していることは、累次報告の通りです。
その中で、米国政府は常識的見方・・・要するにこんな犯罪は皇太子の関与無では実行不可能・・・と皇太子との関係を守りたいとの要請の間のジレンマの直面してきました。
そこにCIAの判断が事実とすれば、ようやく米国情報機関との間の関係を修復しつつあるかに見えた、トランプにとっては極めて深刻な事態が持ち上がったことになります。
また何時もの通りfake news ということで片づけるのでしょうか?)

・もう一つは、イエメンに関する安保理決議案の問題です。
この件については、先に英国が決議案を用意し、それを携えて英外相がサウディを訪問し、サウディ政府と協議したことまでは、既に報告しました。
然るに、CNNは複数の外交筋によるととして、ハント外相は、この問題で直接皇太子と会談して、決議案を見せたところ、皇太子はこのような決議はイエメンに関するサウディの政策を困難にする(要するに武力での制圧の邪魔になるということか?)として、ヒステリー的反応を示した(もっとも、この話以外の筋は、皇太子は決議案を好まなかったとか消極的な態度を示したとか、外交的表現をしている由)
この決議は英米仏が協議したものなので、サウディの反応を受けて練り直す由
(イエメン問題は、サウディ等の介入で、民衆の死傷者や飢餓等重大な人道危機が生じているということで、国際社会で停戦と平和的解決を求めて大きなサウディ反感が生じていたもの。
隣国に対する武力介入という政策はこれまでの伝統的なサウディの政策に反する皇太子主導の政策とされているだけに、皇太子は停戦等を求める決議案を彼に対する批判と捉えたのではないか?)
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/11/17/واشنطن-بوست-سي-أي-أيه-خلصت-إلى-أن-محمد-بن-سلمان-هو-من-أمر-بقتل-خاشقجي
https://edition.cnn.com/2018/11/16/politics/hunt-crown-prince-saudi-un-resolution/index.html
https://edition.cnn.com/2018/11/16/politics/cia-assessment-khashoggi-assassination-saudi-arabia/index.html










対イラン制裁(イランの欧州諸国批判等)

米の対イラン制裁を巡る欧州諸国の対応については、アラビア語メディア等ではほとんど報じられていませんが、al sharq al awsat net とal arabiya net (いずれもサウディ系)は、欧州の動きに対する米国の警告と、イランのいら立ちを報じているので、散発的なニュースではありますが、次の通り

・イラン議会の国家安全保障委員長は15日、米の対イラン制裁に対する欧州諸国の対応が遅々としていることを批判して、両者の関係は表面的だと批判した。

・このイラン議会委員長の欧州諸国批判は、ロイターが欧州諸国は、英独仏が提案したイランを核合意にとどめておくための機構を欧州諸国が、自分の国に置くことを拒否したことに対するものである。
この米国の制裁に対抗するための金融面での機構の設置に関する3国案については、ベルギー、オーストリア、ルクセンブルグの3国が自国に置くことを拒否した。
このドル決済を伴わないイランとの取引に関する欧州の金融機構案については 、米の特別代表が15日、欧州の銀行や企業でドル決済以外の取引で、欧州の金融機構を使おうとするものに対して警告を発した。
彼はそのような企業は、米国がイランに対して、新しく制定する制裁の対象となるであろうと、警告し、欧州銀行や企業は米国がその制裁を厳しく適用することを理解していると指摘した由。
彼はさらに欧州の如何なる企業であれ、米市場を選ぶか、イランを選ぶかを選択しなければならないとした由
https://www.alarabiya.net/ar/aswaq/banks/2018/11/15/تحذير-أميركي-للبنوك-الأوروبية-من-التعامل-مع-ايران.html
https://aawsat.com/home/article/1464581/%D8%A7%D9%86%D8%AA%D9%82%D8%A7%D8%AF%D8%A7%D8%AA-%D8%A5%D9%8A%D8%B1%D8%A7%D9%86%D9%8A%D8%A9-%D9%84%D8%AA%D8%A8%D8%A7%D8%B7%D8%A4-%D8%A3%D9%88%D8%B1%D9%88%D8%A8%D8%A7-%D9%81%D9%8A-%C2%AB%D8%AA%D9%82%D8%AF%D9%8A%D9%85-%D8%AD%D9%84%D9%88%D9%84-%D8%B9%D9%85%D9%84%D9%8A%D8%A9%C2%BB

イエメン情勢(ホデイダ攻防戦等)

イエメン情勢、特にホデイダの攻防戦については、al arabiyanet とal qods al arabi net が詳しく報じているところ、aljazeera net は、イラクのasaib ahal alhaqq(イラン系のシーア派の民兵か?)が、サウディ等のアラブ連合と戦い、住民を守ために、イエメンに義勇兵を送ると警告したと報じています。
どの程度真面目にとるべきかわかりませんが、もし本気とすれば、時期を逸しつつある感じがします。

・上記2つのネットは、いずれもホデイダの戦いは、住民の居住地区の市街戦に移ったとしていますが、al arabiya net の方は「通りから通りへの市街戦」とリアルな表現で報じていて、両者とも住民の被害が懸念されるとしています。
また、アラブ連合軍は航空機及び攻撃ヘリによる緊密な空中支援を続けている由
・戦闘はホデイダ大学、先日政府側が占拠した病院の周囲で特に激しく行われている由

・他方al qods al arabi net は、米国務長官が11日、サウディ皇太子との電話で、停戦を強く要請し、総ての当事者が集まる和平会議を至急開催するように要請した由
(仮にal arabiya net の報じる情勢が、事実に即していれば、瀬府軍とアラブ連合軍は、ようやく勝利の直前まで来たという感じで、この時点で手を緩めようとはしないと思われるが、khasshoggi 事件でその影響力が注目されている皇太子が、どの程度米国に抵抗できるか?)

・al arabiya net は、ホデイダでの攻防戦及びhothyグループの本拠地サアダでの政府軍の前進で、hothy幹部の間には「泥船からの脱出」が続出しているとして、これに対応するためにhtohyグループはその幹部を、自宅軟禁の状態におき、監視を強めているが、それでも実効性がなく、この措置を更に強化すると見られていると報じている。
最近では、hothy側の情報大臣が離反したが、その他離反した幹部には教育次官がいて、また観光大臣は辞職したよし。
更に未確認の情報として外務大臣も離反した由
・この情報大臣は、リヤド(サウディの首都)に脱出して、記者会見で、hothyuグループをイランその他複数の国
(名前は上げず)が支援してきたと語った由
(イランのhothyグループ支援という言葉は、サウディが宣伝の上から、最も引き出したかった言葉と思われる)
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/11/11/عصائب-الحق-العراقية-تتوعد-بإرسال-متطوعين-لليمن
https://aawsat.com/home/article/1458096/%D9%88%D8%B2%D9%8A%D8%B1-%D8%A5%D8%B9%D9%84%D8%A7%D9%85-%D8%A7%D9%84%D8%A7%D9%86%D9%82%D9%84%D8%A7%D8%A8%D9%8A%D9%8A%D9%86-%D8%A7%D9%84%D9%85%D9%86%D8%B4%D9%82-%D8%A5%D9%8A%D8%B1%D8%A7%D9%86-%D9%88%D8%AF%D9%88%D9%84-%D8%A3%D8%AE%D8%B1%D9%89-%D8%AA%D8%AF%D8%B9%D9%85-%D8%A7%D9%84%D8%AD%D9%88%D8%AB%D9%8A%D9%8A%D9%86
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/11/11/معركة-الحديدة-الحوثيون-يقاتلون-بـ-النفس-الأخير-.html
https://www.alquds.co.uk/%d9%85%d8%b9%d8%a7%d8%b1%d9%83-%d8%a8%d8%b4%d9%88%d8%a7%d8%b1%d8%b9-%d8%ad%d9%8a-%d8%b3%d9%83%d9%86%d9%8a-%d9%81%d9%8a-%d8%a7%d9%84%d8%ad%d8%af%d9%8a%d8%af%d8%a9-%d9%84%d9%84%d9%85%d8%b1%d8%a9-%d8%a7/














livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
Archives
  • ライブドアブログ