中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

レバノン

レバノンの若い女性警官に関する議論

19a496[1]何時も殺伐としたニュースだけお伝えしているので、罪滅ぼしに少し明るい?ニュースを。
一昨日大阪でも大きな地震があり、京都もかなり揺れましたが、京都在住の老人もまだこのような写真に関心があるくらい元気だという証拠にもなるでしょう。

レバノンのキリスト教徒の町の警察が、最近ショーツをはいた若い女性警官を採用したというので、議論の的になっているということですが、こういう議論は戦闘よりはいいですね
確かに胸にはpoliceと書いてありますね。
http://www.alquds.co.uk/?p=957704

レバノンの選挙結果(イスラエル紙の論評)

レバノンの選挙結果につては朝方報告しましたが、haaretz net は結果はヒズボッラーにとって満足だろうが、イスラエルにとっても悪くはないとのコメントを載せています。
通常ヒズボッラーの勝利はイスラエルにとっては悪夢とされていますが、こんな冷静な見方もあるということで、ご参考まで・・・尤もこのメディアは中道左派ですから、ネタにアフ政府の見方とはずいぶん違うと思いますが。

「現在流れている選挙結果の数字が、そのまま固まれば、ナスラッラー(書記長)は大満足であろう
というのは、シリア内戦への参戦に対する抗議にもかかわらず、ヒズボッラーと同盟者(アマル)は議会の多数を押え、今後の政府の構成について決定的発言権を得たからである。
しかし、ヒズボッラーの前には2つの問題がある。
一つは仇敵のハリリで、彼のブロックは16議席を失ったが、未だ20議席を有して、スンニ派最大の勢力で、彼が最大の首相候補である。
政府で彼とパートナーとなるヒズボッラーは、ハリリの成功を必要としている。なぜなら、それはレバノン政府に国際的な正統性を与え、サウディの支持を確保し、援助国(複数)から100億ドルの資金の流れを確保するからである。
しかし、そのためにはヒズボッラーとしても妥協をしなければならない。
その妥協とはイデオロギー問題ではなく、シリア内戦がレバノンへ波及することを防ぐことであるが、このことはヒズボッラーが伝統的な地盤であるベッカ高原で議席を失ったことから、ナスラッラーも理解しているであろう。
もう一つの問題は、彼らの同盟者であるアウン大統領で、大統領の率いるキリスト教徒ブロックは、大幅に議席を減らし、今やキリスト教徒を代表するとは言えなくなった。
モザイク模様のレバノン議会は、今後ヒズボッラーがその政府を形作ろうとするうえで大きな問題であろう。
レバノン憲法は首相はスンニ派と決めていて、おそらくはハリリが選ばれるかと思うが、重要問題は閣僚の3分の2で決めることになっているために、ヒズボッラーは3分の2プラス1獲得に努力するであろう。
これまでのヒズボッラーの影響力は、このシステムのネガティブな面を利用することであったが、今度は逆に3分の2の獲得に努力する必要が出てきた。
ハリリの組閣工作もこの点を意識して行われるであろう。
組閣には時間がかかり、かっては大統領が中立的な存在として仲介を務めたが、アウン大統領はヒズボッラーの同盟者としてそのような立場にはない。
したがって、選挙結果をもって単純にイランの勝利で、サウディの敗北と見るべきではない。
選挙結果はそれぞれが、得た果実を保持し、失わないようにするために慎重に行動する必要があることを示している。
ヒズボッラーが政府に居ようとも、これまでもイスラエルはレバノンの安定と繁栄をに重大な利害を有してきた。
今後ともレバノンがさらに繁栄する方向に行けば、ヒズボッラーの下手な動きはレバノンインフラを破壊するとの警告は、イスラエルにとっての重要な抑止力となり得る
https://www.haaretz.com/middle-east-news/.premium-election-results-in-lebanon-domestic-balance-of-deterrence-1.6070219









レバノンの総選挙結果

昨日はチュニジア地方選挙の結果を報告しましたが、同日行われたレバノン総選挙の結果は、日本のマスコミも報じている通り、取りあえずの第1次結果では、ヒズボッラーとその同盟者が議員の過半数を獲得した模様です。
レバノンの選挙は、多数の政党や勢力が入り乱れ、その間の連立があって、複雑で、それぞれの党または勢力の獲得議席を羅列していっても、あまり意味はなさそうです。
こちらも、これまでレバノン政治は、大統領選出が数十回も流れたりしたので、正直言ってシリア問題との関連等位でしかフォローしていませんでしたので、それらの数字をまとめて解説する力もないので、取りあえずアラビア語メディアやイスラエル・メディアからの数字等を紹介しておきます。

・投票率は49・2%で、前回(9年前?)の時の54%からかなり下がった
・最も躍進したのはヒズボッラーとアマル(ベッリ・ナビだったかと思うがが率いるシーア派組織、ヒズボッラーと異なり穏健)のシーア派連合を含む連立で全体の議席128のうち67の過半数を制した。
但し、そのうちヒズボッラーは12、アマルは15議席の模様
・議席を失ったのは、ハリリ首相率いるスンニ派等の連合で、20議席失い16議席。それにもかかわらずスンニ派では1位。
・大統領(ヒズボッラー支持のミシェル・アウン)支持派も36から20議席に下がった
・レバノンでは大統領はキリスト教徒、首相はスンニ派、国会議長はシーア派から選出されることに憲法で規定されているので、再びハリリが首相となる可能性が強い
・いずれにしても今後かなり長い間、政府の役職の割り振り等を巡って、各派閥の駆け引き、取引が続く可能性が強い
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5253447,00.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2018/05/08/بالأسماء-تضاريس-الخريطة-النيابية-الجديدة-في-لبنان.html
http://www.alquds.co.uk/?p=930565





シリア難民の凍死(レバノン)

またシリア難民の悲劇が起きましたが、今度は凍死です。
al qods al arabi netは、19日シリアからレバノンへ逃げようとしていたシリア難民が吹雪のために遭難し、12名が死亡したと報じています。
シリア難民が東レバノンのjlud arsal (アラビア文字からの訳)で遭難しているとの情報で、レバノン軍が彼らを捜索し、9名を救助したが、12名が死亡したとのことです
(写真では児童1名と若いシリア人2名雪の中に倒れています。むごい写真で転載はしません)
http://www.alquds.co.uk/?p=864215


ハリリの辞任撤回

どうも、イエメン情勢の急展開等に紛れて、記事にするのをすっかり忘れていましたが、確か先にサウディで辞任を表明し、大きな話題となったレバノンのハリリ首相は、5日彼のレバノン帰国後の初閣議のあと、辞表を撤回しました。
(このことは勿論アラビア語メディアでも報じられていましたが、若干旧聞に属するためか、本日のネット記事には見当たらない(それはそうだろう。トランプのエルサレム問題決定で、もちきりで、こんな古い話を報じている余裕はなさそう!)ので、取りあえず見つけた、ynet news の記事からですが、それによると、ハリリは、閣議が「レバノンは他のアラブ諸国の戦闘や内政には中立で、干渉しない」と決定したことを受けて、辞表を撤回したとのことです。
しかし、同ネットもこの意味は必ずしも明確ではない、としているように、おそらくは親ヒズボッラー(シリア)グループと反ヒズボッラーグループの妥協の産物で、これでレバノンの政策が大きく変わるということではなさそうです。
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5052361,00.html

ハリリの辞任表明の経緯とその後の進展については、未だに謎が多くて、真相は不明ですが(もっとも、他の中東のより深刻な問題が大きく表面出でてきた現在、レバノン内部の問題など、おそらくは国際社会が大きな関心を払う問題ではなくなったような気がします)。
しかし、所詮あの問題もヒズボッラー(ということは後ろにいるシリアとイラン)対その影響力の拡大に反対するスンイ派勢力の角逐問題である以上、より大きな中東全体の問題にかかわる問題です。
ということで、若干手遅れではありますが、かってな仮説を書いておきます。不十分な情報で書くものですから、御異論を持つ向きは多いと思いますので、是非コメント欄にご意見ください。

・レバノン閣議の決定の意味が何であるかの問題はあるが、あの表現は基本的にはヒズボッラーの他のアラブ諸国への干渉、介入に歯止めをかける性質のもので、(ほかのレバノン政治勢力で、そんな大それたこと?をしようとしたり、そんな力を有する者はない)その意味では、建前上一定の歯止めをかけたことにして、ハリリの辞表撤回に道を開いたもの。
しかし、シリアで数千人を失ったようなヒズボッラーがこんな合意位で、大きく立場を変えるはずはなく、所詮は同床異夢の現状糊塗に過ぎない。
・ハリリがなぜ1週間に2回もサウディを訪れ、2回目の訪問で辞意を表明し、その後2週間だったかサウディに滞在したことで、多くの人が、辞任はサウディに強制されたもので、彼はサウディに軟禁されていたなどと、もっともらしい議論をしていた。
・このような議論は、その後の彼の仏メディア等等に対する発言で払拭されたように思われるが、なぜ彼がこんな行動に出たかは、彼が上記インタビューの中で、彼としては湾岸に済む30万人のレバノン人を犠牲にすることはできないと語ったことに一つの鍵があるように思われる。
・想像の域を出ないが、おそらく最初のサウディ訪問はサウディから呼びつけられ、今後ともヒズボッラーがシリアのみならず、特にイエメンで反スンイ派の行動を続ければ、サウディ等湾岸諸国は在留レバノン人を追放することになると警告(脅迫)されたのではないか?
・そこでハリリは慌ててレバノンに飛んで帰り、サウディ等の脅迫を伝え、ヒズボッラーの活動抑制を訴えた(もちろん舞台裏で!)が、これに反発したヒズボッラーやその支持者が、彼を脅迫し、為に彼は生命の危険さえ感じたのではないか?
・そこで彼は再度サウディに舞い戻り、サウディ皇太子らと協議して、辞任表明という奥の手を使って(彼はサウディ支持者ということで知られていて、ヒズボッラ―の支持を受けているアウン大統領のカウンターバランスとして首相にされているもので、彼が辞任することは、レバノンの勢力バランスを崩し、その政治危機の再燃を意味する)物事を動かそうとしたのではないか?
彼やサウディの目論見通り、彼の辞任を受けて、レバノンでは政治危機再来に対する懸念が高まり、関係者(ということはヒズボッラー)が妥協するようにとの圧力が高まった。
このためアウン大統領等も裏で協議をして、ハリリ復帰の見返りに、上記のようなアラブ政治不干渉の政府決定をすることで、取りあえずの幕引きを図ったのではないか?
・お蔭で、レバノンではハリリの帰国で安堵感が広がっていると伝えられている。
・しかし、この問題は所詮はレバノンを舞台にした、中東、アラブ政治の駆け引き問題なので、今後ともハリリが職にとどまり、レバノンは政治危機を脱したのか否かは、イエメン情勢とかシリア、イラク情勢とかの、アラブ諸国問題、イランお対アラブ政策で決まっていくのではないか?
勿論直接的には、今後ヒズボッラーがどのような路線をとるかが大きな鍵かと思われる










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