中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

レバノン

レバノン人の入国禁止(モロッコ)

もう一つアラブ諸国間の入国制限の例です。

こちらの方は、al qods al arabi net が報じるところで、モロッコは最近ヒズボッラーが西サハラの(独立を目指す)ポリサリオと密接な関係を有していることが判明したとして、レバノンに対するすべての査証の発給を禁止したとのことです。

同ネットはレバノンのal akhbar紙によれば、モロッコ政府は、この5月以来ヒズボッラーのポリサリオに対する支援が明らかとなったとして、レバノン人に対する査証発給をさし控えてきた由。

また、モロッコ政府は、レバノン政府がヒズボッラーのアラブ諸国、特にモロッコへの干渉を非難する声明を要求している由。

http://www.alquds.co.uk/?p=1028838

日本ではなじみ薄いが、西サハラと言うのはスペインが領有していた、文字通りサハラの西、大西洋に面したところに位置した世界で最後の西欧の植民地と言われたところですが、スペインがその領有権を放棄したところ、モロッコがその領有権を主張し、ポリサリオと言う勢力が独立を求めて活動し、それをアルジェリアが支援して、現在でも、両国間の関係改善を妨げる最大の棘となっています(このためマグレブ連合…モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアからなる…の首脳会議はこの20年以上開かれていない)。

確か西サハラの大部分はモロッコ軍が制圧して、住民の多くが未だテント生活をしているとか聞きますが、紛争が拡大するのを防止するために、国連PKOが駐在し、確か事務局長が最近そのマンデートの1年延長を提案したはずです。

それにしても、ヒズボッラーの活動(ということはイランの影響)がこんな遠くまで及んでいるとは、知りませんでした。イランの「長い手」とでも言うべきなのでしょうか?

西サハラ沖合はタコの漁場として、あそこでとれたタコは、日本にもずいぶん入っているはずですが、イランがタコに興味があるという話は知らないし、おそらくは地政学的な観点から、北アフリカ諸国、サヘル諸国に足場を固めておこうということなのでしょうか?

イランの核ミサイル開発努力(ネタニアフの国連演説)

トランプ大統領は、その国連演説で自己宣伝する以外にはイラン等に対する激しい攻撃を行い(イランは腐敗した独裁体制だとし)、イランに対する制裁を妨害する国は許さないと発言したと伝えられるが、イスラエルのネタニアフもこれに応じる形?で写真を利用したりして、イランが核開発を続けていて、またベイルート(レバノン首都)で、ヒズボッラーがミサイルを精密誘導システムに変更することを助けていると非難したとのことです。

イランの核開発に関しては、写真を示しながら、イランはテヘランに核開発関連物資300トンを隠匿する秘密の貯蔵所を作ったとして、国連のIAEAに、この施設の査察を求めた由。

ベイルートのミサイルを精密誘導システムに返還する施設については、ネタニアフが国連で、イランがヒズボッラーがイスラエルのどこでも正確に攻撃できるシステムをミサイルに積み込む秘密の拠点(空港の近くとか球戯場の近くとかの由)を作った証拠を有していると演説した直後にイスラエル国防軍(IDF)が写真とビデオを公開した由。

ベイルートのミサイル拠点の話などは、モサドを有するイスラエルのことだから、かなり信頼性の高い話かと思うも、11月にはトランプのイラン原油禁輸と制裁が始まることに鑑みれば、来年にかけて中東はイランのミサイル、核開発とこれに対する米イスラエルの対応を巡り緊張を高めることが危惧されますね。

レバノンの若い女性警官に関する議論

19a496[1]何時も殺伐としたニュースだけお伝えしているので、罪滅ぼしに少し明るい?ニュースを。
一昨日大阪でも大きな地震があり、京都もかなり揺れましたが、京都在住の老人もまだこのような写真に関心があるくらい元気だという証拠にもなるでしょう。

レバノンのキリスト教徒の町の警察が、最近ショーツをはいた若い女性警官を採用したというので、議論の的になっているということですが、こういう議論は戦闘よりはいいですね
確かに胸にはpoliceと書いてありますね。
http://www.alquds.co.uk/?p=957704

レバノンの選挙結果(イスラエル紙の論評)

レバノンの選挙結果につては朝方報告しましたが、haaretz net は結果はヒズボッラーにとって満足だろうが、イスラエルにとっても悪くはないとのコメントを載せています。
通常ヒズボッラーの勝利はイスラエルにとっては悪夢とされていますが、こんな冷静な見方もあるということで、ご参考まで・・・尤もこのメディアは中道左派ですから、ネタにアフ政府の見方とはずいぶん違うと思いますが。

「現在流れている選挙結果の数字が、そのまま固まれば、ナスラッラー(書記長)は大満足であろう
というのは、シリア内戦への参戦に対する抗議にもかかわらず、ヒズボッラーと同盟者(アマル)は議会の多数を押え、今後の政府の構成について決定的発言権を得たからである。
しかし、ヒズボッラーの前には2つの問題がある。
一つは仇敵のハリリで、彼のブロックは16議席を失ったが、未だ20議席を有して、スンニ派最大の勢力で、彼が最大の首相候補である。
政府で彼とパートナーとなるヒズボッラーは、ハリリの成功を必要としている。なぜなら、それはレバノン政府に国際的な正統性を与え、サウディの支持を確保し、援助国(複数)から100億ドルの資金の流れを確保するからである。
しかし、そのためにはヒズボッラーとしても妥協をしなければならない。
その妥協とはイデオロギー問題ではなく、シリア内戦がレバノンへ波及することを防ぐことであるが、このことはヒズボッラーが伝統的な地盤であるベッカ高原で議席を失ったことから、ナスラッラーも理解しているであろう。
もう一つの問題は、彼らの同盟者であるアウン大統領で、大統領の率いるキリスト教徒ブロックは、大幅に議席を減らし、今やキリスト教徒を代表するとは言えなくなった。
モザイク模様のレバノン議会は、今後ヒズボッラーがその政府を形作ろうとするうえで大きな問題であろう。
レバノン憲法は首相はスンニ派と決めていて、おそらくはハリリが選ばれるかと思うが、重要問題は閣僚の3分の2で決めることになっているために、ヒズボッラーは3分の2プラス1獲得に努力するであろう。
これまでのヒズボッラーの影響力は、このシステムのネガティブな面を利用することであったが、今度は逆に3分の2の獲得に努力する必要が出てきた。
ハリリの組閣工作もこの点を意識して行われるであろう。
組閣には時間がかかり、かっては大統領が中立的な存在として仲介を務めたが、アウン大統領はヒズボッラーの同盟者としてそのような立場にはない。
したがって、選挙結果をもって単純にイランの勝利で、サウディの敗北と見るべきではない。
選挙結果はそれぞれが、得た果実を保持し、失わないようにするために慎重に行動する必要があることを示している。
ヒズボッラーが政府に居ようとも、これまでもイスラエルはレバノンの安定と繁栄をに重大な利害を有してきた。
今後ともレバノンがさらに繁栄する方向に行けば、ヒズボッラーの下手な動きはレバノンインフラを破壊するとの警告は、イスラエルにとっての重要な抑止力となり得る
https://www.haaretz.com/middle-east-news/.premium-election-results-in-lebanon-domestic-balance-of-deterrence-1.6070219









レバノンの総選挙結果

昨日はチュニジア地方選挙の結果を報告しましたが、同日行われたレバノン総選挙の結果は、日本のマスコミも報じている通り、取りあえずの第1次結果では、ヒズボッラーとその同盟者が議員の過半数を獲得した模様です。
レバノンの選挙は、多数の政党や勢力が入り乱れ、その間の連立があって、複雑で、それぞれの党または勢力の獲得議席を羅列していっても、あまり意味はなさそうです。
こちらも、これまでレバノン政治は、大統領選出が数十回も流れたりしたので、正直言ってシリア問題との関連等位でしかフォローしていませんでしたので、それらの数字をまとめて解説する力もないので、取りあえずアラビア語メディアやイスラエル・メディアからの数字等を紹介しておきます。

・投票率は49・2%で、前回(9年前?)の時の54%からかなり下がった
・最も躍進したのはヒズボッラーとアマル(ベッリ・ナビだったかと思うがが率いるシーア派組織、ヒズボッラーと異なり穏健)のシーア派連合を含む連立で全体の議席128のうち67の過半数を制した。
但し、そのうちヒズボッラーは12、アマルは15議席の模様
・議席を失ったのは、ハリリ首相率いるスンニ派等の連合で、20議席失い16議席。それにもかかわらずスンニ派では1位。
・大統領(ヒズボッラー支持のミシェル・アウン)支持派も36から20議席に下がった
・レバノンでは大統領はキリスト教徒、首相はスンニ派、国会議長はシーア派から選出されることに憲法で規定されているので、再びハリリが首相となる可能性が強い
・いずれにしても今後かなり長い間、政府の役職の割り振り等を巡って、各派閥の駆け引き、取引が続く可能性が強い
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5253447,00.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2018/05/08/بالأسماء-تضاريس-الخريطة-النيابية-الجديدة-في-لبنان.html
http://www.alquds.co.uk/?p=930565





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