中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

シリア

トルコのシリア問題に関する立場の変化?

トルコはこれまでシリア問題の解決には、アサドの退陣が条件との立場をとってきましたが、al jazeera net はソチでの3首脳会議(ロシア、イラン、トルコ)を前に、このトルコの立場に変化がみられると報じています。

同ネットは、仏le monde 紙が、トルコでの3国外相会議の際に、トルコ外相にインタビューしたところとして、トルコはクルド勢力PYGがシリア北部で、勢力を拡大強化していることに脅威を感じ、シリアの統一性の維持が最優先として、アサドの容認に踏み切る用意があることを示唆したと報じています(本日のle monde net をのぞいてみたが、当方の仏語が拙いせいか、それらしき記事は見つからなかったが・・・) 
それによると、トルコ外相は同紙に対して19日、反対派とも話さなければならないが、アサドの居座りを容認するのはロシアとイランだけではなく、サウディと仏も同様の意見であるとして、トルコだけが寛恕的になることはできないと語った由。
同外相は、然しながらアサドの問題は簡単な問題ではないとも指摘した由。
http://www.aljazeera.net/news/presstour/2017/11/20/لوموند-تركيا-لا-تستبعد-بقاء-الأسد-مقابل-تهميش-الأكراد

他のトルコメディアは知らず、少なくともhurryiet net には、これに関する記事はなく、またle monde でも関連お記事は見つけられなかったので、トルコ外相の発言を確認できないも、とりあえず。
あえて言えば、トルコにとってシリア内戦での最大の関心が、クルドの勢力拡大の防止であることはその通りであると思われるし、最近ロシアとの関係の緊密化に鑑みれば、十分あり得る話かとは思われます・・・









3国首脳会議とその準備外相会議

ロシア、イラン、トルコの3首脳(プーチン、ロウハニ、エルドアン)は22日ロシアのソチで、シリア問題の最終的な解決を目指した協議をすることになっていると報じられているところ、al qods al arabi net とal arabiya net は、その準備のために上記3ヵ国外相が19日トルコのアンタリアで会議を開いたと報じています。
但し、会議の内容等については、現時点(20:00)では何も報じられていません。

因みに、al qods al arabi net の別の記事は、3首脳はシリア問題の最終的解決を目指して協議することになっているが、アサド政権を支持するロシア、イランとこれに反対するトルコでは、依然相互の対立が大きいとして、首脳会議で議論される問題としては、
・イドリブの過激派(ヌスラ戦線のことと思われる)を如何に掃討するか
・如何にして、大きな問題を起こさずに、トルコ軍のafrin侵攻を許すか
・非戦闘地域に対する空爆の停止
・政治解決への移行問題
・トルコを怒らせずに如何にしてクルド勢力を政治解決のプロセスに入れるか
等の問題があるとしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=8291
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/19/اجتماع-وزاري-روسي-إيراني-تركي-حول-سوريا-في-تركيا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=829217

シリア問題の最終的解決にはまだまだ時間がかかりそうな気もしますが、3ヵ国首脳会議の前に、わざわざ外相レベルでの会議を持ったことが、これら3ヵ国が真剣であることをうかがわせます。
それにしても、米国は完全な蚊帳の外ですね。
またシリア問題と言いながら、どうやらアサド政府も蚊帳の外(もっともイランがある程度は代弁するか?)らしいことが、シリア問題の現実を示していると思われます。
いずれにせよ、あと数日で、かなりの情報が流れてくるものと思います。

シリアの化学兵器問題(ロシアの拒否権行使)

シリアでの化学兵器使用問題を調査する安保理・化学兵器禁止条約機構の合同調査委員会の期限延長に関しては、16日ロシアが安保理で拒否権を行使して、調査委員会の任期が同日付できれました。

この問題については、アラビア語メディがいずれも報じていますが、alqods al arabi net とal arabiya net が、ロシアの拒否権で米国の決議案が成立しなかったとしているのに対して、al jazeera net は、米ロの2の決議案が成立しなかったと報じています。
事実関係としては、米国決議案は採決にかけられ、採択に必要な票数は獲得したが(賛成11、反対はロシアとボリビア、棄権が中国とエジプト。採択に必要な票数は9票)ロシアが反対したので、常任理事国の拒否権行使ということで、成立しませんでした
これでロシアが2011年以降、シリア問題に関し拒否権を行使したのは10回目の由
それに対して、ロシア案(調査委員会の任期6月延長の由なるもその他の点は報道されていない)は必要票数獲得の見込みがなかったので、米案の採決直前に撤回された由(あえて採決すれば、ロシア支持国が完全な少数派であることが見え見えになるからであろう)
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/11/17/فشل-مشروعين-أميركي-وروسي-بشأن-الكيميائي-السوري
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/17/خلاف-روسي-أميركي-بمجلس-الأمن-حول-كيمياوي-سوريا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=827833
このような場合、通常の感覚では、米案がロシアの拒否権で不成立と報道するもので、2つの決議案を並べて、双方不成立とするのは、いささか変な感覚ですが、al jazeera はそれほど親ロシア的なメディアではないと思うのですが、ちょっと不思議です。
なお、安保理ではロシアと米国が、互いに非難し合ったとのことですが、まあ、いつもの調子でしょう。
それにしても、先日トランプとプーチンがAPECで会った時に、シリアに関して両国の合意ができたと報じられましたが、矢張り基本的なところでは両者の立場は未だに大きく異なっているのでしょう
トランプは16日安保理メンバーに対して、調査委員会の任期延長に同意するように慫慂した由
エジプトは棄権しましたが、多分これは前からのエジプトのシリア政策の延長で、カタール問題ではサウディに同調はしているものの(多分ムスリム同胞団の問題があるからと思う)、シリア問題については1線を画しているところが興味があります。












ラッカからのIS戦闘員の逃亡黙認

ご記憶の方もあるかと思いますが、数か月前のことだったかと思いますが、シリア政府等がダマス周辺のIS戦闘員約300名だたかとその家族を、ISの支配地域のデリゾルに移送することに合意し、バスまで提供したことがありました。
その時には米軍等の有志連合が、IS戦闘員を逃がすことに強く反対し、バスの車列の前方を空爆したりしたと記憶しています。
結局は米ロの協議だったかで、有志連合も彼らのデリゾル行を認めることになったかと思います。

ところが今回はラッカで、基本的に同じようなことが起き、ラッカ攻略をしたシリア民主軍(クルドのYPGが主力)とISの合意で、ラッカから避難する避難民に交じって、IS戦闘員300名とその家族3000名が逃亡する事件があった模様です
最近サウディの事件やらハリリの辞任やらにかまけて、記事をよくフォローしていなかったのですが、確かシリア民主軍とISは、人質(ということは民主軍の捕虜か?それとも現地の住民が人質にされていたということか?)の釈放との交換で、、彼らの退去を認めることにしたという報道があったかと思います・

この事件に関し、ISの逃亡は絶対に認めないとしていた、有志連合も、この問題はローカルな問題のローカル的解決であるとして、容認する姿勢を示した由。
他方、トルコ外務省はこの退去黙認を非難して、前からISもクルドのYPGもテロリストだと指摘してきたが、テロリストがテロリストと戦うと、このようなことが起きると表明したとのことです。
http://www.alquds.co.uk/?p=827231
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-criticizes-isil-sdf-deal-for-evacuation-of-fighters-from-raqqa-122444
詳しい事情が分からないので、簡単に批判的なことは言えませんが、政府軍とISの取引を厳しく非難した有志連合が今回は黙認の立場をとっているらしいことは、要するに戦争とか紛争の場合、誰でもやることは大きく変わらず、みな自分の都合で動いている、ということの証明ということでしょうか?

シリアの人口構成の変化等

どうも本日はアラビア語メディアにあまり面白い記事がない所為か、y net news の記事ばかり紹介していますが、同ネットにイランはイスラエルの鼻先でシーア派の民兵第313大隊を結成しつつあると報じています。
その構成員はシーア派の青年で、イランはかなりの高級で引き抜きをしているが、将来外国人部隊のシリアからの引き上げが合意された場合、イランがシリアに影響力を確保するための戦術と紹介されています。
これが事実であれば、イランの中東制覇の野望の一環として、アラブ諸国やイスラエルにとっては、重大問題ですが、その問題はさておいて、その記事(イスラエルのアラブ問題専門家の解説)には、シリア内戦によるシリアの人口構成の変更やイランおシリア内基地の記述がありますので、取りあえずそちらの方を紹介しておきます。
その部分も、イランがシリア内戦を利用して、シリアをシーア派にとってゆりな土地に替えつつあるという趣旨かと思います。
取りあえず該当部分の要点のみ

「内戦による多数の避難民と死者の増大は、シリアの人口構成を大きく変えた。
2011年の内戦の当初までは、支配者のアラウィ派は人口の11%であった。
シーア派が2%であった。
政権に忠実な少数派として、キリスト教徒が10%、ドゥルーズが3%であった。
また人口の10%はクルド人であった。
スンニ派アラブ(その大部分は反アサド)が人口の64%を占めていた。シリア西部の富裕なスンニ派は経済的理由からもアサド政権を支持していた。
難民と死者の大部分がスンニ派と思われることから、この人口構成には大きな変化が生じ、現在彼らの人口比は50%程度と思われる。
この変化がアサド政権とイランの立場を強化したが、それはさらにイランが輸入した外国からのシーア派により強化された。彼らはヒズボッラーの他にアフガニスタンとイラクのシーア派等である。
さらに、公開情報によっても、イランは西部シリアに3の基地を有している
最大のものはダマス空港であるが、これにダマスのザイナブ地域のそれが加わり、北ではアレッポ近くのjabal azzan のそれがある。
ヒズボッラもレバノンとの国境地域に4つの基地を有するが、それらはal qusair,al zabadani,qalamoun と南部saragayaである。
またイランはシリア西北に、海軍及び空軍基地の建設を巡りロシアと協議中である。」
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5042133,00.html


















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