中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イラク

キルクーク情勢

キルクークの情勢は、ペッシュメルガの撤退で一触即発という状況は回避されたが、まだまだ情勢は予断を許さないと報告したかと思いますが、矢張り方々で両者の衝突があったり、イラク軍、特にシーア派民兵によるクルド人の抑圧の他、旧イラク軍士官の暗殺等が起きていて、まだまだ平静な状況とはほど通り模様です。

・このような中で、両者の調停に努力してきた米国は、イラク政府に対して、情勢鎮静化に努力し、ペッシュメルガと合意した以外の地域には軍やシーア派民兵を進めないように呼びかけたとのことです。
(現地情勢・・・政府軍が攻勢的になっている…に鑑みての呼びかけでしょうか?)

・クルド自治区の南の境界に近い地域で、イラク軍等とペッシュメルガの間で激しい衝突が生じた。
地元筋の話によると、トルコマンが多数を占める境界に近い町altoun kobrah の町で起きた衝突について、ペッシュメルガは、イラク軍とシーア派民兵がクルドの首都アルビルに進撃しようとしたと非難し、この前進を阻もうとした砲撃で橋が大きな損害を受けたとしている由。
これに対してイラク側はペッシュメルガが橋を壊したと非難している由。
キルクーク病院では、イラク軍とシーア派民兵の遺体30と負傷者100名を受け入れた由。

・キルクークでは何者かによる(おそらくはシーア派民兵か?)による暗殺が続いている。
旧イラク軍(サッダムフセイイン時代の軍)の空軍パイロットが家族の前で何問かに射殺され、同じ旧軍隊差も何者かに射殺された。
どうやら暗殺するもののリストが出回っている模様である。
・またシーア派民兵は、宗教指導者、政治家、ジャーナリスト、活動家等を多数逮捕し得ている。逮捕の理由は、イラク軍や民兵がキルクークを占拠したことを批判したとためとか・・
キルクーク議会議長は、シーア派民兵が町を征服したと非難していた。
このような状況で、中立系のサドル師の率いる民兵は、キルクークの平静を保つべく、キルクークに急行している由。

・シーア派の指導者シスタニ師(独立的立場か)はイラク政府に対して、クルド人の人心を守るために努力するように呼びかけた由。
http://www.alquds.co.uk/?p=812148
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/20/مواجهات-بين-البشمركة-والقوات-العرقية-جنوب-أربيل
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/20/العراق-أنباء-عن-اشتباكات-مسلحة-في-كركوك.html

対話に向かうクルド情勢?

昨日は、どうやらクルド問題をめぐる情勢は、取りあえずは落ち着く方向にむかいつつあるように見えるという報告をしましたがその後バルザニがアバーディ(イバーディと表記していましたが、アバーディが普通のようで、そう替えます)首相の対話イニシアティブを歓迎したとのことで、更に正常化に向かいつつある感じがします…・もちろん予断は禁物ですが。

アラビア語メディアによると、アバーディ首相は17日、住民投票は過去のもので、終わったことだとして、クルド自治政府に対して、憲法に従っての、対話を呼びかけたとのことです(この話は勿論報じられていましたが、申し訳ないが、アラブ特有のレトリックだろうと思って、報告もしていないと思う)。
首相は、記者会見で、クルドに対して、憲法の枠内で、国民的協力という基礎での対話を呼びかけたとのことです。
これに対して、クルド自治政府は19日、同日の会議で、憲法の下で協力と合意の原則で対話をするとのアバーディ首相の提案を歓迎することとしたとの声明を発出した由
(これまでアバーディ首相は、住民投票の結果を無効としない限り、対話はしないと主張していたが、「住民投票は過去のもので、終わった」ことだととして、これを棚上げして対話・・交渉を始めることを提唱したもので、流石海千山千のアラブ政治家だけのことはあると感心しています)
またal jazeera net はイラクのメディアは、クルド勢力の中には、住民投票の結果を凍結するとの動きが出ていると報じていますが、上記の通りアバーディ首相の提案を受け入れたということは、既に事実上凍結したということかもしれません、
因みに、住民投票に続いて行われるはずであった大統領と議会の選挙の方は既に凍結が決まっています。

ということで、どうやらクルド問題は交渉(対話)の方に動き出した感じがしますが、イラク最高裁が、クルド自治区の副議長が、キルクークのイラク軍を占領軍と表現したことに対して、逮捕状を出したことに対して、バルザニ議長が強く反発しており、両方にはまだ強硬派もいるだろうし、今後の状況を注目する必要はあると思います。
http://www.alquds.co.uk/?p=811298
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/19/كردستان-العراق-يرحب-بدعوة-العبادي-للحوار
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/19/أنباء-عن-توجه-حكومة-كردستان-لتجميد-نتائج-الاستفتاء.html
取りあえずは以上ですが、問題は、イラク政府は勿論、トルコ、イランが激しく反発し、下手すると武力衝突につながる可能性の強い、クルドの独立問題を、バルザニ等が、何故、強引に持ち出して、住民投票まで行ったかだと思います。
強硬姿勢を示して、中央政府から多くの妥協を引き出すことを狙っていたのなら、思惑通りに進みそうですが、真剣に独立を狙っていたのなら、早々と「憲法の枠内」での交渉に応じるということは、ある意味で白旗を挙げたことで、そうなると今後彼の地位にも影響する可能性があるような気がしますが。
矢張り今回も、双方に強く自重を求めた、米国務長官、国防長官等の努力が功を奏したものでしょうか?












クルド情勢(イラク)2

キルクークの状況は平静を取り戻しつつあるやに見えますが、どうも現地では、特にクルド人の間にイラク軍、シーア派民兵に対する恐怖心があるようで、クルド自治政府の関係者によると、10万人のクルド人がキルクークからクルド自治区に避難したとのことです。
またイラク軍によれば、ペッシュメルガはモースルダムとニノワ県のあal rabia から撤収し、チア二次の責務をイラク軍い引き継いだ由。

他方安保理は、18日、イラク政府とlクルド自治政府の双方に対して、武力行使との脅迫をやめて、対話による交渉に入ることを呼びかけた由
(記事には明言されtないがいわゆる議長声明でか?)

取りあえず
http://www.alquds.co.uk/?p=811272
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/19/100-ألف-كردي-فروا-من-كركوك-بعد-سيطرة-القوات-العراقية.html

上記のクルド人10万人のキルクークからの避難というのは、特にその規模について確認できませんが、おそらくそのような事態となったのは、住民投票にキルクーク地域も含めた、バルザニ議長の責任が相当に大きいような気がします。
今後事態が平静化して、彼らが帰還できればいいのですが、なかなか帰還できないとなると、住民投票の最初の被害者はクルド民衆ということになりそうです。

クルド問題(イラク)

一時は非常に緊迫していたかに見えたクルド自治区問題は、その後イラク軍とペッシュメルガが話し合いで、協力したり、ペッシュメルガが撤収したり、どうやら現在のところは大きな衝突は生じていない模様です。

なお、クルド自治区の選挙委員会議長は、11月の始めに予定されていた、クルド自治区の大統領と議会の選挙を、暫定的に凍結すると発表しました。
その理由は大統領選への立候補者が出ていないこと、その他準備期間の不足等の由。

・イラク軍はモースルダムに入り、そこでの任務をペッシュメルガと分担したと発表した。双方の合意で、ダムの西側は楽軍が管理し、東側はペッシュメルガが管理する由
・モースル南のmakhamour 郡では、イラク軍とペッシュメルガの合同軍が展開することになったが、重要拠点に関しては、イラク軍はペッシュメルガの展開を拒否している由
・al rabia地域では、双方の衝突が起きた(ペッシュメルガによれば、イラク軍がその前進について、事前に通告しなかったための由)が、イラク軍のニノワ西部司令官の仲介でおさまった由
・モースルの北では、クルド自治区との境界の最後の検問所からペッシュメルガが撤退し、クルド自治区内2卉賄世泙播閏した由
・イラク軍によれば、ペッシュメルガは2014年のISの占拠前の、クルド自治区内に撤収した由
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/18/البشمركة-تغادر-كركوك-وديالى-وتشارك-الجيش-بالموصل
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/18/كردستان-يعلّق-الانتخابات-الرئاسية-والبرلمانية-بالإقليم-.html

クルド情勢(イラク)

クルド自治区の独立に関する住民投票問題については、その後も内外のメディアが大きく取り上げているようなので、若干の補足情報、断片的ですが・・・

・イラク軍等は、キルクークをほぼ戦闘なしで、占拠した模様ですが、その後もクルド自治政府とイラク政府の間で、支配権をめぐって争いのある地域からの、ペッシュメルガの撤退と政府軍及びシーア派民兵等の進駐が続いている模様です。
モースル及びディアラ県でも、係争地域は政府軍に引き渡された模様で、現地のペッシュメルガ幹部は、その撤収は2016年のイラク政府とクルドとの合意に基づく、としている由
(このままでいけば、クルド勢力はクルド自治区かもしくはほぼそれに近い地域に限定されそうな勢いで、キルクークの喪失でクルドは重要な収入源を失ったとのコメントもある)

・他方クルド内部でも、バルザーニの強硬なやり方に批判が出てきている模様で、クルド議会の議長(もしかしたらバルザニ系ではなくタリバニ系の男か?)は、バルザニに(自治区議長から)辞任するように呼びかけ、彼が辞任すればクルド人全体に対する大きな貢献になるだろうと表明した由(表明の日時は不明)
議長はまた、キルクーク情勢に関し、一部のエリート(バルザニとその部下のことか?)が、国富を独り占めにしようとして、クルド人を鎖でつないでいると非難した由
(クルド自治区の政治について無知であるので、議会の議長の権限またはその影響力がどの程度のものかは分かりませんが、このような発言が公然と行われるのは、バルザニにとっては誤算というか、かなりの痛手でしょうか?)

・米国務長官はイバーディ首相と電話会談をして、米国はイラクの統一を支持しているとして、これまでのクルド問題に関するイバーディ首相のやり方を支持する(住民投票は認めないが、直ぐ武力行使ではなく、じわりじわりとクルドを抑え込むやり方という意味か?)と伝えた由。
仏のマクロン大統領もイバーディ首相に対して、ほぼ同様の内容の話を伝えた由。
また、有志連合は声明で、現在最重要な仕事はISを更に掃討することであるとして、イラク政府及びクルド政府双方に対して、対話を通じて、問題を解決するように呼びかけた由。

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/18/رئيس-برلمان-إقليم-كردستان-يدعو-بارزاني-للتنحي-عن-السلطة.html
http://www.alquds.co.uk/?p=810281
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/18/واشنطن-وباريس-ندعم-الخطوات-التي-اتخذتها-حكومة-بغداد.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/18/القوات-العراقية-تكمل-سيطرتها-على-محافظة-كركوك
未だまだクルド問題のゆくへは分かりませんが、取りあえずのところは、収集のつかないような武力衝突を避ける方向に動いているように見えますが、どうでしょうか?
矢張り、見ているとトランプの非外交的な発言ぶり(米国はこの問題について中立である)に比べたら、国務長官の発言ははるかに外交的ではあるも、ニュアンスとしてはよりイラク政府支持のにおいが強いように思われますが、どうでしょうか















livedoor プロフィール
最新コメント
記事検索
  • ライブドアブログ