中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

パレスチナ

パレスチナ両勢力の和解合意

パレスチナについては、これまで西岸をPLO(ファタハが中心)、ガザをハマス(ムスリム同胞団のパレスチナ支部から発展)が支配し、両者間には特に対イスラエル関係で根本的な相違があり(PLOはイスラエル承認、ハマスは承認拒否)、両者の関係は対立的というよりも、むしろ敵対的なものでした。
ところがこのところ、両者間で和解の動きが強まり、双方の地域を合同して治めることに合意したかと思いますが、更にエジプト(情報局)の調停で、双方の代表団が、カイロで交渉をしていました。
昨日辺りから、どうやら和平合意に達したらしいとの報道が流れていましたが、その詳細も不明で、何しろあまりに長く深い対立があったので、どこか疑わしいという感じを拭い去れずに、特に報告もしませんでした。

然るところ、どうやら12日合意に達して、双方が署名したとのことで、アラビア語メディアの報じる合意内容は取りあえず以下の通りです。
・ガザの境界線の検問所は統一政府の管理下に入り、依然の様に大統領警護隊の警備下に入る
・統一政府の指揮下に数千の警官(現在のイン数は3000の由)がガザ全域に配備意される
・ハマスが任命した公務員は、4か月の間で統一政府の雇用に切り替わり、給料が支払われる
・統一政府が組織され、議会及び大統領選挙が行われる
・11月21日にはすべての勢力を含む拡大委員会がカイロで開かれる
・その他すべての問題点は12月までには解決される

おそらく上記の合意というのは、とにかくは合意しやすい行政事項で、最大かつ根本的な問題のイスラエルの承認問題がどうなったかは、全く不明です。
この点に関して、イスラエル政府は公式の声明で、最重事項は国際合意を守か否か、イスラエルの承認問題とハマスの所有するミサイル等の武器の問題であるとして、地下トンネルの掘削、ミサイルの製造およびテロの支援は4か国合意に反するとして、今後ともイスラエルに対する敵対行動が行われれば、ハマスの責任とみなすと表明したとのことです
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/10/12/فتح-وحماس-توقعان-اتفاق-المصالحة-بالقاهرة-برعاية-مصرية-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=807462

取りあえずのところ以上で、イスラエルが言うまでもなく、イスラエルの承認問題と武力抵抗問題をどう調整するかが、最大の問題で、どこまで合意されているのかは不明です。
場合によってはこの問題でせっかくの合意がご破算になる可能性もなくは無いかと思います。
但し、ムスリム同胞団を敵視するエジプトがガザのハマスに大きな圧力をかけてきて、イスラエルの圧力と相まって、ガザの生存環境が脅かされる程度にまで悪化していることは事実のようで、またPLOにしても幹部等の腐敗が囁かれ、パレスチナ人民の信頼を失っていて、西岸でさえ最近ではハマスの人気が高まっているようです。
特に西岸、エルサレム等ではネタニアフ政権の強硬な抑圧政策が、さらに強化されているようで、またトランプ政権もオバマ政権とは異なり、パレスチナ問題解決のために真剣な努力をするつもりはなさそうです
そのような状況で、ともに危機感を強めた両政権が、エジプトの調停で和解に動いた(イスラエルとの関係やパレスチナ問題では、しばしば外務省ではなく、情報局が主たる役割を担った来た)ということだろうと思いますが、矢張り問題は根本的な対立点をどう調整するか、できるかということだろうと思うので、未だまだ楽観はできなそうな気がします










アルジェリア人道支援物資のガザ搬入拒否

昨日だったか、ガザを支配するハマスとエジプトとの間に、雪解けの気配が見えると書きましたが、どうやらまだ本当の雪解けは先のようです。
al jazeera net は、エジプト当局がアルジェリアの人道支援団体のガザ向けの、援助物資(食糧、医薬品、電気関係部品等)を積んだ14両のトラックからなる車列のラファア検問所通貨を禁止し、車列は引き返したとのことです
(どこまで引き返すのか知りませんが、これらのトラックはアルジェリアを出て、スペインで船に積み替えて、そこからエジプトのポートサイドまで行き、そこからは陸路ガザに向かったとのことで、アルジェリアまで戻ることになるのか、ポートサイドあたりで待機することになるのか?)。
エジプト当局のガザへの通過禁止の理由等は明示しておらず不明ですが、この団体が「アルジェリア・イスラム法支援協会」とのことで、もしかしたらムスリム同胞団などと関連がある組織かも知れません
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/8/18/القاهرة-تمنع-دخول-قافلة-مساعدات-جزائرية-إلى-غزة
またこのal jazeera はエジプト政府と対立しているカタール系のメディアですが、反エジプト宣伝としても、まさか時事実関係まで捏造はしていないでしょう








ガザ情勢(エジプト、ハマス、過激派の関係)

ガザとエジプトとの国境地域で、過激派(ISと関係があるとされる由)が自爆し、彼自身とハマスの治安部隊の指揮官1名が死亡し、もう一人の過激派と数名の治安要員が負傷した事件は、昨日報告しましたが、al qods al arabi net は、この事件はハマスとエジプトとの相互理解と接近を反映し、ハマスがこの相互理解を断固として守る決意であることを示したものである、との治安専門家の見方を紹介しています。
専門家は、容疑者の2名は原理主義運動に属していて、ガザからシナイ半島に浸透しようとしたが、治安部隊に阻止され、自爆したもので、この事件でこれまで緊張していたハマスと過激派との関係は今後さらに悪化するとみている由。
この事件は、ハマスのエジプトとの理解を守ろうとする断固たる決意と、国境地帯を支配している実力を示している由で、そのエジプトとの相互理解とは7月にハマスの使節団がカイロを訪問して、エジプト地当局との間で達したもので、ハマスは国境に立ち入り禁止地帯を設け、地下トンネルの閉鎖を約し、エジプト側は、ラファ国境検問所からの物資の流入を認め、検問所の開放をも目指している由。
このため、必然的に過激派との関係はさらに悪化することとなるが、ハマスには強力な治安部隊があり、ガザの情勢は完全に掌握しているので、ガザが混乱状態になることはないだろうとしている由。
なお、この原理主義者は、ISと関係があると見られているが、ハマスの治安部隊に厳重に監視されているために、極端な秘密主義で組織されていて、その構成員数等の実態は不明の由
http://www.alquds.co.uk/?p=774126
ガザはシナイ半島の北端の狭い地域ではあるも、その支配を巡り、ヨルダン川西岸を支配するPLO系統と、ムスリム同胞団から派生したハマスが争い、最近ではハマスがガザでの支配権を獲得し、それのみならず西岸でも勢力を伸ばしているとされ、さらにはハマスよりもさらに過激なグループが、対イスラエル武力闘争を唱え、ハマスの統制外に居て、イスラエルに度々ミサイルを発射し、イスラエルがこれに対して報復空爆をするのみならず、それを口実としてとして2度もガザに武力進攻する等、極めて複雑な情勢で、その実情はなかなかフォローできません。
それはともかく、最近はハマスの中でも新し勢力が台頭している模様で、またこれまでハマスはムスリム同胞団派生と言うこともあり、エジプトのムスリム同胞団政権時代を除いては、エジプト当局と極めて険悪な関係で終始してきました(その象徴がラファ検問所の閉鎖、解放問題)
逆にハマスを支持してきたのがカタールやトルコでした。
しかし、ここにきてエジプトとハマスとの関係にも変化がみられるようですが、その背景にはカタールとサウディやエジプトとの対立確執問題の影響もありそうです。
いずれにしてもガザ情勢も今後要注目でしょう





ガザにおけるIS戦闘員の自爆攻撃?

この種事件では初めてではないかと思いますが、ガザのエジプトとの検問所近くで16日夕、ISのメンバーと思しき過激派が自爆し、彼自身とハマスの治安部隊の指揮官が死亡し、5名が負傷する事件が起きました。
al jazeera net とy net news によると、2人の男がガザ内から検問所に近づき、ハマス治安部隊が訊問しようとしたときに、自爆ベルトが爆発した由。
もう一人の過激派は負傷して病院に収容された由。
y net news は、ガザの過激派がガザとエジプトの間を往復していることに対して、最近ハマスの治安部隊が警戒を強めていたと報じています。
http://www.alquds.co.uk/?p=773416
http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5004007,00.html

事件の背景は不明ですが(容疑者が一人負傷しているので、そのうち背景もわかるかと思いますが、公表されるか否かは不明です)、もしかすると、これまで天敵であったエジプトとハマスの間でも、ISの脅威を前に協力関係が進んでいるのかもしれません。
また逆に言えば、仮にガザにおけるISの影響力が拡大しているとすれば、今後ガザは勿論のこと、イスラエル、エジプトにとっても重大な脅威となりそうです。






イスラエル機のガザ空爆

アラビア語メディアは、8日朝イスラエル空軍はガザの2か所を空爆し、パレスチナ人(政府関係者か軍関係か民間人かは不明)3名が負傷し、うち1名は重傷であると報じています。
今の所、IDFからの声明等はない模様ですが(y net news も報じていない)、これら空爆はガザからミサイルがイスラエルに発射、ラッカした数時間後に行われたとのことで、イスラエルの第2チャンネルTVは、ミサイルは国境に近いアシュケロンに落下したが、怪我人等は居ないと報じている由
また、このガザからのミサイル発射についてはどの勢力も犯行声明は出していない由。
他方ハマス報道官は声明でイスラエルの工芸を非難し、イスラエルが総ての責任を負うべきとした由
http://www.alquds.co.uk/?p=768510
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/08/09/غارات-إسرائيلية-تستهدف-مواقع-أمنية-شمال-مدينة-غزة.html
ガザからのロケット攻撃とIDFの報復攻撃は、ある意味では毎度のことですが、今回の一連の動きの具体的な背景は不明です。おそらくはさらに拡大することはないだろうと思いますが、・・・取り敢えず
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