中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アラブ首長国連邦

ダマスのUAE大使館の再開

UAEは2011年以後、外交関係を断っていたシリア政権との関係を正常化する意向のようで、al qods al arabi net はシリア政府がUAEが27日をもって大使館を再開すると発表したと報じています。
同時に、大使館の周囲に築かれていたセメントのブロッグと有刺鉄線の撤去も進んでいるとのことです。
http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit
アラブ諸国とシリアのアサド政権との関係については、先日スーダンのバシール大統領がダマスを訪問し、アサドと会談しましたが、その後ヨルダン国王もシリアとの関係は近く正常化されるであろうと語り、更にはエジプトとシリアの情報機関の親分たちが会談したこと等、アラブ諸国の間でアサド政権との関係正常化の動きがあることは報告した通りです。
おそらくUAEはそのような動きの中心に居るのではないかと思われますが、当面関係を正常化しても、大使を派遣するのは暫く見合わせ、臨時代理大使レベルで様子を見るのではないか?と推測されますが、どうでしょうか?

ハドラマウトの海岸警備のイエメン沿岸警備隊への移行

al sharq al arabi netは、アラブ連合軍は29日イエメン南部のハドラマウトの港、海岸線の警備の責任を公式に、イエメンの沿岸警備隊に引き渡したと報じています。
引き渡し式にはイエメン副首相の他、サウディ対し、米大使、ハドラマウト知事等が出席した由。
また沿岸警備隊は、アラブ連合より、37隻の小舟艇、レーダー基地、通信施設等も引き継いだ由
またこれまでアラブ連合が海上警備等について訓練した沿岸警備隊員は500名に上る由
https://aawsat.com/home/article/1483696/%C2%AB%D8%A7%D9%84%D8%AA%D8%AD%D8%A7%D9%84%D9%81%C2%BB-%D9%8A%D8%B3%D9%84%D9%85-%D8%AA%D8%A3%D9%85%D9%8A%D9%86-%D8%A7%D9%84%D9%85%D9%88%D8%A7%D9%86%D8%A6-%D9%81%D9%8A-%D8%AD%D8%B6%D8%B1%D9%85%D9%88%D8%AA-%D9%84%D8%AE%D9%81%D8%B1-%D8%A7%D9%84%D8%B3%D9%88%D8%A7%D8%AD%D9%84-%D8%A7%D9%84%D9%8A%D9%85%D9%86%D9%8A%D8%A9
興味深いのは、式典に参加したのがサウディ大使で、UAE大使の名前が見えないことです。
確か、ご記憶の方もおられるかと思いますが、このハドラマウトについては、UAEが早くから地元の民兵を育成し、UAEと民兵が支配力を誇示していて、UAEには領土的野心があるのではないかと広くみられていた地域です。
その意味で、アラブ連合を代表してのサウディ大使の式典出席というのは、興味のあるところです。
仮に今回の引き渡しが形だけのものではなく、実質な権限がイエメン側に引き渡されたとすれば、khasshoggi 事件やイエメン内戦に対する米国等の反発が高まっていて、UAEとしても露骨な領土的野心は差し控える必要が出てきたということなのでしょうか?
もしそうであれば、イエメンお今後の安定のためには極めて喜ばしいことではありますが、どうでしょうか・・・・・・

サウディ皇太子の外遊

サウディ皇太子が30日だったかのアルゼンチンでのG20首脳会議に出席すると伝えられたことが注目をひいていますが、皇太子の外遊は先ずは親サウディのアラブ諸国から始まりました。
関連のニュースは次の通りですが、これで見る限り皇太子のサウディ内の地位は、少なくとも当面は間違いなく安泰に見えます。
仮に王室内で、彼の王位継承を阻止しようとか、皇太子を替えようなどという動きがあれば、皇太子としてはまずは足元を固めるためには、外遊などと言う呑気な事をしている余裕はないと思われますので・・・・
また現在のところ、外遊という口実で海外亡命を図るような切迫した必要性はなさそうですから。
尤も外遊を報じているのが、al jazeera net とal qods al arabi net という、サウディに批判、敵対的なメディアだけであることは気になるところではあります。

al jazeera net は、アラブ諸国外遊の最初の国であるアブダビに到着して、大歓迎されたと報じています(空港では礼砲が21発発射されたとのことですが、確かこれは通常国家元首に対する礼式ではなかったかと思います)。
彼はその後エジプト、バハレンをも訪問する予定と報道されている由
彼は訪問先ではイエメン問題、テロ問題、イラン問題パレスチナ和平問題等、要するに中東諸国の重要問題について、協議することになっている由。

記事は更に、チュニジア大統領府筋によると、皇太子はその後27日にチュニジアを訪問することにもなっている由(ただし、チュニジアでは、政治危機にもかかわらず、確か今でもムスリム同胞団と近いナハダが政権の柱を担っている国で、皇太子やサウディが殺されたkhasshoggiは同胞団員だったとして非難していたことを考えると、その信憑性には疑問がある。またチュニジアではISやアルカイダ系の過激派が西部国境地帯で活動していて、首都等でも散発的なテロがあったりして、彼らに対する同調者や同情者は多いので、仮に訪問があれば、抗議のデモが生じる可能性は大きいと思われる)

他方al qods al arabi net はアルジェリアでも、皇太子が今月末か12月初めに訪問するとの報道があり、それに対してSNSや街の声として、反対の声や怒りの声が上がっていると報じています。
https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%ac%d8%b2%d8%a7%d8%a6%d8%b1-%d8%ac%d8%af%d9%84-%d9%88%d8%ba%d8%b6%d8%a8-%d8%a8%d8%b9%d8%af-%d8%a3%d9%86%d8%a8%d8%a7%d8%a1-%d8%b9%d9%86-%d8%b2%d9%8a%d8%a7%d8%b1%d8%a9-%d9%82%d8%b1%d9%8a/
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/11/22/محمد-بن-سلمان-الإمارات-محمد-بن-زايد-جولة-خارجية-جمال-خاشقجي
訂正
皇太子の外遊を伝えるメディアには、その後気が付いたが、サウディ系のal sharqal awsat とalarabiya net もその後報じていますので、その点で上記記事を訂正しておきます













イエメン情勢(ホデイダ等)

イエメン情勢につきアラビア語メディアの報じるところ次の通り

・ホデイダ攻防戦は、市街戦の状況に入り、街の各地で激しい戦闘が繰り広げられている
・政府軍、特にUAE軍の指導を受けている部隊は、「5月22日」病院等複数の重要拠点を占拠した。同病院では、屋上に陣取っていた狙撃兵を排除するための攻撃で、被害が出た(その程度、特に人的被害の有無や規模は不明)
・アラブ連合軍のアパッチヘリは低空からhothy軍を攻撃しており、ヘリは市内至る所を恒常的に飛行している
・これに対し、hothy軍は狙撃兵の他、臼砲等で反撃し、更に多数の道路爆弾、地雷を敷設した
政府軍工兵部隊がその除去に努めている
・国連人権高等弁務官は、ホデイダの状況について、絶対に容認できないとして、即時停戦を求めた
24時間で死亡した民間人は、国連の知り得る限りでも数十名に達した由
またこれまで約50万人が市外に避難している
・国連児童基金UNICEFも、児童が危機的状況に面しているとして、戦闘の停止を求めた
・hoyhy軍幹部は、米国が停戦と和平協議を提案した時に、その同盟国のサウディとUAEがホデイダ攻撃を強めるとは、彼らの共謀を物語っていると非難した

(ホデイダの他サアダ等複数の地域でも、戦闘が激しくなっていることは先に報告したが)サアダ知事(hadiの任命した政府側の人物)は、政府軍はサアダ県の50%を制圧し、その地域の地雷等爆発物の除去及び掃討作戦を行っていると表明した
(このサアダはイエメン北端の地域で、hothyグループの本拠地のあるところなので、その地域の制圧はイエメン内戦の帰趨を大きく左右すると思われるも、仮にその数字が正しいとしたところで、イエメンでは都市を少し出ると、次の集落までの間は、不毛の荒野、岩漠、土漠が広がっているところなので、土地の支配の割合はそれほど大きな戦略的意味はない。
重要都市、戦略的要地の占領、制圧が重要だが、サアダでは未だ本当に重要なhothyグループの心臓部が政府軍に制圧されたという報道はないようである)
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/11/11/الجيش-اليمني-يحرر-نحو-50-من-محافظة-صعدة-من-الحوثيين.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/11/10/اليمن-الشرعية-تستعيد-مواقع-حيوية-بالحديدة.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/11/10/حرب-شوارع-بالحديدة-وغارات-الأباتشي-لا-تتوقف


















イスラエル文化大臣のUAE訪問(柔道連盟の貢献)

al qods al arabi net は、アラブに対する強硬派として知られるイスラエルの文化大臣が、11名のスポーツマンとともにアラブ首長国連邦(UAE)を訪問することとなったと報じています。

記事によると、彼らはアブダビで開かれるグランドスラムに参加するが、これはこれまでイスラエル国旗の掲揚と国歌演奏を認めなかったUAEが世界柔道連盟の要請にこたえて、その立場を変更し認めることとしたためのもので、文化大臣は柔道連盟との間で、来年のテルアビブでの世界柔道選手権開催に関する合意に署名する由。

記事は更に世界柔道連盟の会長は、チュニジアとUAEで開催されることとなっていた柔道選手権を、イスラエルに対する差別ということで、キャンセルし、他の開催地を探していたところであると報じています。

この大臣は対アラブ強硬派として知られていて、2017年10月に、UAEでの柔道選手権でイスラエル選手が金と銅メダルを獲得したが、UAEが国旗掲揚と国歌演奏を拒否した時には、激しく抗議し、イスラエル選手の勝利は「UAEの目に突っ込まれた手」であるとの激しい表現を用いた由。

記事はUAEの立場変更に関しては、世界柔道連盟の圧力が大きな働きをしたとしています。
記事は更にUAEとイスラエル間に外交関係はないが、これまでも複数のイスラエル大臣がUAEを訪問しているとの付記しています。

そういえばすっかり忘れていましたが、確か昨年今頃だったかに、柔道の選手権でイスラエル選手の扱いを巡りトラブルがあったとかの記事があったことを思い出しました。
何しろ、中東では重要な出来事の花盛りですので、その時にはあえて記事にはしなかったような気がしますが・・・・・

その他柔道の記事では、ヨルダンとイスラエルの柔道選手の交流の記事もあったかと思いますが、ヨルダンはイスラエルと公式の関係もあり、特別視する理由はないかもしれません。
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