中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アサド

シリア情勢(新しい国際的動き)

シリアではホムスでの虐殺の数はその後も増加しつつありますが、ここに来で新しい国際的動きが出てきました。
aljazeerah net が伝えるところによれば、9日夕、バン国連事務総長はアラブ連盟事務局長が電話にて、連盟のシリア監視団活動を再開することにするとして、国連の協力を要請してきたと記者団に述べたとのことです。(13:00のBBC放送は合同監視団の設置と言う表現を使っていた)
またシリアで国連の特別代表との間で、合同委員会を設置することも提案したとのことです。
事務総長はまた、国連としては支援の用意があるが、先ず近日中に安保理にかけられるであろうと述べるとともに、シリアの受け入れ可否の問題は不明とした由。

記事の要点は以上ですが、もしこの案が実現し、実効的なものになれば、米国等が考えている有志連合よりも解決に貢献する可能性があるような気がします。

勿論先ずは安保理でのロシア、中国の態度如何ですが、口先だけにせよ、アラブ連盟の調停案を基礎とすると言ってきただけに拒否はし難いと思いますが、やはり基本的にはシリアの態度如何でしょう。
アサドが間接的にしろ、国連の関与を受け入れますでしょうか?
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/98AECC07-A94E-4C46-B52F-0C54BBB28CA5.htm?GoogleStatID=1

シリア情勢(8日)

8日のシリア情勢について、al jazeerah net 等より取りまとめたところ、次の通りです。
なお、現実にホムスで何が起きているかを知りるに今の所、最も優れているのは、ホムスに潜入したBBC特派員のレポートでしょう。毎時放映しています。一人の特派員の報告ですから狭い範囲の映像とかに限られますが、アサド軍の無差別民間人に対する砲撃の被害が良く解ります。

・8日シリア各地でアサド軍の銃砲撃で117名が死亡した。そのうち93名がホムスで、7名がイドリブで、6名がダマス郊外で、3名がハマ、アレッポとダラアがそれぞれ2名であった。
児童もホムスで21名が殺害された。
ホムスの被害の大部分は砲撃によるもので、ババ・アムル地区では砲撃で30個の家が崩壊した。
シリア政府は民間住宅地域への砲撃を否定し、武装勢力の臼砲に責任があるとしている(臼砲と戦車砲や大砲とでは弾道も弾丸音も異なり、大部分の砲撃が臼砲との主張は信じがたい)
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/1CDECD1E-9F0A-4E32-BFCF-D55F4BB43A7F.htm?GoogleStatID=1

・他方シリアを巡る国際的動きとして;
   メドベデフ・ロシア大統領は、ロシアとしては今後とも国連も含め、シリア問題の解決に努力するとして、国際社会に一方的措置を取らないように呼びかけた
   メ大統領とサルコジ大統領は電話会談し、サ大統領はアサドに対する圧力増加の必要性を強調し、損退陣を求めるアラブ連盟の案の実施の必要性を指摘した。
   メ大統領はトルコ首相に対し、電話でシリア国民が外国の介入なしで問題解決する必要性を強調し、今後とも安保理を通じる努力が必要と指摘した。
   米大統領府は近日中に有志の国との会合を開く予定と発表
   トルコ外相も近く国際会議を開く方向で努力中と発言
   これまで英、仏、イタリア、スペイン、ベルギーが大使を召還したが、豪州も召喚を発表。
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/6C8E3CD5-782F-4794-94EE-5D05C5A998A2.htm?GoogleStatID=1

・シリアのムスリム同胞団最高指導者は、ホムスでのアサド軍の殺戮はジェノサイドであると非難した。
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-02-08-12-20-38.htm

シリア情勢(メドベデエフの発言)

先日の安保理議長のシリア非難の声明が出されたことに関連して、ロシアがこれまでの立場を変えたとして注目されていますが、4日付のal jazeerah net の記事は、同日のロシア大統領メドベデエフのロシア紙への発言を報じています。

大統領は、その中でアサド大統領は、至急改革を実行し、反政府側と停戦し、暴力行為の使用を中止し、近代的国家の建設のために努力すべきであるとした上で、もしアサドがそのような改革を実行しなければ、彼の運命は悲劇的なものとなろうと語ったとのことです。

なお、大統領は飽く迄もシリア非難の決定(決定と言う言葉を使っているが、その意味は安保理決議で、確かに安保理の決議は決定としての性格を有しています)に反対しているして、シリアとリビアでは、カッダーフィが明確に弾圧の命令を下したことが明らかなのに、シリアでは必ずしもそうではなく、リビアとシリアは違うと説明したとのことです。

どうも最後のところのリビアとシリアの比較のところはかなり苦しいつじつま合わせの感じはしますが、流石のロシアも守りきれないところまで、シリアの圧政は進みつつあると言うことでしょうか?

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/CDE67088-A973-4ACA-B8D0-B7370B50202C.htm?GoogleStatID=1

シリア情勢(トルコ首相のアサド政権非難)

シリアの隣人たるトルコのエルドアン政権は、中東、アラブ諸国との緊密な関係構築を外交政策の大きな柱として、特にシリアとの関係を重視してきました。
このためシリアのアサド政権が国民に対する弾圧を強化しても、極めて抑制された反応を示し、アサド政権に対する公然たる非難は注意深く避けてきました。

しかるに10日付の today's zaman や al qods al arabi net の記事によれば、エルドアン首相は9日のTVインタビューでアサド政権の行為は非人道的な残虐行為であると激しく非難したとのことです。

おそらく自国との国境近くの町でシリア軍が住民を弾圧し、多数の難民が(BBCの日本時間8時かの放送では、UNHCRトルコ事務所長が3000人の難民が流入し、更に増えつつあると語っていました)流入して、現地情勢が明るみに出てきて、政治的な思惑で黙っていることはできなくなったと言うことかと思います。

またBBC放送等によればシリア政府放送がシリア軍が jisr al sheghour での作戦を開始したと報じたと言っていますので、明日の朝になれば更に詳しい状況は入って来ると思うので、トルコの反応が注目されます。

記事の要点のみ

・エルドアンは5月初めにアサドは良い友人だと言ったばかりだが、9日のインタビューでシリア政府のやりかたは非人道的な残虐行為で容認できない、と激しく非難した。

・この首相の発言はこれまでのシリア政策を大きく変更するものである。

・首相は特にアサドの弟の maher の弾圧行為を激しく非難し、トルコにとってシリアの問題は半ば国内問題で、リビアの問題と同じではないと述べた。

・首相はシリアの残虐行為は国連をも巻き込んだと述べて、安保理で英仏等がシリア非難決議を審議する時にトルコもシリアを擁護はできないとの意向を示した。

・首相は4〜5日前にアサドと電話にて事態の深刻さを指摘したが、アサドはこの警告を軽く受け止め真剣な考慮を払わなかったと述べた

http://www.todayszaman.com/news-246828-turkey-deplores-inhumane-syrian-crackdown-reprimands-assad-family.html
http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest/data/2011-06-10-08-17-15.htm

アラブの春(中東紙の漫画)

1_1063544_1_34[1]最近 al jazeerah net 等になかなか上手い漫画が出ていますので、本日の漫画などご紹介しておきます。

右手から走って来る列車の横腹に書いてあるのが「アラブの春」という字です。
ということは見れば一目で解るように、どうやらサーレハ、カッダーフィとアサドの御三方が、アラブの春号を脱線転覆させようとして、線路に石などを敷いているという図柄ですね。

石の大きさや列車の大きさとその速度から見れば、脱線工作は上手くいかず、妨害者は列車に跳ね飛ばされるということを暗示しているようにも見えます。
なお、アサドの持っている石だけがやけに小さいが、そこは余り意味はないのでしょう。

いずれにしてもサーレハは退陣の可能性が色濃くなってきたし、カッダーフィもふらふらし始めているようですが、一番手ごわいのがアサドでしょうか?

矢張り、この漫画はアラブのインテリ、青年たちの気持ちをよく代弁しているように思いますが、如何でしょうか?
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