中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

アラブ首長国連邦

イスラエル文化大臣のUAE訪問(柔道連盟の貢献)

al qods al arabi net は、アラブに対する強硬派として知られるイスラエルの文化大臣が、11名のスポーツマンとともにアラブ首長国連邦(UAE)を訪問することとなったと報じています。

記事によると、彼らはアブダビで開かれるグランドスラムに参加するが、これはこれまでイスラエル国旗の掲揚と国歌演奏を認めなかったUAEが世界柔道連盟の要請にこたえて、その立場を変更し認めることとしたためのもので、文化大臣は柔道連盟との間で、来年のテルアビブでの世界柔道選手権開催に関する合意に署名する由。

記事は更に世界柔道連盟の会長は、チュニジアとUAEで開催されることとなっていた柔道選手権を、イスラエルに対する差別ということで、キャンセルし、他の開催地を探していたところであると報じています。

この大臣は対アラブ強硬派として知られていて、2017年10月に、UAEでの柔道選手権でイスラエル選手が金と銅メダルを獲得したが、UAEが国旗掲揚と国歌演奏を拒否した時には、激しく抗議し、イスラエル選手の勝利は「UAEの目に突っ込まれた手」であるとの激しい表現を用いた由。

記事はUAEの立場変更に関しては、世界柔道連盟の圧力が大きな働きをしたとしています。
記事は更にUAEとイスラエル間に外交関係はないが、これまでも複数のイスラエル大臣がUAEを訪問しているとの付記しています。

そういえばすっかり忘れていましたが、確か昨年今頃だったかに、柔道の選手権でイスラエル選手の扱いを巡りトラブルがあったとかの記事があったことを思い出しました。
何しろ、中東では重要な出来事の花盛りですので、その時にはあえて記事にはしなかったような気がしますが・・・・・

その他柔道の記事では、ヨルダンとイスラエルの柔道選手の交流の記事もあったかと思いますが、ヨルダンはイスラエルと公式の関係もあり、特別視する理由はないかもしれません。

イエメン情勢

イエメン情勢につきアラビア語メディアから、次の通り。

・hothyグループが、ドバイ国際空港を30日ドローンにより(ドローンは単数だが攻撃は複数、となっていて、1機のドローンが繰り返し攻撃したということでしょうか?)攻撃したと発表したことは、、昨日報告の通りですが、アラブ首長国連邦(UAE)当局はドバイ空港の運航は通常通りで、何ら異常なことはないとして、攻撃の事実を否定した由。

・他方、今度はhothy海軍(と言えば大げさすぎるが、精々複数の小舟艇を保有するだけと思われる)が、30日サウディ南部のジーザーン港に停泊中のサウディ沿岸警備隊の小舟艇複数を攻撃したと発表した由。
これに対してアラブ連合軍の報道官は30日、ジーザーンの港に近づいてくる、爆装した2隻の小舟艇を発見し、これと応戦し、2隻とも撃沈したと発表したとのことです。

・さらに、政府軍等が奪還しているシャブワ県では、その県都ataqで、政府系戦闘部隊とUAEに支援された武装部隊との間で緊張が高まり、市の中心で交通が遮断されている由。

http://www.alquds.co.uk/?p=1024697
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2018/09/30/التحالف-يدمر-زورقين-مفخخين-للحوثيين-استهدفا-جازان.html

確かアラブ連合軍が介入したのが2015年3月だったかで、当初はアデンを奪還し、その圧倒的な空軍力で、hothy連合を屈服するのも時間の問題かと見られていました。

然るに首都サナアの奪還は勿論、タエズも未だに包囲されたままで、ホデイダの攻略も遅々として進まないうちに、UAEが地域的覇権を目指してか、hadi政権と対立し、自己の支援する民兵を育成していて、アラブ連合の主勢力のサウディが何を考えてるのかわからない状況で(例えばスコトラ島についてはサウディ軍を派遣し、UAE軍の撤退をもたらしたが、その他ではUAEの行動には介入していないように見えるが、他方これを助長している訳でもない)、イエメン国民の犠牲が増える一方で、イエメン問題の解決は座礁に乗り上げたままです。

この間、世界有数の山岳兵ではあるものの、もともとは民兵的な部族兵が中心で、近代的軍隊とは無縁であったhothyグループは、名前だけであっても空軍と海軍を有するにいたり、特に弾道ミサイルは無尽蔵ともいえる数のものをサウディ等に向け発射しています。
(そう言えば最近発射のニュースが間遠になったところ、そろそろ在庫に問題でもあるのか?)

それに合わせて、ドローンを保有し、更には小舟艇からなる海軍さえ持つに至ったようです。
必要は発明の母と言いますが、サウディ等の介入が、イランの支援もあってhothy軍の強化、近代化を促しているのは皮肉です。

他方アラブ連合の介入の限界は、これまで何度も米軍が世界中で経験してきた、空軍力だけでは戦争には勝てないという教訓を改めて想起させてくれているようで、圧倒的に優勢な地上部隊を投入しない限り、近い将来アラブ連合と政府軍がイエメンで勝利を収めることは難しそうです。

イエメンに対する近代陸軍の投入は、山岳兵により多大の損害を覚悟する必要があることは、革命後の昔のイエメン内戦で、サウディの支援した王政派部隊が、エジプト軍の大軍に対して手痛い損害を与えた実例もあり、今後サウディがどう対応していこうとするのか、注目されます。

更には、このままずるずるイエメンの泥沼にサウディが引きずり込まれていく場合には、サウディ内にくすぶる(と噂される)皇太子に対する不満がさらに拡大する可能性もあるかと思います。

hothyドローンのドバイ空港攻撃?

確か8月にもイエメンのhothyグループはドバイ国際空港をドローンで攻撃したとしていたかと思いますが、al jazeera net とal qods al arabi net は、hothyグループのTVが、同グループのドローンsmad 3が30日早朝ドバイ国際空港を攻撃したと発表したと報じています。

取りあえずは以上で、空港等に対する損害の報は今のところありません(確か8月の時もドバイ空港は平常通り運航していたかと思う)ので、おそらくは大きな損損害などは与えられなかったものと思われますが、ドバイ空港は多くの民間航空の利用するハブ空港だったかと思うので、今後とも同じような攻撃が行われる場合には、空港の機能が混乱し、また最悪の場合には大きな災害の可能性もあるべく、取りあえず。

どうせhothyグループが自力でドバイまで航行できるドローンを作れるとも思われず、イランからの密輸品か、イランまたはヒズボッラーの技術者が協力したものと思われるところ、イランはドローンに関してはかなりの能力を有し、また不時着した米のプレデターを模造しており、イラン製のドローンはかなり能力が高いので、今後注意が必要か?

アフワズ事件の余震

アフワズでの軍事パレード襲撃事件は、今後のイランの対応如何では、イランと湾岸諸国(特にサウディとUAE)との紛争につながる可能性を見せてきました。
アラビア語メディアから取りまとめたところ。

・最高指導者ハメネイは、彼のネットで、この事件はイランを弱体化させる米政策の一環で、湾岸地域における米国の同盟国の仕業であるとした由。
またイラン軍は湾岸の2国(サウディとUAEが攻撃を仕掛けたとして報復を誓った由。

・具体的にはISとアフワズのアラブ系過激グループの「アフワズ解放アラブ闘争運動」の2つのグループが反抗を声明したが、革命防衛隊報道官はISの関与を否定した由。
他方「アフワズ解放…運動」については、このグループはこれまでもサウディが支援し、訓練、資金武器供与等で援助してきた過激派であるとして、その関与を疑っている由。
治安専門家によれば、フゼスタンの多くの場所で武器は容易に入手でき、過激グループの温床となってきて、それをサウディが支援してきたが、IS関与の主張は、捜査の目をくらませるためであろうとしている由。

・他方アブダビ皇太子の顧問とされる学者が、自分のネットで、軍事目標に対する攻撃はテロではない」と主張したことに対して、イラン軍及び革命防衛隊では怒りが起きていて、この主張どおりであれば、UAEの軍事基地に対する攻撃もテロではない、として報復の可能性を示唆している由。

・(他方、犯人4人のうち1名は逮捕されたと伝えられたところ、どうやら4人とも射殺された模様のところ)
ロウハニ大統領はイラン軍は犯人のグループを探し出して、必ず報復すると語った由。
また革命防衛隊及びアフワズの当局は、当日安全確保の隙間があったことを認め、同州内にあるテロの細胞を摘発し、犯人グループを突き止め、報復すると誓った由。
取りあえずは以上で、今後の動きは、基本的にイラン(特に革命防衛隊等)が、どのような判断をするかではないかと思われるところ、仮に彼らがサウディが「陰謀の本拠」であるとして何らかの報復を考える場合には、これまでもサウディ内少数派の居住する東部州等で多くのテロ事件が起きていることからも(尤もその多くは少数派を襲撃して住民間の対立を激化させようとするIS等の行為と見られているが)、そのつもりになればサウディ内でテロ等の問題を惹起する手段は持ち合わせていると思われます。
更にはサウディの裏庭のイエメンでのhothyグループ支援をさらに拡大する手もあろう。

湾岸に関しては、これまでも湾岸諸国自身が、イラン情報局の手先のテログループが多数潜伏し、テロ活動やスパイ活動を行っていると主張してきており、その通りであれば、イランとしては報復の手段はかなり持ち合わせているように思われます。

イランに対するテロとなると、イランは反射行動的に、米国とイスラエルのモサドの仕業と考える傾向があり、今回も当初その様な反応が見られたが、その後どうやら矛先はサウディとUAEの方に向いているように思われます。

イエメン情勢(ジュネーブ会議の失敗等)

イエメン情勢も混沌としています。

・先ずは政治的解決の方ですが、6日から国連主催で、ジュネーブで開かれることになっていた、政府とhothyグループの和平協議は、hothy代表団が到着しなかったために、8日中止が発表されました。
hothy使節団が到着しなかったことについては、観測筋はイエメン政府や国連との関係での駆け引きだろうとしていますが、hothyの指導者abdel malik は、アラブ連合がその出発を阻止したと非難した由。
国連特別代表は、今回は政府代表団のみと協議ができたので、その結果をhothyグループに伝え、関係者との意見交換を進めるので、今後の和平協議について議論するのは、時期尚早であるとした由。

・他方、前から南イエメンで正統政府に反対する動きを示していた、分離主義者はアデンその他南イエメン各地で、ほぼ毎日、抗議デモを行い、タイヤを燃して交通を阻害し、正統政府に対する反対を叫んで、情勢の不安定化と不安な状況を作り出している模様。
これを報じるal qods al arabi netは、南の分離主義運動には2つのグループがあり、一つは前から報道されていたUAEの支持するグループで、hadi政府の倒壊を狙っているところ。もう一つのグループはイランの支援するグループで、こちらも正当政府の弱体化を狙っているとしています。
(この報道で、気になるのは、イランの支持する分離主義グループと言うことで、記事は彼らは正当政府反対もさることながら、最大の敵はアラブ連合、中でもサウディとしています。
しかし、これまで分離主義者の中にもイランの支持するグループがいるというようなニュースがあった記憶はなく、如何なるグループなのか、若干不思議な気がします。
なお、サーレハ大統領からその後のhadi大統領時代…と言うことは内戦開始前まで・・・アデン等で、分離主義運動が大衆動員していましたが、その際には歴史を踏まえてか、2つのイエメンがあった時代の南イエメンの指導者…要するに共産党指導者・・・が指導し、旧南イエメンの旗が持ち出され、最後の大統領であったアルベイドの肖像などが掲げられていました。彼らから見れば、旧南イエメン軍人でありながら、1994年だったかのイエメン内戦でサーレハ側についたhadi 大統領は裏切り者になることになります)。
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