中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イエメン

イエメン情勢(アラブ空軍の大規模空爆)

イエメンでは、停戦どころか、各地で戦闘が激化している模様のところ、al qods al arabi netは2の記事で、アラブ連合空軍が13日サナアと北部のジャウフに対する大規模空爆を実施したと報じています。

そのうちサナアの方では、hothyグループが逮捕者の拘禁場所として使っている、軍警察MPの基地が空爆され、そこに拘禁されていた抑留者を中心に、100名以上の死傷者が出たとのことです。
現場の目撃者の話では、これら拘禁者に40名以上の死者が出て、また60名が負傷した由。
このため周辺の病院、特に軍病院は死傷者でいっぱいになっている由。
ジャウフの方では、アラブ連合空軍はhothyグループの武器弾薬庫および軍事施設を空爆した由だが、こちらの方の人的損失については不明。

これまでもアラブ連合の空爆については、誤爆やら、周辺の民間人施設、住宅、病院、学校を巻き込んだ空爆で、多くの民間人が死傷しているとの批判が強く、サウディ等は調査及び目標選定の改善等を約してきたが、100名以上の死傷者ともなると、民間人の巻き添えも多いことが懸念されます。

ttp://www.alquds.co.uk/?p=844044
http://www.alquds.co.uk/?p=844316

サーレハ前大統領の埋葬

サナアでhothyグループによって殺されたサーレハ前大統領の遺体については、hothyグループが国際赤十字への引き渡しを拒否していましたが、al qods al arabi net が報じるところ、彼の親族及びhothyグループ筋によると、彼の遺体は9日彼の生地の村で厳重警備の中埋葬された由。
葬列には議会議長のほか、数人の親族も出席したが、全部で20名程度であった由。

http://www.alquds.co.uk/?p=841695

サーレハの遺体がhothy グループにより、彼の生地の村に埋葬されたということは、そこまではhothyグループの支配が確実に及んでいるということで、サナア周辺の政府軍による攻略は、容易ではなさそうです。

さらに、サーレハがサウディと妥協して、hothyグループから離れようとしていたことは明らかですが(おそらくそれがhothyグループの彼と側近に対する容赦ない扱いになったのだろうと思う)、サウディがどのくらい彼の寝返りに重きを置いていたかは分かりませんが、そのイエメン戦略にサーレハのhothyからの分断ということがあったことは間違いないと思います。

その戦略が無効となった今では、イエメン内戦はおそらくは今後とも長引くことになるのではないか、という気がします。

更に、上記に書いたサナア攻略が難しいことを考慮してか、政府軍の方では、攻撃の主力をホデイダの攻略に置いている模様(下記の記事ご参照)で、今後ホデイダの戦闘が長引いても、政府軍の手に落ちても、ホデイダを通じる人道清物資の搬入は当分困難にさらされることが予測されます。
何時もの言葉ですが、戦乱で傷つくのは一般民衆ですね。

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/12/10/قوات-الجيش-اليمني-تصل-إلى-ثالث-مديريات-الحديدة.html

サーレハ前大統領は裏切られた?

中東は陰謀、権謀術策の渦巻くところだと思いますが、その中でも飛びぬけてすごいのがイエメンだと思います。
al qods al arabi netは、サーレハ前大統領は側近の2人と近しい新聞記者に裏切られて、hothyグループに殺されたと報じています。
更にすごいのは、hothyグループはこの陰謀が表面化しないように裏切り者たちを殺害したㇼ監禁したりしているとのこと。

この話が本当ならば、イエメンは、山賊同士かマフィアの殺し合いの場のように思われてきます。
勿論、信憑性は確認できませんが、ご参考まで。

「本紙(al qods al arabi)はサーレハの死に関する詳しい情報を見ることができたが、それによると彼は側近のもの2名と親しい新聞記者に裏切られて、hothyグループに殺害された。」
サーレハは死ぬ直前に家族に電話をしてきて、「あいつらに裏切られた・・売られた」と叫んだ由。
それによると1名は、hothy連合の大臣で、もう一人は共和国警備隊の武器保管責任者であった。
そのうち大臣は新聞記者と協力して、イランから供与された複数の盗聴器をサーレハの家に仕掛け、それでhothyグループは、サーレハの家の中での動きや、外部との連絡や彼の軍事計画を把握することができた由。

1日の夕、サーレハの手のもの3000名が、サーレハの司令官とともに終結し、夜になればhothyに対する動きを始める手はずになっていた由。
そして共和国防衛隊の将校が、武器を手渡すはずであったが、彼はhothyグループに武器を明け渡し、サーレハ側の連絡に応えようとしなかった由。
この将校は、サーレハの死後,秘密を守るためにhothyグループにより殺害された由。
大臣の方は粛清を前提に自宅軟禁されていた由。

その後、hothyグループはサーレハ支持者及びその家族に対して、負傷者を病院から誘拐したㇼ、電気ショックの拷問を加えることも加え、暴虐の限りを尽くした由。
(確かこのようにして殺された者の数が1000とかいう数字もあった)

http://www.alquds.co.uk/?p=841245

サナア情勢(サーレハの死の状況等)

サナアの状況は徐々に明らかになりつつありますが、基本的にはサーレハ前大統領の死後、サーレハ支持派の抵抗は急速に崩壊し、サナア市の大部分はhothy グループの支配下にある模様です。

治安筋(というのはhothy筋か?)は、サーレハの死後、サーレハ支持派の抵抗は数時間で終息したとしており、hothyグループはサーレハの複数の息子が捕虜になったとの報道を否定し、複数の息子が病院で手当てを受けていると語った由。

またhothyグループの広報部は、サナアの南部における掃討作戦の模様のビデオを流している由。
ビデオには、サーレハ支持派から押収された多数の臼砲、弾丸、装甲車等の映像が含まれている由。
他方、国際赤十字は1日以来の戦闘で234名が死亡し約500名が負傷したとしている由。
(以上は、al jazeera net が報じるところであるが、サウディ系のal arabiya net は、国連安保理の非公開会合で、イエメン政府代表が、hothyグループは、サーレハの与党の粛清をはじめており、数千名が処刑されたとの警鐘を鳴らした…如何に何でも数千名というのは大げさかと思われるが、報道のまま…と語った由で、この発言も上記のサナアはほぼ完全にhothyグループの支配下にはいったとの報道と合致すると思われます)。

また別の記事はサナアでの、女性の抗議行進に対して、hothyグループが銃撃したと報じていますが、これなども、矢張りサナアはhothyグループに制圧され親サーレハグループでは、表向きの抵抗は精々女性による抗議デモ位であることを示しているのかもしれません(誇り高いイエメン男性にとって、この表現は、非常に侮辱的だが、現実がそうなら仕方がない)。

他方、これまではサーレハはサナアから出生地に逃走中に、hothy武装兵に追いつかれて、殺害されたと報じられていましたが、al arabiya net は、戦闘現場であったサーレハの自宅にいた、hothyグループの幹部の一人の証言として、サーレハは100人くらいの護衛とともに、武器をとって最後まで抵抗したが、ついに相当負傷してhothy グループにつかまったところ、彼をどうしようかとの上層部への電話に対して、「処刑しろ」との一言で、彼の運命が決まったとのニュースを流しています。(それらしい最後の瞬間前の彼の写真もある)。
実は彼の与党は、彼の逃走説を否定し、サーレハは武器をとって最後まで戦ったと主張していましたが、このニュースはその主張と合致します。

因みに、アラビア語ですが、このhothyの幹部の一人の証言は、徐々に縮められる包囲の中で、戦車砲や臼砲の砲撃下で、カラシニコフだけをとった彼の取り巻きや息子どもが次々に、死んだり負傷したりする様子を非常にリアルに伝えています。
どこまでが真実かは不明ですが、関心の向きは下記ご参照。

また、サウディ等のアラブ連合空軍は、6日、サーレ派の死亡が伝えられた後、サナアその他の地域で、hothyグループの拠点に対する空爆を強化している由。
(サーレハが死んでからでは、少々の空爆強化位では大勢を覆すのは難しいのではないか?イエメン政府軍が相変わらず、頼りにならないと、サウディ等の地上部隊の介入の可能性も出てくるのではないか?
時期尚早の見方ですが…)

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/6/الحوثيون-يحكمون-قبضتهم-على-صنعاء
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/12/06/ميليشيا-الحوثي-تفرق-بالقوة-مسيرة-نسائية-رفعت-صور-صالح.html
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2017/12/06/قيادي-من-المؤتمر-هكذا-أعدم-الحوثيون-صالح.html
http://www.alquds.co.uk/?p=839579

アブダビの原子炉に対するhothyのミサイル発射

hothyグループが、アブダビ(UAE)のal baraka原子炉に対して、クルーズミサイルを発射したと発表した事は昨日報告しましたが、al jazeera net は、UAEの危機対応庁が、この報道を否定したと報じています。

同庁は更に、この原子炉はすべての緊急事態に備えた防衛手段を有しているとして、UAEは十分な対空防衛能力を有しているとしている由。
なお、このal baraka原子炉は、韓国企業が建設中で、2018年稼働の予定の由。
また、UAEに対するhothyのミサイル発射は2回目で、最初は確か9月のことだった由(確かその時には、UAE側は特段の反応をしてはいなかった様に思われます)。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/3/الحوثيون-يؤكدون-إطلاق-صاروخ-على-مفاعل-إماراتي

hothyが発射したというミサイルが、どこへ落ちたのかは不明ですが、原子炉に着弾しているとすれば、核燃料を既に搬入済みか否かは知りませんが、大騒ぎになり、特に韓国企業が建設にあたっている以上、韓国でも大騒ぎになり、日本へもその騒ぎは伝わっているはずですから、少なくとも原子炉の近くには落下しなかったのではないでしょうか?

確かあの原子炉は日本企業も入札して、韓国に負けた案件ではなかったでしょうか?もしそうなら、落札しなくてよかったと思っている企業幹部もいるのでは?

それにしても、原子炉がテロの標的になるという問題意識はかなり広まっていましたが、戦闘の対象になるとはあまり想定されてないかもしれません。
いずれにしても、湾岸地域での原子炉の建設は、その点からも非常に危険ですね。
UAEの軍事力については情報もあまりありませんが、サウディと同様にPAC3など保有しているのでしょうね?
livedoor プロフィール
最新コメント
記事検索
  • ライブドアブログ