中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イスラエル

中東の危険分子はイスラエルとサウディ!!

これまでイランが、中東への敵を非難する時には、米国の次にはイスラエルを挙げたものですが、ヒズボッラーのナスラッラ―書記長は中東の安定と平和への敵は、イスラエルとサウディだと主張したとのことです。

サウディも出世したものとでも言うべきなのでしょうか?
これはal jazeera net がレバノンTVのインタビューを報じているところだが、それによるとナスラッラーは米国と共謀してのサウディの中東への介入が、地域を破壊しつつあると非難した由。
彼はまた、タリバンでもアルカイダでも、調べてみればその後ろにサウディがいるとしたが、これはサウディ外相が米国がヒスボッラーをブラックリストに載せたことを称賛し、ヒズボッラーに対抗する湾岸の同盟が必要と述べたことに対する反論の由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/9/نصر-الله-السعودية-وإسرائيل-خطر-على-المنطقة

確かナスラッラーはアシューラの際にも、中東におけるサウディの陰謀と戦争が失敗したとサウディを激しく非難しており(その点は報告済みかと思う)、最近ヒズボッラーとサウディの相互非難が激しくなりつつある感じがしますが、これはやはりその親分であるイランとトランプの対立が激しくなっていることの反映でしょうか?



第4次中東戦争の回想

以下の話は昔の回想の類で、現在のニュースではないので、暇のある方がお読みください。但し、話としては面白いと思います。

イスラエルでは、最大の祭日の一つの、ヨムキップール(贖罪の日)が始まりますが、最近の西岸とかの緊張状態に鑑み、イスラエル軍、警察等が最大限の警戒態勢を敷き、パレスチナ労働者の入境が禁止され、多くの道路に検問所が設けられ通行が止められるとのことです。

ヨムキップールというと、1973年にこの日を選んでエジプトとシリア軍がシナイ半島とゴラン高地の奪還を目指す、第4次中東戦争を開始したことで有名です(エジプトではラマダン戦争と呼ぶ)。
この戦争では、サダト大統領の巧みな陽動作戦等もあり、イスラエルは奇襲攻撃を受けて、エジプト軍のスエズ運河渡河を許し、これに反撃しようとしたイスラエルのエリート部隊の機甲部隊の戦車と航空機が、エジプト軍のサッガー対戦車ミサイルとSAM6地対空ミサイルの餌食となり、多数が撃破され、ゴラン高原でもシリア機甲部隊の進出を許し、イスラエルは深刻な安全保障の危機に直面しました(確か、誰かの本で、当時のイスラエル首相のゴルダ・メイヤーがニクソン大統領に、至急大量の戦車、航空機の供給を要請し、米国がこれに応じなければやむを得ず核兵器を使うことになると脅迫したという話を読みましたが、真偽のほどは勿論不明です。
これに応じたニクソンの指示で、米軍はその備品である戦車や航空機までひっぺ返して、イスラエルに供給したが、米軍の大型輸送機が直接シナイ半島に輸送したはずです)。
こんな昔の話をなぜ書くかというと、al qods al arabi net が、当時のモサドの長官の回想として、1973年10月12日、イスラエルの戦争内閣が開かれていて、国防大臣のダヤン(独眼竜ダヤンとして有名だった)が、非常に悲観的な報告をしているときに、モサド長官あてに電話がかかってきて、エジプトの有力者(イスラエルのスパイ)を担当している部下から、エジプト軍の次の作戦について詳細な計画や参加部隊の報告があったとの報告があり、これを聞いた閣議の雰囲気ががらりと変わったと回想しています。
エジプト軍は、更にシナイ半島深く進攻し、ヘリからの大規模降下作戦を計画しているというものだった由
(報告の話はここまでですが、要するにエジプト軍がスエズ運河の線からあまり深く入らない場合には、SAM6の援護下にあるが、半島深く進攻すれば、SAM6の保護下から離れ、イスラエル空軍お餌食になるというもので、実際にもそうなりました)
また、当時のモサド長官はこのスパイはナセル大統領の娘婿のマルワンではないとしています(氏名等は不明。未だ生存している人物でしょうか?)
実は、ナセルの娘婿マルワン・・確か金持ちの実業家だったと思う…がイスラエルのスパイであったという話は昔から有名で…元モサド長官もその回想の中で、マルワンがスパイだったことを認めている…彼は、かれこれ20年くらい前だったかにロンドンの自宅のフラットのバルコニーから転落して死亡したが、ナセルの娘は、それはマルワンに対するエジプト情報当局の仕返しであるとして、英当局に厳重な調査を要求していました。その後どうなったのでしょうかね?

なぜ、こんな昔の話を書いたかというと、どういう偶然か知りませんが、本日午後のBBCが英国情報部MI6の職員で…将来のMI6長官を嘱望されていたと言われている…ソ連KGBのスパイであったキム・フィルビィの展示会がモスクワで開かれ、ロシア対外情報局長がフィルビィは英雄だったとして、その未亡人を慰めていたというニュースを流していたこともあります。
当時の東西のスパイ合戦は多くの人の関心を引いていたものでした。面白い小説もスパイものが多かったような気がします。
ttps://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5022728,00.html
http://www.alquds.co.uk/?p=799511

イランのシリアでのプレゼンスに対するイスラエルの警告

本12日から国連の通常総会が始まりますが(なぜか忘れたが、国連総会は毎年9月の第2火曜日から始まることになっている)、総会では各国首脳がスピーチのために多数参加することもあり、この機会を利用しての、各国の首脳の外交活動が活発になっています。
イスラエルのネタニアフ首相も、この機会にトランプ大統領に対して、イランのシリアにおけるプレゼンス問題を提起することになっている由(当然ほかの国の首脳に対しても同じことをするものと思われる)。

最近イスラエルが、ポストISのシリア問題で、イラン(当然その手先のヒズボッラも含めて)に対する警戒を表明することが増えています、ynnet news やal jazeera net はイスラエルの複数閣僚が警告を発したと報じています。

取りまとめ
・イスラエルの情報大臣は11日、対テロセミナーで、ソースを明かすことなく、アサド大統領はイランに対してシリア内に海軍、空軍基地を含む恒久的なプレゼンスを認める合意に署名する方向であると警告し、これはイスラエルに対する長期的な脅威となると指摘した。

・イスラエルの法務大臣は、アサドは政権に留まりたかったら、イランに恒久的なプレゼンスを認めるべきではないと語った。
これは上記と同じセミナーでの発言であるが、同大臣はイスラエルは主要国に対して、イランがシリアで強力なプレゼンスを維持しないように圧力をかけるべきであると語った。
彼はさらに、主要国がこのような要求に応えないのであれば、やるべき必要なことをする、と語るとともに、イスラエルはイランがシリアで武器工場及び港(海軍基地?)を維持することは認めないと語った。

・イスラエルの協力大臣は、ネタニアフがNYで(国連で)トランプ大統領とイランのプレゼンス問題を話し合う予定であると語った。
彼はさらに、イスラエルはイランがシリアにテロ支援の足場を作ること(要するにヒズボッラー支援と言うことか?)を認めることはないとし、イスラエルはできれば外交的に解決したいとして、軍事力の行使もありうることをほのめかした。

http://www.aljazeera.net/news/international/2017/9/11/تحذير-إسرائيلي-للأسد-بشأن-الوجود-الإيراني
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5015205,00.html

サウディ重要プリンスのイスラエル訪問?

このところ、イスラエルとサウディの秘密裏の接触の報道が頻繁に見られますが、al qods al arabi net は、イスラエル外務省及び首相府が、最近サウディの重要プリンスがイスラエルを訪問し、地域の和平問題(具体的なことは不明)を前進させるための方策について、イスラエルの政治、治安幹部と協議したとの報道(voice of israel) を否定も肯定することも拒否したと報じています。
同放送のネットでは、最近数日間にサウディ宮廷の重要プリンス(誰かは不明)が秘密裏に訪問したと報じている由。
記事はさらに、最近はサウディとUAEからのイスラエルへの秘密訪問のニュースが増えており、7月には穏健アラブ諸国の会議(トランプ大統領訪問の機会にサウディで開かれた湾岸、エジプト等の会議か?)を前にして、サウディ情報長官がイスラエルを訪問したと報じられた由。
記事はまた、ネタニアフ首相その人が、イスラエルはエジプトとヨルダン以外の多くのアラブ諸国とも接触を有しており、現在ではこれらの秘密裏の連絡が公式のものになることを願っていると語っているとしている。
http://www.alquds.co.uk/?p=786628
確かに、この記事の言うとおり、サウディとイスラエルの接触は十分ありうることですが(イランとかヒズボッラーとの関係では両国の利害は殆ど一致している)、仮にこの記事の通りであったとして、現在サウディが早急にイスラエルと協議する必要のある域内問題とは、矢張りイラン問題、今後のシリア等なのでしょうか?

イランのシリアでのミサイル工場建設(アラビア語メディア報道)

先日はイランがシリア内でヒズボッラーのためにミサイル工場を建設しているとのアラビア語メディアの記事を紹介したかと思いますが、al qods al arabi net はイスラエルのスパイ衛星が、イランがシリア内でミサイル工場を建設中であることを発見したと報じています。

これは元々、イスラエルのチャンネル2が報じたものとのことですが、イスラエルの偵察衛星eeros bi(アラビア文字からの訳、以下同じ)を運営するeemjist社が、初めてシリア内でスカッドを建造するための工場を発見したとのことです。
それによると、この人工衛星は最近、シリアの北西部の地中海沿岸のバニアス近辺で、その写真を撮ったが、写真によれば工場は爆発物を貯蔵する建物も含んでいる由。
イスラエル局によれば、この工場はテヘラン近郊のイランのミサイル工場に酷似している由。
また同局は、イランがこの建設の後ろにいることは間違いなく、工場の完成は1年以内であろう、としている由。

http://www.alquds.co.uk/?p=772815

このバニアスの近くの工場とやらが、先日お伝えしたミサイル工場とは別のものか否かは不明ですが(考えてみれば、いくらなんでもイスラエルに接しているゴラン高地でのミサイル工場建設は、余りに刺激的だし、またイスラエルからの攻撃には脆弱すぎると思われる)、仮にこの記事が事実であるとすれば、特にこれがヒズボッラーのためのものであれば、イスラエルがこれを攻撃するのは確実ではないかと思われ、新たな火種がまかれたような気がします。
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