中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イラク

イラクの新政府編成(風刺画)

karikater-180718-1[1]イラクの政府編成の風刺画です
上の題名は「政府の編成」です。両手を鎖でつながれた男の胸にはイラクと書いてあります。後ろから多数の手が出てきて、それぞれ勝手に何か書いてるのには「イランの手(複数)」とあります。

それはともかく、このところ、ちょっとイラクの政府設立に関する合従連衡の話が出てきませんが、どうなっているのでしょうか?

https://aawsat.com/home/cartoon/1366221/%D8%A3%D9%85%D8%AC%D8%AF-%D8%B1%D8%B3%D9%85%D9%8A

イラン・イラク関係(米の制裁対応)

イラクが米の対イラン制裁は支持しないとしつつも、その制裁は守ると表明したことに対して、イランが反発し、予定されていたアバディ首相の訪問が中止されたことは、確か昨日報告したかと思いますが、al qods al arabi net とal arabiya net は、首相が早くも軌道修正を表明したと報じています。

但し、al arabiya net は、アバディ首相が13日、イラクはドル決済に関する米制裁は守るが、その他の通商関係に関する制裁を守るということではないと説明したと報じていて、先の首相の説明とは矛盾しているとコメントしています。

それに対して、al qods al arabi net は、同じことを報じながら、同首相がイラクとして、イランからの輸入に関しては未だ決定をしておらず、イランに対して、ドル以外の通貨での通商を提案したと、別の側面に焦点を当てて報じています。

http://www.alquds.co.uk/?p=994225
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/13/العبادي-ملتزمون-بعدم-استخدام-الدولار-بتعاملات-إيران.html

米国の制裁関連で、ドルを使用せずに別の通貨で決済をすることは、確か2年ほど前にロシアとトルコが行ったこと(主として農業産品だったか?)があったかと思いますが、果たしてイランとイラクの間で、どういうことになるのか?

それぞれの国の通貨での決済となると、何しろイラン・リラが対ドルで天文学?的レベルと暴落していて、今後さらなる暴落が予測されているるだけに、経済的には先ず難しそうです。
一番合理的なのはユーロの使用ですが、果たして欧州中央銀行がイランとの通商でのユーロの使用に理解を示すか否か等種々問題がありそうです。

イラク・イラン関係

イラクは隣国イランの強い影響下にあり(衛星国と称する者もいる)、特に最近のトランプの中東から距離を置く政策で、ますますその傾向が強まっているように思われるところ、米国の対イラン制裁を巡り、この友好関係にひびが入りそうな様相です。

アラビア語メディアはいずれも、アバディ首相が15日予定されていたイラン訪問を中止したと報じています。

それによると、アバディ首相は14日トルコを訪問し、15日イランに赴き、最近の国際経済問題につき協議する予定だったとのことですが、イランがアバディ首相の米国の対イラン制裁に関する政策に非常に強い反発を示しているので、イラン訪問は中止したとのことです。
トルコへの訪問は予定通りとのこと。

事の発端はアバディ首相等イラク政府が、米国の対イラン経済制裁について、歓迎しないし、積極的に何かをするつもりはないが、対イラン制裁は守ると発言したことにハメネイ以下イラン政権が強く反発したことの由。

なお、al arabiya net は、クウェイトのal jazeera紙を引用して、イラン革命防衛隊のハメネイ警護隊al sabreen 部隊が、イラク・イラン国境地帯に展開したと報じています
記事はさらに、この部隊の地方展開は通常、ハメネイが同地域を訪問する時に限られているが、今回ハメネイが故郷地帯を訪問するか否かは不明としてます。
(この記事の元はクウェイト紙だが、al arabiya はサウディ系のメディアであり、何処まで信憑性があるかは不明)

http://www.alquds.co.uk/?p=993543
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/13/أنباء-عن-نشر-القوات-المكلفة-بحماية-خامنئي-بحدود-العراق.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/8/12/أنباء-عن-إلغاء-العبادي-زيارته-لطهران-فما-السبب

イラクでは総選挙後の混乱がまだまだ続いているところ、アバディ首相は更に、最重要な隣国と重要な問題を抱え込んだことになり、今後どう対応するかが注目されます。

送電線に対する破壊工作(イラク)

この話が事実であれば(疑う理由はないが)、「泣きっ面にハチ」でしょうね。

イラクではこの1週間以上、主として経済的不満からの抗議活動が続いていますが、その大きな要因が電気、水の欠如です。
その電力に関し、al arabya net は、電力省が5日、3つの県に電力を供給する送電線が、テロの破壊活動にあったと発表したと報じています。

この3県とはキルクーク、ニノワ、サラハッディーンの一部ですが、一時は完全停電したが、その後完全に修復されたとのことです。
また送電線網に対するテロ攻撃は、過去2ヵ月の間で8件もあった由。
(おそらくはISの残党の仕業かと思われるが、イラクの複雑な政治情勢からみると、必ずしもそうとは言い切れないか?)

記事は夏の間、気温が50度にも達するイラクでは、電力の供給は死活問題であるとコメントしています。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/05/بغداد-تعرض-خط-رئيسي-للكهرباء-لعمل-إرهابي-تخريبي.html

バスラの抗議活動の再開(イラク)

先ほどはイランの抗議活動が、宗教都市コムにも広がり、また体制批判の様相を呈してきたことを報告しましたが、イラクでもバスラから始まり、南部や中部に広がった抗議活動が、バスラで再度活発化した模様です。

これはal qods al arab net とal arabiyanet が報じるところですが、バスラでは再び県庁の前に多数の抗議者が集まり、治安部隊と睨みあっている模様です。
彼らの指導者は、これまでの政府の約束は遅々として実行されていないとして、政府、政党に対する不信感を訴えている由。

また、彼らとしては、このような状況が続けば、主要道路や橋を切断する等の強硬手段に出るしかないと話してもいる由。

http://www.alquds.co.uk/?p=988233
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/05/العراق-محتجو-البصرة-يهددون-بقطع-الجسور-والطرق.html

イラン、イラクと言う隣接国で、それぞれ民衆の不満が高まり、公然たる抗議活動になっていますが、ある意味では、イランではハメネイ体制での聖職者の権力独占と腐敗、アラブ世界に対する介入で資金の大部分が浪費され、庶民の生活が悪化する一方であること、イラクではまさに腐敗、インフラの欠如、物価高騰それぞれよって来る原因は異なる面もあるが、これまでの双方の政権が、庶民の生活に目を向けず、自分たちの既得権力を守り拡大することに血眼になってきたという共通の背景があるような感じがします。

勿論、今のところ両国の抗議活動が、一緒になるような兆候は見られず、それぞれの政府も、口ではいろいろと約束はするも、体制の根幹にかかわるような改革をする用意は見せていないようです。
両方の抗議活動が今後どう発展していくのかは、今後の問題ですが、アラブの春の結末に見ても、民衆の要求が実現するよりは体制側による弾圧、または更なる政治的不安定化に向かう可能性の方が強そうだ、とうのは若干悲観的過ぎる見方でしょうか?
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