中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

イラン

イラン・イラク関係(米の制裁対応)

イラクが米の対イラン制裁は支持しないとしつつも、その制裁は守ると表明したことに対して、イランが反発し、予定されていたアバディ首相の訪問が中止されたことは、確か昨日報告したかと思いますが、al qods al arabi net とal arabiya net は、首相が早くも軌道修正を表明したと報じています。

但し、al arabiya net は、アバディ首相が13日、イラクはドル決済に関する米制裁は守るが、その他の通商関係に関する制裁を守るということではないと説明したと報じていて、先の首相の説明とは矛盾しているとコメントしています。

それに対して、al qods al arabi net は、同じことを報じながら、同首相がイラクとして、イランからの輸入に関しては未だ決定をしておらず、イランに対して、ドル以外の通貨での通商を提案したと、別の側面に焦点を当てて報じています。

http://www.alquds.co.uk/?p=994225
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/13/العبادي-ملتزمون-بعدم-استخدام-الدولار-بتعاملات-إيران.html

米国の制裁関連で、ドルを使用せずに別の通貨で決済をすることは、確か2年ほど前にロシアとトルコが行ったこと(主として農業産品だったか?)があったかと思いますが、果たしてイランとイラクの間で、どういうことになるのか?

それぞれの国の通貨での決済となると、何しろイラン・リラが対ドルで天文学?的レベルと暴落していて、今後さらなる暴落が予測されているるだけに、経済的には先ず難しそうです。
一番合理的なのはユーロの使用ですが、果たして欧州中央銀行がイランとの通商でのユーロの使用に理解を示すか否か等種々問題がありそうです。

イラク・イラン関係

イラクは隣国イランの強い影響下にあり(衛星国と称する者もいる)、特に最近のトランプの中東から距離を置く政策で、ますますその傾向が強まっているように思われるところ、米国の対イラン制裁を巡り、この友好関係にひびが入りそうな様相です。

アラビア語メディアはいずれも、アバディ首相が15日予定されていたイラン訪問を中止したと報じています。

それによると、アバディ首相は14日トルコを訪問し、15日イランに赴き、最近の国際経済問題につき協議する予定だったとのことですが、イランがアバディ首相の米国の対イラン制裁に関する政策に非常に強い反発を示しているので、イラン訪問は中止したとのことです。
トルコへの訪問は予定通りとのこと。

事の発端はアバディ首相等イラク政府が、米国の対イラン経済制裁について、歓迎しないし、積極的に何かをするつもりはないが、対イラン制裁は守ると発言したことにハメネイ以下イラン政権が強く反発したことの由。

なお、al arabiya net は、クウェイトのal jazeera紙を引用して、イラン革命防衛隊のハメネイ警護隊al sabreen 部隊が、イラク・イラン国境地帯に展開したと報じています
記事はさらに、この部隊の地方展開は通常、ハメネイが同地域を訪問する時に限られているが、今回ハメネイが故郷地帯を訪問するか否かは不明としてます。
(この記事の元はクウェイト紙だが、al arabiya はサウディ系のメディアであり、何処まで信憑性があるかは不明)

http://www.alquds.co.uk/?p=993543
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2018/08/13/أنباء-عن-نشر-القوات-المكلفة-بحماية-خامنئي-بحدود-العراق.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/8/12/أنباء-عن-إلغاء-العبادي-زيارته-لطهران-فما-السبب

イラクでは総選挙後の混乱がまだまだ続いているところ、アバディ首相は更に、最重要な隣国と重要な問題を抱え込んだことになり、今後どう対応するかが注目されます。

イランの新型対艦ミサイル実験(ホルムズ海峡)

米国の対イラン制裁に対抗して、先週イランはホルムズ海峡、ペルシャ湾、アデン湾等で、大規模な(海軍)演習を行ったところ、al qods al arabi net とal arabiya net は、米政府によると、イランはこの演習で新型の短射程、対艦ミサイルの実験を行ったと報じています。

米政府筋は、この実験はイランの米国に対するメッセージであるとしているも、この種演習での事件が例外的なものか、またミサイル発射が領海内で行われたものか否か等については述べていない由。
(上記記事は双方のネットで、表現も含め、ほぼ同じなので、おそらくは米政府筋の流したところをアラビア語に直したものかと推測されます。

もう少し詳しい情報がないと、本当に新型対艦ミサイルの実験があったのか否か、米またはイランの情報宣伝活動に過ぎないのか等は良く解りませんが、取り敢えず報道のまま)

http://www.alquds.co.uk/?p=992756
https://www.alarabiya.net/ar/iran/2018/08/11/أميركا-إيران-اختبرت-صاروخا-مضادا-للسفن-في-مضيق-هرمز.html

紅海でのサウディ・タンカー攻撃(革命防衛隊幹部の発言)

先日の紅海におけるhothyグループのサウディタンカー攻撃は、バーブルマンデブ海峡も封鎖の可能性があるとして注目されましたが(もっともサウディ石油相は、紅海の安全が確保されたとしてタンカーの輸送を再開したが)、この事件で裏にイランがいたのか否かが注目されていました。

しかるにal qods al arabi net とal arabiya net は、革命防衛隊のthar allah本部作戦部長とか言う人物が、この攻撃はイランの要請によりhothyグループが実行したものであると発言したと報じています。
彼はまた、イエメンのhothyグルプとレバノンのヒズボッラーは、イランにとっての戦略的縦深であると語った由。

http://www.alquds.co.uk/?p=990023
https://www.alarabiya.net/ar/iran/2018/08/07/الحرس-الثوري-حرضنا-الحوثي-على-استهداف-ناقلات-السعودية.html

彼が革命防衛隊でどの程度の地位にあるのかは不明ですが、この発言はファルス通信とか保守派のファルダ通信等も伝えているとのことですから、単なる個人の戯言ではなく、革命防衛隊として、かなり公式的発言かと思われます。

問題は米の制裁再開が始まり、イラン・米国関係が緊張し、おそらくイラン内でもロウハニ政府と革命防衛隊の強硬派等との意見の差があるのではないかと推測される現在で、何故こんな発言が行われたかです。
一つの可能性としては、前からロウハニ大統領も、イランとしては必要があればホルムズ海峡のみならず、その他の海峡も閉鎖する能力があると言っていたことの裏付けとして、米国に対して牽制したことです。
もう一つは米国との妥協を模索しているとみられるロウハニに対して、妥協しないように強硬派が牽制したことです。
個人的には前の方の可能性が強そうに思いますが、根拠はありません。

イラン体制の苦労(風刺画)

cartoon6-8-2018-1[1]イランに関する風刺画です。
方々の穴から海水が漏れてきているぼろ船の穴を必死で塞ごうとしている男にはイラン体制と書いてあります。
これもal sharq al awsat net の風刺画ですが、このところ(確かロンドン発行の)サウディ系の新聞のネットの風刺画は専らイランに関するもののような気がします。

https://aawsat.com/home/cartoon/1353876/%D8%A3%D9%85%D8%AC%D8%AF-%D8%B1%D8%B3%D9%85%D9%8A
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