中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

エジプト

テロとの戦い(エジプト)

エジプト軍治安部隊は、シナイ半島で対テロ作戦を継続しているところ、南部のメナでは、コプト教徒のバスが襲われ、7名死亡し、14名が負傷したとのことです。
(その後死者が10名になったとの報道もある。)

メナの事件は(日時は不明だが2日のことと思われる)、コプト教徒の乗った2台(または3台)のバスが、メナの有名な僧院に赴くところ、テロリストに銃撃されたもので、ISがアマク通信を通じて、犯行声明を出した由。

33台目のバスも銃撃されたが犠牲者は出なかった由。

この僧院近くのテロはこの1年で、2回目で、最初の事件では29名が殺されたが、同じくISが犯行声明を出している由。

またキリスト教徒を狙った最近のテロでは、この8月にカイロ近郊の教会が狙われた由。

他方シナイ半島の対テロ掃討作戦では、エジプト軍はテロリスト18名を殺害し、147の隠れ家を破壊した由。
(これらの時期不明)
またテロリスト129名を逮捕した由。
また空軍は中北部で、テロリストの4輪駆動車25両を破壊した由。

khasshogi事件(イスラエルとエジプト首脳のサウディ皇太子擁護)

al qods al arabi net とal jazeera net は、washington postやイスラエル報道を引いて、ネタニアフとシーシ(エジプト大統領)が米政権高官に対して、サウディ皇太子擁護の働きかけをしていると報じています。

このwashington postはkhasshoggiが寄稿員をしていた新聞で、当然彼を支持していますが、イスラエルとエジプト首脳のサウディ皇太子擁護という話になると、これまでの両国のサウディとの関係や立場から見て、十分あり得る話で、むしろ報道されたのが遅かった位だと思います。

このような重大事件ともなると、中東政治から切り離して、単純に人権問題としては処理しきれない問題であることが改めて強調されたようなものでしょうか。

両者の記事の要点のみ、

・washington post紙は、1日エジプトのシーシ大統領とネタニアフが電話で、米政府高官に対して、サウディ皇太子擁護の働きかけをしていると報じている。
その働きかけの内容に通じているソースは、両首脳は米政府に対して、皇太子は中東における重要な戦略パートナーであるとして、彼を擁護した由。
また両者はkhasshoggi は、テロ集団であるムスリム同胞団のメンバーであったとのサウディの主張を繰り返した由。(khasshoggi がムスリム同胞団員だったというのは本当ですかね?他ではあまり聞きませんが…もちろん同胞団であろうがなかろうが、これを殺害していい理由にはならないが)

・この点に関し、イスラエルTV10チャネルは、ネタニアフがサウディは、対イランのイスラエル、UAE、エジプトとの重要な同盟者であると伝えたと報じている。
さらに、同TVは、イスラエル高官が米に対し、khasshoggi 事件は重大ではあるが、サウディとの間には中東の安定を保つという重大な利害があり、サウディでの(首脳の)変化は重大な影響をもたらすと伝えた由。

オムカルスーム・フェスティバル(サウディ)

cc167e9e-54c7-469e-816f-4582ce7cc92e[1]1960年代の中東、と言うかアラブ世界で最大の歌手は好き嫌いにかかわらず、エジプトのオムカルスーム(写真)だったと思いますが、al jazeera net はサウディのTV文化チャネルが、ホログラムを使った彼女のフェスティバルを準備していると報じています。

当時の彼女は、アラブ世界全体で絶大な人気があり、彼女の演奏会のある毎週木曜日だったかには、クウェイト等から態々航空機で大勢の聴衆がカイロに来たものでした。
当時アラビア語を勉強していた、日本人も含めた外国人の間では、彼女が大好きにならなければ、アラブは好きになれない、などと言う言葉がはやったものでした。

しかし、私には彼女は余りに脂っこくて(あえて言えば、バターにラードを入れ、更にオリーブ油をこれでもか、これでもかと入れた感じ)、到底好きになれず、レバノンのフェイルーズに熱を入れていたものです。

お蔭で今もってアラビア語には苦労しています。
下らない話を書きましたが、オムカルスームと聞いて流石に懐かしくなったので、つい一言だけ。
そういえば80年代に彼女の家(ゲジーラだったかと思う)が博物館になっていましたね。

エジプトの大量死刑判決(国連人権高等弁務官の批判)

エジプトの裁判所が75名もの大量死刑判決を下したことは先日報告しましたが、al qods al arabi net によると、国連の人権高等弁務官(ミチェル・バチェレ・ヘリア前チリ共和国大統領で今月初より職務開始)は9日、エジプトのcourt of cassation (邦訳がどうなるか解らないが、仏系の裁判所で、事実関係の取り調べはしないが、法的な審理をして、事犯の最終的判断をするものらしい。いわば最高裁判所に該当か?)に対して、先日の大量死刑判決は公正な裁判とは言い難い、としてその取り消しを求めたと報じています。

高等弁務官は、先般の裁判は被告人一人一人に弁護人がついておらず、また検察の証拠開示はそれぞれの容疑を証明するには極めて不十分であったとして、仮に判決が実行されれば、正義に反することとなろうとして、最後の決定をする裁判所に、判決の廃棄を求めた由。

国連人権高等弁務官は、その職掌がら多くの政府と(特に中東、アフリカ等の途上国の)と衝突する難しい仕事で、彼女の前任のヨルダン出身のザイド・フセイン…確か王子の称号を有していたと思う…もよくアラブ政府と衝突していました。今月初めから職務を開始した新弁務官にとって、この事件は最初の難しい問題かと思いますが、エジプト政府が国際社会の声を聴くことが望まれます。

エジプトの大量死刑判決

エジプトではシーシの独裁体制と、ジャーナリストや反対派に対する抑圧がますますひどくなっているとの批判が絶えませんが、al arabiya net (エジプトと緊密なサウディ系のメイディア)は、8日エジプトの裁判所(特定していないが、カイロ刑事裁判所か?)が2013年の座り込み事件に関連して、ムスリム同胞団幹部(複数)を含む75名に死刑判決を下したと報じています。

これは殺害から財産の破壊に至る容疑で裁判にかけられていた739名に対する判決の一部とのことです。

同胞団の最高指導者muhammad badiaと46名が終身刑の判決を受けた由。
またムルシー前大統領の息子が10年の重禁固刑を受けた由。

更にメディアの写真家が5年の刑を受けた由。
(確か英米メディアでは、この写真家に焦点を当て、彼は当時の事件を取材していただけだとして、エジプト言論の自由に対する弾圧という観点から報道していた)

確かかなり前のことになりますが、エジプトのデルタ地方の裁判所が200名以上に死刑判決を下し、異常な政治的判決だとして世界的に非難されたことがあったかと思います。

今回はそれに比べたら、死刑判決数は遥かに少ないが、それにしてもこれだけの人数に死刑判決を下すに当たり、どれだけ真面目に容疑事実を取り調べたのか、疑問になります。

因みに記事はエジプトのさる法廷とだけ報じていますので、これが最終判決か、まだ上告、上訴できるのか否かは不明です。
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