中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

エジプト

エジプトの大量死刑判決(国連人権高等弁務官の批判)

エジプトの裁判所が75名もの大量死刑判決を下したことは先日報告しましたが、al qods al arabi net によると、国連の人権高等弁務官(ミチェル・バチェレ・ヘリア前チリ共和国大統領で今月初より職務開始)は9日、エジプトのcourt of cassation (邦訳がどうなるか解らないが、仏系の裁判所で、事実関係の取り調べはしないが、法的な審理をして、事犯の最終的判断をするものらしい。いわば最高裁判所に該当か?)に対して、先日の大量死刑判決は公正な裁判とは言い難い、としてその取り消しを求めたと報じています。

高等弁務官は、先般の裁判は被告人一人一人に弁護人がついておらず、また検察の証拠開示はそれぞれの容疑を証明するには極めて不十分であったとして、仮に判決が実行されれば、正義に反することとなろうとして、最後の決定をする裁判所に、判決の廃棄を求めた由。

国連人権高等弁務官は、その職掌がら多くの政府と(特に中東、アフリカ等の途上国の)と衝突する難しい仕事で、彼女の前任のヨルダン出身のザイド・フセイン…確か王子の称号を有していたと思う…もよくアラブ政府と衝突していました。今月初めから職務を開始した新弁務官にとって、この事件は最初の難しい問題かと思いますが、エジプト政府が国際社会の声を聴くことが望まれます。

エジプトの大量死刑判決

エジプトではシーシの独裁体制と、ジャーナリストや反対派に対する抑圧がますますひどくなっているとの批判が絶えませんが、al arabiya net (エジプトと緊密なサウディ系のメイディア)は、8日エジプトの裁判所(特定していないが、カイロ刑事裁判所か?)が2013年の座り込み事件に関連して、ムスリム同胞団幹部(複数)を含む75名に死刑判決を下したと報じています。

これは殺害から財産の破壊に至る容疑で裁判にかけられていた739名に対する判決の一部とのことです。

同胞団の最高指導者muhammad badiaと46名が終身刑の判決を受けた由。
またムルシー前大統領の息子が10年の重禁固刑を受けた由。

更にメディアの写真家が5年の刑を受けた由。
(確か英米メディアでは、この写真家に焦点を当て、彼は当時の事件を取材していただけだとして、エジプト言論の自由に対する弾圧という観点から報道していた)

確かかなり前のことになりますが、エジプトのデルタ地方の裁判所が200名以上に死刑判決を下し、異常な政治的判決だとして世界的に非難されたことがあったかと思います。

今回はそれに比べたら、死刑判決数は遥かに少ないが、それにしてもこれだけの人数に死刑判決を下すに当たり、どれだけ真面目に容疑事実を取り調べたのか、疑問になります。

因みに記事はエジプトのさる法廷とだけ報じていますので、これが最終判決か、まだ上告、上訴できるのか否かは不明です。

カイロは世界最悪の町?

al jazeera net はforbes誌が米eco expert 機関の報告書で、カイロが世界最悪の町10のうちでも、最低だったとしたことに対して、エジプト環境省が、科学的根拠があいまいで、不正確な資料を使い、さらに最近の環境浄化の努力を評価していないとして、これを拒否したと報じています。

しかし多くの専門家や活動家等は、報告書の言うことには一理あるとして、カイロの環境が悪いことを指摘するものが多いとしています。

彼らはその一つの証拠として、カイロ在住エジプト人で、余裕ができたものは別の町か、新しく作られた衛星都市等に移ってゆくものが多いと指摘しています。

世界で環境面で最悪の10都市とは、(順番は不明だが) デリー(インド)、北京、モスクワ、イスタンブール、広州、上海、ブエノスアイレス、ロスアンジェルス、パリにカイロを加えた10都市でそのうちでもカイロが最低とのことです。

またカイロは、空気等環境の悪化のみならず、人口密集からくる問題、衛生問題、道が狭くて常に混雑していること、公共交通機関不足等の多くの問題を抱え、そのために慢性疾患、伝染病等の多くの問題も抱えている由。

そもそも上記10都市が、環境面等から世界最悪の都市に入るか否かについては議論もあるべく(例えばパリとかモスクワとかが本当に最悪の部類に入りますかね?。またリストには載っていないがテヘランの汚染も相当なもののはずですし、他にも非常に環境の悪い都市のリストはまだまだ長いと思われます)、またこのal jazeera net がエジプトと確執しているカタール系のメディアであることはよく知られています。

と言うことで、この記事については、多くの異論がある可能性が強いと思いますが、世界最悪の町か否かは別として、空気汚染、ナイル川の水汚染、ごみ問題、交通問題、住宅問題等非常に多くの問題を抱えた町であることはまず間違いないと思います。

しかし、個人的にはそれらすべての問題があっても、カイロが相変わらず、非常に魅力的な町であることに変わりはないと思っています。まあアバタもエクボというやつでしょうか?

ガザ情勢(17日)

ガザに関しては、イスラエルとハマスの仲介をしているエジプトなどの停戦案(6段階からなるものの由)が、固まりつつあるとの報道がありますが、他方、毎週金曜日の「帰還のための行進」では、al qods al arabi netによると、17日ガザ・イスラエル国境方面でパレスチナ青年2名が死亡し、240名(270名との説もある模様)が負傷したとのことです。

負傷したもののうち 、60名は銃撃により、残りはゴム弾や催涙ガスによるものの由。
また、この他エルサレム旧市街で、パレスチナ人がイスラエル人を襲おうとして殺されたとのことです。
記事はさらに、このためこれまで帰還のための行進が始まってから、170名がイスラエルとの衝突で死亡したとしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=997426
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/8/17/اللمسات-الأخيرة-لهدنة-طويلة-في-غزة

このような状況で、冷静に今後の停戦と良好な関係など議論できるものか、疑問はありますが、取り敢えず。

燃料ガスの値上げ(エジプト)

嘘でしょう!と一瞬目を疑いましたが、al jazeera net によると、エジプト政府は家庭用および商業用ガスの値段を33〜75%(消費量の少ない所は安くし、消費量が増えるに従い、高くする)値上げしました。
この値上げは来月初からとのことです。

何故嘘でしょう!と書いたかと言うと、確か6月なかばに、エジプト政府は、ガス・ボンベ(最近は知らないが、少し前までは殆どの家ではガスボンベが調理用であった)の値段もふくめて、石油、ガス、および電力料金の値上げをしたばかりだったからです。
これは膨大な補助金による財政危機を救うためにIMFとの合意に従ったものとのことですが、それにしても次から次へととのかなり大幅な値上げには若干驚きます。

皮肉な見方をすれば、このような値上げをしても、大きな暴動も起きないくらい国内は安定しているということなのでしょうかね??
確か地下鉄の値上げに対しては抗議が起きたはずですが・・・・・

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/21/مسلسل-مستمر-مصر-ترفع-أسعار-الغاز-بنسب-تصل-لـ75
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