中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

エルサレム

エルサレム問題(フェイルーズの新曲)

レバノンの歌手フェイルーズは、レバノンのみならず、アラブ世界中で最も有名な存命中の歌手ですが、al qods al arabi net は82歳の彼女が、最近のエルサレム問題に関連して、エルサレムに関する新曲を発表したと報じています。

彼女は60年代から中東全域で活躍し、特にパレスチナ問題についても、「おお、エルサレム」とか「いつかは故郷に帰る」等の切々とした歌で、パレスチナ問題の悲劇を訴えたことで知られています。
新しい歌は「何時になるのか?ああ、神よ、私を永遠に忘れないでください」などと言う内容からなるとのことです。

http://www.alquds.co.uk/?p=938663

パレスチナ人の悲劇を訴えるものとしては、彼女の歌は何人も束にしたアラブの政治家や、新聞、TVの宣伝よりもはるかに影響力があるだろうと思いますが、だからと言って、それが現実を変える何らかの力になるわけではないことは承知しています。

パレスチナ問題(ナクバ・デイ)

確か米大使館のエルサエム移転は、日本時間22:00頃だったかと思いますが、アラビア語及びイスラエルメディアは、既に西岸、ガザで大規模な衝突が生じ、25名とも28名とも言われるパレスチナ人がガザの境界で、銃撃等により殺されたと報じています。

何しろ、現在進行中の話ですから、どのくらい話が正確か不明で、また今後さらに犠牲者の数は増えるものと思われますので、現時点で何か書くのは無意味で、明日の朝にでもゆっくり書けばいいのですが、明日は午前中から先日の手術後の検査と診断があるので、いつ帰ってくるか不明でブログを書くのもどうなるかわからないので、取りあえずの腰だめの話として若干のニュースを引用しておきます。

というのは今後どう話が発展しようとも、どうやら大量の犠牲者が出るのは避けられず、そうなればそのアラブ諸国やイスラム諸国等に対する影響も小さくはないだろうという気がするからです。

なお、これはあくまでも取り敢えずの話で、流石に日本の報道機関も関心を持っている模様ですので、むしろ明日一番でTVか新聞をご覧になることが良いかと思います(それまでには情報も一応は整理されてるでしょう)。

  • 死亡したものの数はパレスチナ保健省によれば、上記の通り、25人とか28人とかの数字が出ているが、イスラエル当局は死亡したパレスチナ人は3名確認としている由。
  • ガザでは境界線近くに35,000名が抗議のために集まった。
  • 負傷者は1600名以上で、うち448名がIDF(イスラエル国防軍)の銃撃によるものである。
  • アラブ連盟は緊急会合を開く予定。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2018/05/14/نقل-السفارة-احتجاجات-عارمة-بذكرى-النكبة-ومقتل-فلسطيني.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/5/14/شهداء-وجرحى-بغزة-ومسيرة-بالضفة-واجتماع-طارئ-للقيادة
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5260097,00.html
https://www.haaretz.com/israel-news/u-s-embassy-gaza-protests-and-nakba-day-live-updates-1.6078190
http://www.alquds.co.uk/?p=934578

エルサレム問題

エルサレムに関するトランプ宣言に対する抗議は23日も西岸では継続し、イスラエル軍等と散発的な衝突はあったものの、新たな死者は出なかった模様です。
他方、イスラエル当局は騒動のためとして、西岸のラマッラー(パレスチナ暫定政府の居所)とal biraの2の都市への出入り口を封鎖した由。

他方,al arabiya net はパレスチナの外務次官補が、パレスチナとしては今後、国連総会に対して、エルサレムを首都とするパレスチナの国連への正式加盟(現在は国連のオブザーバー)を求めることになると明らかにしたと報じています。

先の緊急国連総会が、トランプ宣言は無効であるとして、その撤回を求める決議を3分の2で可決したことで、気を強くしたものかどうか知りませんが、新しい加盟国の加盟承認は国連憲章上安保理の勧告に基づいて総会が決定することとなっていて、当然のことながら安保理では常任理事国は拒否権を有します(昔、昔のことになりますが、日本の加盟申請もソ連の拒否権行使で、何度となく涙を呑んだことがあります)。

国連外交には非常に詳しい(はず)のパレスチナ外交官は当然そのことは知っているので、この発言は、いわゆる観測気球というやつかも知れません。
特に、先日の総会決議が3分の2の得票と言っても、かすかすであったことを考えれば、パレスチナの立場は決して非常に強いものでもないと思いますが・・・・。

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/12/23/السلطة-الفلسطينية-سنطالب-الأمم-المتحدة-بعضوية-كاملة.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/23/مواجهات-متفرقة-والاحتلال-يغلق-مدينتين-بالضفة

エルサレム問題(国連での攻防)

トランプ宣言に対するパレスチナでの抗議運動については、先ほど書きましたが、この問題は明日以降,国連を舞台にした攻防が始まる模様です。

y net news は安保理が18日、イスラエルの入植地に関する安保理決議の履行状況を審議する非公式協議をするが、アッバス議長は安保理を使って,米国に最大限の圧力をかけるつもりであると報じています。
記事の要点は次の通り。

・エルドアン大統領は,トルコのトランプ宣言抗議者に対して、国連を舞台にしてトランプ宣言を撤回させると発言した。
・パレスチナの国連代表は、17日夕、この問題に関する決議案を提出すると語った
とのことで、今月の安保理議長国日本の手腕が問われる難しい月になるでしょう。

http://www.aljazeera.net/news/international/2017/12/15/مبادرات-تركية-إلى-الأمم-المتحدة-لإلغاء-قرار-ترمب
http://www.alquds.co.uk/?p=845161

「イスラエル当局は、アッバス議長がこれまでのゲームのルールを変えて、安保理に対して、パレスチナをエルサレムを首都とする、国連正式メンバーとして承認するように求めるであろうと考えている。
国連加盟には先ず安保理の承認が必要で、現在パレスチナはバチカンと同じくオブザーバーとして認められているが、正式加盟を申請することで、国際社会の多数の支持を得て、米国に拒否権の行使を余儀なくさせようとしている
(要するに米国の孤立を際立たせることになるが、これまで米国を調停者として期待していたので、その怒りを買うことは避けてきたという意味。米国の拒否権は織り込み済み)
もう一つは国連の投票規則を活用して、米国の拒否権を防ぐやり方で、米国のエルサレム承認を安保理決議違反として提訴し、米国は問題の当事者だから、投票に参加することはできないと、議論する考えの由。
当然米国はこれに対してあらゆる法的議論を駆使して反対することになろう由」

ttps://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5056819,00.html

果たしてパレスチナがそこまでいくか否か、現時点では不明だが、米国は正直な調停者としての資格を失ったとのアッバスの発言が真意であれば、上記のような動きも当然あり得るかと思われます。
取りあえず。

エルサレム問題2

エルサレムに関するトランプ宣言から4日がたちましたが、al jazeera net は4日目の犠牲者は、西岸とガザで231名の負傷者と報じています。
イスラエルのy net news も、同日の犠牲者は西岸で171名、ガザで60名としており、ほぼ同じ数字で、先ずはかなり正確なところかと思います。
また同日には新たな死者は出なかった模様です。

このような状況を踏まえて、イスラエル紙のネットは、イスラエル側の喜びの表現も、パレスチナ側の怒りの表現も、抑制されたものであったと形容していました。死者が出なかったことは評価できるとして、負傷者が230名以上で、果たして抑制されたものと言えるのか否か議論のあるところでしょう・・・。

他方、朝方お伝えしたアラブ連盟の外相会議については10日早朝、最終コミュニケが発出された(ということは文言の調整等で手間取っていたのでしょう)とのことですが、当然予測されたトランプ宣言に対する非難(無効である、国際法違反である、中東和平を疎外する等々)以外では、総ての国にエルサレムを首都とするパレスチナ国家の承認を要請し、また近々(1ヶ月以内)にアラブ首脳会議をヨルダンで開催することを検討するとなっている模様です。

要するに、誰も真面目に聞かないような(アラブがこのような形で非難するであろうことは、当然誰もが予想していたところで、それ以上でも、それ以下でもなかったから)口先の非難より以上にはアラブ首脳会議の開催検討ということくらいが、アラブ連盟のできたことなのでしょう。

朝方予告した通り、アラブ各国に対して、米国との関係を断絶するように勧告するなどという「過激な」文言は盛り込まれなかったようです。

その他では、先に報告した通り中東を歴訪するペンス副大統領との関係で、アッバス議長が予定していた会談を取りやめるほか、エジプトのコプト教の大司教も副大統領とは会わないとのことです。

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/12/09/وزراء-الخارجية-العرب-يبحثون-وضع-القدس.html
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5054201,00.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/9/أكثر-من-مئتي-مصاب-بمواجهات-مستمرة-بالضفة-وغزة

ということで、アラブ各国が何もする能力が無いか、その意思がないことが明らかになり、パレスチナ民衆も現状では大騒擾を起こすまでに怒り狂っている訳でもないと観測できようにおもわれます。しかし、問題はこの後パレスチナ民衆がどこまで抑制できるか、更にはアラブ各国の民衆がいつまで彼らの政府の口先だけの非難で満足しているかでしょう。

もしそれで済めば、CNNなどがコメントしているように、トランプの賭けが勝ったということなのでしょうが、どうも今回の米政府のしたことは、中長期的に見れば、アラブ世界に大きな影響を残すことになりそうです。

何しろ、客観的に見れば、パレスチナ人はイスラエル政府に対して圧倒的に弱い立場にあるので、何らかの米政府の調停と介入、更にはイスラエル政府に対する圧力がない限り、初めから意味のある交渉などできないのが、冷厳な現実で、仮にパレスチナ暫定政府が声明通り、米国との接触を断ったりすれば、実質的に損をするのはパレスチナ側であることは目に見えており、イスラエルとしては和平が進まないことをいいことに、今後とも既成事実を積み重ねていくのでしょう。

そこでCNNなどのコメンテーターの中には、トランプはこれまでもイスラエルが喉から手が出るほど欲しがっていたエルサレムを与えたのだから、ネタニアフに対しては大きな貸しを作った形で、これまでの規制の外交観念とは全く次元の異なる取引をしようとしていて、ネタニアフも断りにくくなるだろうなどとする人もいるようです。

しかし、中東の市場やタクシーに乗る時の駆け引きでも、切り札は温存しておくのが、鉄則で、いったん相手が欲しいものを与えてしまったが最後、相手の譲歩を引き出すことは不可能になります。
更に言えば、そもそもトランプは中東和平など、自分の米国内での権力固めの材料ぐらいにしか。考えていないように思われます。
まあ、今後どうなりますか? 取りあえず。
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