中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

エルサレム

民主党綱領に「エルサレムはイスラエルの首都」の挿入

米国大統領選挙等では、共和党、民主党共に重要な政治勢力であるユダヤ票及びそれを支持する米国の保守派に媚びて、イスラエルに対する支持を競い合う「beauty contest」が行われるというコメントをかなり前にしたかと思いますが、ロムニーが共和党候補に指名される随分前にイスラエルを訪問し、そのご機嫌を取り結びましたが、今度は民主党です。

6日付のal jazeera net は大統領候補を指名する民主党党大会は、「エルサレムはイスラエルの首都である」との文言をその綱領に盛り込んだと報じています。
記事によると、この文言に関しては、異論が多く、3回も投票が行われ(と言っても拍手によるもののようで、票数等は全く不明ですが)、どうやら挿入反対の方が多いように見えたが、3回目の投票の際に議長が、3分の2を獲得したとして採択を宣言したとのことです。
なお、この文言を盛り込むことについては、イスラエルに冷たいと共和党から攻撃されているオバマ大統領も、挿入ということで個人的に働きかけたとのことです。

記事の要点は以上ですが、エルサレムはまさしく中東紛争の主要問題の根幹の一つで、国際法的には西エルサレムがイスラエル領であるのに対して、東エルサレム(旧市街地を含むエルサレムのいわば中心。パレスチナは将来の首都をここに置くことを主張してきた)は67年戦争による占領地ですが、イスラエルは戦争後、東を併合し、統一エルサレムはイスラエルの永遠の首都であるとしています。

このような国際法上の地位にも鑑み、日、米を含む大多数の外国は、その大使館をエルサレムではなく、テルアビブにおいています(外交関係に関するウィーン条約は原則として、大使館は首都に置くと規定している)。一部のラ米諸国にはエルサレムに大使館を置いているところもあったと思います。
これまでイスラエル及び米国のユダヤロビーからは米大使館のエルサレム移転についての強い圧力が加えられてきました。

尤も記事によると4年前の民主党選挙綱領ではこの規定が含まれていたが、今回は綱領案の時点で含まれていなかったものが復活したとのことで、この文言が入ったからと言って、直接米外交政策に変化が生じるという訳ではなさそうです。
但し、イスラエル傾斜としての象徴的意味は大きく、パレスチナ暫定政府は直ちに抗議したとのことです。

http://www.aljazeera.net/news/pages/6fd17f45-76d0-4652-a80e-6ef566a33ba9?GoogleStatID=1

米大使館移転問題

4日付の y net news の記事は、オバマ大統領が現在テルアビブにある米大使館は安全保障上の理由でエルサレムには移転しないと通報したと報じています。

これは米国議会が1995年に米大使館のエルサレム移転を法律で決めた時に、安全保障上の理由から行政府がそれを実行しない時には6カ月ごとに議会に報告するという規定があるので、これに従っての報告とのことです。

勿論クリントンもブッシュも同じことをしてきましたし、オバマもこれまで2年間そうしてきた訳で、特段新しいニュースという訳ではありませんが、中東問題の厄介なことを御理解いただく為に、余りこの種問題に馴染みのない方のために紹介した次第です。

背景だけ書いておきますと、67年戦争までは東エルサレムはヨルダン領、西エルサレムはイスラエル領だったが、その戦争でイスラエルが占領して、併合して、イスラエルの永久的な首都だと称していますが、国際法上は東エルサレムは現在でも占領地と言う立場にあります。

中東和平の話し合いの中で、エルサレムをどうするかは最も難しい問題の一つと言われます。

また外国の大使館の移転問題は、間接的にエルサレムの併合を認めたことになる(国際法上、大使館はその国の首都に置くことになっている)ので、極めて機微な問題になる訳です。

現在ほとんどの国はテルアビブに大使館を置いていますが、米国はユダヤロビーの影響があって、あのようん立法があった訳ですが、米国政府としては中東、イスラム世界総てで物議を醸し出す覚悟がない限り、とてもではないが移転などできないと言うことだと思います。

http://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-4078017,00.html
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