中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

カタール

カタールのトルコ支援

カタールのトルコ支援については、先ほども触れましたが、al qods al arabi net は、カタールの首長が15日の自分のネットで、カタールはこれまでのトルコのカタール及び域内問題への貢献に鑑み、現在トルコが直面している困難を救うために、トルコに対して150億ドルの直接投資をすることとしたと表明したと報じています。

トルコ大統領府も、両首脳の会談で、カタールが150億ドルの投資を表明したと声明したとのことです。
記事はこのカタールの支援は、アラブの国として公式のトルコ支援としては最初のものであるとコメントしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=995939

このカタールの支援もあって、1ドル17リラまで下落していたトルコ通貨は、16日15リヤル台まで回復したとのことですから、取り敢えずのカンフル剤的な効果はあった模様です。

確かに、トルコは、サウディ、エジプト、UAE、バーレン等が対カタール制裁(封鎖)を実施した時に(ちなみにこの封鎖は現在も続いているはず)にトルコ軍を派遣したり、新鮮青果物を供給したりして、カタールを支援した国で、その他リビア政策、ムスリム同胞団政策等で同じような政策をとってきた国ですから、不思議なことはないかもしれませんが、150億ドルとはなかなかの支援だと思います。

 それにしても、アメリカは一方でトルコに対して制裁を発動ていながら、そのトルコを金融的に支援しているカタールには大規模空軍基地を維持したり、トルコについてもインチェリック空軍基地を未だ使用したり、必ずしも首尾一貫した政策と言うことではなさそうです。
その辺がトランプのトランプたる所以でしょうか?

カタールのS400導入問題(ロシアの立場)

カタールのロシア製地対空ミサイルS400の導入に関し、サウディ国王が仏大統領に対して中止方ロシアに働きかけるように要望したとの話は先に報告しましたが、al qods al arabi net はロシアのスプートニク通信が、ロシア関係者の言として、サウディのこの問題に関する立場は、ロシアには何の影響も及ぼさないと語ったと報じています。

それによると、ロシア議会国防安全保障副委員長が、この問題に関するサウディの立場は米のそれと関連していて、米国はこの地域での兵器市場を失うことを恐れて、サウディに圧力をかけていると語った由。

彼はまた、サウディはこの地域で覇権的地位にあり、カタールのS400入手はそれに影響を与えるので、サウディが関心を有するのは当然であるとして、ロシアはこの地域の力のバランスを保ち、安定に資することを政策として、サウディの立場には影響されないとした由。

http://www.alquds.co.uk/?p=946972

中東などへの英米仏等の武器供与国(輸出国)が良く使う口実で、ロシアも同じような口実を武器輸出に使っていることは、死の商人はどこでも同じということを示しているのでしょうかね?
それにしてもロシアが、確かイランへは若干旧型のS300の輸出にとどめておいて、カタールやトルコへはより新型のS400を輸出するとは、単なる代金(コスト)の問題だけでしょうか?

カタールのS400導入問題

確かかなり前に、トルコがロシア製最新型の対空ミサイルS400を導入しようとして、米国が反対しているというはなしが流れていましたが、あの話はその後どうなったのでしょうか?
それはともかく、今度はカタールの導入問題です。

al qods al arabi net とal jazeera net は、仏誌le mondeを引用して、最近サウディ国王が仏大統領マクロンに対して、カタールが導入を検討しているロシア製S400の、導入を中止するようにカタールに圧力を加えることを要請したと報じています。

サウディ国王は、その要請の中で、カタールのS400導入はサウディの安全保障に甚大な影響を与えるとして、必要があれば、軍事力の行使も含めて、しかるべく対応する用意があると警告した由。
現在のところ仏外務省のコメントは得られていない由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/6/1/السعودية-تلوح-باستخدام-القوة-ضد-قطر-ما-السبب
http://www.alquds.co.uk/?p=946335

カタールのS400導入の話は、私には初耳ですが、仮に事実とすると、NATOメンバーのトルコと言い、米国の大規模基地を有するカタールと言い、米国の昔からの友好、同盟国がロシア製の近代兵器導入を進めようとしているのは何故か?気になるところです。

最大の要因は矢張り性能と価格(コスト・ベネフィット)問題かと思いますが、このような防空の根幹をなしうるシステムを米国の対抗国のロシアから購入しようとするのは、米国に対する信頼感の欠如があるのでしょうか?
特にトルコの場合には、米F35の導入に米議会内でも反対があるようで、米兵器導入に関する政治的な不安定さも影響しているのでしょうか?

ガザ情勢(エジプトの果たした役割)

13〜14日の週末に大量の死傷者がでたのに、ナクバディの15日には一転して、極めて平静になったことについては、その背景が未だに良く分かりませんが、haaretz net  は、エジプト(さらにはカタール)が、イスラエルとハマスの間に立ち、事態の冷却化に努めたところが大きかったと報じています。

記事の要点は次の通りですが、実は先にハマスの政治局長ハニエがカイロを訪問した事、エジプトが(彼を通じてか?)イスラエルがハマス要人の暗殺を計画していることを通報したとのニュースは流れていたのですが、その事実関係や重要性が良く分からなく、しかも事態が流動的なために、書く機会を失っていました。

勿論、このhaaretz の記事の事実関係も良く分かりませんが、ガザ情勢がコントロールできなくなった場合に、大きな影響を受けるのはエジプトでもあり、その意味では非常にありうべきシナリオかと思います。

ガザ境界は16日週末に比して極めて平静である。
IDF(イスラエル国防軍)当局は、ハマスは暴力行為なしで如何に境界での抗議を続けるかを検討していると考えている。彼らは、週末の激しい動きは終わったと考えることを境界近くの住民につたえ、またIDFの部隊も衝突前の駐屯地に戻ったり、ルーティンの演習を行う等平常に復している。
状況の平静化は、エジプトとカタールがハマスとイスラエルの間でメッセージの往復をする等の活動でもたらされた。

13日にハニエはカイロに呼び出され、エジプト情報当局と会談し、エジプト側は境界でも抗議を取りやめる代わりに、ガザとエジプトとの検問所を開放することを提案したがハニエは拒否した。
双方は激しいやり取りをしたと伝えられる。

14日には境界線上で多数のパレスチナ人の死傷者がでたが、これを受けハマスは境界線上での緊張を大幅に緩和することを決め、15日には2名の死者が出たが緊張は大幅に緩和した。
尤も、ハマス側の武装兵がガザの北部と南部で銃撃し、イスラエル側は戦車砲で応えたが、死傷者は出なかった
その間エジプトはガザとの検問所を、これまでの2倍にあたる月10日間開放するとし、イスラエルもその検問所を荷物の通関のために開放した
ハマスは未だこの金曜日(18日)どうするかを決めてはいないが、IDFは18日の抗議は先週末に比し、はるかに小さくなるとみている。

次の大きな抗議デモは1967年戦争(5日戦争)の記念日であろう。
ハマスの指導者は、境界での抗議活動は、「民衆の抗議活動」レベルにとどめ、それ以上は激化させないことで、エジプト当局と合意している由。

https://www.haaretz.com/middle-east-news/palestinians/.premium-following-egyptian-intervention-israel-expects-a-quiet-friday-on-gaza-1.6095449

トルコ・カタールの軍事協力

カタールとアラブ4国の対立関係が早期に解決しそうもないことは昨日報告しましたが、al qods al arabi net は、トルコの最新型フリゲートがカタールに到着し、合同演習に参加する予定と報じています
それによると、これまで6波のトルコ軍がカタールに到着し、さらに7波目も到着の予定で、これらのトルコ軍に加えて31日に到着したトルコで最新のフリゲート艦jokofaが参加した、一連の合同演習、訓練がカタールの領海や海軍基地等で行われることになる由。
http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit

まあ、湾岸諸国とカタールの対立が軍事衝突にまで発展することは、予測されてはいないところ、これだけトルコがカタールに軍事的プレゼンスを増している以上、正しく軍事的な衝突はないということでしょう。
更に興味あるのは、カタールの国防担当国務大臣が、米国の空母ニミッツを訪問したというニュースで、これも米国の立場からすれば、米国はカタールと4国の対立に対しては完全に局外に居るという意思表示でしょう。

http://www.alquds.co.uk/?p=763322
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