中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

クウェイト

GCC首脳会議の失敗(クウェイト)

クウェイトの主催になる湾岸諸国会議(GCC)は、当初2日間の予定だったとおもいますが、5日、1日間だけで終了しました。
おまけに、al jazeera net によると、首脳会議は開会式と閉会式の2つのセッションを行ったとのことですから、要するに実質的な会議はなかったということのようです。

そもそもこの会議は、カタール対サウディ等のGCC諸国の対立を仲裁しようとのクウェイト首長の試みであったが、おそらくは根回し不足というか、首脳会議で何を議論し、どういう合意を得られるか、ということについて十分な事前協議もなしに開催を決めたものの如くで、カタール首長は出席したものの、ほかの国からは首脳の出席はなかった由。
(サウディからは外相、UAEは外務担当国務相、副首相が出席し、オマーンからは副首相が出席した由。このうちオマーンの副首相…首相は依然としてスルタンが兼務…はスルタンの名代としてよく会議に出席する人物なので、明白な会議ボイコットではないと思われるも、その他の3国は明らかに「首脳」会議のボイコットと評されるのではないかと思われる)

これを報じるalqods al arabi net は、このような湾岸諸国の態度に対して、クウェイトでは、首長に対する冒涜だとして不満が高まっていて、逆に首長が出席したカタールに対する評価が高まっていると報じています。

http://www.alquds.co.uk/?p=839277
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/12/5/اختتام-القمة-الخليجية-بتأكيد-التمسك-بمجلس-التعاون

メンツを重んじるアラブ、特に湾岸諸国で、このような不手際な会議が行われるのは珍しく、中身のない会議でも、日本の国会などと同じように、シャンシャンと多数で決まることが普通なのですが今回はどうした事か、おそらく直接的にはクウェイト外交の不手際、要するに妥協ができていないにもかかわらず、首脳会議の開催を強行した事、にあると思われますが、その他クウェイトが何故そんなに事を焦ったのか等、どうも不思議な点が少なくありませんが、取りあえず。

イラン外交官の追放等(クウェイト)

最近のカタール問題とは直接関係はないと思いますが、アラビア語メディアはクウェイトが、イラン外交官5名を国外追放し(その結果、イランの在クウェイト外交官は14名から9名に減る)、彼らに48時間以内の退去を求めたと報じています。
クウェイトは更に文化アタッシェ事務所と武官事務所を閉鎖し、またその他の技術使節団も閉鎖し、全ての合同委員会を停止したとのことです。
但し、一部のイランメディアが報じているが、イラン大使の追放については、これを否定している由。
このような措置に対して、、イラン外務省は20日クウェイト臨時代理大使を招致し、抗議した。イランとしても同様の措置を取る権利を留保すると通告したとのことです。

記事によると、どうやらこれらの措置はいわゆるal abdali事件とやらに関係するもののようですが、事件はクウェイトのal abdaliというところで多数の武器や爆発物等が発見され、クウェイト人16名とイラン人1名がクウェイト内で破壊工作を計画しているということで逮捕され、有罪判決を受けたが、そのうちの14名は快速艇でイランへ逃亡したものの由。

http://www.alquds.co.uk/?p=756976
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/gulf/2017/07/20/الكويت-تغلق-الملحقية-الثقافية-الإيرانية-وتخفض-الدبلوماسيين.html

湾岸諸国では、これまでもイランの組織するスパイ網、破壊活動網が摘発されるというニュースは随分ありましたが、いちいち報告するほどのこともなかろうというので、報告もしてないものが大部分ですが、今回のように正面切っての外交問題となった以上取りあえず報告しておきます。
今後イランはどのくらい「報復」をするのでしょうか?

イラクのクウェイト港へのミサイル発射否認

先ほどトルコのイラク領越境空爆に対するイラクの抗議デモで、トルコ、イランと並んでクウェイトの名前も出ていたというニュースをご紹介しましたが、またイラクとクウェイトの関係に関するニュースです。

26日付al jazeerah net の記事は、イラク軍司令官事務局が、政府系のTVを通じて、イラクがクウェイトのムバラク港(シャットルアラブの出口を扼する港で、クウェイトは拡張工事を進めているが、イラクがイラクからペルシャ湾への交通を妨害し、公害も引き起こすとして問題にしていた)に対してミサイルを発射したとのニュースを否定したと報じています。

これはアラブ系の報道が、イラク領内のバスラからムバラク港に向けて3発のミサイルが発射されたが、いずれも港には着弾せずに国境地帯に落下したと報じていたことへのコメントと思われます。

なお、この港に関しては、イランの支援を受けるというイラク民兵組織(サドルグループか全く別の組織か?)が、クウェイトが工事を続けるなら、ミサイル攻撃をすると警告していたとのことです。

また、記事はイラク・クウェイト関係はこの港を巡り、過去数週間緊張していたとコメントしていますが、他方クウェイトはこの港がイラクの海運に障害を与えることを否定し、本件に関し、最近イラク政府から抗議等の連絡を受けたことはないとしているとのことです。

記事は以上ですが、そもそもシャットルアラブからペルシャ湾への航行問題については、イラクとクウェイトの間の長年の紛争事項で、仮にこの記事の記載の通り、クウェイトの港工事に反対するイラク民兵がイランの支援を受けているとすれば、問題はさらに複雑な国際的色彩を帯びてきたことになり、その動向如何では深刻な影響が懸念されます。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/EC144046-AEDE-42AB-A88F-C3F65CF286DC.htm?GoogleStatID=9
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