中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

クルド

北部イラク情勢

イラク軍やシーア派民兵等がキルクークを制圧したことは、広く報じられていますが(一部ではペッシュメルガとイラク軍、シーア派民兵等との間で衝突があった模様だが、どのくらいの死傷者が出たのかは不明。基本的には衝突は限定的で局地的な模様)。
キルクークでは夜間外出禁止令が敷かれ、アラブ人やトルコマンはイラク軍を歓迎しているが、クルド人家族等はシーア派民兵の報復を恐れて、自治区の方向へ避難している由。
さらに、トルコはイラク政府に対して、キルクークでのクルド労働者党PKK(トルコにとっては最大のテロリスト)の対応について、必要な支援を行う用意があると申し入れた由。
トルコ政府はまた声明でクルド自治政府に対してPKKに対していかなる支援も行わないように警告した由。

更にアラビア語メディアによると、シーア派民兵とヤズディ教徒部隊が、イラク北部のsinjar を制圧したと報じています。
ここで不思議なことに、彼らと交代にペッシュメルガが撤退し(一部の撤退は遅れている由)、クルド自治政府の旗は、総ての建物から降ろされたが、上記PKK(どのくらいsinjarに居たかは不明だが)には退去命令が出てなく、またその旗が未だ翻っている由。何か特別の思惑でもあるのでしょうか?

http://www.alquds.co.uk/?p=809918
http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-says-it-is-ready-to-cooperate-with-iraq-on-pkk-presence-in-kirkuk-120914
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/17/الحشد-يدخل-سنجار-دون-مقاومة-واستقرار-الوضع-بكركوك
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/17/ميليشيات-الحشد-تسيطر-على-سنجار-بعد-انسحاب-البيشمركة.html

ということで、どうもクルド自治区を中心に北部イラクの情勢が今後の焦点になりつつありますが、トルコの言動がどこか不気味ですね。
介入の機会を狙っているのでしょうか?

キルクーク情勢

これから仕事ですので、一言だけ。詳しくは午後にでも書きます。

どうやらキルクークの情勢は更に緊迫している模様で、イラク政府は15日イラク軍が石油都市の制圧を開始したと声明した由。
別の記事では、イラク軍がキルクーク市に向けて進撃中というのもある。
これに対して、キルクーク知事(クルド)は武器を持てる者は武器をとるようにと呼びかけた由。

他方、イラク政府は外国人(おそらく非イラク人のクルドか?)が、キルクークに関与していると非難し、特に(トルコの)PKKクルド労働者党の介入は戦争の宣言であると表明した由。
クルド自治政府は外国系の介入を否定している由。

http://www.alquds.co.uk/?p=808890
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/iraq/2017/10/15/بغداد-أربيل-جلبت-مقاتلين-أجانب-لكركوك-بمثابة-إعلان-حرب.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/15/القوات-العراقية-تتقدم-باتجاه-كركوك

もちろん事実関係は不明ですが、かりにPKKの関与が事実であれば、トルコに対しては干渉の絶好の口実を与えることになりそうです。
勿論時期尚早の決めつけは大禁物です。

クルドの住民投票(ヒズボッラー書記長のコメント)

al qods al arabi net とal jazeera net はアシューラを前にした30日のヒズボッラー書記長の、クルド自治区の住民投票に関する発言を伝えています。

al qods al arabi net の報じるところでは、イランの作ったヒズボッラーの書記長のことですから、当然、住民投票には反対で、クルド自治区の問題はイラクやシリア、イラン、トルコだけに関係する問題ではなく、中東全域に関係する問題で、クルドの独立は更なる中東地域の分裂、更にそのまた先の分裂をもたらし、中東に多くの内戦をもたらす、大きな不安定要因になるだろうと警告しています。
また、この投票は米国とイスラエルの陰謀であるとの主張も繰り広げています。
ところが、al jazeera net の報じるところでは、同書記長は、クルド地域の分離、イラクの分割はサウディの分割につながるだろうと警告している由。
それによると、これまでのサウディの政策の失敗がイランの影響力の伸長をもたらしており、イラクの分割を企ててきたが、イラクの分割はサウディは、サウディの分割をもたらすであろうとしている由。
書記長は更に、サウディ指導者に対して、戦争ではなく、対話により問題解決に取り組むように呼びかけ、その間違った政策がイランお影響力拡大をもたらしたとした由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/1/نصر-الله-تقسيم-العراق-سيؤدي-لتقسيم-السعودية
http://www.alquds.co.uk/?p=800002

ナスラッラー発言の真意は不明ですが、ヒズボッラーがイランと一心同体であることを考えると、矢張りポストISの問題は、クルド問題とその中東への影響になるとみているということなのでしょうね。

クルド問題(イラン・イラク合同軍事演習)

クルド自治区での独立に関する住民投票後、トルコ軍とイラク軍が合同軍事演習をしていましたが(もう終わったのでしょうか?)、今度はイランとイラクの軍事演習です。
al arabiya net は、イランTVが30日、イランとイラクは数日内に、自治区の住民投票に関するイラク政府の立場を支援するために合同軍事演習を行うとの軍報道官の声明を伝えたとのことです。
演習は両国国境方面で行われる由ですが、双方の参加人員や兵種等は不明です。

http://www.alarabiya.net/ar/iran/2017/09/30/مناورات-عسكرية-إيرانية-عراقية-مشتركة-قريباً.html

どうもイラクのクルド問題はますますきな臭くなりつつありますが、気が付いたら本日がスペインのカタロニア州の独立を問う住民投票の日でしたね。
ここでも、スペイン政府は住民投票は憲法違反であるとして、関係者を逮捕したり、投票用紙を没収したり、スペイン各地から多数の警官を送り込む等、住民投票をあらゆる方法で妨害する方針の模様です。
投票が始まるのは、ちょうど今頃になるのか、こちらの方も気になるところです。
何しろバルセロを州都とするカタロニアは、ジョージ・オーウェルのカタロニア賛歌homage to cataloniaでも、スペイン内戦でも、共和国政府側に最後に残った拠点で、独自の文化と社会を有するところと書かれていて、矢張り独立志向が強いのでしょう。
まさか、スペインでは武力衝突にはならないでしょうが、イラクの方は周辺国(特にイランとトルコ)の思惑もあり、このままでいけば危ないですね。
中東とは関係のない話ですが、住民投票というので、思い出しました

クルド自治区問題

クルド自治区の住民投票問題のその後については、いつもの通り若干の落穂ひろいを・・・・

・クルド自治区の空港の管理問題については、イラク政府が自治区の2の空港への国際便の離着陸を禁止し、その上空を飛行禁止地帯に指定したために、多くの外国人の脱出が続いていたアルビル空港では29日17:15に最後の便が出発した。
・また、同空港の隣接の基地で、ロジ支援のために勤務していた米国籍の民間人130名が帰国した。
(とりあえず、クルド地域への民間航空は完全にストップした模様)

・イラク政府は、トルコ及びイラン政府と協力して、クルド自治区と両国間の4つの検問所を取り戻すことを決定した。まだ政府軍等は派遣されていないが、イラク軍はその準備を進めている由
これに対してクルド自治政府は、引き渡しの拒否を声明した

・イラン政府は、暫定的措置として、クルド自治区との間で、全ての石油製品の輸出入を禁止した
(クルド自治区やキルクークの原油の多くはトルコ経由のパイプラインで輸出されておりこのイランお措置がどの程度の影響のあるものかは不明)


http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/9/29/بغداد-تتحرك-لاستعادة-المعابر-بعد-استفتاء-كردستان-العراق
http://www.alquds.co.uk/?p=799517
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/09/29/العراق-ينسق-مع-إيران-وتركيا-للسيطرة-على-حدود-كردستان-.html
取り敢えず以上ですが、米国務長官は米国はクルド自治区の住民投票を支持しないとの立場を確認した由です。
他方、国連は、この問題でイラク政府とクルド自治政府の仲介をする用意があると表明しましたが、米ロ等を含めほぼすべての国(イスラエルを除くか?)が反対しているクルドの独立問題について、国連がどの程度公平な立場で仲介できるか疑問です
(中国の立場はアラビア語等のメディアからは不明だが、多くの少数民族を抱えている中国としても、分離独立運動には強く反対だろうと思いますい)
取り敢えず、次の問題は国境検問所の管理問題でしょうか?
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