中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

サウジアラビア

イエメン・サウディ関係

イエメン、サウディ関係に関する報道2つほど次の通り。
どうもイエメンは、サウディにとり、「何時まで続くぬかるみぞ」になりつつある感じがします。勿論サウディ等の介入がイエメンにとり悲劇的であることは言うを待ちませんが・・・・

・イエメンからサウディに発射される弾道ミサイルは、最近でも先週はジャザーンとナジュラン向けに2発発射されていますが、更に15日にはジャザーンにもう1発が発射された模様で、サウディ民間防衛が、ジャザーンでミサイルの残骸で青年2名が重体、児童1名が軽度の負傷をしたとしているとのことです。
(ミサイル発射の日時やミサイル防衛網による捕捉の有無は不明ですが、記事からは15日発射され、捕捉されたミサイルの残骸での負傷と読めます。)

・他方、hadi大統領は14日、サウディ軍のマハラ空港等重要施設からの撤退要求を支持した、副知事級(砂漠担当)の人物を罷免したとのことです。
大統領はまた同県の警察長官も更迭したとのことです。
これを報じる記事は、2017年末からサウディ軍がマハラに到着し、空港、港等の重要施設を押え、港からは漁船の出航を禁止したり、空港をサウディ軍基地に替え、民間航空機の着陸を禁止する等の措置を取り、これに対する地元民の不満が高まり、4月末から平和的な抗議が続いていて、サウディ軍とUAE軍の撤退を要求していたと報じています。
(マハラ県は、南イエメンで一番東でオマーンに隣接する県で、イエメンで最も長い海岸線を有するとのことで、おそらくサウディとしては陸路及び海路でのミサイル等の密輸の重要な拠点として、警戒していたものではないかと思われます。
それにしても、アデン、スコトラなどにおいてのUAE軍の植民地主義的行動に加え、マハラでも両軍の撤退が要求されるとは、如何に両国の行動がイエメン人の支持を得ていないかを示しているように思われます。
それにしても、その様なサウディの意向に従わざるを得ないhadiはまさに傀儡政権ということなのでしょう。
おまけに、政府軍及びサウディ、UAE軍は、どうもhothy部隊に対して、これという所為かを上げてはいないように見えます。)

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/15/هادي-يقيل-مسؤولا-حكوميا-طالب-السعودية-بالرحيل
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2018/07/16/جازان-إصابة-شابين-بشظايا-مقذوفات-حوثية.html

違法移民等の一斉取り締まり(サウディ)

トランプが強硬な反移民政策を強行しようとしていることはよく知られていますが、今度はサウディです。

尤もサウディは、これまでも巡礼のあと居残りをするなどの形で、かなり違法な移民?がいることで有名で、時々一斉取り締まりをしていました。しかし、今回は逮捕者130万人強、国外退去者40万人と言う大規模なもので、皇太子の改革政策の一環か、まさかトランプの影響じゃないでしょうね!
al qods l arabi net の記事の要点のみ次の通り 。

サウディは昨年11月以来の違法移民等に対する取り締まりで、130万人以上を逮捕し、そのうち40万人を国外退去にした。
サウディ内務省は7日の声明で、滞在許可違反、労働許可違反、国境通過違反等のものに対する一斉取り締まりで、135万9345名を逮捕したが、うち101万7427名が滞在許可違反、23万3125名が労働許可違反、10万8793名が国境安全法違反であったと発表した。
また2万1112名が、国境から侵入したがうち52%がイエメン人、45%がエチオピア人であった由。

http://www.alquds.co.uk/?p=969416

サウディ向け弾道ミサイルの発射

イエメンのhothyグループ及びアラブ連合軍報道官は、ともにhoyhy軍が6日、サウディの南部の町ジャザーン向けに弾道ミサイルを発射したと明らかにしたとのことです。

そのうち、hothy軍の方では、ミサイルはジャザーンの工業地域に向け発射されたとして、他方アラブ連合軍の方では、サウディの対空防衛網が、このミサイルを捕捉、撃墜したと発表したとしています。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/7/التهديد-متواصل-بالستي-حوثي-يضرب-بالسعودية
https://www.alarabiya.net/ar/saudi-today/2018/07/06/السعودية-اعتراض-باليستي-أطلقه-الحوثيون-على-جازان.html

つい先日はイエメンからカチューシャミサイル(第二次世界大戦時代にソ連が開発した無釉道式短距離連装ロケット発射基)がサウディ向けに発射されたと報じられたばかりですが、いずれにしても毎週サウディ向け弾道ミサイル発射のニュースがない週はないような気がします。

サウディ主導のアラブ連合軍のイエメンへの介入は、民間人の犠牲者ばかり増やし、更にはUAEの野心が露呈したり、全くうまくいっていないように思われますが、アラブ連合軍の中心たるサウディからすれば、圧倒的な空軍力を誇示しながら、その南部地域を守るために、イエメンの弾道ミサイルを一掃するとか、国境から一定の地域を自らまたはイエメン政府軍に制圧させることもできず、南部の町々を弾道ミサイルの脅威にさらし続けていることは、軍事介入最大の誤算ではないでしょうか?

仮に将来、皇太子など現在のサウディを独断で牛耳ってる勢力の責任が問われる日が来るようなことがあればおそらくイエメン介入の失敗は、大きな非難の要因になるのではないか?とさえ思われます。

サウディ皇太子の改革の裏の顔?

昨年末から始まった、サウディ皇太子の改革運動では、腐敗防止ということで多数の王族、実業家が逮捕され、リヤドの豪華ホテル・リッツ・カールトンに監禁されたが、その後大部分は金の支払いと引き換えで釈放されたと報じられました(報道によると、これで集まった金は1000億ドルにも上るという)。

その後、この問題に関する報道も無くなっていましたが、al qods al arabi net とal jazeera net は、米wallstreet jouernal を引用する形で、未だ多くの王族、実業家が拘禁されていて、彼らの家族は皇太子が腐敗防止の名目で、彼らを抹殺するのではないかと恐れていると報じています。

記事の要点は次の通り。

逮捕された王族や実業家や活動家によれば、未だに数十人が監禁されていて、彼らはリヤド近郊の秘密牢やサウディ各地の元宮殿に監禁されている由。
また彼らは、殴打や、睡眠はく奪等の暴力行為を受けている由。
彼等は、皇太子が彼らの抹殺を図ろうとしていると懸念しているが、その背景には検事総長補が、幾人かのものはテロ支援罪、国家安全保障に対する脅威等の理由で、裁判を受ける可能性があると語ったことがあり、その場合特別法廷で裁かれる可能性がある由。
有罪となれば長期の拘留や更には死刑も予測される由。

記事によれば未だ抑留されているものの中には
  億万長者でエチオピイア系の  muhammad al amoury
  ビンラーデン機構の会長    bakr bin laden
  前サウディ投資庁会長     amrou al dabbagh
  元経済大臣          adel faqeeh
  前国王息子で前リヤド知事   torki bin abdallah

等が含まれている由。

(なお、al jazeera netの別の記事は、最近サウディではネットで、上記torki王子と元国王ファハドの息子のabdul aziz bin fahaがどこにいるのか?という書き込みが増えていると報じているが、背景等は不明で、またなぜこの二人の王子が問題とされているのかも不明)

http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2018/7/5/سعوديون-يسألون-أين-ابني-فهد-وعبد-الله
http://www.alquds.co.uk/?p=968195
http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit

取りあえずのところは以上で、何しろ極端な秘密主義の国のサウディのことで、果たして事実か否かも不明です。
今のところ、英米では女性開放や映画館の許可等の面から、サルマン皇太子の改革政策を民主化と位置付けて、評価する声が高いようですが、サウディも含めて中東、アフリカの国で、特に為政者による民主化政策などと言うものは、所詮は権力闘争の一部ではないかという気がしてきたところ、この記事が書いているようなことは十分あり得るのではないか?という気がしています。

仮に、このような話が、「話半分」としてもあるとすれば、サウディ王族内での権力闘争の可能性、ひいてはサウディ国家の安定性にも十分注意を払う必要があるような気がします。
勿論現時点で、し烈な権力闘争が生じるという、何らかの根拠を有している訳ではなく、単なる感触にすぎないので、飽く迄もその程度の話として受け取っておいてください。

イエメン情勢(ホデイダ、サアダ等)

イエメンに関する報道、断片的ながら次の通り。

  • 一つはイエメン北端でサウディに隣接するサアダ県で、al qods al arabi net は、サウディ軍によれば、3日夕、イエメン領内から発射されたカチューシャ・ロケット(第二次世界大戦時代にソ連が開発した無誘導のロケット連射装置)が、サウディのジャザーンに落下し、児童1名が負傷したと報じている。(カチューシャと言うのは、射程の短い戦術兵器なので、この報道が事実ならば、これだけ時間と経費と兵力を労しながら、サウディは未だに国境近くのイエメン領内からhothy砲兵を駆逐していないことを意味する)
  • サアダに関し、al jazeeera net はサウディ、アラブ首長国連邦(UAE)空軍の空爆で、方々で民間人に大きな被害が出ていると報じている。
  • ホデイダに関しては、al arabiya net は、国連特使の訪問にもかかわらず。hothy軍はホデイダへの兵の集結と要塞化を進めていて、ホデイダ港の国連への引き渡しを拒否していると報じている。
  • 他方al jazeera net はホデイダからの避難民の車がアラブ連合空軍機により攻撃され避難民4名が死亡したと報じている。
  • また同ネットは、UAEの支持する(支配する?)アデンの民兵は、ホデイダからの避難民を乗せた車列のアデンへの移動をラハジェ(アデンの隣の県)の検問所で阻止し、女子子供が疲れ切っていると報じている。彼等は北からの住民のアデンへの移動は認めないとしている由。この問題について、イエメン政府首相は、避難民の移動阻止は法律違反であるとして、UAEに移動を認めるように要請した。(この報道が事実ならば、イエメン正統政府と言うのは、政府としての実権をほぼ失っていて、正統政府支援の名目で介入したUAEが征服者としてふるまっていることを意味するが・・・・)
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2018/07/04/الجيش-اليمني-يتقدم-بالحديدة-والحوثي-يعزز-تمركزه.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/7/4/التحالف-يقتل-مدنيين-بصعدة-والحزام-الأمني-يصد-النازحين
http://www.alquds.co.uk/?p=967106
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