中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

サウジアラビア

イエメン情勢

イエメンでは先日もお伝えした通り、どうもストックホルム合意に基づく停戦は、益々過去のものとなりつつあり、激しい内戦に後戻りしつつあるように見えますが、取りあえず、アラビア語メイディアから・・・・
  • サウディ等アラブ連合空軍は23日、イエメン中部のal beidha のhothy軍集結地を空爆し、同地のhothy軍指導者を殺害し、その他複数の兵士や車両等を破壊した。
  • また22日夕には、サナアの複数基地を空爆した(このニュースは報告済み)が、その2ヵ所では格納してあったドローンを狙ったものだった由。サナア住民に対しては、これら基地には近づかないようにと警告された由。また22日夕にも、洞穴の中のドローン格納庫を空爆した由。アラブ連合空軍によると、これら攻撃は1月、2月にhothy軍のドローンの貯蔵庫、レーダー等の関連施設を狙った攻撃の一環で、hothy軍のドローンによる攻撃力を阻害するものの由。
  • イエメン政府国防相は22日、hothy軍が、その軍関係者外から、幹部をリクルートしているが、その多くがカート商人でテロリストであると非難した由。
(ここでカートが出てきたのは懐かしいが、カートとはイエメンからエチオピアやソマリアの一部で、消費される齢覚せい剤の一種で、イエメンではほぼ全員がこのカートを噛んでいる。なにしろhothy グループと言うのは、そもそもが正規軍ではなく、民兵だからそのもともとの出身は種々雑多で、カート商人が含まれていても、不思議はない)

イエメン情勢

イエメンに関し、al arabiya net の報じるところ次の通り。
  • サウディ等アラブ連合空軍は、23日早朝から首都サナアとその周辺のhothy軍拠点に対して、大規模空爆を行った。空軍基地のdilmi基地に対しては3回の空爆、beit azlan 基地に対しては2回の、徴兵兵士等の受け入れの基地に対しては1回の空爆が行われた。これに対してhothy 軍は、アラブ連合の偵察機1機を撃墜したと発表した。その後もサナア上空ではアラブ連合空軍機が旋回を続けている由。(これら攻撃の結果の損失等については不明)
  • 他方、htohy 軍はホデイダ県の歴史的に由緒があるzabid (確かイマーム時代この町は大学の町として有名で、多数のモスクとマドラサがあった場所のはず)で、戦争への協力という名目で部族や商人から多額の金を徴収し、払えないものの店舗は閉鎖した由。また町で多数の若者を捕まえ、強制的に徴兵している由。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/yemen/2019/03/23/اليمن-غارات-للتحالف-على-معسكرات-للحوثيين-في-صنعاء.html

上記al arabiya はサウディ系メディアでもあり、アラブ連合軍の空爆についてはその通りと思われるが、zabid でのhtohy軍の行動に関しては、宣伝的色彩が強いように思われる。
しかし、上記の記事からも、
  • いわゆるストックホルム合意はほぼ反古となった感があり、再びイエメンは戦闘が中心になる可能性が出てきている。
  • これまでもhothy 軍については少年兵の徴募とかアフリカ人の徴募等のニュースがあり、長引く戦闘で、多くの兵士を失い、その補充に迫られている可能性がある。
  • それは政府軍も同じかと思うが、こちらの方は未だサウディやUAE等の兵士がいるところが違うか?
  • ただし、UAEに関してはその帝国主義的野心に関連し、アデン等でこれまでも反UAE的人物の暗殺を行ってきたが、退役仏軍人を傭兵として、暗殺部隊に使っているとのニュースがある。現時点では、その真偽のほどは不明。
等は言えそうです。

エジプト、サウディ、UAE等の人権侵害(米国務省報告書)

これまでも中東諸国の中での米国の同盟国、サウディ、エジプト、UAE等での甚大な人権侵害が指摘されていましたが、al qods al arabi net の2つの記事は13日発表された米国務省の人権問題に関する報告書は、これらの国の人権問題の深刻さを指摘していると報じています。


記事は、報告書はパレスチナ人に対するイスラエルの人権侵害については触れていないが、パレスチナ人の側の法律によらないイスラエル兵の殺害については触れている由。


なお、当然のことながら?当事者に近いサウディ系のメディアはこの報告書については報じていません。


なお、この報告書を提出したポンペイオ国務長官は、これらの国々の間では、人権侵害状況に関する改善の様子は見られないとした。


勿論報告書全文を見たわけではないので、責任ある評価はできないが、少なくとも同ネットの報じるところによれば、中東諸国で重大な人権侵害国とされた4国は、イランを除き、いずれも米国の最も親しい同盟国で、トランプの忠実な閣僚であるポンペイオがこれを発表したことは、誠に皮肉なことです。
まあ、あえて言えば米国が未だ健全な証拠か?
記事の要点のみ。

  • 報告書は、サウディの広範な人権侵害について報告しているが、その一つはkhasshoggi 氏の政府関係者による殺害で、関係者は逮捕され、死刑も求められているが、彼らに対する捜査(調査)結果がどうなっているのか、全く不明であるとしている。
  • その他サウディに関しては、法律によらない殺人、暴力を伴わない犯罪に対する死刑、牢獄内での隔離、拷問、政治犯や活動家の逮捕を指摘し、更に集会の自由、移動の自由、公正な選挙の不存在等を指摘している。
  • エジプトに関しても、政府による政治的目的での牢獄内での殺人、シナイ半島での掃討作戦での多数の民間人の死亡、反対派多数の強制的隔離(逮捕され、そのことが誰にも伝えられず、弁護士や親族との接触が禁止されている。2013年以降、その数は1万人に及ぶ由)、死亡に至ることもある拷問等の人権侵害を冒しているとしている。
  • UAEについても、強制的隔離、政治犯の収容所の存在、更に表現の自由のはく奪等深刻な人権侵害を冒しているとしてる。
  • イランに関しては、20人の殺害及び数千人の逮捕、更にメディアの報道規制等人権侵害が著しいとしている。(上記数字は報道のままだが、死刑にされた数からしても、桁数が違っている可能性がある)
  • またイエメン戦争では、サウディとUAE等は無辜の住民を多数殺害し、また彼らに対する人道支援を阻害して、人道危機を深刻にしていると非難した。
https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%ae%d8%a7%d8%b1%d8%ac%d9%8a%d8%a9-%d8%a7%d9%84%d8%a3%d9%85%d8%b1%d9%8a%d9%83%d9%8a%d8%a9-%d9%85%d8%b5%d8%b1-%d8%a7%d8%b1%d8%aa%d9%83%d8%a8%d8%aa-%d8%a3%d8%b9%d9%85%d8%a7%d9%84-%d9%82/
https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%ae%d8%a7%d8%b1%d8%ac%d9%8a%d8%a9-%d8%a7%d9%84%d8%a3%d9%85%d8%b1%d9%8a%d9%83%d9%8a%d8%a9-%d9%85%d8%b5%d8%b1-%d8%aa%d8%ae%d8%aa%d8%b7%d9%81-%d8%a7%d9%84%d9%85%d8%b9%d8%a7%d8%b1%d8%b6/

イエメン情勢

イエメンではストックホルム合意の実施のため、先ずはホデイダ港等3つの港からの双方の兵力引き離しが課題とされ、hothy 軍が停戦違反を繰り返しているとかの非難が続き、国連が介入して合意を実施しようとしていましたが、この数日間その動きさえ報じられていません。

それに対して、北部のハッジャ等では一部の部族(hojour 族)がhothyグループに対して、反乱し、これをhothy軍が包囲し、部族を支援するためにアラブ連合空軍は、(確かイエメン内戦では報じられた限り)最初の補給品の空中投下を2度もしましたが、al arabiya net とal sharq al awsat net (いずれもサウディ系)は、アラブ連合空軍が9日彼等部族を支援するために、「これまでにない」激しい空爆をhothy軍に対して行ったと報じています。

攻撃したのはhothy 軍の補給線、増援部隊等とのことで、攻撃ではhothy軍200名を殺害したとしている由。

死者の数等の数字の正確さはともかく、おそらくは発表の通り、、かなり激しい空爆をしたのでしょうが、その背景については、数日前にアラブ連合が、hothyグループはhojour 族に対してジェノサイドを試みていると非難しており、おそらくは地上での戦闘ではhothy側が優勢に立ちつつあるのではないでしょうか?

それよりも、これら北部の戦闘激化は、英外相等が警告した「政治的解決の最後の機会」がますます遠のきつつあり、情勢は本格的戦闘に戻りつつある感じがして、気になるところです。

国王と皇太子との間の溝(サウディ)

khasshoggi事件の後、サウディ国王と皇太子との間の溝が広がっているとの噂は、何度か流れたかと思いますが、al qods al arabi net とal jazeera net (いずれもサウディに対しては批判的)は英gurdian 紙を引用して、両者の溝が広がっていると報じています。


仮にこの報道が事実であれば、今後のサウディ情勢が混乱する可能性もあることを示唆するもので、今年の中東情勢はイランを巡る状況、アルジェリア情勢に加え、もう一つ大きな火種を抱えたことになるかと思いますが、勿論確認は困難な話です。
それはともかく、記事の要点のみ。

・英guardian 紙は、サウディ国王と皇太子の間の溝が、サウディの安定にとって不安となるほど広がっていると報じている。その溝が最も目立ったのが、2月末のアラブ・欧州会議に出席のために国王が、エジプトを訪問した時のことの由。


・消息筋によれば、この時国王の顧問複数は、国王に反対する動きがある可能性があるとして、国王の護衛を強化するために、内務省の信頼できる者たち30名以上を急遽カイロに連れてきて、前の護衛達と入れ替えた由。
これは前の護衛達の忠誠心が皇太子側にあるとされたことによるものの由。
彼等はまたエジプト側から提供された護衛も遠ざけた由(この点につきエジプト政府はコメントを拒否した由)


・両者の溝は、報道された国王のリヤド帰還の際の空港出迎え歓迎人の中に、皇太子の名前が入っていなかったことにも示されているとしている。
(秘密主義のサウディでは、昔のソ連要人の序列が赤の広場のパレードの際、これを見守る要人たちの並ぶ順番で推測されていた…これをクレムロノロジイと呼んでいたが…ことと似て、空港等での出迎えの報道が、極めて重要と見られていたことは事実かと思う)


・さらに重要なことは、国王不在の間、国王代理に任命されていた皇太子は、国王がカイロに滞在中に、新駐米大使(初の女性大使)の任命と、前駐米大使の国防副大臣任命を行ったことで、これらの任命は先に話が出てはいたが、その発表は国王と相談なしに行われ、国王等はYVでその事実を知った由。
またその任命の勅令は国王勅令ではなく国王代理勅令であった由。
(この点サウディの在米大使館は、国王不在の間の任命は、国王代理の勅令で行われてきたとして、問題ではないとしている由)


・また国王側近は、皇太子がこれ以上権力を独占しないために、国王がより多く政治に関わるようにアドバイスしている由。


・消息筋によると、両者の溝はkasshoggi事件後広がったが、イエメン内戦問題、スーダンとアルジェリアの抗議運動、パレスチナ問題等についても意見の差がある由。


https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d9%84%d8%ba%d8%a7%d8%b1%d8%af%d9%8a%d8%a7%d9%86-%d8%aa%d8%b2%d8%a7%d9%8a%d8%af-%d8%a7%d9%84%d9%82%d9%84%d9%82-%d9%85%d9%86-%d8%ae%d9%84%d8%a7%d9%81-%d8%a8%d9%8a%d9%86-%d8%a7%d9%84%d9%85/
https://www.aljazeera.net/news/politics/2019/3/5/%D8%A7%D9%84%D8%B3%D8%B9%D9%88%D8%AF%D9%8A%D8%A9-%D8%A7%D9%84%D9%85%D9%84%D9%83-%D8%B3%D9%84%D9%85%D8%A7%D9%86-%D9%88%D9%84%D9%8A-%D8%A7%D9%84%D8%B9%D9%87%D8%AF

記事にも書いた通り、その昔ソ連健在のころは、秘密主義のソ連の権力の在りかを探るために、クレムロノロジなどと呼ばれる「推測技術」がありましたが、当分サウディに関しても、この種推測が重要となってくる可能性がありそうですね。

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