中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

サナア

イエメン情勢(エジプト航空のイエメン路線の再開)

 イエメン情勢については先ほどサーレハ大統領のサウディ移送と停戦のニュースをご紹介しましたが、どうやら少なくとも停戦のニュースは正確なようで、4日付けの al jazeerah net の記事は、エジプト航空(サナアに乗り入れる外国航空の中の大口)が2日間の欠航ののち、4日サナア便を再開したと報じています。

 と言うことは少なくとも空港近辺での武力衝突は収まっているし、また空港への道路も安全と判断されたものと思われます。

 またイエメン航空も週5便のカイロ便を再開したとのことです。
 また飛行場の安全確保については、治安当局がサナアの他アデン、ホデイダ等の空港の警備を強化したとのことです。
取りあえず

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/1EBDDAC4-5FA8-4643-9280-672EB389B2CB.htm?GoogleStatID=9

イエメンの部族について

Dec19501イエメンの北部にて

イエメンの部族と中央政府との関係について若干書いたが、この辺で少しイエメンの部族に関する経験談を書いてみたい。勿論しがない体験談の部類で、まとまった部族に関する話ではありません。

先にも書いたが、イエメン政治の最大の問題が、強力な部族勢力と弱体な中央政府の関係で、1962年の革命以来の政府の最大の課題が如何にして部族の力を弱め、政府の権威を国中に確立するかであった。

イエメンの首都はサナア(サヌアとも書く)であるが、首都でさえ部族の連中は大っぴらに銃を携帯していた。本来部族といえども勝手に銃を持ち歩くなど、通常の国では考えられないが、小生がいたころ政府は部族が大っぴらに銃を持ち歩くことを禁止しようとした。見せびらかして銃を携帯しなければ良いという訳だが、それでさえほとんど守れらなかった。

イエメンで有名な習慣(どうもソマリアなどにも同じ習慣があるようだが)がqat partyで、それはqatと言う常緑樹の若芽(これには軽い覚せい作用があって、人を社交的にする)を齧り、それを口の中に溜めて、その汁をすすりながら人々とおしゃべりをするパーティだが、このqatと言うのがピンからキリまである。ピンの中でも飛び切り上等なものになると目の玉が出る位高いが、部族の長のパーティに出席すると参加者、特に外人などにはこのqatが配られる。
小生もその恩恵にあずかって齧っていたら、隣に座った部族の長老の一人みたいな男が持って居る棒みたいなものが、こちらの膝に当たるので、それはなんだと聞いたら、嬉しそうに見せてくれたのがカラシニコフ自動小銃。危ないからひっこめろと言ったら、彼はまた嬉しそうに自分たちは銃の扱いには子供の時から慣れているから心配するなと言ったものである(確かにイエメンの村では何かあると大人から子供まで銃を取り出して来て、山の向こうに標的を立てて、だれが一番腕が良いかの競争をしているのをよく見たことがある)。
また別のパーティでは、部族の連中がどのピストルが最も信頼性があるか等と言う話をしていたのsで、興味を示したら、懐からロシア製のマカロフを取り出して、いじらせてくれたが、あまり気持ちの良いものではなかった。

このようなパーティは種々の機会に行われるが、最も大きいものは部族の長の子息の結婚式で、そのようなときには数百人の客が車座になってqatを齧るのは壮観である。そのような時には、政府や他の部族との抗争では平気で人殺しもする(命ずる)部族連合の長が、親として満面に笑みを浮かべながら、客にqatを配って歩く姿は、ある意味では微笑ましいものである。

こに様なパーティにかかる費用は莫大なものになると思われるが、また昼飯会(イエメンでは他の中東と同じで昼が正式の食事の時間)が豪華で、一度出席した部族連合の長の昼飯会では、彼のサナアの家の庭に、水色のナイロンシートが何列も敷かれてその上にクッションが置かれ、客はとにかく適当なところに座って、ひたすら貪り食うだけで、特にスピーチや何かがある訳ではないが、出席者の数がこれも数百人であった。何しろ埃のたつ庭に座り込んでひたすら羊などをむさぼり、終わったら順番に水道の前に並び洗濯石鹸で口の周りと手を洗い(要するに羊の油でギトギトになっているから)その後ローズウォーターを手にかけてもらう、という次第で若干優雅さには欠けるが、それだけの数の客に大量の食事を供するのだからその費用たるや相当なものだろうと思わされた。

ま、それくらい部族の長には権力とお金があると言うことだが、もう一つ当時イエメン政府が苦々しく思っていたのが、これら北部の部族には相当の金がサウディから出ていて、サウディ政府はイエメン政府と何か問題が起こるとこれら部族をけしかけて政府に反抗させていたことである。

そのような状況は外交団では周知の事実であったが、現在の政府とサアダ地方の部族抗争にサウディ政府が関与していないのだろうか?現地の情勢が今一つ分からないので何とも言えないが、またくあり得ない話ではないような気もします。
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