中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

シリア

シリア・イラク国境方面の状況

デリゾル方面でのロシアの空爆は依然激しく続いていて、民間人の死傷者も増大していますが、どうもこのあたりの戦闘が激しくなっているのはISがイラクから歴戦の戦闘員をシリア砂漠地帯に移したからとの報道もあり、シリアとかイランとか分けては考えられない状況が生じている可能性がありそうです。
断片的ですが、アラビア語メディアの報道取りまとめ、、次の通りです。
なお、ISの外国人戦闘員が1000名もシリアに移ったとの話は、十分あり得る話ではありますが、他に類似の報道は見当たりません。

・デリゾル近郊では、ロシア機の空爆で14名の住民が死亡した。
他方シリアのサナ通信は、政府軍がデリゾルの南東でISに対して激しい攻撃を掛けているとしている。

・デリゾル周辺のシリア砂漠で、先月末からISが激しい攻撃を仕掛け、政府軍に重大な損失を与えたのは、大きな衝撃であった。
mayadeen の町は、ISが死に物狂いで守って、政府軍の侵入を許していない。
シリア人権監視官によれば、このISの攻撃力の強化は、最近イラクからシリアに1000名のIS幹部と戦闘員が移動してきたからであるとして、彼らはウズベキスタン、タジキスタン、トルキスタン、アゼリ人等で、mayadeen での戦闘指揮を引き受けたが、彼らは現地アラブ人の戦闘意欲を信用していない由。

・他方ハサカでは、その南部でデリゾル等からの避難民が集まっているところをISに砲撃され、50名が死亡し、多数が負傷した。
大部分の死傷者はデリゾルの戦闘からの避難者であるが、クルドのシリア民主軍の兵士も含まれている由。
人道支援団体は東部シリアの戦闘は激しく、空爆で数百名が死亡したとしている。

・他方イラク側では、イラク空軍機が12日夜、al qaim とrawa等で、住民に対して、近くISに対する攻撃が始まるとのビラを数千枚散布した由。

http://www.alquds.co.uk/?p=807713
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/10/13/ألف-مقاتل-من-العراق-لدعم-داعش-في-دير-الزور-والبادية.html
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/13/عشرات-القتلى-بغارات-بدير-الزور-وتفجيرات-بالحسكة

シリアでの血なまぐさい9月

先日はシリア人権監視官が、この9月はシリアで本年最も民間人の被害が多かった月であったと報告していることを紹介しましたが、国連の人道問題調整官事務所と国際赤十字も、この9月が本年で最も血なまぐさい月であったと報告しているとのことです。

これは、al jazeera net の伝えるところですが、それによると、国連人道調整官は5日、9月19〜30日の間に、イドリブの住宅地に対しての空爆で、少なくとも149名が死亡し、その大部分は婦女子であるとした由。
また、これらの攻撃は病院、救急車、学校等に対して行われたものが多く、このため病院と学校は閉鎖を余儀なくされた由。
また国際赤十字も、この2週間の戦闘は2016年以来最悪で、多くの民間人の被害が出ていると、5日発表した由。
赤十字は、これらの攻撃がイドリブ、ダマス近郊、ハマ等の所謂非戦闘地域で行われていると指摘した由。
また赤十字は過去10日間で10の病院が攻撃され数千人が治療を受けられなくなったとしている由。
またデリゾル地域に対する政府軍を支援してのロシア軍の攻撃も激しくなっているが、ロシア国防省によれば地中海の2隻のロシア潜水艦より、デリゾルあてに10発のミサイルが発射された由(被害の程度は不明)。
他方、ロシア軍は5日、イドリブで、シャム解放機構(ヌスラ戦線)のこれまでで最大の武器庫を破壊したと発表した由、大量の弾薬のうち、最も多いのが砲弾の由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/10/6/سبتمبر-الأكثر-دموية-بسوريا-وروسيا-تواصل-القصف

イランでのシリア等での損失に対する不満

先ほどサウディのイエメン国境方面での死者が50名になったという報道を紹介しましたが、イランの革命防衛隊等のシリア、イラクに於ける損失は比較にならないほど大きいと思います。
この点に関して、al arabiya net  は最近、イラン内で活動家の手による政権に対する批判が出回っていると報じています。
その内容としては、それほどシリア等における活動が重要ならば、政権の指導者、マスコミの指導者は自らシリアやイラクに行って戦えばよい、もし自らが老齢等であ戦闘ができないのであれば、自分たちの子供を送るべきであるというものの由(要するに自分たちは何の犠牲も払わずに、国民を犠牲にする指導者に対する不満)。

また活動家によれば、これまでシリア等で死亡した革命防衛隊員等は4000名に上る由。
また死者の多い都市はテヘランを先頭に、コム、カルマンシャー、マザンドラン、キーラーン等の由。

https://www.alarabiya.net/ar/iran/2017/08/18/الإيرانيون-يهاجمون-قياداتهم-أرسلوا-أبنائكم-إلى-سوريا.html

このような不満の表明が、仮に事実としても、どの程度の広がりを有しているのか不明です。
また、これを伝えているal arabiya net はサウディ系ですから、当然宣伝的要素も強いかと思いますが、革命防衛隊等に多くの犠牲者が出ていることを考えてみれば、ありうる話かと思うので、取り敢えずご参考まで。

イランのシリアでのミサイル工場建設(アラビア語メディア報道)

先日はイランがシリア内でヒズボッラーのためにミサイル工場を建設しているとのアラビア語メディアの記事を紹介したかと思いますが、al qods al arabi net はイスラエルのスパイ衛星が、イランがシリア内でミサイル工場を建設中であることを発見したと報じています。

これは元々、イスラエルのチャンネル2が報じたものとのことですが、イスラエルの偵察衛星eeros bi(アラビア文字からの訳、以下同じ)を運営するeemjist社が、初めてシリア内でスカッドを建造するための工場を発見したとのことです。
それによると、この人工衛星は最近、シリアの北西部の地中海沿岸のバニアス近辺で、その写真を撮ったが、写真によれば工場は爆発物を貯蔵する建物も含んでいる由。
イスラエル局によれば、この工場はテヘラン近郊のイランのミサイル工場に酷似している由。
また同局は、イランがこの建設の後ろにいることは間違いなく、工場の完成は1年以内であろう、としている由。

http://www.alquds.co.uk/?p=772815

このバニアスの近くの工場とやらが、先日お伝えしたミサイル工場とは別のものか否かは不明ですが(考えてみれば、いくらなんでもイスラエルに接しているゴラン高地でのミサイル工場建設は、余りに刺激的だし、またイスラエルからの攻撃には脆弱すぎると思われる)、仮にこの記事が事実であるとすれば、特にこれがヒズボッラーのためのものであれば、イスラエルがこれを攻撃するのは確実ではないかと思われ、新たな火種がまかれたような気がします。

シリアのクルド勢力の選挙計画

イラクでは9月のクルド自治区の住民投票にキルクーク県も参加すると同県知事が表明したことは、昨日だったかに報告しましたが、今度はシリア北部のクルド人地域での選挙の話です。

al arabiya net は、クルド連邦評議会は27〜29日まで会議を開いていたが、北部シリアのクルド人地域に関して、3段階からなる選挙の実施に合意したと報じています。

それによると
第1段階の選挙が8月22日で市町、
第2段階が村落及び郡の選挙で12月3日から、
第3段階が1月19日で県レベルの選挙の由。

クルド筋によると、この会議には al jazeera、コバネ、イフリーン、テルアブヤド、al shahabah 等全てのクルド支配の北部シリアからの代表が参加した由。

http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/07/30/مجلس-كردي-فيدرالي-ينظّم-أول-انتخابات-محلّية-شمال-سوريا.html

前からシリアのクルド勢力については、知識不足を痛感していましたが、今更ながらこのクルド地域連邦評議会とやらと、これまで度々問題になっていた、クルド勢力の政治組織PYD,さらにその軍事組織YPG(こちらの方は現在ラッカ解放作戦を進めているシリア民主軍の中核)との関係がどうなっているのか不明です。
記事によると、会議の正面には、トルコで収監中のクルドPKK指導者オジャランの大きな写真がかかっていたということですから、彼らがPKKのシリア支部とされるPYDの関係で、おそらくはその組織の一つではなかろうかと推定されます。
この評議会はシリア政府も承認していないとのことですが、仮にpkkのoff -shoots とされるPYDがトルコ国境に沿った北部シリアで選挙を行い、連邦政府を目指しているとすれば、シリア政府と合わせてトルコ政府の強烈な反発が予測されます。
矢張り今年の秋以降は、クルド問題が正面に出てきそうです

どうもあやふやな記事で申し訳ないが、取りあえず
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