中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

シリア

シリア情勢(ダマス、南部、ラッカ等)

シリアに関しては方々で断片的な情報があるところ、どうやらダマス及びその周辺では反政府軍が駆逐されて、平静が支配しつつあり、ダラア等南部では政府軍が攻撃を強化しつつあり、ロシア軍も久方ぶりの空爆を行う等活発な動きがあり、またイラクとの国境地帯ではISが未だ拠点を維持しいていて、イラク空軍が越境空爆を加えている他,掃討されたはずのラッカではISの浸透のためにシリア民主軍が非常事態を宣言した等、地域的に大きな差が出ている模様です。

断片的な情報ですが、アラビア語メディアからシリア情勢につき取りまとめたところ、取りあえず次の通りです。
  • ダマス及びその周辺では、反政府軍が駆逐され、政府軍とその連合民兵の支配が確立された所為か、平静が支配し、紛争前に自然状態に戻りつつある。
  • その象徴的な動きが、特にダマスの各地からの検問所と障害物の撤去で、市の出入り口や情報機関等の重要拠点の周囲を除いて、コンクリートブロッグを含む障害物がおおむね撤去された。
  • これと対照的なのが、ダラアをはじめとするシリア南部地域である。ここでは政府軍がダラア市の一部に攻撃を加えるとか、前進を見せており、またロシア機も1年ぶりくらいで、この地域を空爆した。
  • ロシア機はhamimim空軍基地より飛来し、25回の空爆を行った。シリア人権網では現在のところ民間人の被害の数字を持ち合わせていない由。
  • 政府軍等も激しい砲撃を加えつつ、前進を試みており、この数日間で、かなりの前進を見せた由。
  • このためダラアと周辺の住民で非難するものが増大しており、この数日間で12000名が避難したが、国連では政府軍の攻撃は70万人の住民を危険に陥れていると警告している。
  • 他方ラッカでは、23日、シリア民主軍(クルド勢力主体)が、市内全域に非常事態と夜間外出禁止令を発表した。これは、その情報機関がISが市内に浸透し、治安機関等に対するテロをかくまっているとの情報を入手したからの由。
  • ISのアマク通信も、彼らの攻撃で22日、民主軍の兵士複数が死傷したと発表した由。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/6/23/أزمة-نزوح-في-درعا-ومطالب-دولية-بوقف-التصعيد
http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2018/6/23/تحولات-أمنية-لافتة-في-دمشق-وهذه-هي-التفاصيل
http://www.alquds.co.uk/?p=960456
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/06/23/المرصد-تقدم-قوات-النظام-في-جنوب-سوريا.html
http://www.alquds.co.uk/?p=960495

ロシア機のイドリブ空爆

al arabiya net は、ロシア機によると思われる空爆で7日夜、シリアのイドリブ近郊のzardna市で、住宅地が空爆され、児童5名を含む38名が死亡し、60名が負傷したと報じています。
これは、シリア人権網の数字によるもので、死傷者の数字は救出活動が進むにしたがって、増大していったので、さらに多くなる可能性がある由。

記事はロシア空爆の背景として、イドリブで最大の武力グループが旧ヌスラ戦線(アルカイダ系)であるとも伝えています。

https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/06/08/سوريا-مقتل-18-مدنيا-في-غارات-روسية-على-إدلب.html
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/06/07/بوتين-عملياتنا-بسوريا-فرصة-فريدة-لاختبار-وتدريب-قواتنا.html

この記事と直接の関係はないのでしょうが、al arabya net のもう一つの記事は、ロシアのプーチン大統領が7日、ロシアTVで、ロシアがシリアで過激派と戦っていることは、ロシア内で戦うよりは良いことで、過激派に対する軍事行動は、めったに得られない実験や訓練の機会を与えてくれていると語ったと報じています。

前から、個人的にはロシア軍(特に戦略空軍の爆撃機の長距離爆撃、巡航ミサイルの使用、最新型戦闘機の使用等)の軍事行動は、WW2(第二次世界大戦)前にドイツ軍がスペイン内戦に介入して、コンドル部隊という義勇空軍部隊と称する正規軍を送り、種々の新しい航空機や戦闘隊形の実験や訓練を行い(例えばそれまで戦闘機の編隊は3機が基本であったのが、ドイツ軍が、4機編隊…確かロッテとか呼ぶ編隊ではなかったか?・・・を編み出して、それがその後の戦闘機体の基本形となった)、それがのちのWW2で大きな効果を発揮した歴史上の事例を想起させると思っていましたが、プーチンが公然とこのような発言をしたことに驚きました。

イラン・ロシア・イスラエル関係(シリア)

このところ、シリアを巡り、ロシアとイスラエル・米との接近、ロシアのイランから距離を置く姿勢等に関するメディア報告が増えているところ、ロシア、イスラエル、米、等のシリア、特に南部シリア(特にイスラエル境界から60劼らイラン兵等を遠ざける問題)を巡る最近の動きは次の通りで、確かにかなりその動きは急な模様です。

何しろ、ロシアの本音がどこにあるかはよくわからないところが多く、またアラビア語メディアの多くがロシアがイランから距離を置くことに、どちらかと言うと期待を抱いているとの印象もあり、現時点で性急な判断は時期尚早かとも思われるので、取りあえずは事実関係のみ、次の通り。

  • ロシア外相は27日、シリアの南部国境でイスラエル、ヨルダンに近接した地域に、駐留すべき軍隊はシリア政府軍だけであると語った。同外相は記者会見で、南部シリアの戦闘緩和地域については初めから、駐留すべき部隊は政府軍だけであると規定していると語った。
  • ロシア外務次官補は29日、近くロシア、米国、ヨルダンの3ヵ国がシリア南部の戦闘緩和地域で会談すると語った。(注:シリア政府もイランも含まれていない)。
  • イスラエル国防相は30日、短時間、ロシアを訪問し、ロシア国防相と会談することがイスラエル政府から発表された。両者は中東の諸問題、中でもシリア問題、特にシリアを巡るイスラエルとイランの緊張について話し合うことになっている由。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/05/28/لافروف-قوات-النظام-فقط-مسموح-بتواجدها-جنوب-سوريا.html
http://www.alquds.co.uk/?p=943994
https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-israel-s-defense-chief-to-visit-russia-discuss-iran-and-syria-1.6130624

在シリア・イラン兵力とロシアの立場(イスラエル紙の解説)

確か若干前に、ロシアのシリアに対する立場はイランとは異なっていて、イラン軍の存在問題についてはかなりの距離を置いているとのイスラエル紙の解説を紹介したかと思いますが、同じhaaretz net が、イスラエルはロシアがイランの兵力をイスラエルとの境界線から60匆爾欧気擦襪海箸帽膂佞垢覯椎柔が強いと考えている旨報じています。

中々面白い記事につき(特に記事の書き方から見るとイスラエル政府、軍部等のブリーフィングに基づくものではないかとの印象を受けるところ)、その要点のみ次の通り。

  • イスラエル政府関係者は、イスラエルの政治、軍事指導者が、ロシアは、イラン兵及びシーア派民兵を境界線から遠ざける問題について話し合う用意があるとみていると語った。
  • このようなロシアの立場変更は、今月10日のイスラエルとイランの衝突、およびイスラエルの大規模攻撃がアサドのこれまでの戦果を台無しにして、その不安定化をもたらすとのロシアの懸念に基づいている。ロシアは最近シリアの安定化に米国も巻き込む努力を再開し、その一環としてイスラエル国境からのイラン兵等の撤収について妥協の用意を見せている。
  • 昨年11月、ロシア、米、ヨルダンはシリア南部(ダラア周辺等)に関し戦闘緩和地域とすることに合意したが、その際イスラエルはイラン兵等を境界線から60匆爾欧襪海箸鰺弋瓩靴拭しかし、これに対してロシアは合意しなかった。その関連で、米ロは革命防衛隊やシーア派民兵がイスラエルとの境界か5〜20劼涼楼茲砲藁ち入らないことに合意したが、この合意は守られていない。
  • イスラエルが知るかぎりでは、、米ロはこの問題でまだ協議を再開してはいないが、ロシアは立場の再考の可能性をほのめかせており、イスラルとしてはロシアが上記のイスラエル要求のラインで合意すると考えている。最近のイスラエルの空爆で、シリアの防空能力の半分は破壊されたと見られていて、アサドもこれ以上イランのプレゼンスが増大することを歓迎していないと見られている。イスラエルは、米は現在では「イラン抜き、IS抜きのシリア」というスローガンでロシアを説得できるとみている。
  • イスラエル情報筋によれば、現在のシリアには、
   2000名のイラン革命防衛隊員
   9000名のパキスタンやアフガニスタンのシーア派民兵
   7000名のヒズボッラー要員

   が存在するとみている。

https://www.haaretz.com/israel-news/.premium-russia-mulls-pulling-back-iranian-forces-from-israel-syria-border-1.6118969

シリア情勢(南部、東部)

シリア情勢について、若干の追加を・・・確か若干前に、シリアの南部、東部ではダラア周辺とゴラン高地とイラク国境に近いユーフラティス東岸が、反政府軍の手中に残っているという報告をしたかと思いますが、どうやら政府軍とヒズボッラー、イラン革命防衛隊はダラアで反政府軍に対する大規模作戦を計画中で、東部でも米軍機等の空爆があった模様です。

ゴラン高地はイスラエルに隣接していて、先日のイスラエル機の空爆にも鑑み、取りあえずはイスラエルを過度に刺激しないこととし、その他の地域から手を付けるということなのでしょうね。
アラビア語メディアの記事を取りまとめたところ次の通りです。

ダラア方面
  • 消息筋がアナトール通信等に語ったところによれば、政府軍とその同盟者は近くダラアの反政府軍支配地域に対する攻撃を開始する模様で、そのためにダマス−アンマン道路を通って、大規模な政府軍等の増援部隊が現地に送られつつある由。彼等は道路の両側に宿営し、検問所を設置し、パトロールを強化している由。
  • この点に関して、hamimim のロシア軍空軍基地はそのフェイスブックで、ダラアに関する衝突軽減地域としての合意(ロシア、米、ヨルダン間の由)は、IS及びヌスラ戦線が撤収しない限り、終了することは必至であるとして、特にヌスラ戦線に撤収を呼びかけた由。
  • これに対して、現地の自由シリア軍は、このような政府軍の攻撃に対しては断固として反撃するとして、ダラアは政府軍兵士及びヒスボッラーの墓場となるであろうと語った由。
http://livedoor.blogcms.jp/blog/abu_mustafa/article/edit
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/05/24/قاعدة-حميميم-على-النصرة-الخروج-أو-المواجهة-العسكرية.html
http://www.alquds.co.uk/?p=940927

シリア東部
  • シリア人権網は、24日早朝、米軍機等有志連合が、シリア東部のbukmar周辺で、政府軍を空爆し、少なくとも兵士12名が死亡したと語った。シリア通信によれば、政府軍及びヒズボッラーは同日米軍機が、彼らの拠点を空爆したと表明したと報じている。
  • 米軍は同地域で政府軍等を目標として攻撃したことはないと否定している。ただ、過去数日間この砂漠地帯では、ISが活動していて、政府軍等を攻撃している由。
  • また現地筋によると、この地域ではヒズボッラーとイラン革命防衛隊が、合同の検問所を設け、合同パトロールをしている他、イラクのシーア派民兵もISの攻撃に備えて現地に到着しつつある由。
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/05/24/غارات-التحالف-تقتل-12-من-قوات-الأسد-شرق-سوريا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=940927
livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
  • ライブドアブログ