中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

チュニジア

チュニジア人の過激派への参加(内相の報告)

アラブ諸国の中では、人口等の割合に比して、不釣り合いにチュニジア人の過激派組織への参加とシリア、イラク、リビア等への参戦が指摘されていましたが、この状況は今になるも、大きくは変わっていない模様です。

al arabiya net は、チュニジア内相が議会での証言で、過激派に参加したチュニジア人が今でも3000名、シリア、リビアその他の紛争地帯にいると証言したと報じています。
それによると、そのうち60%はシリアに、30%はリビアにいて残りは各地に散在している由。
また、彼らの年齢は96%が24〜35歳の間の由。

またこれまで800名が帰国し、そのうち190名が逮捕され、137名が居所を限定され、55名が裁判にかけられ、残りが監視下にあるが、760名は外国で死亡したよし。
彼らをリクルートしたのは、大部分がISとアルカイダだが、リクルートの第1歩は、過激な説教師や社会ネットの触れることで、その後グループまたは単独で外国に向かうよし。
また彼らの旅行経路は、空港等の公的施設を通るよりは、国境を侵出することが多く、また偽造旅券を使うことが多い由。

このためチュニジア議会は、過激派のチュニジア青年のリクルート問題を検討する、専門の委員会の設置を決めた由。
とりあえず
https://www.alarabiya.net/ar/north-africa/2017/04/22/-3-آلاف-مازالوا-يقاتلون-في-سوريا-وليبيا.html

チュニジアの選挙

どうも中東についてはイラク情勢やシリア内戦等血なまぐさい話ばかりですので、若干時期尚早かもしれないが、民主化の進展の話を一つ。

そもそもの「アラブの春」の発祥の地であるチュニジアでも、その後民主化の進展が必ずしもうまくいっていっておらず、過激派の勢力が拡大したり、政治テロが発生したりしていましたが、ともかくクーデター(エジプト)や内戦(シリア)、アルカイダの跋扈と国家分裂の危機(イエメン)、内戦後の破綻ぶり(リビア)等が他のアラブ諸国を悩ませる中で、何とか議会政治を維持してきました。

そのチュニジアでの政治的関心の一つの中心が、コンゴの民主化進展のプロセスで、すなわち議会と大統領の選挙の日時でした。

これについてal arabiya net は独立選挙委員会が15日、議会選挙を10月26日、大統領選挙の第1回投票日を11月23日としたと報じています。この決定は16日暫定議会に報告され、暫定議会は選挙委員会の決定を今週中にも採択する予定とのことです。

最後に書いた通り議会の決定は「予定」ですから、未だ政治的駆け引き等で混乱する可能性もないわけではない(その意味で時期尚早と書いた)が、何しろ一部の読者からは、イスラム教徒はそもそもまともな統治能力があるのか?などと言う難しいコメントが来ているような状況なので、取り敢えずは民主主義にとっての良いニュースとして紹介しておきます(悪くなる前にお伝えしようという魂胆からではない!)

http://www.alarabiya.net/ar/north-africa/tunisia/2014/06/16/تونس-انتخابات-البرلمان-والرئاسة-في-أكتوبر-ونوفمبر.html

ムスリム同胞団弾圧(若干の感慨 補足)

先日エジプトのムスリム同胞団に対する弾圧に関し、若干の感慨を書いておきましたが、そういえば同じように穏健イスラム勢力と喧伝されたチュニジアのナハダとの比較を書くのを忘れていました。

チュニジアのナハダ中心の政権もエジプト同様に、世俗派から大きな反発を受け、その政治は必ずしも順調ではありませんが、少なくとも近い将来軍のクーデターで倒されることは考えられません。
それにはおそらく3の要因があるのではないかと考えていますが、最大の要因はチュニジアの軍とエジプトの軍の性格の違いです。

中東戦争を4回も戦い、その他消耗戦争等多くの対外戦争を戦ったエジプト軍と違い、チュニジア軍は対外戦争はしていませんが、その性格は純粋に国防の職務に専念し、国内政治に巻き込まれた(もしくは自ら入り込んだ)歴史はありません。要するに純粋にプロの国防軍です。
これに対して、エジプト軍は何しろ1952年のナセル革命以来、常に政権の中心にあり、エジプトの政治を最終的に決定するとともに、エジプト社会の各方面にその影響力を広げ、膨大な利権集団ともなってきました。大きな権力を有する地方の知事(特に重要な県の知事)はじめ多くの中央、地方の要職を占めるとともに、広範囲な産業(軍事産業のみならず重工業等の重要産業を含む)への関与(支配)を通じて、経済面でも膨大な利権を有してきました。
その軍は先にも書いた通り、ナセル時代の始めからムスリム同胞団と激しく対立し、これを厳しく弾圧してきました。

今回のクーデターの背景として、軍にどのような計算があったのかは不明ですが、自らの利害に全く関係なく、国民の大部分の要求にこたえて、「身を殺してでも国家を救うため」だけに出てきたと考えるのは、余りにナイーブというものでしょう。

勿論世俗主義の組織であった軍にとって、同胞団のイデオロギー、政治というものがこれまで自分たちが守ってきたエジプトという国家の基本理念に違反するという思いがあったことも事実とは思います。

次に大きな要因は、チュニジアの場合曲がりなりにも世俗主義政党を含めた3党の連立政権であるのに対して、エジプトは、特に議会の解散後は、同胞団の単独政治となってしまい、余りに同胞団の支配というのが突出し、同胞団に専らその利害を追及することを許してしまった反面、連立政権の有する安全弁というか、ブレーキがない状態に陥ってしまったことではないかと思います。

その最も代表的な例は、同じイスラム主義政党のサラフィ主義をも、クーデター支持側に追いやってしまったことだろうと思います。エジプトのように軍部、司法界、都市エリート青年層の間等で、世俗主義が強く、特に同胞団流の貧困層を主たる支持層にする潮流に対する反感が強いところで、サラフィストも含めて、同盟者、同調者を失ったことが第2の主要な理由だろうと思います。

おそらくはチュニジアの選挙に比して、エジプトの議会選挙、大統領選挙が世俗主義勢力と連立を組む必要もない、一方的な勝利をもたらしたことが、現実の政治ではかえって、その陥穽になったのではないかという気がします。
世俗主義政党との連立政権であれば、同胞団ももう少しやりたいこともやらす、慎重な政治運営をしたのではないかと思わされます。

3つめはこのサラフィ主義に関係しますが、チュニジアの場合、サラフィ主義者の中の強硬派がテロに走り、現在でもまだ西部の山岳地帯で頑張っていることが示すように、ナハダ党とは別に、無関係に強硬なテロを志向するイスラム過激派がいるということが、逆説的にナハダ党を守ってきたような気がします。

要するに、ナハダ政府が過激派に対する取り締まりに手ぬるいという批判はあっても、一部の者を除いてはナハダ党=テロ組織と単純化することは、余りに虚偽の宣伝であるという健全な意識を国民に与えているのではないでしょうか?
その点、エジプトの場合武装テロリストのイスラム主義者としてはシナイ半島の過激派くらいしかなく、クーデター勢力に同胞団=テロ組織という宣伝材料を与えることになったのではないでしょうか?
 何しろ、ムバラク大統領に対する革命運動、その後のムルシー政権を通じて、同胞団がチュニジアの過激派サラフィストのように爆弾、銃撃事件等のテロを行ったという具体的な証拠は出てきていないと思います。

以上日曜日ということもあり、暇に任せて誰も読まない感慨の補足など書いてみましたが、もしかしたら最大の要因は軍のクーデターが必要とされるエジプト社会と異なり、労働総同盟が反ナハダ運動で重要な役割を果たしているチュニジアの方が、はるかに成熟した国家ということかもしれません。

チュニジアの大統領、議会選挙

14日付のal arabiya net とal mayadeen netは、チュニジアの連立3党が13〜14日、大統領直接選挙と議会総選挙を2013年7月23日に行うこと及びチュニジアの政体としては、権力バランスを有する2重制(大統領と議会)にすることに合意したと報じています。

なお、al mayadeen net は、反政府派はこれまで連立与党が、今後のチュニジア政体、選挙日時等の政治地図を示さないことに抗議して、不服従運動も辞さないとして来たと報じているので、もしかしたらこの野党の警告が朝方お伝えした、首相の云う「クーデター」なるものかもしれません。

3党合意の背景等不明ですが取りあえず

http://almayadeen.net/ar/news/maghreb-HYo0_7nrlUWZUKDqAEKK2g/تونس-تحديد-موعد-الانتخابات-والنظام-السياسي
http://www.alarabiya.net/articles/2012/10/14/243612.html

チュニジア首相の警告

チュニジアではこのところ政治を主導するナハダと反対派の対立が先鋭化しているようですが(勿論その他サラフィー主義者の暴力問題や地方での問題もありますが)、13日付のal qods al arabi net は同日チュニジア首相hammadi al jibaliが、チュニジアの正当政府がクーデターの危険に直面していると警告したと伝えています。

これは同日の地方行政に関するセミナーの開会式での発言とのことですが、同首相はその中で、選挙で選ばれた正当政府に対するクーデターのシナリオがあるとして警告するとともに、政府としては総ての勢力を対話の用意があり、現時点でのチュニジアの課題は、選挙による民主主義の成果を大事にしつつ、憲法策定、総選挙と云う問題を着実に実施していくことであると強調したとのことです。

記事の要点は以上で、首相の警告がレトリックに過ぎないのか、真にクーデターの危険性があるのかその辺は不明ですが、クーデター等という刺激的な言葉が使われたこともあり、取りあえず。

http://www.alquds.co.uk/index.asp?fname=latest\data\2012-10-13-15-14-57.htm
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