中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

トルコ

khasshoggi事件(エルドアンの米誌への寄稿)

al jazeera net は、エルドアン大統領が米washington post 紙への寄稿で、khasshouggiの殺害は、サウディの最高レベルの命令だが、国王ではないと書いていると報じています。

これは、命令したのは皇太子だと言っているのと同じことですが、不思議なことに、現在のところ気が付いた限りではほかの中東メディアでこの話を取り上げているものはないようです。

サウディ系のal arabiya net(衛星放送)を除くと、他は新聞系ということでニュースが遅いということでしょうか?ちょっと引っ掛かりますので、取りあえずこんな報道もあるということで、ご承知おきください。

記事の要点のみ、

エルドアンは2日発行のwashington post 紙への寄稿で、トルコはこの殺害はサウディの最高レベルからの命令ということを知っているが、国王は関係していないと確信していると書いた。

エルドアンは、サウディはまだ多くのことを隠しているが、最大の問題は誰がヒットチームを送り、殺害を命令したかで、これは治安関係者だけの行為ではないと書いている。

しかし、問題はサウディ政府の政策ということではないので、この問題は国家対国家の問題ではないと強調した由。

彼は更に1ヵ月間、トルコは真相をつかむべく最大の努力をしてきたが、関係者は時間が過ぎてこの事件が忘れ去られることを希望しているようだとし、トルコは国際社会の一員として、また人道的見地からも、今後とも真相追及の手を緩めないとした由。

また、この問題がうやむやにされることは危険な前例となると警告した由。

彼はまた、khasshoggiが総領事館に入り、殺害したことは、明らかになったが、問題は誰が殺害チームを送り、殺害を命令し、遺体がどこにあるのか、イスタンブールの現地協力者は誰か等の問題が残っているとした由。

更にヒットチーム等18名は逮捕されたが、事件直後に帰国した総領事が、その後どうなっているのか不明であるとした由。

更にサウディ検事総長は何の情報も提供せず、捜査に真面目に協力しなかったと非難した由。

何しろこの記事はトルコ大統領が米でも極めて権威のある新聞に寄稿し、しかも実質的に皇太子が張本人であると指摘しているものだけに、他のメディアが報じないというのは、どうも不思議です。

もう少し時間がたてば事情も解ってくるでしょうか?

米・トルコ両大統領の電話会談(シリア)

どうもシリア東北部のシリア民主軍(YPGが中心)に支配地域を巡って、トルコと米は駆け引き、調整を行っているように見えます。

アラビア語メディア及びhurryiet net (トルコ紙)は、エルドアンとトランプ大統領が2日電話で、シリア問題につき協議し、特にmanbij での合同パトロールの実施、イドリブ問題について協議したが、両者は今後とも密接な連絡を取り、シリア問題で調整していくことに合意したとのことです。

確かに2日には、これまで両国の懸念事項であったmanbij での両国の合同パトロールが始まりました。

しかし、上記2問題のために、両首脳がわざわざ電話会談をしたとは考えにくい所で、特に現在直近に迫った中間選挙で米国各地を飛び歩き、種々の問題発言で、大忙しのトランプが、こんな問題で態々トルコの大統領と電話会談するとは常識的には考えらません。

manbijの合同パトロールの件は、精々国務省とか国防相の中堅レベル以下の話でしょうし、イドリブ問題に至っては、こう言っては何ですが、米国はそもそも蚊帳の外の話です(要するにあそこの停戦とか過激派の撤退とかはロシア・トルコが合意したもの)

ということは、お忙しいトランプを煩わすようなシリア関係問題が他にあったことになり(勿論トルコのエルドアンからすれば、当然ながらkhasshoggi事件は提起したと思われる)、おそらくそれはユーフラティス東岸のシリア民主軍支配地域に関してであろうと思われます。

この地域についてはエルドアンは、何度もテロリスト(要するにYPG)から解放すると発言していて、現実にトルコ軍が国境付近に展開している上に、最近トルコがこの地域を砲撃し、それにYPGも応戦する事件がありました。

この事件について、確か米国務省はそのような一方的な行為(トルコの砲撃)は地域の安定のみならず、現地に居る米兵の安全をも害するとしてトルコの攻撃に遺憾の意を表していました。
そのため米国が中心の有志連合はトルコとシリア民主軍の間を調停していると表明していました。
然るに、アラビア語メディアによれば、トルコ軍は準備の段階を終え、何時でも地上軍の侵攻のできる状態になっていると報じていました。

そこで、二つの同盟軍に挟まれた米国としては、トルコではエルドアンが独裁的権限を握っていることに鑑み、それでなくとも忙しいトランプのお出ましを願ったというところだろうと推測されます。
現在のところ両者がどういう話し合いをしたかは不明ですが、あのトランプが激しく非難していないところから見ると、完全な物別れということではなかったと思われます。

またエルドアンも、まさかkhasshoggi事件とシリア政策を結びつけてはいないと思いますが、いずれにしても今後の動きが注目されます。

https://www.alquds.co.uk/%d8%a7%d8%b1%d8%af%d9%88%d8%ba%d8%a7%d9%86-%d9%8a%d9%86%d8%a7%d9%82%d8%b4-%d9%85%d9%84%d9%81-%d8%b3%d9%88%d8%b1%d9%8a%d8%a7-%d9%85%d8%b9-%d8%aa%d8%b1%d8%a7%d9%85%d8%a8-%d9%88%d8%a7%d9%84%d9%82/
http://www.hurriyetdailynews.com/erdogan-trump-discuss-syrias-manbij-idlib-in-phone-call-138500
http://www.aljazeera.net/news/international/2018/11/1/ترامب-وأردوغان-يبحثان-الوضع-بمنبج-وإدلب
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2018/11/01/التحالف-يتوسط-لخفض-التوتر-بين-تركيا-وسوريا-الديمقراطية-.html

khasshoggi事件

事件が事件ですから、日本でもその後の進展ぶりにつき大きく報道されるかと思うので、極く手短に。

・イスタンブールを訪問していたサウディの検事総長は31日帰国しましたが、トルコ当局はサウディ側は何ら新しい情報を提供せずに、ビデオや録音等の実物を検分したいとしたとして、不満を表明した由。

・イスタンブール氏の検事局は、文書の形での声明で,khasshoggi は総領事館に入った直後に絞殺され、その遺体は分断されたと発表した。
また、サウディ検事総長は遺体を処分した「協力者」について情報を提供しなかった由。
これがトルコ当局の、本件に関する、最初の公式の発表の由。

・トルコ与党AKPの報道官は、khasshoggiの殺害は、サウディ政府の最高レベルの指示なしでは、実行されなかったと語った。

・トランプ大統領は、記者の質問に答え、サウディが自分(大統領)を騙したとは思っていないが、彼ら自身を騙しているのだろうと語った
(興味あることに、al arabiya net もこれを報じているところ、報じているところは大統領を騙したとは思っていない、というところだけで、サウディが自分自身・・・・というところは削除してある)

・米国務長官は、この事件は国際法違反であると語った。
(総領事館内で、派遣国自身による犯罪であることを指していると思われる)

取り敢えず以上ですが、サウディは検事総長の派遣で、事件の幕引きを図ろうとし、トルコは今後とも情報の公表で、サウディの責任を追及していこうとすると思われるが、矢張り遺体を見つけたとか、サウディ内の誰かが亡命して内情でも暴露しない限り、決定的なパンチにはかけるかと思われる。

ということは今後は米国等がどの程度サウディに対する圧力を強めるか、という点とサウディ内で、どの程度、皇太子に対する不満と反抗的状況が盛り上がるかに移ってきたように思われます。

トランプという個人(大統領ではあるが)を除けば、米国内では共和党も含め、サウディに対する信頼は大幅に低下したように見えますが、矢張り武器取引とか石油とか巨額の資金を有するサウディのことですから、時間がたてば「元通り」という可能性も強そうですね。

khasshoggi事件

(表現は悪いが)さしも連日マスコミをにぎわせていたkhasshoggi事件も、流石に新しいニュースは出てこないようです。

hurryiet net やアラビア語メディアは、サウディの検事総長がイスタンブールに到着し、トルコのカウンターパートと協力して総領事館などの立ち入りを行っていると報じていましたが、エルドアン大統領は、サウディ検事総長は何も新しいことをもって来なかったと不満をあからさまにしたとのことです。

エルドアンは、誰が15人のヒットチームを送ることを命令したのか、明らかにすべきで、事件に関し猿芝居は止めて、イスタンブールの協力者(遺体を引き取ったとかいう)が誰か明らかにすべきだと語ったとのことです。

また、エルドアンは誰か(複数)を守ろうとすることはやめるべきとも語った由。

彼は、演説等でもトルコ当局は多くの証拠をつかんでいることを何度もほのめかしながら、今になるも具体的な証拠は示していません。

またサウディ検事総長の訪問についても、彼が何らかの新しい情報を持ってくると、エルドアンが信じるほどナイーブではないことも明らかでしょう。

検事総長の派遣は、とにかくサウディとしてもできるだけの協力をしたとの姿勢を示すことが狙いで、敢えて言えば事件が最上層部に至ることを阻止することが目的だったとしか考えられません。

ということは、米国等から更に強い圧力がかからない限り、サウディは今回の検事総長の派遣をもって、幕引きを図ろうとしているように見え、今後の問題はトルコ当局(というかエルドアン)が、いつ、どのような形で、どこまで証拠とやらの盗聴記録その他を具体的に開示するかに絞られてきたように思います。

このような見方が間違っていればいいのですが・・・・。

khasshoggi事件(米紙の記事等)

khasshoggi事件も、流石にこれだけ日が経つと、本日は特に目新しい記事は見当たりません。

精々、hurryiet netが英国のsunday express というタブロイド紙が、彼はサウディがイエメンで化学兵器を使ったという情報を公表するはずだったこと及びサウディが彼の殺害を計画していたことを英国情報関係者が知っていたと報じているとなどと伝えているだけです。
(この英国の新聞はよく知りませんが、hurryiet  net がわざわざ「タブロイド紙」と書いたのは、要するに余り信頼できるメディアではないと示唆しているかと思われる)

イスタンブールを訪問したサウディの検事総長の話がどうなったかも不明で、またどうやらトルコ当局は彼の遺体の場所を突き止めてない模様で、こうなってくると、トルコ当局がこれまでリークしていた(と思われる)種々の情報が、どこまで核心をつかんでいて、どこまで開示するかに、今後の進展がかかっていそうです。

そのようなときに彼が寄稿員をしていたwashington post が本件の迷宮入りを予測したか?どちらかというと真相解明に悲観的な記事を載せたと、al qods al arabi net が報じています。

記事の表題は『ベンバラカ暗殺53周年 khasshoggiのファイルはベンバラカのファイルと同じ運命をたどるか?』というもので、1965年10月29日にパリで誘拐され、、殺されたと見られている、当時のモロッコ反体制派マハディ・ベン・バラカ事件の真相と今回の事件を比較しています。

類似の点として、遺体がどうなったかが不明なことで、どちらの場合も証拠隠滅のために硫酸が使われたとか、頭部はモロッコ国王やサウディ皇太子に見せるために本国に送られたとかの噂があることが共通点であるとしています。

そして、ベンバラカ事件は、当時も国際的なスキャンダルを生じ、当時の仏大統領ドゴールがモロッコとの外交関係を断絶し、仏情報機関を改組することとなったとしています。

但し、今回はサウディが殺害を認めたのに対して、モロッコの件は未だ闇に葬られたままで、モロッコは勿論、情報関係者が関係したと思われる仏も米も情報開示に応じていないとしています。

このような欧米のモロッコの犯罪を擁護する立場が、当時のハッサン国王をして、多数の反対派を逮捕、誘拐し、拷問し、インチキ裁判で投獄したㇼ、殺害したりさせることになったとしています。

そして冷戦時代の当時は、欧米は社会主義者であったベンバラカの死に涙を流そうとはしなかったとしています。
(トランプ等の立場に対する当てつけか)

取りあえず。

https://www.alquds.co.uk/%d8%a8%d9%85%d9%86%d8%a7%d8%b3%d8%a8%d8%a9-%d8%a7%d9%84%d8%b0%d9%83%d8%b1%d9%89-53-%d9%84%d8%a7%d8%ba%d8%aa%d9%8a%d8%a7%d9%84%d9%87-%d9%87%d9%84-%d8%b3%d9%8a%d8%b4%d9%87%d8%af-%d9%85%d9%84%d9%81/
http://www.hurriyetdailynews.com/uk-intelligence-knew-saudi-plot-to-kill-khashoggi-report-138352
livedoor プロフィール

abu_mustafa

最新コメント
記事検索
Archives
  • ライブドアブログ