中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

トルコ

3国首脳会議とその準備外相会議

ロシア、イラン、トルコの3首脳(プーチン、ロウハニ、エルドアン)は22日ロシアのソチで、シリア問題の最終的な解決を目指した協議をすることになっていると報じられているところ、al qods al arabi net とal arabiya net は、その準備のために上記3ヵ国外相が19日トルコのアンタリアで会議を開いたと報じています。
但し、会議の内容等については、現時点(20:00)では何も報じられていません。

因みに、al qods al arabi net の別の記事は、3首脳はシリア問題の最終的解決を目指して協議することになっているが、アサド政権を支持するロシア、イランとこれに反対するトルコでは、依然相互の対立が大きいとして、首脳会議で議論される問題としては、
・イドリブの過激派(ヌスラ戦線のことと思われる)を如何に掃討するか
・如何にして、大きな問題を起こさずに、トルコ軍のafrin侵攻を許すか
・非戦闘地域に対する空爆の停止
・政治解決への移行問題
・トルコを怒らせずに如何にしてクルド勢力を政治解決のプロセスに入れるか
等の問題があるとしています。

http://www.alquds.co.uk/?p=8291
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/19/اجتماع-وزاري-روسي-إيراني-تركي-حول-سوريا-في-تركيا-.html
http://www.alquds.co.uk/?p=829217

シリア問題の最終的解決にはまだまだ時間がかかりそうな気もしますが、3ヵ国首脳会議の前に、わざわざ外相レベルでの会議を持ったことが、これら3ヵ国が真剣であることをうかがわせます。
それにしても、米国は完全な蚊帳の外ですね。
またシリア問題と言いながら、どうやらアサド政府も蚊帳の外(もっともイランがある程度は代弁するか?)らしいことが、シリア問題の現実を示していると思われます。
いずれにせよ、あと数日で、かなりの情報が流れてくるものと思います。

トルコ部隊のNATO演習からの引き上げ

最近トルコの人権問題やクーデター未遂事件関係者の亡命等の問題で、特にドイツとトルコとの関係がぎくしゃくしているようですが、この事件もそのような一般的なトルコとヨーロッパの関係の悪化が背景にあるのでしょうか?

CNNやトルコのhurryiet net 及びal jazeera は、ノルウェイで行われているNATOの合同演習でトルコに対する侮辱的行動があったとして、トルコがその参加部隊を引き上げ、NATO事務局長や司令官やノルウェイ政府等が、トルコに対して謝罪したと報じています。

一つは、トルコ共和国建国の父アタチュルクの写真が、銃撃訓練の標的として使われた事件で、NATO事務局長は関係者はノルウェイの民間企業の技術者で軍のコントラクターであったが、彼は標的としてアタチュルクの写真を見つけて、それを使用したもので、現在は解雇されてノルウェイ政府が調査中と説明した由。
もう一つは、クルド系のノルウェイ軍将校が偽名を使って、ネットにエルドアンを中傷する記事を載せたとのことで、こちらも職務から外され、ノルウェイ軍が調査中の由。

http://www.hurriyetdailynews.com/turkey-withdraws-40-troops-from-nato-drill-in-norway-after-enemy-table-scandal-122571
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/11/17/الناتو-يعتذر-بعد-سحب-تركيا-قواتها-بسبب-إساءة

取りあえずの状況は以上で、この問題が今後どのくらい尾を引くかは不明です。
但し、クルド系の将校の犯行?の方は、最近のエルドアンの独裁的やり方やクルドに対する攻撃に鑑みれば、ある意味では起きるべくして起きた事件ともいえるかもしれませんが、建国の父の写真を標的にした方は、意図的か否かは不明ですが(もし意図的とすればかなり根深い対トルコ反感の表れと思う)、トルコにおけるアタチュルクに対する尊崇の念にも鑑み、どうも尾を引きそうな気がします。
取りあえずは、NATO関係者の謝罪で収まるのか、トルコが例えばインチェリック空港の使用問題等まで持ち出すのか等、トルコの対応が注目されます。

エルドアン大統領のイラン訪問

トルコのエルドアン大統領は4日テヘランを訪問し、ハメネイ最高指導者を表敬したほか、ロウハニ大統領等と、クルド問題について協議ましたが(そのほかではシリアの和平問題、両国間の経済関係強化とが話し合われた由)、訪問の最後に発表された共同声明では、両首脳は、イラクの政治的、領土的一体性の尊重を確認し、クルド自治区の儒民投票を拒否した由。
両者は更に、イラク政府のクルド問題に関する政策を支持し、クルド自治区に対して、これ以上事態を悪化させないように呼びかけた由。

また共同記者会見で、両者は今後この問題の解決のためにイラクートルコーイランの3者機関(そのレベルとか性格・・政治的か、軍事的か、経済的か等・・は不明)を設置することになったと表明し、エルドアンはこの問題については、トルコは今後イラン政府を相手にすると表明した(要するにクルド自治政府は相手にしないということか?)由。
エルドアンは、クルド自治区に対する(制裁)措置はさらに強化されるとした由。

他方ハメネイ最高指導者は、中東に新しいイスラエルを作るクルドの独立は、この地域を不安定にする陰謀であるとして、米国その他の国際勢力の言動は信用できないとして、この陰謀を失敗させるためにトルコとイランはあらゆる措置をとるべきであると語った由。

http://www.aljazeera.net/news/international/2017/10/4/تنسيق-إيراني-تركي-لمواجهة-استفتاء-كردستان-العراق
http://www.alquds.co.uk/?p=802605
http://www.alquds.co.uk/?p=802593

どうも共同声明などというものは表面的な表現になるので、現実に両者がどのような話をしたかが、気になるところですが、これでトルコとイランは、今後のクルド問題の協力の枠組みを作ったということでしょうが、これには軍事的協力も含まれているのでしょうね?
こちらの方は参謀長間の話し合いがどうなったのでしょうか?

クルド自治区の住民投票

イラクのクルド自治区の独立の可否を聞く、住民投票は明日に迫っていますが、一部にクルド自治区が投票の延期に関する国連、米英仏の提案を受諾したとの報道が流れているも、クルドの最高住民投票評議会は、これを否定し、投票は予定通り行われると語った由。

なお、この評議会の代表がバグダッドを訪問し、交渉しているところ、彼らは投票の延期について交渉している訳ではなく、投票の態様とかの細部について協議しているとしている由。
また海外のクルド人の投票は本24日から始まった模様。

他方、最も露骨な?圧力をかけてきたトルコでは、議会が23日、トルコ軍のシリア、イラクにおける展開の延長を認める決議を採択した由。
トルコ紙のネットでは、圧倒的多数で可決とあり、賛否の票数は不明なところ、与党の他にCHP,MHPも賛成し、反対したのはHDP(確かクルドに近いはず)だけとのことなので、圧倒的多数というのも間違いないと思われます。
又イラク国境で軍事演習を行っていたトルコ軍に関し、トルコ参謀本部は、更に追加兵力を増強し、より高度の演習をはじめたと発表した由。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/9/23/أربيل-تفاوض-بغداد-وتنفي-تأجيل-استفتاء-الانفصال
http://www.alquds.co.uk/?p=795839
http://www.hurriyetdailynews.com/turkish-parliament-approves-extension-of-mandate-for-troop-deployment-in-iraq-and-syria-.aspx?pageID=238&nID=118314&NewsCatID=510

これで見ると、未だギリギリのところで何らかの妥協が図られる可能性は残っているように思われますが、矢張り中東の人たちは交渉等においてもタフですね。

イラン参謀総長のトルコ訪問

イランの参謀総長がトルコを訪問中(確か15日から?)ですが、これを報じるal jazeera net は、その特派員の報告として、これだけのハイレベルのイラン軍事訪問団のトルコ訪問は初めてで、トルコでは大統領との会談も予定されていて、また陸海空それぞれのレベルでの会談も予定されているとしています。
また訪問はトルコ側の招請による由。

双方が話し合う予定と見られていることは、シリア、特に非戦闘地域問題、イラク情勢、特にテルアファル解放作戦、更にトルコ・イラン国境の分離壁建設問題、イラン、トルコのPKK問題、クルデスタン問題等多岐にわたるとしています。

http://www.aljazeera.net/news/international/2017/8/15/تركيا-وإيران-تعززان-التعاون-الأمني-والاستخباري

確かに両国を巡る情勢が急速に動いている現在、双方の軍の首脳が協議すべき事項は多いと思いますが、最も注目されるのがクルド問題で、9月に予定されているクルド自治区独立のための住民投票問題とその後のイラン、トルコを含むあの3角地帯のクルド問題が、最大の議題になりそうな気がします。
シリアでは確かに非戦闘地域で両者の協力も、進んでいるようですが、今後の「ポストIS」で両国にとって最も大きな共通関心事項はクルド問題で、この問題ではシリア以上に双方の協力(特に軍事面)の可能性は大きそうです。
参謀総長の訪問ですから、どうせ何らかの声明等も出るとは思いますが、取り敢えず。
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