中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ハマス

ハマスのドローン設計者の暗殺

ご記憶の方もあるかと思いますが、昨年12月にチュニジアの南部の町スファックスで、技術者が何者かに暗殺され、ハマスの軍事部門は彼はそのメンバーだとして、暗殺したのはイスラエルのモサド(対外諜報機関)だと主張した事件がありました。
当時から彼は航空機の専門家で、ハマスのためにドローンを設計していたとされていました。

ところが、この古い事件に関し、al jazeera net とy net news は、ハマスの政治局のメンバーがベイルートで記者会見を行い、公式に、暗殺したのはモサドであるとの調査結果を発表したと報じています。
それによると、モサドは3からなる暗殺チームを送り込み(最初のチームはロジ担当、2番目が偵察その他準備担当、3番目がヒットチームの由)、彼を暗殺したが、暗殺者はボスニアの旅券を使用した由。
なおアラビア語の方には記載はないが、ynet news は、ハマスのメンバは記者会見で、この調査結果を公表するか否か議論したが、これまでもモサドは度々暗殺を実行しており、彼らの悪行を暴くためにも公表するしかないとの結論に達したと語ったと報じています(なぜ公表をためらったかは不明ですが、調査の情報源等がイスラエルに漏れることを恐れたのでしょうか?)

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/11/16/حماس-تتهم-الموساد-رسميا-باغتيال-الزواري
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5043787,00.html

事件自体はほぼ1年前のもので、今更報告することもないとは思いましたが、何しろこのところ、特にイスラエル紙によればガザとイスラエルの間で緊張が高まっていることもあり、記者会見が全く偶然のタイミングで行われたとも思われないので、取りあえずガザの緊張との関係で報告しておきます。
それに記者会見の場所が、ガザではなく、ベイルートというのもどこか不自然で(ベイルートは内戦前の中東の情報の発信地という地位を失って久しい)、ヒズボッラーと打ち合わせでもしたのか、などという疑問も出てきます。

ハマスの人気上昇とアッバスの人気低下

al jazeera net は、最近のパレスチナ調査所の世論調査によると、現在選挙があれば、議長選挙でも議会選挙でもハマスが容易にアッバス及びファタハを破るとの結果が出たと報じています。
これはイスラエルのガザ攻撃を受けて、パレスチナ政治研究センターが8月26日から30日まで行った、西岸とガザでの世論調査の結果とのことです。

イスラエルのガザ攻撃とその結果の多数のパレスチナ民衆の死傷者を受けて、ハマスの人気が上昇したのか、逆に低下したのか、若干の議論もあったようですが、この結果からは明らかにハマスの人気上昇、ファタハとアッバスの人気低迷がでており、特に西岸におけるファタハとアッバスの人気に大きな陰りが出ており、パレスチナ指導部に大きな変化が出、中東紛争の平和的解決に関するこれまでの動きが更に阻害される可能性が出てきたようにおもわれます。

IS等の過激派の伸長と合わせて、、中東でもう一つ懸念すべき材料が生じた感があります。
記事の要点のみ次の通り

最近のパレスチナ人への世論調査によると、今選挙があればハマスが容易にファタハとアッバス議長を破る可能性が強い。
パレスチナ研究所によると、2006年以後、ハマスの人気に関して劇的な変化があり、特に先日のイスラエルの攻撃に対してのその軍事部門の抵抗以来、人気は急増している。

今選挙があれば、ハマスの政治副部長のイスマイリア・ハニア(前のガザ首相)が議長選挙で63%を得、アッバス議長は32%にとどまるとされる。
ハニアはガザで53%の得票率だが、西岸では63%を得るとされる。
これに対してアッバス議長はガザでは45%を得るが、西岸では25%にとどまる。
イスラエルの攻撃前にガザと西岸で、アッバス議長が53%、ハニアが41%であった。
仮にファタハで人気があるが現在服役中のバルグーティも加えた3者の競争でも、ハニアが48%、バルグーティが29%、アッバスが19%となる。

議会選挙でもハマスが46%、ファタハが31%、その他の諸派が7%、17%が未定としている。
また69%が6か月以内に選挙が行われるべきと考えるとしている。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2014/9/3/استطلاع-حماس-ستفوز-بالرئاسية-والتشريعية-لو-أجريت-الآن

エジプト・ガザ国境のトラブル

エジプトがガザ国境を開放してから未だ1週間ですが、既にエジプト当局とガザの間でトラブルが生じている模様です。

この事件はイスラエルのネット紙がいずれも報じていますが、中でも詳しいのが4日付の jerusalem post の記事ですが、それによると4日朝(土曜日)エジプト側が突然国境を閉鎖したので、バス3台でやってきた18名のパレスチナ人が数時間も待たされ、遂に痺れを切らして乱入しようとして、エジプト当局は午後になり国境を開いたとのことです。

またその前からエジプト側は1日の通過人数を350名から400名の間に制限すると一方的に決定し、ハマス政府の反発を招いていたとのことですが、その理由についてエジプト側は受け入れ能力の問題を上げているとのことで、外国からの圧力については否定しているとのことです。

また4日の突然の閉鎖については施設のメンテナンスを理由として挙げたとのことです。

どうもエジプト側の説明の説得力は感じられず、エジプトがこの問題の対応で何処となく右往左往している感じを受けます。

http://www.jpost.com/MiddleEast/Article.aspx?id=223562

ガザ情勢

ガザを巡る攻撃の応酬に関して、イスラエル政府はイスラエルに対する大量の臼砲(きゅうほう)の発射について公式に国連に苦情申し入れをしたとのことですが(19日付 haaretz net の記事)、他方同じネットの別の記事は表面的には極めて深刻な情勢に見えるガザ情勢も、当面のところイスラエル政府もハマスも更にこれをエスカレートする意図はないようだと分析しています。

同紙によれば、これまではハマスはガザからのロケットだの発射等については一部過激派のものと言う立場をとってきたが、今回50発と言う大量の臼砲を発射して、しかもそれはハマスがやったことだと認めたのは、余り先例がないとのことです。

同紙はその理由としてイスラエルがゲームの規則を破ったとハマスが一部過激派のロケット弾攻撃を非難している時には、直接ハマスに打撃を与えることはせずに、無人の土地を爆撃して来たが、今回はハマス要員を殺害したこと、及びアッバス議長がハマスとの間での妥協、接近を表明してきて防御的な立場に追い込まれていることが背景と見られるとしています。

イスラエルの方から見れば、その報復は従来のやり方を大きく逸脱したものではないとしているが、先日の西岸における入植者一家の殺害が念頭にあり、強硬な反応を見せることが重要と判断したものかと思われる由です。

http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/israel-lodges-formal-complaint-with-un-over-barrage-of-gaza-mortars-1.350183

ハマスのイスラエルとの休戦の確認

31日付のhaaretz net は、アラブ紙、それからそれを報じたイスラエル放送を引用して、ハマスの幹部のmahmoud zaharが、ハマスとしてはイスラエルのガザ侵攻後のイスラエルとの休戦を堅持しており、ガザからロケットを発射するものは反乱者であり、パレスチナ人の間に混乱をもたらすだけであると強調したと報じています。

zaharは28日にはイスラエルがガザに対して大規模な侵攻を計画していると非難して、イスラエルがそのような愚行に走れば大きな損失を被るだろうと警告していたとのことで、ハマスとしては最近イスラエルから送られて来るシグナル(脅迫?)を真剣に受け止めていて、ハマスの方針に反してロケット攻撃を続ける跳上がり分子に対して、改めて警告したものと思われます。

ハマスよりも強硬と言われるイスラミック・ジハードがそのメンバーで、勝手にロケット攻撃をするものは除名すると警告したことは前にも報告しました。

http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/hamas-anyone-firing-rockets-from-gaza-at-israel-is-a-rebel-1.321953
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