中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ヒズボッラー

ハリリのヒズボッラー批判

ハリリの辞任表明とその後のサウディ滞在の真相は未だに謎ですが(いろいろと解説や意見はあるが、本人の口または信頼できる筋からの説明はない)、25日、同氏事務所から出された声明で、ヒズボッラーに関して(いかなるヒズボッラーの動きでも、アラブ諸国に影響を与えたり、その安定を損なうようなものは、受け入れられない」と表明しました。

http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/11/25/الحريري-لحزب-الله-نرفض-ما-يمس-الأشقاء-العرب
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/11/25/الحريري-نرفض-أي-موقف-لحزب-الله-يضر-بالدول-العربية.html
http://www.alquds.co.uk/?p=833126

どうにもわかりにくい話で、この声明も(アラビアメディがほぼ同内容の報道をしているので、上記の声明が出されたこと自体は間違いないが)、その本当の狙いが何なのか良く分かりません。
一見したところでは、これまでも対立してきたヒズボッラーとの関係をはっきりさせることが主眼(確か彼の辞任の扱いを今後の大統領等との話し合いで、納得できるまで凍結しているはず)だろうと思われますが、ヒズボッラー(イラン)がおいそれと、その様な意見に耳を傾けるはずもない…傾ける格好はするかもしれない。
もしかするとサウディが彼の帰国を認める(サウディが拘束していたとしての話だが…)条件として、このような声明を出すことをつけていたという可能性も完全にない訳ではないかもしれません。
彼の本心が前者であれば、レバノンはアラブの問題から中立であるべきだとの彼の主張に反して、レバノン内政が緊張することもありうるかもしれません。

いずれにしても、al qods al arabi net の別の記事は、ハリリが父親の暗殺後にサウディから帰ってきて、政治に参加した時にはその人気は極めて高かった(シーア派を除くと思うが)、そん後ヒズボッラーと妥協して、ヒズボッラーを入れた政府を作ったりしたために、スンニ派およびレバノン一般で、その人気が下がっていたが、今回の事件でハリリの人気は急上昇していると報じています。
まあ、国民の人気などは水物ですから、何時まで続くかは分かりませんが、少なくとも当面は彼にとっては強い味方でしょうね。

http://www.alquds.co.uk/?p=833363

イランに対抗する必要性に関する米仏首脳の合意

al qods al arabi net とal arabiya net は、18日イランとヒズボッラーの策動に対抗する必要があることで、米仏首脳が一致したと報じています。

記事によると、マクロン大統領は、ハリリ首相と会談後、複数の外国首脳と電話で、レバノン問題等について協議をしたが、その中でトランプ大統領との間では、ヒズボッラーとイランの中東不安定化の活動に対して、対抗する必要があることで一致した由。
仏大統領府によると、マクロンが電話で話したのはトランプの他、レバノン大統領、エジプト大統領、サウディ皇太子及び国連事務総長の由で、今後さらにほかの首脳とも協議する予定の由。

http://www.alquds.co.uk/?p=829159
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/2017/11/19/ترمب-وماكرون-متفقان-على-ضرورة-مواجهة-حزب-الله-وإيران-.html

取りあえずのところ以上で、両首脳が具体的にどのような話をしたのかは不明ですが(想像するにハリリの辞職の経緯や背景、レバノンでのヒズボッラーの行動、サウディにおけるハリリの行動等を踏まえたものかと思われる)、仏大統領府が、レバノン支援国会議を開こうとしていることとあわせて、ここにきて急にレバノンの情勢が正面に出でてきました。

イスラエル国防相のシリアに対する警告

al qods al arabi net は、イスラエルのリーバーマン国防相が11日、記者会見で、イスラエルはシーア派枢軸がシリアを前線攻撃拠点とすることを、絶対に許さないであろうと語ったと報じています。
同国防相は更に、イスラエルはその主権に対するいかなる侵害もこれを許さないとして、シリア内での反イスラエル活動はアサド政権の責任であるとして、シリア政府の責任を問う姿勢を示した由。

http://www.alquds.co.uk/?p=824634
https://www.ynetnews.com/articles/0,7340,L-5041282,00.html
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/11/11/إسرائيل-أسقطنا-درون-فوق-مرتفعات-الجولان.html

これはシリア政府軍が発射したと思われる偵察用のドローンがゴラン高地に飛来した(ゴラン高地はイスラエルの占領地であるが、確かイスラエル政府はこれをイスラエル領に編入しており…戦争による領土拡大を禁じる国際法違反…それで主権侵害という言葉を使ったもの)事件に関連しての記者会見での発言の由。
ドローンそのものはIDFのパトリオットミサイルで撃墜された由。
いずれにしても、国防相はかってシリアをシーア派の前進基地とすることについてイランに警告しているところ、今回の警告は、レバノンを巡るサウディとヒズボッラー(ということはイラン)との確執に鑑み、この問題をイスラエルも極めて重大視していることを示すものかと思われる。

ヒスボッラーに対する制裁・非難決議(米下院)

トランプ政権がイランに対する立場を硬化させているよう見えますが(確か国務長官も、米はイランの体制変革を支持すると語ったとか!)、アラビア語メディアは、25日(現地時間)米下院がヒズボッラーに対する3つの制裁・非難決議案を全会一致で可決し、26日にはイランのミサイル開発に対する制裁を決議すると報じています。

それによると、最初の決議案はヒズボッラーに対して資金的、軍事的に支援を与える人物、組織等をブラックリストに載せるというもの。
2つ目の決議案は、ヒズボッラーが民間人を人間の盾として使っていることを非難するもの。
3つ目の決議案は、EUに対してヒズボッラーをテロ組織として認定することを求めるもの。
なお、これらの決議案は、その後上院に送られ、可決されれば、大統領が署名することになる由(おそらく、まず間違いなく大統領の署名まで行くのではないか?)

http://www.alquds.co.uk/?p=815179
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2017/10/26/مجلس-النواب-الأميركي-يقر-عقوبات-على-حزب-الله-اللبناني.html
http://www.aljazeera.net/news/international/2017/10/26/عقوبات-أميركية-جديدة-على-حزب-الله-اللبناني

確かトランプは、イランと欧米中ロの核開発停止合意を廃棄すると表明していますが、これには欧州諸国も強く反対しているという事情があるせいか、これらメディアは、米議会等は取りあえずは、ミサイル開発とヒズボッラーに対する制裁強化という形で、イランに圧力を加えようとしているとコメントしています。
もしそれが事実であれば、おそらくは国務長官や国防長官の意向にも沿ったものかと思いますが、その辺は確認不能です。

今後のポストIS(尤もISはイラクとシリアという領土を失っても、両国やエジプト、リビア、イエメン、更にはサヘル地域等で強力なプレゼンスを維持しており…先日もニジェールだったかで、米特殊部隊の兵士4名が死亡し、、その時のトランプの家族への見舞いの言葉使い問題が、米国では大きな問題になっている・・・ポストISという言葉を使うのは、いかにも時期尚早ではあるが)の中東の問題が、クルド問題、イラン問題であることを示す事例と思われる。

ヒズボッラー幹部に対する懸賞金(米国務省)

米政府は前からヒズボッラーはテロ組織と認定してきましたが、10日国務省はその幹部2名に対して計1200万ドルの懸賞金をかけたと発表しました。
確かトランプは、ヒズボッラーが主要なテロ組織の一つとして、非難してきたかと思いますが、ここにきてその「テロの大幹部」に多額の懸賞金を発表したのは、彼がそのイラン敵対政策を更に明確にした(ヒズボッラーがイランの手先であることは周知の事実)ということでしょうか?
彼の「嵐の前に静かさ」という謎めいた言葉に関連して、気になる動きです。
事実関係次の通り

・国務省はヒズボッラーの幹部2名、すなわちtalal hamiya とfuad shokriに対して、その逮捕等につながる情報を提供した者に対して、それぞれ700万ドル、および500万ドルの賞金を与えると発表した。
・国務省関係者によれば、前者はテロ細胞を指導し、多くのテロ事件に関係し、特に米国民に対するテロ及び誘拐にかかわった由。
後者はヒズボッラーの軍事部門の幹部で、南部レバノンでの活動を指揮してきたが、最近ではシリアでの作戦にも関係していて、また1983年の米海兵隊員200名の殺害にも関与した由。
・国務省のテロ対策官は、ヒズボッラーは現在でも世界で最も危険なテロ組織の一つで、米国の懸賞金は彼らにさらなる圧力をかけるものであるとして、国際社会に対してヒズボッラーをテロ組織と認定するように慫慂(しょうよう)した。

EU諸国はヒズボッラーの軍事部門はテロ組織としているが、政治部門の方はテロ組織とは認定していない。

http://www.alquds.co.uk/?p=806009
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/american-elections-2016/2017/10/10/أميركا-ترصد-مكافأة-للمساعدة-باعتقال-مسؤولين-في-حزب-الله.html
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