中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

モロッコ

英外務省のモロッコ渡航情報

このところアルジェリアでは反体制抗議デモが拡大していますが、その隣国のモロッコで、アルジェリアの情勢とは直接関係ないと思いますが、英外務省が英国人に対して、モロッコへの渡航に慎重になるようにとの渡航情報を出したとのことです。

これは、al arabiya net が報じているところで、それによると英外務省は、シリア、イラクでのISの敗北に伴い、世界的に英国人に対する誘拐、テロの危険が増大しているが、モロッコでは昨年12月山岳地帯でトレッキング中の北欧女性2名が殺害された事件があったとしている由
(この事件は当初、セックスか金銭目当ての通常の刑事犯かと思われたら、犯人(複数)は過激派思想の持主であったとの報道があったが、その後報道もなく、真相は不明)。

何故モロッコが特定されたのか、それともほかの国に対しても、同様の警告が出ているのか、等の詳細は不明だが、取りあえず。

レバノン人の入国禁止(モロッコ)

もう一つアラブ諸国間の入国制限の例です。

こちらの方は、al qods al arabi net が報じるところで、モロッコは最近ヒズボッラーが西サハラの(独立を目指す)ポリサリオと密接な関係を有していることが判明したとして、レバノンに対するすべての査証の発給を禁止したとのことです。

同ネットはレバノンのal akhbar紙によれば、モロッコ政府は、この5月以来ヒズボッラーのポリサリオに対する支援が明らかとなったとして、レバノン人に対する査証発給をさし控えてきた由。

また、モロッコ政府は、レバノン政府がヒズボッラーのアラブ諸国、特にモロッコへの干渉を非難する声明を要求している由。

http://www.alquds.co.uk/?p=1028838

日本ではなじみ薄いが、西サハラと言うのはスペインが領有していた、文字通りサハラの西、大西洋に面したところに位置した世界で最後の西欧の植民地と言われたところですが、スペインがその領有権を放棄したところ、モロッコがその領有権を主張し、ポリサリオと言う勢力が独立を求めて活動し、それをアルジェリアが支援して、現在でも、両国間の関係改善を妨げる最大の棘となっています(このためマグレブ連合…モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアからなる…の首脳会議はこの20年以上開かれていない)。

確か西サハラの大部分はモロッコ軍が制圧して、住民の多くが未だテント生活をしているとか聞きますが、紛争が拡大するのを防止するために、国連PKOが駐在し、確か事務局長が最近そのマンデートの1年延長を提案したはずです。

それにしても、ヒズボッラーの活動(ということはイランの影響)がこんな遠くまで及んでいるとは、知りませんでした。イランの「長い手」とでも言うべきなのでしょうか?

西サハラ沖合はタコの漁場として、あそこでとれたタコは、日本にもずいぶん入っているはずですが、イランがタコに興味があるという話は知らないし、おそらくは地政学的な観点から、北アフリカ諸国、サヘル諸国に足場を固めておこうということなのでしょうか?

モロッコにおける抗議デモの呼びかけ

今度はモロッコです。

モロッコでも抗議運動がおこなれて、腐敗是正、改革、国王の権限縮小等が要求されてきましたが、その運動を組織した「2月20日運動」と言う組織が facebook 等を通じて、この20日抗議デモを呼び掛けているとのことです。

これは5日付のal jazeerah net の記事が伝えたところで、この日を選んだのは国王が先日のデモの要求に応えて設立する人権国民評議会(注:アラビア語からの音訳)の設立の日に合わせたとのことです。

運動の組織者によれば、それに先立ち6日準備会合が開かれるとのことですが、これまでのところ諸団体、政党及び労働組合が平和的なデモ及び新憲法制定と言う要求を支持しているとのことです。

なお2月20日の全国規模のデモの後、政府は民衆の希望は聞いたとして、人権評議会の設立を決めたとのことで、そのメンバーとしては政府の他、人権団体、政党、労働組合等の代表が含まれ、委員長としては人権運動家である idris al zamy が任命されたとのことです。

モロッコでは国王が抗議運動の要求を取り込んで対処しつつあるように見えますが、実際はどうでしょうか?
http://www.aljazeera.net/NR/exeres/D33DEE92-0CD9-43CF-9221-D6BE11B9CEE6.htm?GoogleStatID=9

モロッコの抗議運動

北アフリカでは、チュニジアに次いでリビア、そしてアルジェリアもどこかきな臭くなってきましたが、モロッコに関してはこれまであまり抗議運動の話がありませんでした。

モロッコと言えばチュニジアと並んで風光明媚、気候温暖な北アフリカの観光地ですが、国民の貧富の格差はチュニジアなどをはるかに凌駕し、また王族の腐敗もよく指摘されてきました。

そのモロッコもアラブ世界を覆う抗議運動の嵐から超絶している訳にはいかないようで、20日付のal njazeerah  net の記事は、モロッコでも「2月20日運動」と言う名前の、青年を中心とした抗議運動が20日に全国各地で抗議デモを計画していると報じています。

特に首都のラバトと経済首都のカサブランカが中心の様で、警官隊は昨夜のうちから動員をかけられ、これらの町に通じる道路の封鎖を始めているとのことです。

この「2月20日運動」の要求は、民主憲法の制定、現在の内閣及び議会の解散と暫定内閣の設置、司法の独立、腐敗の根絶と失業問題の解決だそうです。

モロッコとの時差が9時間ですからこれから抗議運動がどうなるかだと思います。

http://www.aljazeera.net/NR/exeres/06D73026-C580-4425-B415-DADEF8EAA19B.htm?GoogleStatID=1

ホロコーストの有無  ムハンマド6世の発言

モロッコ・マラケシュ
モロッコ・マラケシュ
29日付jerusalem post紙によると、モロッコのムハンマド6世国王がナチスによるユダヤ人虐殺(ホロコースト)は現実に起こった事件で、アラブとしてもそこから目をそむけてはいけないと語ったとかなり大きく報じている。
尤も(同紙に依れば)同国王がこのような発言をしたのは、これが最初ではなく、確か2003年にもにもそのような発言をして、その後もアラブ、イスラム諸国の啓蒙に努めてきたとのことだが、このような過去の歴史に関する発言が大きく取り上げられるのも、一つにはイランの現大統領のアハマディネジャードがホロコーストを否定する発言をして、その後もイスラエルの存在を認めない趣旨の強硬発言を繰り返していることの影響が大きいと思われる。
勿論、その背景としては、(自らはイスラエル建国の犠牲になったと考える)アラブ人、さらにはイスラム教徒の間に、イスラエルの建国はホロコースト神話が大きく作用しているとして、その存在を認めたくない気分が少なからずあることは間違いないと思われ、その中で公にホロコーストの存在を認めようとアラブに呼びかけるムハンマド6世の発言がイスラエルで大きく歓迎された訳です。
因みに、モロッコは昔からユダヤ人を庇護した伝統を誇りにしており、スペイン再征服(reconquista)の後、イスラム教徒とともに迫害され、追放処分になったユダヤ人を温かく迎えたのはモロッコで、ユダヤ人のグループの中のセファルディと言うのはモロッコ等の北アフリカ、中東出身のユダヤ人を呼ぶ言葉です。
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