中東の窓

長年、日本の外交官として中東に深く関与。中東から見た国際関係を日々発信するブログ。

ヨルダン

ヨルダンの抗議デモ

昨年末にはイランの各地で、物価騰貴、失業等に抗議するデモが広がり、治安部隊とも衝突などしましたが、今度はヨルダンです。

al qods al arabi net とal jazeera net は、ヨルダンでは、このところ諸物価の値上げ、税金の引き上げ等があって、民衆の不満が高まっていたところ、首都アンマンを含め6都市で、物価騰貴抗議、値上げの撤回等を要求する抗議デモがあったが、同時に政府及び議会の辞任を要求していると報じています。
それによると、抗議を組織したのは、左翼政党と民族政党だが、イスラム勢力も首都アンマンではこれに加わった由。

他方、al qods al arabi net は、首相のhani al malakiが、難しい手術のために急きょ米国に向けて出発し、当面は副首相が首相代理を務めると報じています。
双方とも、経済的不満が政治的不満に結びついたので、状況は緊張していて、アンマン知事は公共の治安を害する行為を禁止し、首相府周辺の交通を規制したとのことです。

http://www.alquds.co.uk/?p=872720
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2018/2/2/مسيرة-في-عمان-احتجاجا-على-رفع-الأسعار

ヨルダンは中東諸国の中では、比較的行政もしっかりし、民主的自由もある国ですが、その反面これまでもイスラム主義者(確かムスリム同胞団の勢力が強い)のデモがあったり、経済も産油国のように富裕なわけではないので国王は難しいかじ取りを迫られてきました。

それに加えて、エルサレムに関するトランプ宣言があり、何しろ67年戦争後も、エルサレムの聖地(岩のモスク)の守護者であり続けてきた、ヨルダン王国としては、おいそれとそんな一方的行為を支持するわけにはいかず、そちらの方からも難しい立場に立たされてきました。
今回の抗議がどの程度拡大するかは、勿論不明ですが、要注意の状況でしょうか。

ヨルダン王族の退役問題

先日ヨルダン国王の異母弟2名ともう一人の王族が、軍から退役して、名誉称号を与えられたことを報告しましたが、al qods al arabi net は、同国の王宮庁が、彼らの退役について、嘘の噂や悪意ある書き込みがネット上に流れているいるが、これらの悪意ある中傷や誹謗で国家を傷つけるものについては、法的措置を講じると警告した報じています。

http://www.alquds.co.uk/?p=853039

記事は、それ以上の中傷や、嘘の内容については触れていませんが、このような警告を王宮庁があえてしたとすれば、かなり多くの噂が流れ飛んでいて、王宮としてもほってはおけなくなったものと見られます。
また内容的にはおそらく、政治的なもので、時局柄、エルサレム問題や、サウディとの関係等に絡んでいるのではないかと思われます。
因みに、2人の国王異母兄弟は、母親がレバノン系米国人(確かPA航空の会長の娘だったかと思う)だったかと思うので、トランプとかサウディの何らかの手が伸びていた可能性も考えられるも、完全な推測以外の何物でもありません。
こんなことを書くとヨルダンから警告が来るかもね。

シリア・ヨルダン関係

先日、ヒズボッラーの副書記長が、ヨルダンに対する警告をしたとの記事を報告しましたが、どうやら背景にはシリアとヨルダンの関係悪化がある模様です。
これまでのところでは詳しい背景や真相は不明ですが、アサド大統領がロシアのスプートニクに対して、「ヨルダンはシリア内戦の初めから米国のシリアに対する陰謀の一部分であり、ヨルダンがどう考えようとも、ヨルダンは独立した国家ではなく、米国がヨルダン北部からシリアに介入しようと考えれば、介入することになる」と語ったことに対して、ヨルダン政府の公式報道官である情報相が、アラビア語メディアに対して、「アサドの発言は現実離れした宣伝であり、ヨルダンが中東においてバランスの取れた政策を追求してきたことはよく知られており、シリア問題についてはシリアの領土的保存と政治的解決を追求してきた」として、「自分の国の大半の領域さえ支配していない政権がヨルダンの独立云々を語ることは皮肉である」と反論したとのことです。

http://www.alquds.co.uk/?p=707878
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2017/4/21/الأردن-الأسد-منسلخ-عن-الواقع-وتقديراته-خاطئة
https://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2017/04/22/الأردن-يرد-على-الأسد-أنت-منسلخ-عن-الواقع.html

ヨルダンはこれまで、有志連合の一員として対IS空爆等に参加してきたものの(そのため墜落して捕虜になったパイロットがISにより焼殺されたことは日本でも広く報じられた)、アサド政権とは、、それほど敵対的な関係ではなく、微妙な距離を保ってきたという印象を受けていました。
それがここにきて、アサドがロシアのスプートニクにかなり激しい反ヨルダン発言を行い、ヨルダン政府もまたかなり厳しい非難で応じたことは、やはりトランプ政権登場後の米国の政策の変更と関係しているのでしょうか?
詳しい背後関係は不明ですが、とりあえず。

ISの人質事件(ヨルダンでの反応)

我が国では、イラク人女性死刑囚と引き換えに、邦人人質とヨルダン人操縦士の釈放を求める期待が表明されていますが、ヨルダンでは同操縦士の属する同国南部の部族が27日首都アンマンに多数来て、同操縦士の救出が遅れていることは政府、特に国王及び情報機関の責任であるとして、その釈放のために全力を尽くすことを要求し、首相府への道路を閉鎖し、要求が入れられるまでは、解除しないと宣言しているとのことです。

彼らはとにかく、ヨルダンの操縦士の釈放が第1の課題であるとして、ヨルダンの対IS連合軍からの脱退及び空爆参加取りやめも要求している由。
http://www.aljazeera.net/news/arabic/2015/1/28/عشيرة-الكساسبة-تطالب-بإنقاذ-الطيار-الأردني-الأسير

おそらくこの報道もに日本のマスコミが既に伝えているとは思うもとりあえず。

自由シリア軍に対するサウディの武器援助

17日付のal qods al arabi net は、最近南部戦線の自由シリア軍はサウディの資金による対戦車ミサイルの供与を受け、アサド軍相手の戦闘で、バランスに変化が生じつつあると報じています。

記事によれば、このミサイルはロシア製のコンクルス対戦車ミサイルで、先週ダラアでの戦闘で使用された由。
消息筋によれば、このサウディによるミサイルの供与は、サウディが自由シリア軍の進展の遅さに焦りを感じ、またアルカイダ系列のイスラム主義勢力の進展に脅威を感じた結果である由。

サウディの危惧の要因の一つは、政府軍が最近中部シリアで地歩を広め、また南部においてもいくつかの町で成功を収めたことにある由にて、自由シリア軍の今後数か月の進展ぶりは、このコンクルスのような高性能兵器を入手できるか否かにかかっているという。

ヨルダン軍の退役軍人は、このコンクルスのような兵器が十分な量で供給されれば、現地の力のバランスを変えるだろうという。
このミサイルはヨルダン経由で、過去数週間内にシリアに供給されたが、そのためには数か月間にわたるサウディ政府のヨルダン政府に対する圧力があったという。ヨルダン消息筋によれば、ヨルダンはサウディの怒りと、アサド報復の脅しのはざまに置かれているという。

http://www.alquds.co.uk/?p=75176
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